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母の部屋常々シスコン公爵。

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「しかし、ここにユウェルたんの部屋ルベライト支部が設立されるとは……っ」
俺たちのお泊まり用に用意された部屋で、シェルが安定の独占欲を悩ませていた。

てか、ここ俺の部屋の支部かいっ!支部扱いなの!?もちろん本部は大公邸の夫夫の部屋だろうけど!

「定期的にユウェルたんストーキング隊に見張らせなくては」
「いや、何変な計画立ててんの。多分公爵家の使用人が掃除してくれるだろうし大丈夫でしょ」

「いや、だが……っ!知らぬうちにシスコン公爵が侵入して、私たちのベッドですーはーしたら……っ」
まぁ、シーツは替えてくれると思うけど。でも、義父上ならやりかねない。これ、受けの勘。

義母上ならしっかり監視してくれると思うが、念には念を、だ。

「うん、お願い」
「うむ、任せろっ!」
俺からのお願いに、ストーキング隊隊長の目がキラキラと輝いている。

「そうだ、あの。母上の部屋にも行ってみたいんだけど」
義母上からは好きに見ていいと言ってもらえたし。

「そうだな、ユウェルたんの母君の部屋か」
シェルも興味を持ってる?

「ユウェルたんが足を運んだ場所で私が知らない場所があるなどと、耐えられんっ」
場所まで!?俺が足を運んだ場所にまで執着をっ!?こりゃまた新しい種類の執着だなっ!?

「いざ、行かん」
何かシェルがものっそい偉大な挑戦をしに行くように見えるーっ!?
実際は俺の母上の部屋に行くだけだけど!?それとも義母の部屋に行くときの夫としてはこれがテンプレなのか!?いやそんなバナジウムっ!

しかしまぁ、シェルも一緒に行ってくれるのはありがたいな。
母上とは幼い頃に死に別れたから、俺としてもちょっと緊張するのである。

さて、母上の部屋の扉を開けばーー

「あぁ、我がスウィートエンジェル妹よぉっ!あぁ、クンクン、くんかくんか。あぁ、妹よぉっ!!」
その中には、母上の部屋のクローゼットの服の海の中に頭を突っ込んでむふんむふんする義父上がいた。

顔は見えないけどあのダークブラウンの髪は義父上だ。そして母上の部屋であんなことをするのはーー多分義父上をおいて他にいないだろ。

「あの、何やってんですか」
声をかけてみれば、びくんと義父上の背中が反応する。そしてーー

くんかーくんかー……

うぐっ、ひとの母上の服の海の中で何してんのこの義父上~~っ!マジキモいんですけど!ルベライト公爵とか近衛騎士隊長とか言う点をもってしてもキモいんですけど。
むしろ公爵でも近衛騎士隊長でもない。今や重度の……いや極度のシスコンキモい何かとにかくどこか破裂しろぉっ!
この際タマでも竿でも乳首でも構わんんんっ!!!

そして母上の服をくんかくんかしていた義父上がくるっとこちらを振り向く。そしてぱあああぁっと顔を輝かせる。

――――――嫌な予感が。

「リアル、エンジェル妹っ!」
ちっげぇっ!!やっぱこのひと変んんんっ!変態いいぃっ!妹の息子&現自分の養子に何つー幻想重ねてんの~~っ!
前世だったら即スクープもんだよ!逮捕されてメディアに叩かれ世間に叩かれ社会的にも人間としても親としても失墜するレベルぅ~~っ!!!

まぁしかし、ひとつ褒めてあげられるとすれば、シスコンを拗らせて18禁あはんえろっえろイチャイチャまで手を出さないところだろう。

義母上がプリン体でしっかりと足の親指を制してくれているお陰だろう。
足の親指って大事だよ?首や頭のツボもあるし、歩き始める時にもなくてはならない足指の中のリーダー!
そんな足の親指を掌握してくれている義母上に、感謝を。

さらにはこの義父上ひと母上を天使として崇め奉っているから基本淫らな方向へは行かないんだよなぁ。そこだけは褒めてやらんでもない。

母上の服には頭突っ込んでいたけど。くんかくんかしてたけど。

「ユウェル、よく来てくれた」
社交界を今もなお華やかに彩りご夫人ご令嬢受け男子を虜にする爽やかな笑みを浮かべながら、今この瞬間だけまともな公爵と化した義父上が、公爵然としながら告げた。

まぁ、ここだけ見るならともかく、もうくんかくんか見ちゃってるしなぁー。甥として、養子として微妙な気分。

「ここは今は亡き、我が妹の部屋だ」
しかもめっちゃ妹想いの兄演出してきたぁ――――――っ!

「今も妹の部屋は定期的に掃除させているんだ。いつでも妹が、戻って来られるように」
すごく感動的に感じるが、先程まで母上の服にくんかくんかしていたひとのセリフである。繰り返しになるが、ここ、大事なところだから。

「ユウェルは妹にとてもよく似ている。まるで生き写しだ」
違うのは性別くらい、……って感じらしいからな。むしろそうしゃなきゃこの義父上の本性シスコンを知ることもなかったであろう。

いや、でも母上を大切に想ってくれているからこそ、俺を養子に迎えてくれたわけで。
だが限度ってもんもあると思うのだが。

「だからこのドレスもユウェルに似合うと思うのだがっ!」
そう言って義父上がクローゼットから取り出したのは、まるでルベライトのようなピンクがかった赤い見事なドレスだった。

「いや、その、女装はちょっと」
遠慮したい。さすがに遠慮したい。

「ユウェルたんの、ドレス姿っ!」
ぐほぁっ、うちの旦那さまが食いついちゃったぁーっ!

【次回】ユウェルたんのドレス姿に乞うご期待!

「ひぃ~~っ!!!」




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