無視された公爵夫人

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ルーファスの目覚め

領内の人々

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「領主様~ぁ!マドレーヌ公爵夫人様は?」

幼い子どもにいきなり尋ねられる。


午後は公爵領の領民と触れ合いの時間だ。

マドレーヌの旦那さんと認識されている私は、すぐに周りに溶け込むことが出来た。

普段マドレーヌがどんな会話をしていたか?
どんどん話してくれる。


「マドレーヌがこちらに来れるように、手伝ってくれるかい?」

そう子どもに尋ねると…

「あー!離婚したんだね!マドレーヌ様って呼べるねー?やったー!これでもっといっぱい遊んでもらえる!」
「マドレーヌ様!やったね!」
「次は僕と結婚してもらうんだ~!」
「ずる~い!私も!」

次々に出てきた子供たちが…私たちの離婚を喜ぶように騒ぎ出した。

「公爵様。身から出たサビだと思って、子どもたちを許してくだされ」

子どもたちをほのぼの見つめる老人たち。

「ワシらは先帝の時代から、王室にお世話になって来ました。しかし、マドレーヌ様の功績は…その全てを凌駕します」

老人たちは目を細めて笑う。

「マドレーヌ様は私どもに近い存在として、色んなことを助けてくれました。こうして、わしらが生きてるのも…孫たちが元気に育ったのも…皆が明るく笑えるのも…全てマドレーヌ様のおかげ…」

「ワシには子が6人います。先帝のおかげでこの土地で細々暮らして来ました」

「ワシの子は8人じゃ。誰一人として死なずに生きてこれたのは、王室にのおかげじゃて」

「しかしなぁ…普通なら、ワシらは労働もままらなず、孫の顔など見れるかわからないのじゃよ…それがこの国現実」

「しかしなぁ、介護補償とかいってマドレーヌ様がワシらを保護して下さった」

「孫に小遣いが渡せます」

「内職して稼いでます」

「わかもんにゃまだまだ負けん」




「マドレーヌ様の何がいけないのですかの?この領土の宝であるマドレーヌ様。何がいけんと?離婚なんて…女の方にしかダメージが来ないようなこと…」



私の我儘の所為だとは言えない。

私が劣等感を感じてとは言えない。

私が他の人を好きになってとも言えない。


マドレーヌには非はない。

皆知っている。

マドレーヌが皆の宝だと分かっている。




「離婚は女にしかダメージが来ないのか?」


「領主様?離婚された女は、どんなに非がなくても、世間から指を刺されて、裏から愚痴言われる対象になる。ほぼ、次の結婚は出来ん。例え、白い結婚でも…」

「知らんかったじゃ済まされん。ちゃんと次の結婚先を見つけて離婚せにゃ~」

「仕事先でもよかねー?あー!結婚先も仕事先も紹介しなくても、マドレーヌ様なら既に見つけてそうだぎゃ」

「ちげーねー!」

「「「ガハハハ」」」

笑えない。







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