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36.13の魔王
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カテリーナにモンスター街の様子を確認してもらうと、街の中は大混乱に陥っていた。
どうやら倒れたのは、僕を1話で面接してくれたメガネの魔王らしく、彼はモンスター街だけでなく、冒険者街にも影響力を持つ人物だった。
更に不味いことに、彼はその日の夜に亡くなると、ダンジョンの9魔将も真っ二つの勢力に分かれてしまい、戦争がはじまってしまっているようだ。
「どうやら、長男と三男が跡目争いを始めたようです」
カテリーナが言うと、フリーダも険しい表情をした。
「彼の支配力は絶大でしたからね……まさか、こんなに若く亡くなってしまうとは……」
僕も唸りながら頷く。
「これは……どちらが勝ったとしても、先代魔王のような力を持つには……数十年単位でかかるだろう」
「そうですね」
更にこの戦いは拡大し、長男の同盟相手である魔王と、三男の同盟相手である魔王まで衝突し、新たに魔王が1人戦死する被害を出すことになった。
事態を深刻に捉えた魔王たちは緊急会議を開いたが、何とその会議に僕も呼ばれることになった。
何だろう。ユニコーンだから医者代わりに呼ばれているのだろうか。
「まあ、行ってくるよ」
「お気をつけて……」
僕はフリーダたちに見守られながらゲートを出ると、そこには案内人の魔族が立っていた。
彼らに連れられながら、僕はモンスター街へと行く。
とりあえず、今は街も落ち着きを取り戻しているが、僕はその異様さに声を失った。
面接に失敗したころには、裏路地にたくさんいたはずのゴブリンやコボルドが1人もいなくなっていたのである。戦乱と聞いて逃げ出したのだろうか。それとも魔王たちに雇われて戦場で待機しているのだろうか。
「こちらです」
僕は見上げると、そこは街でも会議などで使われる施設だった。
中に入ると、入り口から魔王たちの霊力や妖力が漂ってくる。この段階から勘のいい人間や精霊なら逃げ出したくなるだろう。
勇気を振り絞りながら歩いていくが、2階に上がると、より強い気を感じるようになり、3階に上がると僕の毛が逆立っていく。
まだ距離があるのに、この威圧感だ。逆に言えば……直々に面接を担当したメガネをかけた魔王が、どれくらい気を遣って妖力を抑えてくれたのか……今なら理解できる。
「では、どうぞ……」
そう言いながら案内人がドアを開くと、11人の魔王が勢ぞろいしていた。
如何にもな姿の人物。人間のような見た目の人物。元天使と思われる人物。ウェアウルフの人物。古の神なのではないかと思われる人物など、様々な姿をした魔王たちが僕を眺めていた。
議長と思われる、古の神のような姿の人物は言った。
「今日呼ばれた大方の理由に……察しはついているようだね」
僕は頷いた。
「単刀直入に言おう……チャンスコネクター、13の魔王の1人として、君を魔王に推薦する!」
その言葉を聞いた他の魔王も次々と頷く。
「私も賛成する!」
「吾も賛同する!」
僕は少し目を瞑ると、フリーダ、ジルー、カテリーナ、マティスなど多くの仲間たちの姿を思い浮かんできた。
彼らの力があったからこそ、僕は今……こうして呼ばれるほどのダンジョンマスターになっている。もし僕が13の魔王になれば……自分のダンジョンだけに構ってはいられなくなるだろう。
彼らには、今以上に迷惑をかけることになるかもしれない。
さて、この話……受けるべきか、受けるべきではないか……
君はどちらが良いと思う?
どうやら倒れたのは、僕を1話で面接してくれたメガネの魔王らしく、彼はモンスター街だけでなく、冒険者街にも影響力を持つ人物だった。
更に不味いことに、彼はその日の夜に亡くなると、ダンジョンの9魔将も真っ二つの勢力に分かれてしまい、戦争がはじまってしまっているようだ。
「どうやら、長男と三男が跡目争いを始めたようです」
カテリーナが言うと、フリーダも険しい表情をした。
「彼の支配力は絶大でしたからね……まさか、こんなに若く亡くなってしまうとは……」
僕も唸りながら頷く。
「これは……どちらが勝ったとしても、先代魔王のような力を持つには……数十年単位でかかるだろう」
「そうですね」
更にこの戦いは拡大し、長男の同盟相手である魔王と、三男の同盟相手である魔王まで衝突し、新たに魔王が1人戦死する被害を出すことになった。
事態を深刻に捉えた魔王たちは緊急会議を開いたが、何とその会議に僕も呼ばれることになった。
何だろう。ユニコーンだから医者代わりに呼ばれているのだろうか。
「まあ、行ってくるよ」
「お気をつけて……」
僕はフリーダたちに見守られながらゲートを出ると、そこには案内人の魔族が立っていた。
彼らに連れられながら、僕はモンスター街へと行く。
とりあえず、今は街も落ち着きを取り戻しているが、僕はその異様さに声を失った。
面接に失敗したころには、裏路地にたくさんいたはずのゴブリンやコボルドが1人もいなくなっていたのである。戦乱と聞いて逃げ出したのだろうか。それとも魔王たちに雇われて戦場で待機しているのだろうか。
「こちらです」
僕は見上げると、そこは街でも会議などで使われる施設だった。
中に入ると、入り口から魔王たちの霊力や妖力が漂ってくる。この段階から勘のいい人間や精霊なら逃げ出したくなるだろう。
勇気を振り絞りながら歩いていくが、2階に上がると、より強い気を感じるようになり、3階に上がると僕の毛が逆立っていく。
まだ距離があるのに、この威圧感だ。逆に言えば……直々に面接を担当したメガネをかけた魔王が、どれくらい気を遣って妖力を抑えてくれたのか……今なら理解できる。
「では、どうぞ……」
そう言いながら案内人がドアを開くと、11人の魔王が勢ぞろいしていた。
如何にもな姿の人物。人間のような見た目の人物。元天使と思われる人物。ウェアウルフの人物。古の神なのではないかと思われる人物など、様々な姿をした魔王たちが僕を眺めていた。
議長と思われる、古の神のような姿の人物は言った。
「今日呼ばれた大方の理由に……察しはついているようだね」
僕は頷いた。
「単刀直入に言おう……チャンスコネクター、13の魔王の1人として、君を魔王に推薦する!」
その言葉を聞いた他の魔王も次々と頷く。
「私も賛成する!」
「吾も賛同する!」
僕は少し目を瞑ると、フリーダ、ジルー、カテリーナ、マティスなど多くの仲間たちの姿を思い浮かんできた。
彼らの力があったからこそ、僕は今……こうして呼ばれるほどのダンジョンマスターになっている。もし僕が13の魔王になれば……自分のダンジョンだけに構ってはいられなくなるだろう。
彼らには、今以上に迷惑をかけることになるかもしれない。
さて、この話……受けるべきか、受けるべきではないか……
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魔王勢力への就職面接から始まるところは相当ぶっ飛んでいて笑いました(^^)
あと、たくさんイラストが挿入されているのは参考になりました。私もやろうと思いました。
コメントを下さり、ありがとうございます!
少し変わった設定の作品を作るのが好きなので、またアイディアを出しながら頑張ろうと思います。
イラストはAIに描いてもらっていますが、狙った絵が出るまでの根気勝負になると思います。どうしても出なければ、世界観の説明を書いたりしながら、ご自身の負担を減らすと良いかと。