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22.改変と大役
しおりを挟むその後、神官達は断罪され不正に関与した魔力持ちも処分された。中には裏で国王の側近や政治力のある貴族達を脅していた者もいたというのだから呆れるしかない。
暫くすると魔法省という組織は解体され、代わりに新しく魔法研究開発局が設けられた。
なんと、新設された魔法研究開発局にはジスランを始めとする元黒蛇の者達が多く要職に就いた。
彼等は元々優秀な魔力持ちで機密事項も厳守できる。ジスランは黒蛇の仲間を一人一人説得し、魔法省の悪行を暴くために協力させただけでなく、彼等の優秀な能力を国王に逐一報告していた。
彼等はジスランの意志に共感し国王側につくとその才能をいかんなく発揮したのだ。
「あなたって、凄いわジスラン。敵わないな」
自分がコツコツと情報を集めることしか出来なかった間に彼はこんな凄いことを成し遂げた。イルメラは眩しそうにジスランを見つめた。
要塞と呼ばれた魔法省の建物をぐるりと囲む厚く高い壁は破壊され取り払われた。
魔法研究開発局となった建物内部には許可証がないと入れないものの、建物の外は公園となり誰でも出入り出来る憩いの場となった。
魔法持ちと一般市民の壁を取り除く、魔力持ちが特別な存在だという今の風潮を早く消し去りたい。そんなジスランの強い思いで公園としての解放が実現した。
そう、ジスランは魔法研究開発局の新設と共に若き局長となったのだ。
そのシンボルとなったのが虹色の水が流れる噴水だ。
イルメラとジスランはベンチに座り美しい噴水を眺めていた。
「そんなことないさ。イルメラが何を調べているか探れば自動的に性交制度の不条理性を証明できる情報が同時に手に出来たからな。助かったよ」
「まったくもうっ! その言い方には腹は立つけど、結果お役に立てたなら良しとしますか」
学生時代に戻ったような気がして二人は思い出話に花を咲かせて笑い合った。
「少なからず、俺にはイルメラという唯一の友達がいて幸せだった。でも、俺達以外の殆どの生徒はそんな経験のないまま学生生活を送って大人になった。後世に生きる魔力持ちの子供達にはあんな青春を送って欲しくない。俺が幸せだった唯一の時間だ……」
イルメラは深く頷く。
「そうね。魔力持ちの子供達の為にもこれからもっと頑張らないと。魔法魔術学院の制度改変にも着手したし……そろそろセルジュに会いに行ってもいいんじゃない?」
「名前、なんで知って……」
そう言って次の瞬間ジスランは天を仰いだ。
性交制度について詳細なデータを集めていたイルメラならば魔力持ちの子供の情報を知っていて当然だ。
ジスランが自分の子供と対面することは今まで一度もなかった。国王からの密偵とバレれば子供に危害が及ぶかもしれない。それを危惧して一切の関わりを絶っていたそうだ。
「セルジュの母親は俺と関係を持った頃には薬漬けにされ精神が破綻していた。その後、薬物の過剰摂取で中毒になり死んでしまった。この性交制度の犠牲者だ……これからは母親の分もセルジュと一緒に居てやりたい」
彼から子供を心配する言葉を聞いたイルメラは、やはりジスランは昔の彼と変わっていないと安堵した。
「うん、それがいい! 親子は一緒にいないと」
「親子の大切な時間を作る為にも、イルメラにも頑張ってもらわなくちゃ困る。頼んだぞ、学院長!」
ポンと背中を叩かれたイルメラは苦笑いした。
最初はあまりにも大役過ぎると断ったのだが、俺も頑張るから力を貸して欲しいとジスランに頭を下げられた。
元々同じ意志を持つ二人だ。彼の真摯な姿勢に応えたいと覚悟を決めた。
「わかっているわ。もうこうなったらドンと来いよ!」
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