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第一章 新婦の誤解
第02話 初対面(中)
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次の日、朝食を終えたティルフィーユはジェラルドと共にスベーク城に向かった。
スベーク城は旧王家の居城であり、王政時代の政治の場だった。しかし共和制に移行した現在のエヴァエロン共和国は、王政の色が残るこの城を、これまでとは違う方法で活用している。
まず、西棟の一階は公営の図書館に作り替えられた。国民なら誰もが自由に出入りし、好きなだけ知識を得られる場所になったのだ。二階は共和議会の議場となり、議員全員が入れる大議場のほか、少人数で使うための小会議室がいくつかある。
次に北棟の一部と東棟だが、そちらは客室や大広間、応接室などが充実しており、客人をもてなすのに特化した造りになっているため、その特性を活用している。決して安くない金額だが、宿泊料を支払えば客室に泊まることができて、かつての王族気分を味わうことができる――という触れ込みで観光客を呼ぶための観光施設と化しているのだ。もちろん、スベーク城自体は国の持ち物で公的な場所なので、一般客が宿泊できる期間は限られているのだが。
そして最後に南棟だが、そちらは王政時代から引き続き、厳かな儀式を執り行う場所として使われている。
旧ジャノオン王国は特定の宗教を持たず、グントバハロンと同じようにこの世界を創ったという神、ウォンクゼアーザの存在をうっすらと信じる心があるだけ。国王と国王に連なる王族を国民に共通する心の道標として敬い、そうして一国の民としてまとまっている、という文化だった。
無宗教なのはエヴァエロン共和国になっても変わっていないが、しかし国の象徴であった王族は途絶えてしまった。新しい国になって以降ダミアレア族という「かつてからこの地に住んでいた民とは別の民」という国民も増えたために、エヴァエロン共和国は今ひとつ国民の統一性が薄い。共和議会議長のロイックはそう考えており、せめて何かできないかと思案した結果、「ウォンクゼアーザと対峙する場所」として、スベーク城の南棟を全面的に斎場としたのだ。旧ジャノオン王国時代も南棟は聖女招聘の際に使われることがあったが、普段は舞踏会場として使われるなど、用途は多岐にわたった。しかしいま、スベーク城の南棟は神と対峙する厳かな場所であった。
ティルフィーユとキアンの結婚式は、スベーク城のその斎場――南棟の「祈りの広間」で行われる。結婚式を主催するミリ族としては場所にこだわりはないそうで、ロイックの「神と対峙する神聖な場所で夫婦となる誓いを行うことで、祈りの広間に箔をつけたい」という希望を叶える形になったそうだ。
ティルフィーユは兄のジェラルドと共に、エヴァエロン共和国側で結婚式の準備を進めているというミリ族の年配の女性、ミネア・ミリ・チロッチとスベーク城の責任者に案内されて、祈りの広間を視察する。それから結婚式後の食事会――披露宴会場となる東棟の大広間も確認し、おおまかな式の流れの説明を受けた。
その後、ジェラルドは西棟でロイックと打ち合わせがあるとのことで、ティルフィーユは一人で馬車に乗り、ストーラーの屋敷に戻る。そして昼食をとったのち、ダミアレア族の詳しい話をしてくれるというテコ族の者を応接室で待った。
「ティルフィーユ様、先生がいらっしゃいました」
ホルガーがそう言って応接室に案内してきたのは六十過ぎ、いや七十歳近い老婆だった。白髪はくるくるとウェーブがかかっており、顔には多くのシミがある。
ティルフィーユはソファから立ち上がり、その老婆に挨拶をした。
「初めまして、ティルフィーユ・グントバハロンです」
「はいよ、わてはダヤナ・テコ・メンシク。この時間だけはダヤナ先生とお呼び。いいね?」
「は、はい……」
ダヤナの不思議な気迫に気圧されながら、ティルフィーユは静かにソファに腰を下ろす。ダヤナの背後には三十歳ほどの眼鏡の女性が寄り添っていたが、まるでダヤナの影であるかのように一言も声を発することはなかった。
「グントバハロンの宗家の姫様ね……ま、遠いところからご苦労様」
「え……あ、ありがとうございます」
ねぎらわれるとは思ってもいなかったティルフィーユは、恐縮しながら礼を述べた。
ダヤナはじっとティルフィーユを見つめながら、ホルガーが給仕したお茶に手を付けることもなくすらすらと話し始めた。
「今日の目的は、宗家の姫様にわてらダミアレア族のことを知ってもらうこと。その知識は、今後この国で生きにゃならないあーたの役に立つだろう。未来の自分のためと思って、よく聞きな」
「はい……よろしくお願いいたします」
「じゃ、まずはダミアレア族の成り立ちだよ」
ダヤナの話に、ティルフィーユは時折メモをとりながら聞き入った。
はるかはるか昔、ウォンクゼアーザがこの世界を創ったばかりの頃。人間は、このウィンラルボ大陸の北部にだけ住んでいた。今でこそ雪原と化したその場所は、当時はまだ雪に閉ざされておらず、それどころかあらゆる食物が豊かに実る、楽園のような場所だった。
ところがいつしか雪が降るようになり、その雪は年々深くなり、ついにあと少しですべての大地が雪に埋もれてしまうだろうという状況になった。そこで、その地に住んでいた人間たち――のちに元始十五氏族と呼ばれる者たちのほとんどが、雪のない大地を目指してその地を立ち去った。その元始十五氏族のひとつがダミアレア族だ。
ダミアレア族の特徴のひとつは、占術で一族全体の未来を決めること。そしてその占いの結果次第では流浪することもあるということだ。
ここしばらくの間、ダミアレア族はデシエトロン国に定住していた。「デシエトロンの皇帝に仕えよ」という占い結果がだいぶ前に出たからだ。しかし数年前、「デシエトロンを離れ、西に興る新しき国に移ってそこでしばらく根を張るべし」との結果が出た。だからダミアレア族は崩壊したデシエトロンを出て、新しく勃興したこのエヴァエロン共和国に来たのだ。
ダミアレア族は主に職業と血筋によっていくつかの細かいグループに分かれており、日々の生活はそのグループ単位で相互に支え合って営まれている。
たとえばミリ族は、武闘に秀でた一族だ。あらゆる時代で常に戦うことを一番の仕事とし、相手が人だろうが獣だろうが、磨いた武力で一族を守ってきた。戦いの技能と守護者の心構えがある者ならば、たとえ血筋が違っても族長になることはできるが、基本的に族長は男系が継いでいく特徴がある。デシエトロン退去前後はキアンの父が族長だったが、エヴァエロン共和国の成立と共に代変わりして、今はキアンが族長だ。
ほかにも細かく、様々な一族がいる。こうして若い世代にあらゆる教えを説き、知識を与え、思考力を養う手助けをするテコ族。主に家政を取り仕切るハフ族。様々な芸術、芸事の腕を磨き、その技を継承するアト族など。それぞれが得意分野を担当し、できないことはほかの一族に頼る。そうして相互扶助をしながら生きているのがダミアレア族だ。
「ちなみに、この黙ってる小娘もテコ族だ。こうして年寄りの仕事ぶりを黙って間近で見て、知識と技を盗むのさ」
「なるほど……」
確かに眼鏡の女性は、ティルフィーユ以上に一言も聞き漏らすまいと、ダヤナの話に聞き入っているようだった。きっといつかは彼女が、ダヤナのようにこうして誰かにダミアレア族のことを語るのだろう。
「もうわかったと思うが、ダミアレア族の正しい名前は個人名、一族名、そのあとに家名が続く。さっきも話したとおり、血筋が違っても別の一族の一員になることはできる。まあ、公的な書類だとかなんだとか、ややこしいものだと一族名を省くことはあるがね。それと、元始十五氏族ではあるが時代の流れと共にずいぶんと混血は進んだし、純粋なダミアレア族の方が少ない。まあでも、今の時代でも元始十五氏族を名乗れる珍しい一族であることに変わりはないね」
元始十五氏族の知識は、ほんの少しだがティルフィーユにもある。なぜなら、北の雪原から南下してきたその氏族のひとつがグントバハロン宗家の祖先だからだ。ほかにも、グントバハロンの武家の祖先や、隣国ルティドロンの王家やレシクラオン神皇国の神皇一家も、それぞれ別の氏族を祖先に持つはずだ。
だが、ほとんどの国が元始十五氏族の純血を保つことに執着はしなかった。そもそも、のちに「原住部族」と呼ばれて忌避されるようになった一氏族を除いて十四の氏族が世界中に散らばったため、ほぼすべての人間が元始十五氏族の末裔であると言えるのだ。
元始十五氏族の多くは、各地で独自の国や文化、生活を作って繁栄していった。今では元始十五氏族という言葉を聞く機会はほとんどなく、ダミアレア族のように始祖の時代とほぼ変わらぬ一族の在り方をしている者たちの方が珍しい。
「で、あーたが嫁ぐミリ族のことだ。さっきも話したとおり、ミリ族は戦闘部族、戦うことが生業だ。その力が旧ジャノオン王国を倒した。あーたももう見ただろうが、戦場となったこの街のあちこちの被害は、ミリ族がもたらしたものでもある。けど、勘違いはしないでほしい。ミリ族は必ず、その武力を振るう時と場所、そして相手と理由を必ず選ぶ。無意味な拳は振り上げない。決して野蛮人ではないのさ」
(わかる……かもしれない)
スベーク城は旧王家の居城であり、王政時代の政治の場だった。しかし共和制に移行した現在のエヴァエロン共和国は、王政の色が残るこの城を、これまでとは違う方法で活用している。
まず、西棟の一階は公営の図書館に作り替えられた。国民なら誰もが自由に出入りし、好きなだけ知識を得られる場所になったのだ。二階は共和議会の議場となり、議員全員が入れる大議場のほか、少人数で使うための小会議室がいくつかある。
次に北棟の一部と東棟だが、そちらは客室や大広間、応接室などが充実しており、客人をもてなすのに特化した造りになっているため、その特性を活用している。決して安くない金額だが、宿泊料を支払えば客室に泊まることができて、かつての王族気分を味わうことができる――という触れ込みで観光客を呼ぶための観光施設と化しているのだ。もちろん、スベーク城自体は国の持ち物で公的な場所なので、一般客が宿泊できる期間は限られているのだが。
そして最後に南棟だが、そちらは王政時代から引き続き、厳かな儀式を執り行う場所として使われている。
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ティルフィーユとキアンの結婚式は、スベーク城のその斎場――南棟の「祈りの広間」で行われる。結婚式を主催するミリ族としては場所にこだわりはないそうで、ロイックの「神と対峙する神聖な場所で夫婦となる誓いを行うことで、祈りの広間に箔をつけたい」という希望を叶える形になったそうだ。
ティルフィーユは兄のジェラルドと共に、エヴァエロン共和国側で結婚式の準備を進めているというミリ族の年配の女性、ミネア・ミリ・チロッチとスベーク城の責任者に案内されて、祈りの広間を視察する。それから結婚式後の食事会――披露宴会場となる東棟の大広間も確認し、おおまかな式の流れの説明を受けた。
その後、ジェラルドは西棟でロイックと打ち合わせがあるとのことで、ティルフィーユは一人で馬車に乗り、ストーラーの屋敷に戻る。そして昼食をとったのち、ダミアレア族の詳しい話をしてくれるというテコ族の者を応接室で待った。
「ティルフィーユ様、先生がいらっしゃいました」
ホルガーがそう言って応接室に案内してきたのは六十過ぎ、いや七十歳近い老婆だった。白髪はくるくるとウェーブがかかっており、顔には多くのシミがある。
ティルフィーユはソファから立ち上がり、その老婆に挨拶をした。
「初めまして、ティルフィーユ・グントバハロンです」
「はいよ、わてはダヤナ・テコ・メンシク。この時間だけはダヤナ先生とお呼び。いいね?」
「は、はい……」
ダヤナの不思議な気迫に気圧されながら、ティルフィーユは静かにソファに腰を下ろす。ダヤナの背後には三十歳ほどの眼鏡の女性が寄り添っていたが、まるでダヤナの影であるかのように一言も声を発することはなかった。
「グントバハロンの宗家の姫様ね……ま、遠いところからご苦労様」
「え……あ、ありがとうございます」
ねぎらわれるとは思ってもいなかったティルフィーユは、恐縮しながら礼を述べた。
ダヤナはじっとティルフィーユを見つめながら、ホルガーが給仕したお茶に手を付けることもなくすらすらと話し始めた。
「今日の目的は、宗家の姫様にわてらダミアレア族のことを知ってもらうこと。その知識は、今後この国で生きにゃならないあーたの役に立つだろう。未来の自分のためと思って、よく聞きな」
「はい……よろしくお願いいたします」
「じゃ、まずはダミアレア族の成り立ちだよ」
ダヤナの話に、ティルフィーユは時折メモをとりながら聞き入った。
はるかはるか昔、ウォンクゼアーザがこの世界を創ったばかりの頃。人間は、このウィンラルボ大陸の北部にだけ住んでいた。今でこそ雪原と化したその場所は、当時はまだ雪に閉ざされておらず、それどころかあらゆる食物が豊かに実る、楽園のような場所だった。
ところがいつしか雪が降るようになり、その雪は年々深くなり、ついにあと少しですべての大地が雪に埋もれてしまうだろうという状況になった。そこで、その地に住んでいた人間たち――のちに元始十五氏族と呼ばれる者たちのほとんどが、雪のない大地を目指してその地を立ち去った。その元始十五氏族のひとつがダミアレア族だ。
ダミアレア族の特徴のひとつは、占術で一族全体の未来を決めること。そしてその占いの結果次第では流浪することもあるということだ。
ここしばらくの間、ダミアレア族はデシエトロン国に定住していた。「デシエトロンの皇帝に仕えよ」という占い結果がだいぶ前に出たからだ。しかし数年前、「デシエトロンを離れ、西に興る新しき国に移ってそこでしばらく根を張るべし」との結果が出た。だからダミアレア族は崩壊したデシエトロンを出て、新しく勃興したこのエヴァエロン共和国に来たのだ。
ダミアレア族は主に職業と血筋によっていくつかの細かいグループに分かれており、日々の生活はそのグループ単位で相互に支え合って営まれている。
たとえばミリ族は、武闘に秀でた一族だ。あらゆる時代で常に戦うことを一番の仕事とし、相手が人だろうが獣だろうが、磨いた武力で一族を守ってきた。戦いの技能と守護者の心構えがある者ならば、たとえ血筋が違っても族長になることはできるが、基本的に族長は男系が継いでいく特徴がある。デシエトロン退去前後はキアンの父が族長だったが、エヴァエロン共和国の成立と共に代変わりして、今はキアンが族長だ。
ほかにも細かく、様々な一族がいる。こうして若い世代にあらゆる教えを説き、知識を与え、思考力を養う手助けをするテコ族。主に家政を取り仕切るハフ族。様々な芸術、芸事の腕を磨き、その技を継承するアト族など。それぞれが得意分野を担当し、できないことはほかの一族に頼る。そうして相互扶助をしながら生きているのがダミアレア族だ。
「ちなみに、この黙ってる小娘もテコ族だ。こうして年寄りの仕事ぶりを黙って間近で見て、知識と技を盗むのさ」
「なるほど……」
確かに眼鏡の女性は、ティルフィーユ以上に一言も聞き漏らすまいと、ダヤナの話に聞き入っているようだった。きっといつかは彼女が、ダヤナのようにこうして誰かにダミアレア族のことを語るのだろう。
「もうわかったと思うが、ダミアレア族の正しい名前は個人名、一族名、そのあとに家名が続く。さっきも話したとおり、血筋が違っても別の一族の一員になることはできる。まあ、公的な書類だとかなんだとか、ややこしいものだと一族名を省くことはあるがね。それと、元始十五氏族ではあるが時代の流れと共にずいぶんと混血は進んだし、純粋なダミアレア族の方が少ない。まあでも、今の時代でも元始十五氏族を名乗れる珍しい一族であることに変わりはないね」
元始十五氏族の知識は、ほんの少しだがティルフィーユにもある。なぜなら、北の雪原から南下してきたその氏族のひとつがグントバハロン宗家の祖先だからだ。ほかにも、グントバハロンの武家の祖先や、隣国ルティドロンの王家やレシクラオン神皇国の神皇一家も、それぞれ別の氏族を祖先に持つはずだ。
だが、ほとんどの国が元始十五氏族の純血を保つことに執着はしなかった。そもそも、のちに「原住部族」と呼ばれて忌避されるようになった一氏族を除いて十四の氏族が世界中に散らばったため、ほぼすべての人間が元始十五氏族の末裔であると言えるのだ。
元始十五氏族の多くは、各地で独自の国や文化、生活を作って繁栄していった。今では元始十五氏族という言葉を聞く機会はほとんどなく、ダミアレア族のように始祖の時代とほぼ変わらぬ一族の在り方をしている者たちの方が珍しい。
「で、あーたが嫁ぐミリ族のことだ。さっきも話したとおり、ミリ族は戦闘部族、戦うことが生業だ。その力が旧ジャノオン王国を倒した。あーたももう見ただろうが、戦場となったこの街のあちこちの被害は、ミリ族がもたらしたものでもある。けど、勘違いはしないでほしい。ミリ族は必ず、その武力を振るう時と場所、そして相手と理由を必ず選ぶ。無意味な拳は振り上げない。決して野蛮人ではないのさ」
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