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真犯人は……。
しおりを挟む※ユウェルたんが女装します※
※受け男子ユウェルたんが女装します※
「こーれで、どうだぁ――――――っ!」
母上が令嬢時代(嫁ぐ前)に着ていたと言う、鮮やかなルベライトのドレス。つまりはヒラヒラスカート。ヒラヒラスカートだけどもそのヒラヒラを維持するパニエ内臓!もちろんブラはなし!
俺渾身のドレス姿ーーつまり女装を見た旦那さまとシスコンはと言うと。
「あ、あぁ……妹、よ……」
バタンッ。
うおおおぉぉ――――――いっ!シスコンが天に召されたぁ~~っ!義父上が、義父上が幸せそうな笑みを浮かべてバタンと倒れて動かなくなったぁ~っ!
でもすごく、幸せそうに笑んでいる。
これでシスコンも報われたであろう。
天国では母上によろしくね。シスコン暴走させないようにね。
※生きてます。
「ユウェルたんの、ドレス姿っ!」
そしてシェルはと言えば、目を輝かせて俺を見ている。そんなに良かった?俺の女装。
前世では別に女子っぽい顔でも何でもないのにクラスの女子が文化祭でスカート穿いてと迫ってきたけど。
俺は無事に逃げ延び委員長が犠牲になったけど。
そんなにいいもんかな?受け男子のドレス姿。くるりと回ってみたり、令嬢のようなカーテシーをしてみたり。因みにカーテシーについては見よう見まね。受け男子には受け男子のカーテシーがあるので別物なのである。
そちらは完璧にできるが、やはり令嬢のカーテシーは難しいな。バランスを維持するのが特に。受け男子用のカーテシーとは使う筋肉が違うもん。
因みに受け男子は女性と同じで筋肉がつきにくい。俺のように華奢な者が多いのだ。しかし同じ受け男子の王妃なお母さまは細腕だがコマツナの時のストレートパンチは今目の前で事切れている義父上の頬にめり込むほどの威力だ。
※生きてます。
そして安心してほしい。受け男子も鍛えれば筋肉がつくので、ガチムチ受けももちろんいる世界だ。社交界でもたまにガチムチ受け令息を見かける。
前世では実は腐男子でもあった俺。じゃなきゃこの世界で長いとは言え男同士にこんなに抵抗なくいけないだろう。
そんな俺も気になるガチムチ受けも存在する。ガチムチ受けの恋の行く末を、これからはしかと見届けようと俺は心に決めている。
「ふぉーっ」
おいおい、氷の王弟殿下がすごい声あげてるよ。そこまでか?
「ユウェルたんのドレス姿は私が独占したかったが、シスコンが天に召された今、ユウェルたんのドレス姿は完全に私ひとりのものだな!」
あぁ、通りで俺のドレス姿をひとりで堪能せず、一緒に大人しく見てると思ったら。
分かったぞ。この妹のドレスを着たその息子のドレス姿を見たシスコン殺人事件の犯人は……犯人は、シェルたん。お前だ……っ!!
※シスコンはまだ生きています
※冤罪です
「だができれば、私の色のドレスを着て欲しいな。黒いドレスにアイスブルーの宝石をあしらった首飾りもいいし、私の瞳のアイスブルーのドレスもいいっ!」
「いや、着ないからな!?」
これはシスコンの成仏と追悼のために仕方なく着たものなんだから。
は……っ!その俺のドレス姿を見たことでシスコンが天に召されたのだから、妹のドレスでシスコンを天に還した真犯人は……俺やんっ!!
※シスコン生きてますよー。
「ないかな」
こらこらシェルったら、探さないの母上のクローゼット!それになかなかないと思うよ!?アイスブルーのドレスなんて。黒はあるかもだけど、母上のドレスやワンピは明るめな色が多い。ピンクやイエローが多いな。いつも優しく微笑んでくれた母上らしくてほっこりする。
「ない……」
しゅーん。あっからさまにがっかりーっ!いや、なくて良かったけども。そうだけども。
「そうだ、シェルも顔がきれいなんだから、きっとドレス似合うと思うんだけど」
「え、私が?」
シェルが俺の言ったことにドン引いている。俺のお願いにはいつもノリノリなシェルの珍しいすぎる表情。あれ、前世の俺と委員長の反応そっくりだ。
「いや、いいじゃん見たい~」
俺はこの時、前世のクラスの女子の心情がちょっと分かった気がする。これぞ攻め男子にスカートを穿かせたがる……女子と受け男子の謎のノリっ!
「それに、俺の色だよ?」
俺の瞳と同じルベライトの色のドレスだ。
「つまり、ユウェルたんの色を、着る……着るっ!」
ちらっと言ってみたところに思わぬ食い付きぃっ!!これは、使えるっ!!
そしてシェルたんもお着替え。
※シェルたんが女装します
※シェルたんがドレス着ます
俺は元の服に戻り、次にシェルたんにドレスを着せた。パニエ完備、ブラつけようとしたシェルたんのことは果敢に止めた。俺の選択は、決して間違っていないはずだ……っ!!
「うむ、これでどうだ?」
ひらりとドレスの裾を翻すシェルたんいやシェル子。いや何これ。ちよちょちょちょちょーいっ!ちょまちょまちょま。待って。待って待って待ってっ!ちょーちょーちょーちょーちょーかっわい~いっ!!
めっちゃ美人っ!こんなご令嬢がいたら社交界の男の視線総嘗めぇ~っ!むしろご令嬢受け男子の心をも掴むぅ~~っ!シェル子最高~っ!……もっといろいろ着せたいっ!
その時俺の受け男子(前世のクラスの女子)魂にスイッチが入った。
あぁ、前世の女子たちはこんな心情だったのか。女子たちの餌食となりスカートを穿かされ着せ替え人形になった委員長……。
俺、あの時逃げてごめんな。これ、すっごい楽し~いっ!
「シェルたんシェルたん、次これ、着てっ!」
俺は次のドレスに手をつけた。
「また着るのか?」
首を傾げるシェル子も絵になるぅ~っ!
「俺の色だよっ!」
ダークブラウンのシックなドレスっ!明るい感じのレパートリーの中で、ちょっと珍しいダークブラウンの落ち着いた色合いのドレス!
しかも俺の色っ!
「……着るっ!」
フハハハハッ!フハハハハッ!シェル子を乗らせる技ならもうマスターしたぞっ!前世のクラスの女子たちよ、我に力をおおぉっ!!
応援ありがとうございます!
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