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私の太陽、俺の花

シルフィの涙

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ジェームスが近衛騎士になってから一年が経とうとしていた。その頃、シルフィは、思い続けていたサイラスが結婚したことを知る。自分ではダメだった。選ばれなかった。何もしてあげることができなかった。考えが巡り、放心状態で朝から何度も失敗を繰り返していた。



「シルフィ、大丈夫?何か変よ?」

「ミーティア様・・・申し訳ありません」

「いいえ、いいのよ。今日は休んだら?ここにはカーラもいるから大丈夫よ」

「いや、しかし・・・」

「ミーティア様の言う通りよ?今日は何も手についていないわ。時には休む事も必要よ」

「・・・はい」


シルフィは力なく歩き、気付けば王宮の裏にある湖にたどりついていた。しばらく湖のほとりに立って揺れる湖面を見つめていた。


「シルフィ?」

「!?」


振り返ると、ジェームスがいた。


「シルフィ、何故泣いているんだ!何かあったのか!?」


ジェームスが駆け寄ってくる。


「・・・ジェームス・・・」


ジェームスは、シルフィの両肩を掴む。


「シルフィ、何があった?」

「・・・」

「何でもいい、話してみろ」

「・・・私は、私はっ!!うっ・・・うっ・・・」

「ゆっくりでいい」

「何もしてあげられなかった!私じゃダメだった!!」

「・・・」

「あんなにお辛そうだったのに・・・」

「・・・」

「私じゃ、兄様を救えなかった!!」


シルフィは叫びながら、地面に崩れるように座り込んだ。ジェームスはそっとシルフィを抱きしめた。




ーーーーーーーーーーーーーーー


次回

なぁ・・・あいつじゃないとダメか?





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