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なんだかとても疲れましたので
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しおりを挟む初めて見た訳ではない。
温泉だって一緒に入ったし、普段から類さんは、お風呂あがりに上半身ハダカでうろついている。
でも……今、目の前にある身体は、怖いほどに〝雄〟だった。
眩暈がする。
過剰に放たれる、色香のせいだ。
ワッと叫び出したい高揚感を押さえようと、固く目を閉じたけど、ベルトを外す金属音がして……。
「……目、あけて」
片側の頬が類さんの掌で包まれた。
冷たくも熱くもない。
心地よい温もりに導かれ、そろそろと瞼を上げる。
「七海ちゃん」
至近距離で見る彼の瞳は、甘く潤んでいた。
「いいか?」
囁くように言われ、コクンと頷く。
彼はトロリと笑い、そっと私の髪を撫でた。
「きつかったら、言えよ」
彼の昂ぶりが、一度、二度、三度。
確かめるようにスライドして――ゆっくりと私の体に押し入った。
「え!?……ヒッ、ああああっ」
なにこれ、こんなの知らない。
内側から官能に焼かれて、腰が溶けてしまいそうだった。
苦しいほどの圧迫感なのに、欠けていた体の一部分をようやく取り戻せたみたいな。
「クッ……そんな……締めんな」
荒い息と一緒に、類さんが掠れた声を吐きだした。
痛いほどに抱きしめられる。
「っ……ああああ!」
それはもう、抗いようのない快楽だった。
重なり密着した肌は、互いの境界線を滲ませる。
体が合うとか合わないとか、そんなレベルじゃない。
〝半分に切り分けた、片方のオレンジ〟
有名な愛のフレーズが頭に浮かんだ。
この世に魂の片割れは本当にあるんだって、信じざるを得ない。
それほどまでに、類さんの体は私に馴染んでいた。
「フッ、ああ……んっ、ああっ」
彼が奥を突くたびに絶頂の海に頬り出され、そしてまた、高波に引き戻される。
決して激しくはない。緩慢なほどゆったりとした動き。
それなのに気を失いそうなほどの愉悦が、内側から溢れて止まらない。
そしてそれは類さんも同じだったみたいで。
「クソッ……なんだよこれ……よすぎて……ヤバい」
生理的な涙に霞む視界の向こう、類さんの顔も官能的に歪んでいる。
私の中で彼の昂ぶりが体積を増し、彼の限界が近いことを教えてくれた。
「るい……さっ…私……もうっ」
これ以上はもう、気が狂ってしまう。
怖くなって、大きな背中に力いっぱい縋りついた。
「クッ……そのまま、しがみついてろよ」
私の言いたいことが通じたのだろう。
彼は限界まで腰を引き、私を抱き締めながら一気に奥を貫いた。
「いああああっ!」
悲鳴に近い喘ぎが、室内に響きわたる。
骨の髄が溶けるような感覚だった。
自分の中が、これでもかと彼の昂ぶりを圧搾した。
「……ッ…七海――」
類さんに名前を呼ばれ――――私たちは、同時に果てた。
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