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恋した君と愛する君
本邸でのお茶の時間
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マーガレットは自室でハンカチに刺繍をしていた。サイラスにプレゼントしようと名前を入れる。
「レット、今日は本邸に行く」
「本邸ですか?」
サイラスの弟であるクライスとその夫人が、サイラスとマーガレットをお茶に誘ってきた事で本邸に出向くことになった。
「マーガレットさん、ここでの暮らしはどうですか?不便はないですか?」
「はい、とてもよくしていただいています」
クライスの問いに、マーガレットはにっこりと微笑みを返す。その様子を見ていたサイラスの顔は不機嫌そうだ。
「マーガレットさんは可愛らしいわ!なんだか妹ができたみたい!」
「兄上、可愛らしいお嫁さんが来てくれてよかったですね」
「・・・あぁ、やらんぞ」
「兄上がそんなこと言うなんて思わなかったな」
「おかしいか?」
「いいえ、嫉妬する事もあるのかと思っただけですよ」
「嫉妬か・・・」
サイラスが、マーガレットの腰にまわしていた手に力を入れた。マーガレットはそれに気付き驚いていた。
「兄上達がうまくいっているのは嬉しいよ」
「えぇ、とってもお似合いですもの」
「マーガレットさんには負担をかけます・・・僕のせいですみません・・・」
「?」
「僕が機能不全なんかでなければ・・・よかったんですが」
クライスの背中を夫人が優しく撫でている。事情を知らないマーガレットは初めて聞く内容に、何の話かとクライスを見つめる。
「あっ・・・」
サイラスにぐっと抱き寄せられた。
「マーガレットさん?どうなされたの?」
「・・・あぁ、レットは少し気分がすぐれないようだ。そろそろ失礼するよ」
「えぇ、お大事に。また、お茶しましょうね」
サイラスは部屋を出ると、マーガレットを抱き上げ足速に本邸を後にした。
「だ、旦那様!?」
「・・・俺を嫉妬させて楽しいか?煽っているのか、マーガレット」
「煽ってる?何もそんなつもりは・・・」
「まぁ、いい、時間はたっぷりあるからな。僕のマーガレット」
優しい笑みを浮かべるも、その瞳の奥は笑っているようには見えなかった。
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次回
クライスに色目を使って・・・どういうつもりだ?
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