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31.番う軌跡
929.懲罰人事 2 (sideシバ)
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「あの…わかりました。人事を受け入れますから、どうか警察には…」
「そうですか、それはよかった。私としても大事にはしたくなかったので…それではロッカーの私物を持ってこのまま…」
「でも、納得はいきません!私はシバさんにセクハラを受けていました。シバさんにもなにか懲罰を与えてください!」
えぇ!!まだこの人はそんなことを言ってるの?だいたい俺が貴方に何か恨まれることした?告白を断った以外は貴方とはまったく接点なかったよね?もうここまでいくと怖い…
「はぁ…つまり飽く迄もシバの方から貴方を誘ったと言うのですか?シバが無理矢理に貴方にあのようなことをさせていたと…」
「そうです!シバさんが無理矢理に私に自分に跨がれと言ったのよ、あまつさへそのまま腰を振って自分を気持ちよくさせろって…
強いシバさんに言われたら、キティなんか逆らえなかったの…」
「はぁ?何をめちゃくちゃなこと言ってるんですか!いい加減に…」
「シバとりあえず今は私にまかせてくれ!
はぁ…キティさん、貴方は私を舐め過ぎです。
人間の私には貴方のように聴覚が効かないと思っていますか?遮音カーテンがあったから声が漏れていなかったとでも?
私は元冒険者ですよ?耳も目も常人よりはずっといい…」
バスターさんの声が地を這うように低くなっていく、苛立ちを抑えるのを止めたように
キティさんは目を見開いて歯を食いしばってそんなバスターさんを睨み返している。
「あそこでのやり取りは途中から丸聞こえでしたよ?それがなくても…私がシバを疑うはず無いじゃないですか、私はシバを絶対的に信頼していますからね?」
「はぁ?なんなの…所長ともあろう方が盗み聞きなんて、ハッ…ハレンチです!それにシバさんだけ贔屓ですか?所長としてありえない!」
「ははっ!ハレンチはどうかと思うが、贔屓か…贔屓はそうかもしれないな?
シバ…こっちに来てくれないか?」
バスターさんの場違いな少し甘えたような声に驚きながら、机の向かいからバスターさんの座る椅子の傍ら立てば、ガバリっと急に抱え込まれるように抱きつかれてそのまま少し崩れた横抱きのようにされる。
もうバスターさんの行動に驚いて、顔の筋肉が固まるのがわかる。
「誰よりも贔屓ぐらいするさ、シバは私の最愛の人なのだから…キティさん、シバの番相手はね、………私ですよ?
わかりましたか?貴方は完全に私を敵に回したのですよ!」
「えっ!ウソ、他種族交際なんて!なんて気持ちの悪いっ、あっ…」
「………そうですか、貴方のような一般の人狼にしたら私達のような関係は気持ちの悪いのですね…まぁ、いいです。」
バスターさんが一瞬、傷ついたような顔をする。気持ちの悪い…確かに人狼は他種族との恋愛関係を禁忌としてきたから、そういう感覚を持っている人もいる。でもそれは純血主義を信じている年配者か、規律がきつい保守的な組の組員のような考え方で…あれ?でもキティさんは確か…
「キティさん、貴方は俺と同じダーク様の組なんですよね?気持ちの悪いって…その考え方はダーク様の組としては…」
「とっ、とにかく所長にはがっかりいたしました。部下に手を出して、贔屓するなんて所長には相応しくない行動です!コンプライアンス違反で会社に訴えてやる!
シバさんもこんなおっさんにいいように手籠めにされていて、可哀想に!わかったわ、可愛い私を選びたくても選べなかったのね?
そうよ、こんなおっさんの番なんかよりずっと私の方がシバさんに相応しいわ!
大丈夫よ、すぐにキティがなんとかしてあげるから!!」
俺の疑問の言葉を掻き消すように、キティさんがヒステリックに頓珍漢なことを叫んでいる。この人は情緒不安定とかなのだろうか?
先程まで俺の懲罰を求めた口で、今度は俺を助けるという…
もう呆れて口も開けずに怪訝にキティさんを眺めていると、耳元で大きなため息をが聞こえて…冒険者時代の誰もが怯えた覇気が漏れで出すのを感じる。これは…不味いかも…
キティさんの顔がみるみると強張っていく、もう俺も恐ろしくてバスターさんの方を見れない!
「キティさん、もう貴方の好きになさったらいい…コンプライアンス委員会に申し出るなら出ればいいさ、でも…私だって役員ですよ、端くれですけどね?
貴方をもっと僻地の僻地に飛ばすことだってできるんですよ。オークの飼育施設なんかどうかな?あそこはいつも人手不足だから、歓迎してくれますよ…こんな可愛らしい女性なら尚の事…」
バスターさんが威圧する声は地を這うように低く、ビリビリと感じる、圧は向けられていない俺ですら恐ろしい
俺に唯一できることは、机に突いた状態のバスターさんの手に俺の手を重ねていて、少しでもバスターさんの気持ちを落ち着かせたくて…でもその手は小さく震えていて
「あぁ、それとも番を賭けて決闘でもしますか?人狼の風習はよくわからないが…もしもシバを本気で奪いに来るというなら、私は喜んで受けて立ちますよ?可愛らしい女性だろうと、容赦なんていたしませんよ!」
「ひいぃぃ…あっあっ…ごめっ、ごめんなさいぃぃ…」
バスターさんの一喝にキティさんは先程の威勢はなくなり、号泣をしながらガタガタと震えて床にへたり込んでいった。
「そうですか、それはよかった。私としても大事にはしたくなかったので…それではロッカーの私物を持ってこのまま…」
「でも、納得はいきません!私はシバさんにセクハラを受けていました。シバさんにもなにか懲罰を与えてください!」
えぇ!!まだこの人はそんなことを言ってるの?だいたい俺が貴方に何か恨まれることした?告白を断った以外は貴方とはまったく接点なかったよね?もうここまでいくと怖い…
「はぁ…つまり飽く迄もシバの方から貴方を誘ったと言うのですか?シバが無理矢理に貴方にあのようなことをさせていたと…」
「そうです!シバさんが無理矢理に私に自分に跨がれと言ったのよ、あまつさへそのまま腰を振って自分を気持ちよくさせろって…
強いシバさんに言われたら、キティなんか逆らえなかったの…」
「はぁ?何をめちゃくちゃなこと言ってるんですか!いい加減に…」
「シバとりあえず今は私にまかせてくれ!
はぁ…キティさん、貴方は私を舐め過ぎです。
人間の私には貴方のように聴覚が効かないと思っていますか?遮音カーテンがあったから声が漏れていなかったとでも?
私は元冒険者ですよ?耳も目も常人よりはずっといい…」
バスターさんの声が地を這うように低くなっていく、苛立ちを抑えるのを止めたように
キティさんは目を見開いて歯を食いしばってそんなバスターさんを睨み返している。
「あそこでのやり取りは途中から丸聞こえでしたよ?それがなくても…私がシバを疑うはず無いじゃないですか、私はシバを絶対的に信頼していますからね?」
「はぁ?なんなの…所長ともあろう方が盗み聞きなんて、ハッ…ハレンチです!それにシバさんだけ贔屓ですか?所長としてありえない!」
「ははっ!ハレンチはどうかと思うが、贔屓か…贔屓はそうかもしれないな?
シバ…こっちに来てくれないか?」
バスターさんの場違いな少し甘えたような声に驚きながら、机の向かいからバスターさんの座る椅子の傍ら立てば、ガバリっと急に抱え込まれるように抱きつかれてそのまま少し崩れた横抱きのようにされる。
もうバスターさんの行動に驚いて、顔の筋肉が固まるのがわかる。
「誰よりも贔屓ぐらいするさ、シバは私の最愛の人なのだから…キティさん、シバの番相手はね、………私ですよ?
わかりましたか?貴方は完全に私を敵に回したのですよ!」
「えっ!ウソ、他種族交際なんて!なんて気持ちの悪いっ、あっ…」
「………そうですか、貴方のような一般の人狼にしたら私達のような関係は気持ちの悪いのですね…まぁ、いいです。」
バスターさんが一瞬、傷ついたような顔をする。気持ちの悪い…確かに人狼は他種族との恋愛関係を禁忌としてきたから、そういう感覚を持っている人もいる。でもそれは純血主義を信じている年配者か、規律がきつい保守的な組の組員のような考え方で…あれ?でもキティさんは確か…
「キティさん、貴方は俺と同じダーク様の組なんですよね?気持ちの悪いって…その考え方はダーク様の組としては…」
「とっ、とにかく所長にはがっかりいたしました。部下に手を出して、贔屓するなんて所長には相応しくない行動です!コンプライアンス違反で会社に訴えてやる!
シバさんもこんなおっさんにいいように手籠めにされていて、可哀想に!わかったわ、可愛い私を選びたくても選べなかったのね?
そうよ、こんなおっさんの番なんかよりずっと私の方がシバさんに相応しいわ!
大丈夫よ、すぐにキティがなんとかしてあげるから!!」
俺の疑問の言葉を掻き消すように、キティさんがヒステリックに頓珍漢なことを叫んでいる。この人は情緒不安定とかなのだろうか?
先程まで俺の懲罰を求めた口で、今度は俺を助けるという…
もう呆れて口も開けずに怪訝にキティさんを眺めていると、耳元で大きなため息をが聞こえて…冒険者時代の誰もが怯えた覇気が漏れで出すのを感じる。これは…不味いかも…
キティさんの顔がみるみると強張っていく、もう俺も恐ろしくてバスターさんの方を見れない!
「キティさん、もう貴方の好きになさったらいい…コンプライアンス委員会に申し出るなら出ればいいさ、でも…私だって役員ですよ、端くれですけどね?
貴方をもっと僻地の僻地に飛ばすことだってできるんですよ。オークの飼育施設なんかどうかな?あそこはいつも人手不足だから、歓迎してくれますよ…こんな可愛らしい女性なら尚の事…」
バスターさんが威圧する声は地を這うように低く、ビリビリと感じる、圧は向けられていない俺ですら恐ろしい
俺に唯一できることは、机に突いた状態のバスターさんの手に俺の手を重ねていて、少しでもバスターさんの気持ちを落ち着かせたくて…でもその手は小さく震えていて
「あぁ、それとも番を賭けて決闘でもしますか?人狼の風習はよくわからないが…もしもシバを本気で奪いに来るというなら、私は喜んで受けて立ちますよ?可愛らしい女性だろうと、容赦なんていたしませんよ!」
「ひいぃぃ…あっあっ…ごめっ、ごめんなさいぃぃ…」
バスターさんの一喝にキティさんは先程の威勢はなくなり、号泣をしながらガタガタと震えて床にへたり込んでいった。
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