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第三幕 想定外
vs20 配信終了
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マリミエドの夢の中。
「マリアの事だがね」
いつもの美しい世界の中で、世界樹の精霊が言う。
「どうせ〝因果律〟になるだろうけど………念の為。もしも改心してこの世界で生きたいと言ったら…世話をしてくれるかい?」
「ええ、いいですわよ」
「うん…君ならそう言うと思った。…まあ、帰るのが一番だがね……」
「ご自分の世界に帰ったら、ご家族も待っていらっしゃるのかしら?」
「…待っているよ。マリアは元の世界で意識不明のまま入院しているからね。帰れば意識が戻るし、帰らなければ…あちらでは死ぬ事になる。この世界のイレギュラーだからね」
「それは、マリアさんに話した方がいいですか?」
「話せるかな……うん、やってみてくれ。何しろ初めての試みだから、つい破壊か封印かと焦ってしまってね……。私自身、早くイレギュラーから解き放たれたいんだよ」
「そう、ですか…」
少し理解が出来ずに悩むと、世界樹の精霊に頭を撫でられる。
「少し難しかったね。…あ、それからマリアに話が通じるようなら伝えてくれないか? 〝君のいた世界ではもう〝溺姫〟は配信終了してる〟って」
「はいしん終了…ですか?」
「ゲームが終わったって意味なんだ。だから回帰も終わる事が出来るんだけどね」
「…?」
「いいんだよ、そのまま伝えておくれ。マリアには分かるから」
「はい」
そう答えると、景色がサアーッと消えていく。
翌日。
狩猟大会まで後3日。
マリミエドは学院を休んで、聖魔塔に向かう。
今日はギルベルトが仕事で手が離せないので、連絡蝶でユークレースに護衛を頼んだ。
聖魔塔に着くとすぐに出迎えていたユークレースが側に来てエスコートをする。
「まだ落ち着いていないようだが…会うのか?」
「ええ…世界樹の精霊に、伝言を頼まれましたの」
「…人使いが荒いな。まあいい、では行こうか」
そう言いユークレースはエスコートして歩いた。
隔離塔。
中ではマリアが椅子に座って指をくわえてブツブツ言っている。
マリミエドはノックをして声を掛けた。
「マリアさん、大丈夫?」
「! この女狐! 来ないで! あっち行ってよ! 私から全員奪っておいて!」
「あの……あのね、聞いて欲しい事があるの」
「聞きたく無い‼」
「聞いて。…貴女のいた世界ではもう〝溺姫〟は、はいしん終了しているって世界樹の精霊が言っていたの」
「溺姫が配信終了⁈ は? 何言ってんの⁉」
急にマリアが我に返って言う。
「溺姫に幾ら注ぎ込んだと思ってんの⁈ 一千万は課金してんだから‼ 借金までして払ったのに終了ってどういう事⁈」
「あの……」
「答えなさいよ‼」
マリアはダンッ!と扉を叩く。
外に居たマリミエドはビクッとして肩を縮めた。
「…もう行こう、どうにも出来ない」
ユークレースがそう促してマリミエドをエスコートして下がった。
「ちょっと! 聞いてんの⁉」
マリアはダンダンと扉を叩く。
外がしんとしているので、眉をしかめて椅子に行った。
「配信終了…? あんなに人気あったのに…嘘でしょ…?」
また椅子に座ってブツブツと言い出した。
「マリアの事だがね」
いつもの美しい世界の中で、世界樹の精霊が言う。
「どうせ〝因果律〟になるだろうけど………念の為。もしも改心してこの世界で生きたいと言ったら…世話をしてくれるかい?」
「ええ、いいですわよ」
「うん…君ならそう言うと思った。…まあ、帰るのが一番だがね……」
「ご自分の世界に帰ったら、ご家族も待っていらっしゃるのかしら?」
「…待っているよ。マリアは元の世界で意識不明のまま入院しているからね。帰れば意識が戻るし、帰らなければ…あちらでは死ぬ事になる。この世界のイレギュラーだからね」
「それは、マリアさんに話した方がいいですか?」
「話せるかな……うん、やってみてくれ。何しろ初めての試みだから、つい破壊か封印かと焦ってしまってね……。私自身、早くイレギュラーから解き放たれたいんだよ」
「そう、ですか…」
少し理解が出来ずに悩むと、世界樹の精霊に頭を撫でられる。
「少し難しかったね。…あ、それからマリアに話が通じるようなら伝えてくれないか? 〝君のいた世界ではもう〝溺姫〟は配信終了してる〟って」
「はいしん終了…ですか?」
「ゲームが終わったって意味なんだ。だから回帰も終わる事が出来るんだけどね」
「…?」
「いいんだよ、そのまま伝えておくれ。マリアには分かるから」
「はい」
そう答えると、景色がサアーッと消えていく。
翌日。
狩猟大会まで後3日。
マリミエドは学院を休んで、聖魔塔に向かう。
今日はギルベルトが仕事で手が離せないので、連絡蝶でユークレースに護衛を頼んだ。
聖魔塔に着くとすぐに出迎えていたユークレースが側に来てエスコートをする。
「まだ落ち着いていないようだが…会うのか?」
「ええ…世界樹の精霊に、伝言を頼まれましたの」
「…人使いが荒いな。まあいい、では行こうか」
そう言いユークレースはエスコートして歩いた。
隔離塔。
中ではマリアが椅子に座って指をくわえてブツブツ言っている。
マリミエドはノックをして声を掛けた。
「マリアさん、大丈夫?」
「! この女狐! 来ないで! あっち行ってよ! 私から全員奪っておいて!」
「あの……あのね、聞いて欲しい事があるの」
「聞きたく無い‼」
「聞いて。…貴女のいた世界ではもう〝溺姫〟は、はいしん終了しているって世界樹の精霊が言っていたの」
「溺姫が配信終了⁈ は? 何言ってんの⁉」
急にマリアが我に返って言う。
「溺姫に幾ら注ぎ込んだと思ってんの⁈ 一千万は課金してんだから‼ 借金までして払ったのに終了ってどういう事⁈」
「あの……」
「答えなさいよ‼」
マリアはダンッ!と扉を叩く。
外に居たマリミエドはビクッとして肩を縮めた。
「…もう行こう、どうにも出来ない」
ユークレースがそう促してマリミエドをエスコートして下がった。
「ちょっと! 聞いてんの⁉」
マリアはダンダンと扉を叩く。
外がしんとしているので、眉をしかめて椅子に行った。
「配信終了…? あんなに人気あったのに…嘘でしょ…?」
また椅子に座ってブツブツと言い出した。
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