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第1章
第20話『桜の木の下で』
4月3日、日曜日。
本日も朝から晴天なり。今朝観た天気予報によると、雲が多少広がることはあるかもしれないけど、雨が降る心配は全くないという。風も穏やかな予報なので、まさに絶好のお花見日和だ。
「さあ、空いているかな」
午前9時過ぎ。
俺は場所取りをするため、一人でお花見会場である調津北公園にやってきた。
お花見はお昼頃から始める予定だ。ただ、今日は日曜日であり、東京の桜は既に満開の状態。ネットやテレビでも「今シーズン中にお花見できる最後の週末!」と言っていたので、かなり早めに場所を取りに来たのだ。
調津北公園の中に入ると、既に桜の木の下でお花見をやっていたり、場所取りをしたりしているグループが数組ほどいる。ただ、この公園には桜の木がたくさん植えられているので、誰もいない木の方が多い。
「ここにするか」
まだ空いている木の中で、一番立派な木の下に持参した水色のレジャーシートを敷いていく。
「これでいいかな」
レジャーシートを敷き、無事に場所を確保することができた。
レジャーシートに座って、桜の木を見上げると……視界いっぱいに満開の桜が広がっている。陽光に照らされた桃色の桜の花びらがとても綺麗だ。満開になってから数日ほど経っているから、少し風が吹くと花びらが何枚かひらひらと舞い散って。それも風情を感じさせる。
「そうだ。みんなに報告しておかないと」
スラックスのポケットからスマホを取り出し、今日のお花見に参加するあおい、愛実、中学時代からの友人2人に、
『無事に確保できたよ』
というメッセージを送る。
写真もあった方がいいと思い、桜の木の下に敷いたレジャーシートの写真を撮り、それも送信した。
お花見に参加する5人にはそれぞれ担当がある。愛実はお弁当担当。あおいは料理があまり得意ではないものの、玉子焼きとハンバーグは何とか作れるらしいので、その2つを作ることに。友人2人は飲み物とお菓子担当。そして、俺は場所取り担当。それとお皿や箸、コップなど諸々必要なものの担当になったのだ。
――プルルッ、プルルッ。
スマホが何度も鳴っている。さっそく、みんなが返信してくれたのかな。
『いい場所を確保できたね。ありがとう、リョウ君』
『素敵な場所ですね! 場所取りお疲れ様です。気合い入れて玉子焼きとハンバーグを作ります!』
『いい場所だな、麻丘。早い時間からお疲れ様』
『良さそうな場所ね。場所取りお疲れ様。また後で会おうね』
お花見に参加する全員から返信が届いた。みんな、いい場所だと思ってくれて嬉しいな。そういった場所を確保できて安心した。
「……さてと。お花見まではまだまだ時間あるし、昨日買ったラノベでも読むか」
お花見が始まるまであと2時間はある。結構なページを読むことができるだろう。
大きめのトートバッグから、アウトドア用の枕と昨日購入したラブコメのラノベを取り出す。
レジャーシートの上で仰向けの状態になり、俺はラノベを読み始める。
「あははっ」
このラノベ、結構面白いな。主人公と女性キャラ達はみんな魅力的だし、コメディのバランスもいい。さすがは過去に何シリーズも作品を発表している作者だけのことはある。これまでのシリーズでも感じていた読みやすさも健在だ。
また、1章読み終えるごと……おおよそ30分に一度、公園の様子を見ている。
お花見を楽しめる最後の日曜日なだけあって、桜の木の下はレジャーシートでどんどん埋まってきている。念のために9時過ぎと早めの時間に来たけど、どうやらそれは正解だったようだ。
周囲が段々と賑やかになっていく中、ラノベを読み進めていく。
そして、全体の4分の3ほど読み進めたところで、
「おはよう、麻丘」
「麻丘君、おはよう」
聞き覚えのある男女の声で呼びかけられた。腕時計で時刻を確認すると、今は午前11時半か。
ラノベにしおりを挟み、体をゆっくりと起こすと……そこにはジャケット姿の茶髪の男子・道本翔太と、ジーンズパンツに淡い桃色の春ニットを着たワンサイドアップ金髪の女子・海老名理沙さんが立っていた。2人は俺と目が合うと微笑みながら小さく手を振る。
「おはよう、道本、海老名さん」
「いい場所を確保できたなぁ、麻丘。近所のスーパーでお茶とか紅茶、コーヒー、ジュースとかを買ってきたぜ」
「あたしもマシュマロやポテチ、クッキーとかを買ってきたわ」
「おっ、いいね。2人ともお疲れ様」
道本も海老名さんも、スーパーの大きめの袋を手に提げている。きっと、たくさん買ってきてくれたんだろう。
そう。この道本と海老名さんが、お花見に誘った中学時代からの友人である。道本も海老名さんも中学に入学した頃に出会った。
道本とは入学直後に陸上部に入部し、俺と同じく短距離走メインの選手だったことで仲良くなった。俺が陸上部にいた頃は切磋琢磨し合った仲である。漫画やラノベの好きなジャンル傾向が似ているので、彼に貸すこともある。
海老名さんとは先に友人同士となった愛実繋がりで仲良くなった。陸上部のマネージャーになったことから、部活仲間としても親交を深めるように。また、海老名さんとは高1のときは同じクラスだった。
俺が陸上から離れて3年ほど経つ。それでも、変わらず俺と仲良くしてくれるいい友人達だ。
「さあ、中に入って。買ってきてくれたものは適当な場所に置いてくれ」
「ああ、分かった。お邪魔します」
「お邪魔しまーす」
道本と海老名さんは買ってきたものを端の方に置き、レジャーシートの中に入ってきた。レジャーシートで結構広く確保したため、2人は脚を伸ばしてくつろぐ。
「真下から見る桜も綺麗ね」
「そうだな。麻丘が早くからここに来てくれたおかげだな」
「ありがとう、麻丘君」
「いえいえ。お花見客も結構来てるし、早めに来て正解だった。それに待つのは苦じゃないからな。昨日買ったこのラノベを読んでいたらあっという間だった」
「ははっ、麻丘らしい」
「そうね。枕まで用意していたんだ」
「ゆっくりくつろげるかと思って。結構気持ちいいし、このラノベも面白いから2時間以上いるけど全然疲れがないよ」
俺がそう話すと、道本も海老名さんも声に出して朗らかに笑う。2人は俺のラノベ、漫画、アニメ好きをよく知っているからなぁ。
あおいと愛実に、道本と海老名さんが来たことをメッセージで伝える。
すると、あおいからすぐに返信が。ハンバーグと玉子焼きを作り終わり、今は愛実の家で重箱に料理を詰める作業を手伝っているらしい。あと20分くらいで来られるとのこと。
「愛実とあおいはあと20分くらいで来られるみたいだ」
「そうなのね。あおいちゃんっていう子に会えるのが楽しみだわ。愛実に送ってもらった写真を見たら、結構美人で可愛い子だったし」
「俺も楽しみだ。香川だけじゃなくて、桐山さんっていう子も凄く可愛いとは。そんな2人が幼馴染だなんて。麻丘、前世でどれだけ徳を積んだんだ?」
「あははっ。きっと、かなり徳を積んでくれたんだろうな。……あおいは明るくていい子だよ。すぐに仲良くなれるんじゃないかな」
今日のお花見を通じて、きっと。
それからは3人であおいのことや、最近の陸上部での様子などを中心に雑談する。
春休み中はのびのびと練習ができており、道本を含めて調子のいい部員が多いらしい。新年度の大会に向けて日々の練習を頑張っているそうだ。
話が盛り上がったこともあり、
「リョウ君、理沙ちゃん、道本君。お待たせ」
「お待たせしました」
愛実とあおいが来るまではあっという間だった。愛実はロングスカートに桃色のパーカー、あおいはジーンズに淡い桃色のブラウスという格好。2人とも、おかずやお弁当が入った大きめのランチバッグを持っている。
愛実はいつもの優しげな笑みを浮かべながら手を振る。
あおいはこちらに向かって軽く頭を下げた。そんなあおいは笑顔が見せているけど、ちょっと緊張しい様子も感じられる。きっと、初対面の道本と海老名さんがいるからだろう。
道本と海老名さんもあおいに向かって軽く頭を下げる。
「あおい、愛実、おかずとお弁当作りお疲れ様。あと、あおい。紹介するよ。この2人が中学時代からの愛実と俺の友達だ。茶髪の男子が道本翔太。俺と同じで短距離種目専門。関東大会にも行くほどだ。金髪の女子が海老名理沙さんだ。海老名さんは陸上部のマネージャーをやってる」
「道本翔太君に海老名理沙ちゃんですね」
「……それで、道本と海老名さん。この黒髪の女子が、俺が幼稚園の年長組の1年によく遊んで、つい先日10年ぶりに再会した幼馴染の桐山あおいだ」
「そうか。……初めまして、道本翔太です。調津高校で陸上をやっているよ。麻丘とは中学の陸上部で知り合ったんだ。麻丘や海老名を通じて香川とも仲良くしているよ。これからよろしく」
「海老名理沙です、初めまして。愛実と麻丘君とは中学に入学した頃からの友人よ。中学から陸上部のマネージャーをやっているわ。これからよろしくね、あおい」
道本は爽やかな、海老名さんは明るい笑顔でそれぞれ自己紹介する。そのことで、あおいの緊張しい感じも抜けた気がした。
「初めまして、桐山あおいです。涼我君とは幼稚園の年長さんの1年間一緒にいました。卒園のタイミングで福岡に引っ越して、その5年後に京都へ。それで、この春休みに調津に戻ってきました。2年生になるタイミングで調津高校に編入します。これからよろしくお願いします、道本君、理沙ちゃん!」
持ち前の明るい笑みを浮かべて、あおいはそう自己紹介した。これで3人とも自己紹介が終わったな。
あおいは道本と海老名さんに右手を差し出す。すると、道本、海老名さんの順番であおいと笑顔で握手する。この様子なら、いい友人関係を築いていけそうだ。
「類は友を呼ぶとはこういうことを言うのでしょうか。理沙ちゃんはとても可愛くて、道本君はイケメンですね!」
「ははっ、ありがとう」
「ありがとう。あおいも可愛いわ」
「ありがとうございます!」
あおいの言う通り、道本はイケメンだし、海老名さんは美人で可愛らしさもある女の子だよなぁ。2人が告白されている場面を見たことは何度もある。海老名さんは男女問わず告白されている。ちなみに、2人は誰とも付き合っていない。
「実際に来てみると凄くいい場所だね、リョウ君」
「いい場所ですよね! 早くからお疲れ様です」
「いえいえ。それに、ラノベをたくさん読めたからいい時間になったよ。さあ、入って」
「うんっ! お邪魔します」
「お邪魔しますっ!」
あおいと愛実もレジャーシートの中に入る。これで、お花見の参加者が全員集合だ。
その後、あおいが道本と海老名さんと連絡先を交換したり、スマホを使った桜の木をバックにした5人の写真を撮ったりするのであった。
本日も朝から晴天なり。今朝観た天気予報によると、雲が多少広がることはあるかもしれないけど、雨が降る心配は全くないという。風も穏やかな予報なので、まさに絶好のお花見日和だ。
「さあ、空いているかな」
午前9時過ぎ。
俺は場所取りをするため、一人でお花見会場である調津北公園にやってきた。
お花見はお昼頃から始める予定だ。ただ、今日は日曜日であり、東京の桜は既に満開の状態。ネットやテレビでも「今シーズン中にお花見できる最後の週末!」と言っていたので、かなり早めに場所を取りに来たのだ。
調津北公園の中に入ると、既に桜の木の下でお花見をやっていたり、場所取りをしたりしているグループが数組ほどいる。ただ、この公園には桜の木がたくさん植えられているので、誰もいない木の方が多い。
「ここにするか」
まだ空いている木の中で、一番立派な木の下に持参した水色のレジャーシートを敷いていく。
「これでいいかな」
レジャーシートを敷き、無事に場所を確保することができた。
レジャーシートに座って、桜の木を見上げると……視界いっぱいに満開の桜が広がっている。陽光に照らされた桃色の桜の花びらがとても綺麗だ。満開になってから数日ほど経っているから、少し風が吹くと花びらが何枚かひらひらと舞い散って。それも風情を感じさせる。
「そうだ。みんなに報告しておかないと」
スラックスのポケットからスマホを取り出し、今日のお花見に参加するあおい、愛実、中学時代からの友人2人に、
『無事に確保できたよ』
というメッセージを送る。
写真もあった方がいいと思い、桜の木の下に敷いたレジャーシートの写真を撮り、それも送信した。
お花見に参加する5人にはそれぞれ担当がある。愛実はお弁当担当。あおいは料理があまり得意ではないものの、玉子焼きとハンバーグは何とか作れるらしいので、その2つを作ることに。友人2人は飲み物とお菓子担当。そして、俺は場所取り担当。それとお皿や箸、コップなど諸々必要なものの担当になったのだ。
――プルルッ、プルルッ。
スマホが何度も鳴っている。さっそく、みんなが返信してくれたのかな。
『いい場所を確保できたね。ありがとう、リョウ君』
『素敵な場所ですね! 場所取りお疲れ様です。気合い入れて玉子焼きとハンバーグを作ります!』
『いい場所だな、麻丘。早い時間からお疲れ様』
『良さそうな場所ね。場所取りお疲れ様。また後で会おうね』
お花見に参加する全員から返信が届いた。みんな、いい場所だと思ってくれて嬉しいな。そういった場所を確保できて安心した。
「……さてと。お花見まではまだまだ時間あるし、昨日買ったラノベでも読むか」
お花見が始まるまであと2時間はある。結構なページを読むことができるだろう。
大きめのトートバッグから、アウトドア用の枕と昨日購入したラブコメのラノベを取り出す。
レジャーシートの上で仰向けの状態になり、俺はラノベを読み始める。
「あははっ」
このラノベ、結構面白いな。主人公と女性キャラ達はみんな魅力的だし、コメディのバランスもいい。さすがは過去に何シリーズも作品を発表している作者だけのことはある。これまでのシリーズでも感じていた読みやすさも健在だ。
また、1章読み終えるごと……おおよそ30分に一度、公園の様子を見ている。
お花見を楽しめる最後の日曜日なだけあって、桜の木の下はレジャーシートでどんどん埋まってきている。念のために9時過ぎと早めの時間に来たけど、どうやらそれは正解だったようだ。
周囲が段々と賑やかになっていく中、ラノベを読み進めていく。
そして、全体の4分の3ほど読み進めたところで、
「おはよう、麻丘」
「麻丘君、おはよう」
聞き覚えのある男女の声で呼びかけられた。腕時計で時刻を確認すると、今は午前11時半か。
ラノベにしおりを挟み、体をゆっくりと起こすと……そこにはジャケット姿の茶髪の男子・道本翔太と、ジーンズパンツに淡い桃色の春ニットを着たワンサイドアップ金髪の女子・海老名理沙さんが立っていた。2人は俺と目が合うと微笑みながら小さく手を振る。
「おはよう、道本、海老名さん」
「いい場所を確保できたなぁ、麻丘。近所のスーパーでお茶とか紅茶、コーヒー、ジュースとかを買ってきたぜ」
「あたしもマシュマロやポテチ、クッキーとかを買ってきたわ」
「おっ、いいね。2人ともお疲れ様」
道本も海老名さんも、スーパーの大きめの袋を手に提げている。きっと、たくさん買ってきてくれたんだろう。
そう。この道本と海老名さんが、お花見に誘った中学時代からの友人である。道本も海老名さんも中学に入学した頃に出会った。
道本とは入学直後に陸上部に入部し、俺と同じく短距離走メインの選手だったことで仲良くなった。俺が陸上部にいた頃は切磋琢磨し合った仲である。漫画やラノベの好きなジャンル傾向が似ているので、彼に貸すこともある。
海老名さんとは先に友人同士となった愛実繋がりで仲良くなった。陸上部のマネージャーになったことから、部活仲間としても親交を深めるように。また、海老名さんとは高1のときは同じクラスだった。
俺が陸上から離れて3年ほど経つ。それでも、変わらず俺と仲良くしてくれるいい友人達だ。
「さあ、中に入って。買ってきてくれたものは適当な場所に置いてくれ」
「ああ、分かった。お邪魔します」
「お邪魔しまーす」
道本と海老名さんは買ってきたものを端の方に置き、レジャーシートの中に入ってきた。レジャーシートで結構広く確保したため、2人は脚を伸ばしてくつろぐ。
「真下から見る桜も綺麗ね」
「そうだな。麻丘が早くからここに来てくれたおかげだな」
「ありがとう、麻丘君」
「いえいえ。お花見客も結構来てるし、早めに来て正解だった。それに待つのは苦じゃないからな。昨日買ったこのラノベを読んでいたらあっという間だった」
「ははっ、麻丘らしい」
「そうね。枕まで用意していたんだ」
「ゆっくりくつろげるかと思って。結構気持ちいいし、このラノベも面白いから2時間以上いるけど全然疲れがないよ」
俺がそう話すと、道本も海老名さんも声に出して朗らかに笑う。2人は俺のラノベ、漫画、アニメ好きをよく知っているからなぁ。
あおいと愛実に、道本と海老名さんが来たことをメッセージで伝える。
すると、あおいからすぐに返信が。ハンバーグと玉子焼きを作り終わり、今は愛実の家で重箱に料理を詰める作業を手伝っているらしい。あと20分くらいで来られるとのこと。
「愛実とあおいはあと20分くらいで来られるみたいだ」
「そうなのね。あおいちゃんっていう子に会えるのが楽しみだわ。愛実に送ってもらった写真を見たら、結構美人で可愛い子だったし」
「俺も楽しみだ。香川だけじゃなくて、桐山さんっていう子も凄く可愛いとは。そんな2人が幼馴染だなんて。麻丘、前世でどれだけ徳を積んだんだ?」
「あははっ。きっと、かなり徳を積んでくれたんだろうな。……あおいは明るくていい子だよ。すぐに仲良くなれるんじゃないかな」
今日のお花見を通じて、きっと。
それからは3人であおいのことや、最近の陸上部での様子などを中心に雑談する。
春休み中はのびのびと練習ができており、道本を含めて調子のいい部員が多いらしい。新年度の大会に向けて日々の練習を頑張っているそうだ。
話が盛り上がったこともあり、
「リョウ君、理沙ちゃん、道本君。お待たせ」
「お待たせしました」
愛実とあおいが来るまではあっという間だった。愛実はロングスカートに桃色のパーカー、あおいはジーンズに淡い桃色のブラウスという格好。2人とも、おかずやお弁当が入った大きめのランチバッグを持っている。
愛実はいつもの優しげな笑みを浮かべながら手を振る。
あおいはこちらに向かって軽く頭を下げた。そんなあおいは笑顔が見せているけど、ちょっと緊張しい様子も感じられる。きっと、初対面の道本と海老名さんがいるからだろう。
道本と海老名さんもあおいに向かって軽く頭を下げる。
「あおい、愛実、おかずとお弁当作りお疲れ様。あと、あおい。紹介するよ。この2人が中学時代からの愛実と俺の友達だ。茶髪の男子が道本翔太。俺と同じで短距離種目専門。関東大会にも行くほどだ。金髪の女子が海老名理沙さんだ。海老名さんは陸上部のマネージャーをやってる」
「道本翔太君に海老名理沙ちゃんですね」
「……それで、道本と海老名さん。この黒髪の女子が、俺が幼稚園の年長組の1年によく遊んで、つい先日10年ぶりに再会した幼馴染の桐山あおいだ」
「そうか。……初めまして、道本翔太です。調津高校で陸上をやっているよ。麻丘とは中学の陸上部で知り合ったんだ。麻丘や海老名を通じて香川とも仲良くしているよ。これからよろしく」
「海老名理沙です、初めまして。愛実と麻丘君とは中学に入学した頃からの友人よ。中学から陸上部のマネージャーをやっているわ。これからよろしくね、あおい」
道本は爽やかな、海老名さんは明るい笑顔でそれぞれ自己紹介する。そのことで、あおいの緊張しい感じも抜けた気がした。
「初めまして、桐山あおいです。涼我君とは幼稚園の年長さんの1年間一緒にいました。卒園のタイミングで福岡に引っ越して、その5年後に京都へ。それで、この春休みに調津に戻ってきました。2年生になるタイミングで調津高校に編入します。これからよろしくお願いします、道本君、理沙ちゃん!」
持ち前の明るい笑みを浮かべて、あおいはそう自己紹介した。これで3人とも自己紹介が終わったな。
あおいは道本と海老名さんに右手を差し出す。すると、道本、海老名さんの順番であおいと笑顔で握手する。この様子なら、いい友人関係を築いていけそうだ。
「類は友を呼ぶとはこういうことを言うのでしょうか。理沙ちゃんはとても可愛くて、道本君はイケメンですね!」
「ははっ、ありがとう」
「ありがとう。あおいも可愛いわ」
「ありがとうございます!」
あおいの言う通り、道本はイケメンだし、海老名さんは美人で可愛らしさもある女の子だよなぁ。2人が告白されている場面を見たことは何度もある。海老名さんは男女問わず告白されている。ちなみに、2人は誰とも付き合っていない。
「実際に来てみると凄くいい場所だね、リョウ君」
「いい場所ですよね! 早くからお疲れ様です」
「いえいえ。それに、ラノベをたくさん読めたからいい時間になったよ。さあ、入って」
「うんっ! お邪魔します」
「お邪魔しますっ!」
あおいと愛実もレジャーシートの中に入る。これで、お花見の参加者が全員集合だ。
その後、あおいが道本と海老名さんと連絡先を交換したり、スマホを使った桜の木をバックにした5人の写真を撮ったりするのであった。
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