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拗らせすぎた片想い
甘い日々と初めての
しおりを挟む「シルビア、ちょっと両手上げて」
「?・・・こう?」
ソファに座っているシルビアは両手をあげてテオドールの顔を見る。
ぽすっ
「ぴゃぁっ!!」
「くくっ、可愛い反応するんだな。うん・・・心地がいい」
テオドールは、シルビアの膝に頭を乗せてゴロゴロしている。膝枕にご満悦だ。
「シルビア、あの雲、変わった形だな」
「どれ?・・・きゃぁっ!」
「引っかかったな、くくっ」
「もう・・・びっくりした」
シルビアの注意を逸らし、後ろから抱きついてイタズラが成功したテオドール。ぷくっと頬を膨らませているシルビアも可愛いなんて思いながら、シルビアの首に擦り寄って甘えている。
「シルビア、こっち向いて」
「何?・・・んんっ」
「愛してる」
「もう・・・不意打ちはズルい・・・」
振り向きざまにキスをしたテオドールに、顔を真っ赤にして抗議するシルビアだったが、まんざらでもない。
毎日、テオドールに初めての経験をさせられるシルビア。
息の詰まりそうだったガラード侯爵家での日々。幸せな日々などもう来ないと思っていた。そんな思いがどんどんと溶かされていく。
テオドールは森で話したように、シルビアが屋敷に来てから毎日一緒に寝台に入った。恥ずかしがるシルビアを引き込み、後ろから抱きしめて眠る。幸せな眠りの時間、三日間はただ抱きしめて、幸せに浸っていた。安心してホッとして、嬉しくて・・・シルビアは夢見心地で眠った。
四日目の夜、その時は急に訪れた。一度おやすみを言って眠ろうとした二人だったが、シルビアが何かの感触に気付いた。いつもなら自分のお腹あたりにまわされているテオドールの手が、心なしか、足やお尻を撫でている気がする。気のせいかと考えていたが、次の瞬間確信した。テオドールの手が身体を伝って、シルビアの胸にたどり着いた。最初はおそるおそる触れるように、段々と柔らかさを確かめるような触れ方に変わっていった。ひとしきり触れたかと思うと、手の動きがふと止まった。寝たのかなと思ったが違うようだ。胸に触れていた手が迷っている。そんな動きのようだった。そして自身の太ももに何かが当たっている。熱くて硬い何か。シルビアは顔が真っ赤になったのを自覚した。
「テオ?」
後ろでテオドールがビクッと身体を揺らした。
「す、すまない・・・勝手に・・・」
「テオ・・・続き、して?」
「・・・いいのか?」
「テオ以外に誰がしてくれるの?」
「そ、それはそうだが・・・」
「さっきから、足に当たってるから、わかってるよ?」
「うっ・・・すまない・・・」
「テオ、私初めてで・・・その・・・」
「えっ!?初めて・・・!?」
「そうよ?」
「えっ・・・前の旦那とは・・・」
「してないわ。初夜の日は、別の女性がお相手してたもの。声が聞こえたの。夫婦の寝室で待っていたら、隣の夫の部屋から男女の営みの声を聞かされる妻なんて・・・意味がわからないわ・・・」
「なんだそれ・・・でも、今は感謝だな。シルビアにはもう、初めてなんてないと思ってた。シルビアを俺のものにする、全て」
テオドールは掛布を一気にまくると、シルビアを見下ろす体勢になる。
「シルビア、初めてを俺にくれ。そして、俺の初めてをお前が貰ってくれ」
「うん」
テオドールとシルビアはその日結ばれた。甘く優しいテオドールにシルビアの冷えていた心は溶けていく。
「シルビア、愛してる」
「テオ、私も、愛してる」
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次回
可愛い名だな
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