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第二幕 回避の為=世界の為
vs05 新たな仲間
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それからマリミエドとギルベルトは、ユークレースと別れて帰る。
もうすぐ日が暮れる。
馬車の中ではエレナに聞かせられないので、帰ってから話すと決めた。
そして、その為にアメリアにも回帰した事を告げてみる事にしたのだ。
「では、私からアメリアに馬車の中で話します。お嬢様は馬車で少しお休み下さいませ」
「お願いねエレナ。ああ、でも信じられなかったらいいのよ。誰だってこんな話は荒唐無稽だもの」
「分かりました」
そう言い、マリミエドは馬車に乗る。
馬車に乗ってすぐに、マリミエドは眠くなってしまう。
「ごめんなさい、お兄様…わたくし…」
「寝なさい。着いたら起こすから」
ギルベルトが優しく言うと、マリミエドは微笑んで頷き、横になって眠りについた。
「……未来から戻ってきた…?」
エレナから話を聞いたアメリアが目を丸くして聞く。
「ええ。…まあ、信じられないのは分かるけど…」
「……マリアも、そんな事を言ってました。〝私もう3回目なのよ〟って…何だか分からなかったけれど、未来から過去に戻るのが3回目って事ですよね?」
「ええ、そう仰っていたわ」
「私、信じますよ。だってあんなにお優しいマリミエドお嬢様が、嘘を吐くなんて有り得ませんから! 私の忠誠だって、エレナさんに負けないんですから!」
「あら言うわね!」
そう言って二人は笑い合う。
そして明るくエレナが言う。
「でも安心したわ…アメリアが信じなかったら、仲間外れにして暗殺しちゃおうかな~なんて思ってたから」
「え?」
「ヤダ冗談よ」
「何ですかも~」
そう言い笑い合う。
…思わず本音が出てしまったな、とエレナは思う。
屋敷に着くと、ギルベルトがマリミエドを抱きかかえて降りてきた。
するとエレナとアメリアは荷物を運んで先に部屋で支度をする。
マリミエドの部屋のソファーに寝かせると、ちょうど目を覚ました。
「おや…目覚めのキスの前に眠り姫が目を覚ましてしまったな」
ギルベルトがマリミエドの頭を撫でながら言う。
マリミエドはまだ寝ぼけながらも微笑んで言う。
「ふふ…じゃあお兄様は誰の王子様なのかしら」
その言葉に胸を撃たれたギルベルトは、抱き締めたい衝動をこらえた。
〈…まだ具合が悪いから抱き潰しては駄目だ…!〉
そう自制して、ギルベルトはマリミエドの手の甲にキスをする。
「早く着替えなさい。晩餐が始まってしまうからね」
「はい」
答えてマリミエドが起き上がると、ギルベルトは部屋を出る。
「…随分、大人しく帰りましたね…」
エレナが不審がりながらもマリミエドの足元にお湯の入ったタライを置いて、マリミエドの靴を脱がせて足を洗う。
「…宝物殿で、わたくしの体が透けて見えたと仰っていたわ。とても心配されてたの」
「…透けていたのですか?」
「自分では分からないのだけれど…アーダルベルト令息も心配されていたから、そうなのだと思うわ」
言いながら着替える。
「おかしいですね…宝物殿は一切の魔法が使えませんし…何かが作用したのでしょうか?」
着替えを手伝いながらエレナが言う。
「ええ…後でまた話しましょう」
そう告げて、マリミエドは晩餐に向かう。
「明日は学年ごとのテストだな。心配は要らぬだろうが…」
父がチラリとマリミエドを見てからギルベルトを見て、何やら思案する。
「…父上?」
ギルベルトが首を傾げて聞くと、父は苦笑して言う。
「どちらが一位でも責めはしないから案ずるな」
「えっ! 父上は俺がリュミに負けるとお思いですか?!」
「ーーーさぁな」
そう言い父は笑う。
笑顔の父を見るのは久し振りな気がする…。
マリミエドは嬉しく思いながら、静かに食事をした。
ギルベルトとマリミエドは応接室の一つを使って食後のお茶を飲む。
人払いをしてエレナとアメリアだけが残った。
「ここに居るという事は、アメリアも信じたんだな」
ギルベルトが聞くと、アメリアは力強く頷く。
「はい! マリミエドお嬢様の仰る事なら何だって信じます!」
「そう…ありがとう」
マリミエドがにっこり笑って言い、三人を見回してから宝物殿での事を喋った。
ガラスケースと自動でめくれた本、目の前に現れた世界樹と、世界樹の約束の話ーーー。
もうすぐ日が暮れる。
馬車の中ではエレナに聞かせられないので、帰ってから話すと決めた。
そして、その為にアメリアにも回帰した事を告げてみる事にしたのだ。
「では、私からアメリアに馬車の中で話します。お嬢様は馬車で少しお休み下さいませ」
「お願いねエレナ。ああ、でも信じられなかったらいいのよ。誰だってこんな話は荒唐無稽だもの」
「分かりました」
そう言い、マリミエドは馬車に乗る。
馬車に乗ってすぐに、マリミエドは眠くなってしまう。
「ごめんなさい、お兄様…わたくし…」
「寝なさい。着いたら起こすから」
ギルベルトが優しく言うと、マリミエドは微笑んで頷き、横になって眠りについた。
「……未来から戻ってきた…?」
エレナから話を聞いたアメリアが目を丸くして聞く。
「ええ。…まあ、信じられないのは分かるけど…」
「……マリアも、そんな事を言ってました。〝私もう3回目なのよ〟って…何だか分からなかったけれど、未来から過去に戻るのが3回目って事ですよね?」
「ええ、そう仰っていたわ」
「私、信じますよ。だってあんなにお優しいマリミエドお嬢様が、嘘を吐くなんて有り得ませんから! 私の忠誠だって、エレナさんに負けないんですから!」
「あら言うわね!」
そう言って二人は笑い合う。
そして明るくエレナが言う。
「でも安心したわ…アメリアが信じなかったら、仲間外れにして暗殺しちゃおうかな~なんて思ってたから」
「え?」
「ヤダ冗談よ」
「何ですかも~」
そう言い笑い合う。
…思わず本音が出てしまったな、とエレナは思う。
屋敷に着くと、ギルベルトがマリミエドを抱きかかえて降りてきた。
するとエレナとアメリアは荷物を運んで先に部屋で支度をする。
マリミエドの部屋のソファーに寝かせると、ちょうど目を覚ました。
「おや…目覚めのキスの前に眠り姫が目を覚ましてしまったな」
ギルベルトがマリミエドの頭を撫でながら言う。
マリミエドはまだ寝ぼけながらも微笑んで言う。
「ふふ…じゃあお兄様は誰の王子様なのかしら」
その言葉に胸を撃たれたギルベルトは、抱き締めたい衝動をこらえた。
〈…まだ具合が悪いから抱き潰しては駄目だ…!〉
そう自制して、ギルベルトはマリミエドの手の甲にキスをする。
「早く着替えなさい。晩餐が始まってしまうからね」
「はい」
答えてマリミエドが起き上がると、ギルベルトは部屋を出る。
「…随分、大人しく帰りましたね…」
エレナが不審がりながらもマリミエドの足元にお湯の入ったタライを置いて、マリミエドの靴を脱がせて足を洗う。
「…宝物殿で、わたくしの体が透けて見えたと仰っていたわ。とても心配されてたの」
「…透けていたのですか?」
「自分では分からないのだけれど…アーダルベルト令息も心配されていたから、そうなのだと思うわ」
言いながら着替える。
「おかしいですね…宝物殿は一切の魔法が使えませんし…何かが作用したのでしょうか?」
着替えを手伝いながらエレナが言う。
「ええ…後でまた話しましょう」
そう告げて、マリミエドは晩餐に向かう。
「明日は学年ごとのテストだな。心配は要らぬだろうが…」
父がチラリとマリミエドを見てからギルベルトを見て、何やら思案する。
「…父上?」
ギルベルトが首を傾げて聞くと、父は苦笑して言う。
「どちらが一位でも責めはしないから案ずるな」
「えっ! 父上は俺がリュミに負けるとお思いですか?!」
「ーーーさぁな」
そう言い父は笑う。
笑顔の父を見るのは久し振りな気がする…。
マリミエドは嬉しく思いながら、静かに食事をした。
ギルベルトとマリミエドは応接室の一つを使って食後のお茶を飲む。
人払いをしてエレナとアメリアだけが残った。
「ここに居るという事は、アメリアも信じたんだな」
ギルベルトが聞くと、アメリアは力強く頷く。
「はい! マリミエドお嬢様の仰る事なら何だって信じます!」
「そう…ありがとう」
マリミエドがにっこり笑って言い、三人を見回してから宝物殿での事を喋った。
ガラスケースと自動でめくれた本、目の前に現れた世界樹と、世界樹の約束の話ーーー。
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