落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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二章

誰が?

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「特に問題はないよ」

屋敷に帰った僕は、夕食が終わった後に、父様に学院での事を報告した。さすがに、父様に叱られるかも知れないと怯えていたら、何でもない事のように返された。

「そもそも、証拠能力も薄い紙切れ1枚でどうにかなるほど、この家はやわじゃないからね。それに、権力なんて、使う為にあるような物だから、必要なら何時でも使ってくれてかまわないよ」

父様は、何時もと変わらない笑顔を浮かべながら僕に言った。

「まあ、リュカの友達なら、例え犯罪者だろうと、無罪にしてみせるから、何も心配しなくていいよ。さすがに、何人もとはいかないから、本人とその身内くらいかな?」

僕も、さすがに犯罪者とは友達にならないから!それに、それこそ駄目だよ!!

「アル。リュカを安心させたいのは分かるけど、あまり大袈裟に言ったら、リュカが戸惑ってしまうわ」

「すまない。少し大袈裟過ぎたかな?だが、何も問題は無いから、本当に安心していいよ。それで、その子が落として行った紙は、今持っているのかな?」

「うん。持っているよ」

父様に報告する時のに必要だと思って、部屋を出る時に、ポケットに入れて持って来ていた。僕は、持ってきた物を取り出すと、父様の方へと差し出した。

「これは、私が預かってもいいかな?」

「いいよ」

僕が差し出した紙を受け取った父様は、微かに口元を上げて笑うと、自身の胸ポケットにしまった。

心の準備をしていたが、あまりにも何事もなさ過ぎて、僕の方が拍子抜けしてしまった。

「アルノルド様は…昨日の事、何か言ってましたか?」

「特に気にした様子もなく、笑って受け流してたよ」

次の日、教室に入ると、真っ先にコンラットから質問された。

「よ、良かったー」

コンラットの後ろで、気まずそうに立っていたバルドが、安堵のため息を付くかのように零した。

「良かったじゃないですよ!これに懲りたら、自身の言動を直して下さいね!」

「善処する!」

それ…直す気がないよね…。バルドの元気な声に、僕も少し呆れてしまった。

「それにしても、いったい誰が書いたんだろうね?」

「分かりません。私が来た時には、もう彼と揉めてました。バルド、昨日、何があったんですか?」

「ん?俺も、ネアと話しをしていたら、いきなりアイツがいちゃもん付けて来たんだよ。そうだよな?ネア?」

「あいつは、俺達よりも後に来たようだった。それに、俺達がいる間に、あの席の近くに近寄った者はいなかったと思う」

「そういえば、彼は何時もあの席に座っていましたね」

席は特に決まってはいないから、最初の頃は座る席もバラバラだった。でも、先週辺りからは、定位置みたいなのが出来始めていた。僕達も、決まった席に座っていたが、彼もその1人のようだ。

「なら、アイツが読むように入れたって事か?何のために?」

「ネアを気に入らない人が、彼の他にもいるのでしょう」

「誰かに言わせるより、直接言った方が早いだろ?」

「リュカに、見られる事を避けたんでしょう。それに、公爵家が不正を働いたなんて言えば、不味い事くらいは分かっていたんでしょう」

「でも、あの紙には、商団の金を使って不正をしたって書いてあったよ?」

「そうなんですか?私は、アルノルド様の力を借りてやったと、書いてあると思っていました」

「俺も」

「まあ、平民の俺に不正を出来るとは、普通に思わないからな。それに、リュカのような、高位貴族が側にいればなおさらだ」

その言葉に何処か納得しながら、昨日の彼を見れば、こちらを睨むように見ていたので、僕は慌てて視線を戻した。

朝のホームルームが終わって、授業の準備をしていると、リオ先生が僕の方に来るのが見えた。

「リュカ君、少しお話があるのですが宜しいですか?」

「今ですか?もうすぐ、1時限目の授業が始まりますけど…?」

「担当教師には、事前に事情を話して、許可を貰っています」

僕は1人、リオ先生に連れられて、近くの空き教室まで来た。リオ先生は、向かい合うように椅子を置くと、僕に座るように促した。僕が、椅子に座ったのを確認したリオ先生は、静かに話し初めた。

「昨日の件は、他の生徒から聞いて知っています。家名を使って、不正をしたそうですね」

「ち、違います!僕、そんな事していません!!」

「もちろん。私も、学院側の人間ですので、それは分かっています。しかし、そんな話しが出る時点で問題なのです」

リオ先生は、心配するように目尻を下げながら、話しを続けた。

「あまり、こういう事は言いたくありませんが、公爵家としての振る舞いを身に付けるべきだと思います」

「はい…」

「それに、レグリウス家を快く思わない者達もいます。そういう者に、付け入る隙を与えれば、宰相閣下にもご迷惑をお掛けする事を理解して行動して下さい。もし、何かあれば、私が力になりますので、まずは私を頼って下さいね」

「分かりました…」

僕は、少し落ち込みながら、空き教室を後にした。
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