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期待しないほうがいい

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「聞かせてもらいましょうか」


レスタは主人であるリオネルに挑戦的な目を向ける。


「期待させない方がいいと思ったからだ」

「期待ですか?」

「あぁ・・・まぁ、こんなオッサンに期待も何もないだろうが、こっちが思っている以上に期待されても困る。貴族令嬢の扱いどころか、女の扱いがわからん。ここで贅沢をしようと思ったって、何もない所だ。うまくいかない事だらけだろう。そのたびに癇癪を起こされても困るし、それを叶えてやれる奴もいない。それに・・・俺はオッサンだし、こんな見た目だろう?がっかりさせるより、何も知らないほうが身のためだって事だ」

「少なくともご令嬢はそのようなお方ではありません」

「随分と方を持つんだな。そんなに美人だったか?」

「えぇ、旦那様には勿体ないほどに若くてお綺麗なご令嬢です」

「ふん、悪かったな・・・大した見た目でもないオッサンで」

「そう思うのでしたらせめて身なりくらい整えたらどうなんですか・・・」


レスタはシャワーを浴びていた濡れ髪のリオネルに向かって軽蔑の目を向ける。スティファニアを迎えに行く前に、あれだけ身なりだけは整えるようにと言って聞かせたのにとため息。


「とにかくです、お嬢様に挨拶だけでもされてはいかがです?」

「その必要はない」

「ったく・・・だからモテないんだよ」

「何か言ったか?」

「いいえ・・・ご令嬢を他の男に取られても知りませんよ?」

「何ならそっちのほうが令嬢もいいんじゃないのか?若い釣りあう男がいくらでもいるだろう」


そう言ってリオネルは寝台にドサッと身を投げ出した。仰向けになったリオネルは静かに瞼を閉じると寝息を立て始めた。


「・・・可哀想なお嬢様だ・・・こんなのが夫になるなんて・・・」


呆れながら、そしてスティファニアを哀れに思いながらレスタはリオネルの部屋をあとにした。



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