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第05話 聞いて! 主任を好きになっちゃいました(中)
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「君はただそこにいるだけで最高に愛らしい。俺はあらゆる形で君をかわいがりたい、愛したい、大事にしたい、尽くしたい、守りたい、世話を焼きたい……という気持ちがあふれにあふれて本当にたいへんです」
「そ……そうなんです、ね……?」
「どんな君でも俺は好きですから何かを要求するつもりは基本的にないのですが、ひとつだけ、君にしてほしいことがある。俺のこのあふれすぎる愛情を〝受け止める〟ことです」
「は……はあ……」
「〝受け入れる〟でもいいんですがね。君の心の器が壊れてしまうかもしれないので、ひとまず〝受け止める〟で構いません。ようは、君に俺を欲しがってほしいんです。そうすれば俺は、想いのままに君を愛せる。俺を欲しがる君に喜んで注ぎましょう、俺のすべてを」
(あ、いや……それは……ちょっと……困る……かも……?)
今ですら聡介の愛情表現の熱と濃さは、常人のレベルをはるかに超えていると思う。それが今後も継続されるということは、言葉では表現しがたい危機のようにまほろには思えた。
「それで、入籍はいつにしますか」
「は……はいっ!?」
「お付き合いした日にも言いましたよね。俺と付き合って結婚して死ぬまで一緒にいてくれませんか、と」
「そ……そう……でした……ね?」
「まほろが俺のことを好きになってくれたのなら、それはもう、結婚してもいいということでしょう? 違いますか」
(ち、違うと思うんだけど……それは絶対に言ってはいけない気がする)
ああ、聡介の暴走スイッチが入ってしまった。もうこうなってしまっては、彼をコントロールすることは誰にもできない。
「ありがちなのはどちらかの誕生日か、語呂合わせでいい夫婦の日になる十一月二十二日か……ああ、付き合い始めた日でもいいですね。でもそれだと、あと十一カ月近く待たなければいけませんね」
(そ、それでいいかも……もう少し待てるなら……っ)
迂闊なことが言えないまほろは、胸の中だけで返事をしておいた。まるで聡介の部下の前園のように。
「両家への挨拶と……あと引っ越しが必要ですね。二人で住むならどこにしましょうか。まほろの希望する条件の物件があるといいのですが」
「ちょっ、ちょっと……あの、待って……くださいっ」
まほろは聡介の二の腕を掴み、痛くない程度にぎゅむっと力を入れた。
「聡介さん、お願い……待って……まだ、あの……結婚までは……」
「では同棲にしておきますか? 同棲なら、まほろ側のご家族に問題がなければ両家への報告なしでできますし。ああ、俺の実家は気にしないでください。家業を継がない俺は本当に何をしても自由なので。入籍の際はさすがに君を実家に紹介させていただきますが」
「か、家業……? 聡介さんのご実家って……?」
「あれ、言っていませんでしたっけ。田舎で酒造屋を営んでいます」
「酒造屋……お酒屋さん?」
「そうです。父が八代目……とかですかね。後継ぎは弟の予定です」
「弟さんが……いらっしゃるんですね」
同じビルの同じフロアで働いているとはいえ、一カ月前まではほぼ接点のなかった相手。そして付き合い始めたとはいえまだ一カ月で、聡介について知らないことはまだまだ多い。それも、結構基本的なことを知らない。まほろはその現実に気付き、頭の中が冷静になってきた。
「あの……結婚も同棲も、まだ待ってください。お願いします……。そこまで一気に……心の準備ができないんです」
暴走スイッチが入ったとはいえ、真摯に頼めば聡介は聞いてくれるはずだ。まほろはそう信じて聡介を止めた。
「まだ、やっと……聡介さんのこと、好きだと思えたところなので……」
「それもそうですね。すみません、まほろに好きになってもらえたのが嬉しくて少々落ち着きを欠きました」
(しょ、少々……?)
いや、そこは突っ込んではいけない。聡介の一言一言にどうしても疑問を抱いて思考がストップしてしまうが、それではいつまで経っても聡介の手綱が握れない。
「えっと、その……ま、前向きに……検討はしてみるので……まだしばらくはこうして……普通のお付き合いをしたい……です」
まほろは自分で言いながら「普通……なのかな?」と疑問に思ってしまったが、その疑問は見えない手で振り払う。大丈夫だ、「変な付き合い方」はしていないはずだ。
「わかりました。まほろが望むのなら、そうしましょう」
(よかった……)
結婚、引っ越し、または同棲――一気に話が飛躍しそうだったが、どうにか聡介は落ち着いてくれた。
「では、しばらくはこうしておうちデートにしましょうか」
「えっ?」
「君が選ぶから毎回割り勘にしていましたが、社会人一年目で一人暮らしでは、週一だとしてもデートの費用がかなり財布に痛いですよね? 俺としては全額俺の奢りでもいいんですが、君は人に奢られるのが苦手そうですし」
「そ、それは……そう……ですね」
「それに、正式に両思いになったのなら進めないといけません」
「何を……ですか?」
「ん? 君の身体の開発です。俺とのセックスが気持ちよくて仕方ない、と思ってもらえるように、君の身体をじっくりと慣らしていかなければ」
(なっ……なっ……!)
なんてことを真顔で言うのだろうか、この人は。
しかし聡介はふざけているわけではなく、心の底から真面目にそのことについて考えている。まほろにそう思ってほしいと、本気で願っているのだ。
「両思いになりましたから、お泊まりもオッケーですよね。さすがに会社帰りは人目もありますし、土曜日にどちらかがどちらかの家に行って、可能なら泊まるという形でいかがでしょうか」
「い、いかがって……」
「ああ、まほろの都合が悪くなければ、毎回俺の家に来てもらってもいいですよ。なんなら、そのうち同棲する前提で広めの部屋に俺が引っ越しましょうか。それならまほろも来やすいでしょう?」
「い、いいえっ、あの……ちょっと……待って……えっと……」
手綱を握って言うことを聞かせられたとまほろが思えたのはほんの一瞬だった。やはり、聡介の暴走モードは一筋縄では止められそうにない。これ以上話が進む前に、どうにか自分に許容できる落としどころを提示しなければ。
「こ、交互で……っ! あの、でも、私のこのベッド……聡介さんには狭くないでしょうか」
「そうですね、狭いですね。君を抱いて身体を丸めればまあ、なんとかなるとは思いますが」
「だ、抱いて……っ?」
「別々になんか寝ませんよ? 君とくっついて寝るに決まってるじゃないですか」
「は……はい……」
普通のお付き合いって、そんな距離感でいいんだっけ。まほろは心底疑問に思った。しかしよく考えたら、まほろのまともな異性付き合いは大翔ただ一人。そしてその大翔との付き合いもおそらく「普通」とは言いがたいものだったし、様々な人がいるこの世の中で教本に載りそうな「普通の付き合い方」などないのだろう。あるのはただひとつ、「自分と相手なりの付き合い方」だけだ。
「給料日後ぐらいなら……お外でデートも……したいです」
まほろも、聡介を見習って遠慮なく希望を述べてみた。すると聡介は嬉しそうに口角を上げてにっこりと笑った。
「まほろが望むなら、喜んで。いろんな場所に二人で行きましょうね」
(ああ、この人は本当に……――)
――本当に私のことを好きで、大事にしてくれる。彼のその気持ちを信じられる間は、きっと自分も彼を好きでいるだろう。
まほろは昨夜の姉の嫌味の数々もすっかり忘れて、言葉にならない気持ちを押し付けるように聡介に抱きついた。そんなまほろに応えて、聡介はまほろの背中をゆっくりとなでる。それが嬉しくて恥ずかしくて、そして妙に感極まって、まほろはまた泣きそうになるのだった。
◆◇◆◇◆
数日後、まほろはメンターである小林明美との面談のため、事前に明美が予約しておいてくれた小会議室に向かった。
まほろたちの会社では、十年以上前からメンター制度を取り入れている。入社一年目の新入社員はメンティと呼ばれ、同じ事業部内の同性で、入社三年目から五年目くらいまでの年の近い先輩がメンターに任命される。メンターはメンティからの相談に乗るなどして、会社に馴染むためのサポートをするのだ。
まほろのメンターは小林明美で、所属は通信販売事業部オペレーション部の配送管理課である。年齢は三十一歳でややまほろとは離れているのだが、ほかにまほろのメンターになれる女性社員がいなかったので、明美がメンターに指名されたのだ。
「前回からちょっと時間が空いちゃったね。前回の面談は七月の頭だったもんね」
「はい」
向かい合って椅子に座りながら、明美は朗らかな声で切り出した。
「体調はどう? 季節の変わり目が近くなってるし、風邪とかひいてない?」
「あ、はい。それは大丈夫です」
「そっか、よかった。仕事も順調かな? 初めてやるイベント業務とかもあるでしょう」
「そうですね……ルーチン業務じゃないことが増えて……ちょっと……頭がパンクしそうです」
「あははっ、わかる~」
まほろが困ったような表情を浮かべると、明美は頷くようにして笑った。
「一年目はとにかく、全部が新しい仕事だもんね。一度で完璧になろうとしなくていいからね? 大事なのは業務区分がわかるようにしておいて、来年以降は自分で見分けがつくようになることかな。いわゆる定型業務と非定型業務。もしくは、毎月必ずやるルーチン業務と、やる時期が決まっているイベント業務。そうした区分の違いが把握できれば優先順位もつけやすくなるし、業務内容も理解しやすくなると思う。頭がパンクしそうな時ほど、知識の整理整頓を心掛けるといいと思うよ」
「はい……」
「具体的に困ってることとか……何かあるかな?」
明美は自分の手帳を開き、メモをとる構えでまほろに尋ねる。まほろは言うべきか言うまいか今日までずっと悩んできたのだが、意を決して明美に尋ねた。
「そ……そうなんです、ね……?」
「どんな君でも俺は好きですから何かを要求するつもりは基本的にないのですが、ひとつだけ、君にしてほしいことがある。俺のこのあふれすぎる愛情を〝受け止める〟ことです」
「は……はあ……」
「〝受け入れる〟でもいいんですがね。君の心の器が壊れてしまうかもしれないので、ひとまず〝受け止める〟で構いません。ようは、君に俺を欲しがってほしいんです。そうすれば俺は、想いのままに君を愛せる。俺を欲しがる君に喜んで注ぎましょう、俺のすべてを」
(あ、いや……それは……ちょっと……困る……かも……?)
今ですら聡介の愛情表現の熱と濃さは、常人のレベルをはるかに超えていると思う。それが今後も継続されるということは、言葉では表現しがたい危機のようにまほろには思えた。
「それで、入籍はいつにしますか」
「は……はいっ!?」
「お付き合いした日にも言いましたよね。俺と付き合って結婚して死ぬまで一緒にいてくれませんか、と」
「そ……そう……でした……ね?」
「まほろが俺のことを好きになってくれたのなら、それはもう、結婚してもいいということでしょう? 違いますか」
(ち、違うと思うんだけど……それは絶対に言ってはいけない気がする)
ああ、聡介の暴走スイッチが入ってしまった。もうこうなってしまっては、彼をコントロールすることは誰にもできない。
「ありがちなのはどちらかの誕生日か、語呂合わせでいい夫婦の日になる十一月二十二日か……ああ、付き合い始めた日でもいいですね。でもそれだと、あと十一カ月近く待たなければいけませんね」
(そ、それでいいかも……もう少し待てるなら……っ)
迂闊なことが言えないまほろは、胸の中だけで返事をしておいた。まるで聡介の部下の前園のように。
「両家への挨拶と……あと引っ越しが必要ですね。二人で住むならどこにしましょうか。まほろの希望する条件の物件があるといいのですが」
「ちょっ、ちょっと……あの、待って……くださいっ」
まほろは聡介の二の腕を掴み、痛くない程度にぎゅむっと力を入れた。
「聡介さん、お願い……待って……まだ、あの……結婚までは……」
「では同棲にしておきますか? 同棲なら、まほろ側のご家族に問題がなければ両家への報告なしでできますし。ああ、俺の実家は気にしないでください。家業を継がない俺は本当に何をしても自由なので。入籍の際はさすがに君を実家に紹介させていただきますが」
「か、家業……? 聡介さんのご実家って……?」
「あれ、言っていませんでしたっけ。田舎で酒造屋を営んでいます」
「酒造屋……お酒屋さん?」
「そうです。父が八代目……とかですかね。後継ぎは弟の予定です」
「弟さんが……いらっしゃるんですね」
同じビルの同じフロアで働いているとはいえ、一カ月前まではほぼ接点のなかった相手。そして付き合い始めたとはいえまだ一カ月で、聡介について知らないことはまだまだ多い。それも、結構基本的なことを知らない。まほろはその現実に気付き、頭の中が冷静になってきた。
「あの……結婚も同棲も、まだ待ってください。お願いします……。そこまで一気に……心の準備ができないんです」
暴走スイッチが入ったとはいえ、真摯に頼めば聡介は聞いてくれるはずだ。まほろはそう信じて聡介を止めた。
「まだ、やっと……聡介さんのこと、好きだと思えたところなので……」
「それもそうですね。すみません、まほろに好きになってもらえたのが嬉しくて少々落ち着きを欠きました」
(しょ、少々……?)
いや、そこは突っ込んではいけない。聡介の一言一言にどうしても疑問を抱いて思考がストップしてしまうが、それではいつまで経っても聡介の手綱が握れない。
「えっと、その……ま、前向きに……検討はしてみるので……まだしばらくはこうして……普通のお付き合いをしたい……です」
まほろは自分で言いながら「普通……なのかな?」と疑問に思ってしまったが、その疑問は見えない手で振り払う。大丈夫だ、「変な付き合い方」はしていないはずだ。
「わかりました。まほろが望むのなら、そうしましょう」
(よかった……)
結婚、引っ越し、または同棲――一気に話が飛躍しそうだったが、どうにか聡介は落ち着いてくれた。
「では、しばらくはこうしておうちデートにしましょうか」
「えっ?」
「君が選ぶから毎回割り勘にしていましたが、社会人一年目で一人暮らしでは、週一だとしてもデートの費用がかなり財布に痛いですよね? 俺としては全額俺の奢りでもいいんですが、君は人に奢られるのが苦手そうですし」
「そ、それは……そう……ですね」
「それに、正式に両思いになったのなら進めないといけません」
「何を……ですか?」
「ん? 君の身体の開発です。俺とのセックスが気持ちよくて仕方ない、と思ってもらえるように、君の身体をじっくりと慣らしていかなければ」
(なっ……なっ……!)
なんてことを真顔で言うのだろうか、この人は。
しかし聡介はふざけているわけではなく、心の底から真面目にそのことについて考えている。まほろにそう思ってほしいと、本気で願っているのだ。
「両思いになりましたから、お泊まりもオッケーですよね。さすがに会社帰りは人目もありますし、土曜日にどちらかがどちらかの家に行って、可能なら泊まるという形でいかがでしょうか」
「い、いかがって……」
「ああ、まほろの都合が悪くなければ、毎回俺の家に来てもらってもいいですよ。なんなら、そのうち同棲する前提で広めの部屋に俺が引っ越しましょうか。それならまほろも来やすいでしょう?」
「い、いいえっ、あの……ちょっと……待って……えっと……」
手綱を握って言うことを聞かせられたとまほろが思えたのはほんの一瞬だった。やはり、聡介の暴走モードは一筋縄では止められそうにない。これ以上話が進む前に、どうにか自分に許容できる落としどころを提示しなければ。
「こ、交互で……っ! あの、でも、私のこのベッド……聡介さんには狭くないでしょうか」
「そうですね、狭いですね。君を抱いて身体を丸めればまあ、なんとかなるとは思いますが」
「だ、抱いて……っ?」
「別々になんか寝ませんよ? 君とくっついて寝るに決まってるじゃないですか」
「は……はい……」
普通のお付き合いって、そんな距離感でいいんだっけ。まほろは心底疑問に思った。しかしよく考えたら、まほろのまともな異性付き合いは大翔ただ一人。そしてその大翔との付き合いもおそらく「普通」とは言いがたいものだったし、様々な人がいるこの世の中で教本に載りそうな「普通の付き合い方」などないのだろう。あるのはただひとつ、「自分と相手なりの付き合い方」だけだ。
「給料日後ぐらいなら……お外でデートも……したいです」
まほろも、聡介を見習って遠慮なく希望を述べてみた。すると聡介は嬉しそうに口角を上げてにっこりと笑った。
「まほろが望むなら、喜んで。いろんな場所に二人で行きましょうね」
(ああ、この人は本当に……――)
――本当に私のことを好きで、大事にしてくれる。彼のその気持ちを信じられる間は、きっと自分も彼を好きでいるだろう。
まほろは昨夜の姉の嫌味の数々もすっかり忘れて、言葉にならない気持ちを押し付けるように聡介に抱きついた。そんなまほろに応えて、聡介はまほろの背中をゆっくりとなでる。それが嬉しくて恥ずかしくて、そして妙に感極まって、まほろはまた泣きそうになるのだった。
◆◇◆◇◆
数日後、まほろはメンターである小林明美との面談のため、事前に明美が予約しておいてくれた小会議室に向かった。
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「前回からちょっと時間が空いちゃったね。前回の面談は七月の頭だったもんね」
「はい」
向かい合って椅子に座りながら、明美は朗らかな声で切り出した。
「体調はどう? 季節の変わり目が近くなってるし、風邪とかひいてない?」
「あ、はい。それは大丈夫です」
「そっか、よかった。仕事も順調かな? 初めてやるイベント業務とかもあるでしょう」
「そうですね……ルーチン業務じゃないことが増えて……ちょっと……頭がパンクしそうです」
「あははっ、わかる~」
まほろが困ったような表情を浮かべると、明美は頷くようにして笑った。
「一年目はとにかく、全部が新しい仕事だもんね。一度で完璧になろうとしなくていいからね? 大事なのは業務区分がわかるようにしておいて、来年以降は自分で見分けがつくようになることかな。いわゆる定型業務と非定型業務。もしくは、毎月必ずやるルーチン業務と、やる時期が決まっているイベント業務。そうした区分の違いが把握できれば優先順位もつけやすくなるし、業務内容も理解しやすくなると思う。頭がパンクしそうな時ほど、知識の整理整頓を心掛けるといいと思うよ」
「はい……」
「具体的に困ってることとか……何かあるかな?」
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