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第03話 なんで? 主任に好かれる理由がわかりません(中)
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「関係ないって! 会話の量とか接点の多さとか、そいうのは関係なくてさ。〝篠崎まほろ〟っていう女の子の存在ただそのものがさ、その主任さんはたまらなく好きなんだよ。それに、今は付き合ってデートもして、会話もたくさんしたんでしょう? それでまた、主任さんはまほろのことをより好きになって大事にしてくれてるんじゃないのかな」
「そんなこと……あり得ない」
「なんで?」
「なんで、って……だって……」
「あり得ないってまほろは言うけど、その証明はできないでしょ? じゃあ、あり得るかもしれないじゃない」
芽衣はオレンジジュースをストローで飲みきってから続けた。
「二人の今の関係が不安でもっと良くしたい、ってまほろが思うなら、そう話してみればいいんじゃないかな。きっとその主任さん、めっちゃ前のめりでまほろの希望を叶えてくれると思うよ?」
それはそうかもしれない、とまほろは思った。
告白の日の夜もそうだったが、聡介はとにかく積極的だ。ロケットエンジンでも使っているのかと思うほどに。ただし、進行方向は常に少し斜め上ではあるが。
デートの際も、歩いて足は痛くないか、疲れていないか、喉は乾いていないか、お手洗いは平気か、この場所は興味があるか、この食べ物は食べられるか、量は多くないか、寒くないか暑くないか――とにかく聡介は、まほろの調子を確認してくる。いっそしつこいくらいに。まほろの様子が気になるというのもあるだろうが、そこにはどうにかしてまほろの世話を焼きたい、まほろには何ひとつ不快感を抱かせたくない――彼のそんな気持ちがあるように思う。
「私……まだ好きって思えないのに……いいのかな」
聡介は会うたびに何度だって言ってくれる。「まほろ、好きですよ」と。けれども付き合い始めてから一カ月以上が経過しても、まほろはまだ聡介のことをはっきりと「好きだ」と思ったことはない。とても優しい人である、ということは身に染みて理解したつもりだが、しかし一人の異性として彼を特別に想っているかというと、そう断言できる自信はなかった。
「好きって返せないのに甘やかされてばかりで……私の態度って、とても不誠実じゃないかな」
「うーん……そうだねえ……」
暗い声で悩んで俯くまほろに、芽衣は両腕を組んで考える。
「もしもまほろが不誠実なんだとしたら、それは今じゃないよ。その主任さんのことは異性として好きじゃない、真面目に付き合う気はない、って明確に答えを出した……にもかかわらず主任さんの優しさを黙って受け取る時こそ、まほろは不誠実になる。でも、そんな答えは出ていないんでしょ? まだわからないんでしょ? もしかしたらその主任さんのことをしっかりと好きになるかもしれない……そう悩んでる時期なんでしょ?」
「それは……そう……かもしれない」
「なら、別に大丈夫だよ。思う存分に甘やかされて優しくされて、それでまほろも、主任さんのことをしっかりと好きになっちゃえばいいじゃない」
「そ、それって……いいの?」
「いいの、って? 何が?」
「だって、そんな……優しくされたから好きになるなんて……」
それはとても現金ではないだろうか。
「優しくしてくれなくなったら嫌いになる……みたいな……」
自分に優しくしてくれる――利益をもたらしてくれる相手だから、好きになる。それはとても打算的で狡猾で、決してきれいな恋愛感情とは言えないとまほろは思った。しかし、芽衣は不思議そうに首をかしげる。
「あたしは、あたしに優しくない人は基本的に嫌いだよ? 普通のことじゃない?」
「なっ……そ、それは……恋愛感情じゃないからでしょ?」
「恋愛感情でも友情でも、なんなら仕事相手でも同じだよ。あたしのことを雑に扱う人を、なんであたしが丁寧に扱わないといけないの? 優しくしてくれた人には優しくしてあげたいし、困っていたら助けたいと思うよ。優しくて穏やかな人とだけ一緒に働いていたいよ。優しくしてくれないなら嫌いになるなんて、当然の判断だと思うけど」
「でも……恋愛は……」
「恋愛でも一緒!」
「あーそこもかー」と芽衣はため息をついた。
「まほろ、お母さんに言われたのかお姉さんに言われたのか、それともどこかで刷り込まれてそう思っちゃったのか、それはわからないけどさ。いいんだよ、まほろに優しくしてくれた人を好きになって。だって、そうだからあの時、あの元カレのことを好きになったんでしょ。彼だけだったもんね、お姉さんより妹のまほろを選んでくれたの。でも、彼はまほろに優しくなくなった。それどころか、お姉さんとも実はよろしくしてた。だからその時点で嫌いになって別れてもよかったのに、『優しい時もまだあるから』なんて言ってずるずる付き合って……」
「あ、あの時はちょっと私も……おかしかったの」
「その自覚ができるようになっただけでも褒めておくかー。とにかく、まほろにめちゃくちゃ優しくて甘いから、って理由でその主任さんを好きになるのは別に悪いことじゃないよ。むしろ主任さん的にはガッツポーズして喜ぶところじゃない? だって、まほろに尽くしたらまほろが自分を好きになってくれたんだから。何度も落ち着きなく眼鏡の位置を直すくらいに喜ぶんじゃないの」
「え、伊達主任が眼鏡をかけてるって、なんで知ってるの?」
「いや、なんとなく? 合ってた?」
「合ってる……」
「じゃ、いいじゃない。見た目が好みじゃないとか、妙な生活習慣があって好きになれないとか、金遣いが荒くて借金があって嫌だとか、そういう判断に至ってもいいとは思うけどね。どんなに優しくても、ほかの面が無理だったら無理なものは無理だしね。そのへんはどうなの?」
「えっと……」
まほろは思い返してみる。
聡介の見た目は悪くはない。高校生の時はバレーボール部に所属しており、全国大会に出場したアタッカーだったということで、背は高いし運動神経はいい。今も週に何回かジム通いをしており、余計なぜい肉はつけないようにしているらしい。生活習慣も、外でデートをしているかぎり気になるところはない。会社ではダークスーツしか着ないという妙なこだわりを徹底しているが、しかし私服はいたって普通で、年相応のカジュアルな着こなしだった。妙な趣味を持っているわけでも、変な癖があるわけでもない。スイッチが入った時の情熱的すぎる考えと言動以外は、ごく普通だ。
「気になるところは特に……ないかな」
「じゃあ、まほろが主任さんを好きになるのも時間の問題だね。好きだって思えたら、ちゃんと伝えるんだよ?」
「好きに……なるかなあ」
「さあ……そこはまほろが、自分の心の声をよく聞かないとねえ」
芽衣は最後にそう濁したが、しかし確信していた。きっとまほろは彼のことをしっかりと好きになるだろうと。
(あんな家庭環境で育ったまほろには、むしろぴったりの人だと思う。まほろ、すっごくいい出会いだと思うから幸せになってよね!)
まほろを誘導してしまうかもしれないので明言はしなかったが、芽衣は心の中でそう祈った。
◆◇◆◇◆
――ヴーッ、ヴーッ。
名残惜しくも芽衣と別れて一人暮らしの狭いアパートに帰ってきた途端に、まほろのスマートフォンがバッグの中で振動した。まほろは靴を脱いで家の中に上がってからスマホを取り出したが、表示されていた名前を見て身体が硬直した。
――篠崎唯依佳。
それは実家にいる二歳上の姉だった。
通話に出るか否か、まほろはしばし悩んだ。出たくない、話なんかしたくない――自分の心がそう叫んでいることは痛いほどにわかっていたが、しかし指先は通話ボタンを押していた。出たくないという拒絶の気持ち以上に、「出なければならない」という強迫観念に近い義務感が圧倒的に勝っていたのだ。
「はい……」
『ちょっと、出るの遅いんだけど? マジうざい。グズ。相変わらずとろくさいのろまだね。金曜日だから夜遊び中? 飲み会でもしてんの?』
「友達とご飯……食べてただけ。いま、帰ったところ」
律儀に答える必要などないのに、まほろは一言言い返していた。しかし唯依佳はまほろの事情など心底どうでもよさげで、ろくに返事もせずに早口で用件を述べ立てる。
『あんたさー、毎月家に金を入れろって言ったじゃん? なんで入れてないわけ?』
「そ、それは……一人暮らしでそんな余裕……ないからって……」
『はあ? じゃあ一人暮らしやめてこっちに戻ればいいじゃん。そんなこともわからないなんて、あんたほんとに馬鹿だね? ウケるんだけど。アタマ大丈夫?』
「そこからじゃ……通勤が……たいへんだから……」
『そんなのあたしの知ったこっちゃないね。いいから金入れろって言ってんの。正社員様なんだから稼いでんでしょ。お母さんだって困ってるんだからね』
「…………」
『なに、だんまり? それ、抗議してるつもり? はぁ~、ほんと根暗でうざったいね。そんなんで、本当に会社でやっていけてんの? 朝から晩までコピー機の前にずっと立たされてんじゃないの? ぷふっ、お似合いっつーか、そうだったら超笑えるんですけど~』
スマホの向こう側で、唯依佳は下品な笑い声を上げる。オフィスの中でずっとコピー機の前に立っているまほろの姿を想像しているようだ。
「そのうち……行くから」
まほろは絞り出すような声で答えた。
『そのうちじゃなくて、金持ってすぐ来いっつてんの。馬鹿じゃないならそれくらいわかれよ。じゃあ』
――ツーッ、ツーッ。
唯依佳は最後にとても口悪く命じると、まほろの返事も聞かずに一方的に通話を切った。
「そんなこと……あり得ない」
「なんで?」
「なんで、って……だって……」
「あり得ないってまほろは言うけど、その証明はできないでしょ? じゃあ、あり得るかもしれないじゃない」
芽衣はオレンジジュースをストローで飲みきってから続けた。
「二人の今の関係が不安でもっと良くしたい、ってまほろが思うなら、そう話してみればいいんじゃないかな。きっとその主任さん、めっちゃ前のめりでまほろの希望を叶えてくれると思うよ?」
それはそうかもしれない、とまほろは思った。
告白の日の夜もそうだったが、聡介はとにかく積極的だ。ロケットエンジンでも使っているのかと思うほどに。ただし、進行方向は常に少し斜め上ではあるが。
デートの際も、歩いて足は痛くないか、疲れていないか、喉は乾いていないか、お手洗いは平気か、この場所は興味があるか、この食べ物は食べられるか、量は多くないか、寒くないか暑くないか――とにかく聡介は、まほろの調子を確認してくる。いっそしつこいくらいに。まほろの様子が気になるというのもあるだろうが、そこにはどうにかしてまほろの世話を焼きたい、まほろには何ひとつ不快感を抱かせたくない――彼のそんな気持ちがあるように思う。
「私……まだ好きって思えないのに……いいのかな」
聡介は会うたびに何度だって言ってくれる。「まほろ、好きですよ」と。けれども付き合い始めてから一カ月以上が経過しても、まほろはまだ聡介のことをはっきりと「好きだ」と思ったことはない。とても優しい人である、ということは身に染みて理解したつもりだが、しかし一人の異性として彼を特別に想っているかというと、そう断言できる自信はなかった。
「好きって返せないのに甘やかされてばかりで……私の態度って、とても不誠実じゃないかな」
「うーん……そうだねえ……」
暗い声で悩んで俯くまほろに、芽衣は両腕を組んで考える。
「もしもまほろが不誠実なんだとしたら、それは今じゃないよ。その主任さんのことは異性として好きじゃない、真面目に付き合う気はない、って明確に答えを出した……にもかかわらず主任さんの優しさを黙って受け取る時こそ、まほろは不誠実になる。でも、そんな答えは出ていないんでしょ? まだわからないんでしょ? もしかしたらその主任さんのことをしっかりと好きになるかもしれない……そう悩んでる時期なんでしょ?」
「それは……そう……かもしれない」
「なら、別に大丈夫だよ。思う存分に甘やかされて優しくされて、それでまほろも、主任さんのことをしっかりと好きになっちゃえばいいじゃない」
「そ、それって……いいの?」
「いいの、って? 何が?」
「だって、そんな……優しくされたから好きになるなんて……」
それはとても現金ではないだろうか。
「優しくしてくれなくなったら嫌いになる……みたいな……」
自分に優しくしてくれる――利益をもたらしてくれる相手だから、好きになる。それはとても打算的で狡猾で、決してきれいな恋愛感情とは言えないとまほろは思った。しかし、芽衣は不思議そうに首をかしげる。
「あたしは、あたしに優しくない人は基本的に嫌いだよ? 普通のことじゃない?」
「なっ……そ、それは……恋愛感情じゃないからでしょ?」
「恋愛感情でも友情でも、なんなら仕事相手でも同じだよ。あたしのことを雑に扱う人を、なんであたしが丁寧に扱わないといけないの? 優しくしてくれた人には優しくしてあげたいし、困っていたら助けたいと思うよ。優しくて穏やかな人とだけ一緒に働いていたいよ。優しくしてくれないなら嫌いになるなんて、当然の判断だと思うけど」
「でも……恋愛は……」
「恋愛でも一緒!」
「あーそこもかー」と芽衣はため息をついた。
「まほろ、お母さんに言われたのかお姉さんに言われたのか、それともどこかで刷り込まれてそう思っちゃったのか、それはわからないけどさ。いいんだよ、まほろに優しくしてくれた人を好きになって。だって、そうだからあの時、あの元カレのことを好きになったんでしょ。彼だけだったもんね、お姉さんより妹のまほろを選んでくれたの。でも、彼はまほろに優しくなくなった。それどころか、お姉さんとも実はよろしくしてた。だからその時点で嫌いになって別れてもよかったのに、『優しい時もまだあるから』なんて言ってずるずる付き合って……」
「あ、あの時はちょっと私も……おかしかったの」
「その自覚ができるようになっただけでも褒めておくかー。とにかく、まほろにめちゃくちゃ優しくて甘いから、って理由でその主任さんを好きになるのは別に悪いことじゃないよ。むしろ主任さん的にはガッツポーズして喜ぶところじゃない? だって、まほろに尽くしたらまほろが自分を好きになってくれたんだから。何度も落ち着きなく眼鏡の位置を直すくらいに喜ぶんじゃないの」
「え、伊達主任が眼鏡をかけてるって、なんで知ってるの?」
「いや、なんとなく? 合ってた?」
「合ってる……」
「じゃ、いいじゃない。見た目が好みじゃないとか、妙な生活習慣があって好きになれないとか、金遣いが荒くて借金があって嫌だとか、そういう判断に至ってもいいとは思うけどね。どんなに優しくても、ほかの面が無理だったら無理なものは無理だしね。そのへんはどうなの?」
「えっと……」
まほろは思い返してみる。
聡介の見た目は悪くはない。高校生の時はバレーボール部に所属しており、全国大会に出場したアタッカーだったということで、背は高いし運動神経はいい。今も週に何回かジム通いをしており、余計なぜい肉はつけないようにしているらしい。生活習慣も、外でデートをしているかぎり気になるところはない。会社ではダークスーツしか着ないという妙なこだわりを徹底しているが、しかし私服はいたって普通で、年相応のカジュアルな着こなしだった。妙な趣味を持っているわけでも、変な癖があるわけでもない。スイッチが入った時の情熱的すぎる考えと言動以外は、ごく普通だ。
「気になるところは特に……ないかな」
「じゃあ、まほろが主任さんを好きになるのも時間の問題だね。好きだって思えたら、ちゃんと伝えるんだよ?」
「好きに……なるかなあ」
「さあ……そこはまほろが、自分の心の声をよく聞かないとねえ」
芽衣は最後にそう濁したが、しかし確信していた。きっとまほろは彼のことをしっかりと好きになるだろうと。
(あんな家庭環境で育ったまほろには、むしろぴったりの人だと思う。まほろ、すっごくいい出会いだと思うから幸せになってよね!)
まほろを誘導してしまうかもしれないので明言はしなかったが、芽衣は心の中でそう祈った。
◆◇◆◇◆
――ヴーッ、ヴーッ。
名残惜しくも芽衣と別れて一人暮らしの狭いアパートに帰ってきた途端に、まほろのスマートフォンがバッグの中で振動した。まほろは靴を脱いで家の中に上がってからスマホを取り出したが、表示されていた名前を見て身体が硬直した。
――篠崎唯依佳。
それは実家にいる二歳上の姉だった。
通話に出るか否か、まほろはしばし悩んだ。出たくない、話なんかしたくない――自分の心がそう叫んでいることは痛いほどにわかっていたが、しかし指先は通話ボタンを押していた。出たくないという拒絶の気持ち以上に、「出なければならない」という強迫観念に近い義務感が圧倒的に勝っていたのだ。
「はい……」
『ちょっと、出るの遅いんだけど? マジうざい。グズ。相変わらずとろくさいのろまだね。金曜日だから夜遊び中? 飲み会でもしてんの?』
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律儀に答える必要などないのに、まほろは一言言い返していた。しかし唯依佳はまほろの事情など心底どうでもよさげで、ろくに返事もせずに早口で用件を述べ立てる。
『あんたさー、毎月家に金を入れろって言ったじゃん? なんで入れてないわけ?』
「そ、それは……一人暮らしでそんな余裕……ないからって……」
『はあ? じゃあ一人暮らしやめてこっちに戻ればいいじゃん。そんなこともわからないなんて、あんたほんとに馬鹿だね? ウケるんだけど。アタマ大丈夫?』
「そこからじゃ……通勤が……たいへんだから……」
『そんなのあたしの知ったこっちゃないね。いいから金入れろって言ってんの。正社員様なんだから稼いでんでしょ。お母さんだって困ってるんだからね』
「…………」
『なに、だんまり? それ、抗議してるつもり? はぁ~、ほんと根暗でうざったいね。そんなんで、本当に会社でやっていけてんの? 朝から晩までコピー機の前にずっと立たされてんじゃないの? ぷふっ、お似合いっつーか、そうだったら超笑えるんですけど~』
スマホの向こう側で、唯依佳は下品な笑い声を上げる。オフィスの中でずっとコピー機の前に立っているまほろの姿を想像しているようだ。
「そのうち……行くから」
まほろは絞り出すような声で答えた。
『そのうちじゃなくて、金持ってすぐ来いっつてんの。馬鹿じゃないならそれくらいわかれよ。じゃあ』
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