無視された公爵夫人

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マドレーヌの狂気

時間を稼ぐルーファス

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怒りを抑える為なのか?

ルーファスはわたくしにキスをする。

情熱的なのに…何も感じませんわ?

ドン!

拒絶するように、押す。




ガチャン。

ルーファスが檻に入って扉を閉めた。

へぇ…

無意味だと思うけれど?


「何を始めるつもり?」

「時間を稼ぐ…」

ガチャン
ガチャ

装備していた武装を外すルーファス

「で?どうやって?」

怯えてる?
愛してるって言っていたわよね?

パサッ
シュル
バサっ


服を脱ぎ捨てるルーファス。

「良い身体だろう…コレを育てたのはマドレーヌだ…違うか?」

「捨身ね?」


パーン!


わたくしがルーファスの頬を叩く音が聞こえる。


「最低…」

「何しても構わない…気が済むまで」


ドン!ドン!

ルーファスの胸元を拳で叩く。


「手が痛いじゃない…最低」


「魔法を使えばいい…マドレーヌの手が…傷んだら…みんなが心配する」


「心配?誰が?」


微笑む頬に…涙が?

なぜかしら?

悔しくてたまらない。


「済まない…」

何で優しく抱きしめるの?

「ルーファスなんて…嫌い」

わたくしが何をしたのか?

「済まない」

「何が悪いのか…わからない癖に…謝らないでよ」


「…教えてほしい。色々、教えてくれたように…」

「はっ?…最低」

「座って話をしよう」

「裸で?…バカなの」

この部屋に椅子なんてない

あるのはベッドだけなんですけど?



「恥ずかしがっているのか?」


「最低」



「ベッドに座るだけだ」



「怒りが…治らないわ」


「どうすればいいのかわからない。どうして欲しい」


「知らない」
 

ーーーーーーーーーー

ルーファス視点


拗ねているのか?

まさか…泣かれるとは思ってなかった。


実は…散々無視されて来た、辺境伯からの手紙を読んだのは…最近の話だった。

それで…シフォンがマドレーヌに対して…悪い男だと知った。

マドレーヌを今まで守っていたのは…バールだ。
バールは凄い男だが、身分が足りない。

「悔しいことに…マドレーヌ様を助けるのはあなたです」

そう、報告されたと同時に…王様に呼び出された。



他国の王の誘拐事件。


犯人はシフォン。


誘拐理由はマドレーヌの離婚の為。


「どれだけ…嫌われているんだ?」

義兄に認めてもらえない…

そんな単純な話ではなかったのに、私は深くは考えてなかった。



だから、パーティーでシフォンが仕組んだ断罪劇を演じることも苦ではないと思った。



マドレーヌの悲しそうな顔を見るまでは…。





「あー!スッキリしたわ!余裕があるように生きるあの女に何も伝えずこのお芝居見せれて…満足だわ。初めての社交デビュー…人生の汚点ヨネ?」
意地悪なセリフを言ったのは、王妃だった。

「大丈夫。マドレーヌはとことんルーファスに甘い。今回も許してもらえるさ」
王は楽しそうだった。


流石にマドレーヌの為とはいえ…取り返しのつかないことをしたのではないか?



「他人の話しはスンナリと聞くのね?ルーファス」

それは…俺のセリフだ。
そう言って怒るはずだった。
しかし、声が…台詞が…出ない。

俺はマドレーヌに何をした?

急に自覚した。

これはマドレーヌの為にしたことではなかったか?

でも、マドレーヌに秘密にする内容か?

感謝されるためにやっていた。

マドレーヌを裏切っている行為ではないか?




急に肝が冷えた。


一晩中…マドレーヌの怒りを抑える為にどうすればいいか考えた。
マドレーヌの強さは知ってる。

おそらく、止められるのは…ツキナの神秘の力だけだ。

ツキナが女帝と行方不明なのは知っている。

マドレーヌを止める役は…夫の私だけだった。




怒られる。

そう思って…

檻に入った。

許してもらうには…どうすればいいかと安易にまだ考えていた。




「最低」

そう言って泣いているマドレーヌ。


…泣かれるとは思ってなかった。




いつもとは絶対違う。

許してもらえないかもしれない。



パーティー前までは…上手くやっていたではないか?

…本当に?

…ずっと合わせてもらっていた。


「私は不誠実だった。いつも周りに流されて、結果…傷つくのはマドレーヌだった。それを自覚していなかった。…今回も、マドレーヌの為だと思うことで、マドレーヌを裏切る行為だとは、思ってなかった。…最低だなぁ」

「愛してるなんて…言えないはずでしょう?ルーファスは最低だもの…許してなんてあげない。恨むことはあっても…もう、側にいたくないわ」


この後、私は1週間、嫌がるマドレーヌとこの檻で過ごして…色々な手で謝り続けた。


「ルーファスなんて嫌い」

そう言って拗ねるマドレーヌは、とても可愛くて…
一週間はすぐに終わりを見せた。




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