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最終章
第46話『恋愛相談』
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夕方まで、あおいと愛実と海老名さんと一緒にアニメを観た。そのほとんどの時間を、あおいと愛実は俺に体を寄り添わせていて。
時間が経つにつれて慣れてきたけど、それでも普段よりアニメに集中できなかった。
「迷うなぁ……」
夕食後。
ベッドに仰向けになって、そんなことを呟く。
あおいと愛実のことが好きだと自覚して。どちらか1人と付き合おうとは決めた。だけど、2人ともとても大切でとても魅力的な女の子だから迷ってしまう。考えれば考えるほど、この迷宮からは出られなさそうだ。
『キツかったり、不安だったりしたら周りの人を頼るんだよ』
あおいに告白された翌日のバイトで、佐藤先生から言われた言葉を思い出す。
キツさは感じないけど、2人の告白に対する決断をちゃんと出せるのか不安はある。だから、周りの人に頼るのはいいかもしれない。
――恋愛のことで頼れそうな人は。相談できそうな人は。
そう考えてすぐに頭に思い浮かんだのは……道本と鈴木だ。
道本は男子の中では一番深い付き合いのある親友だし、鈴木は須藤さんと3年以上付き合っている。2人なら、あおいと愛実のどちらを選ぶかを考える上でいいヒントをくれるかもしれない。あおいと愛実から告白されたことも知っているし。
俺はスマホを手に取って、LIMEの道本と鈴木のグループトークを開く。
『突然ごめん。道本と鈴木に、あおいと愛実のことで相談してもいいか?』
というメッセージを送信した。
まだ夜遅くはないし、2人はまだ起きている可能性は高いだろう。そんなことを考えていると、俺の送信したメッセージは『既読2』とマークが付く。
『もちろんだ』
『オレで良ければ相談に乗るぜ! 美里と付き合っているから、何かアドバイスできるかもしれねえ』
道本と鈴木からそんなメッセージが送られてきた。あおいと愛実って名前を出せば、自然と恋愛系の相談だって分かるか。
相談が始まってすらいないのに、2人からのメッセージを見ると心が和らいでくる。
『ありがとう』
と、まずはお礼のメッセージを送り、
『告白されてから、あおいと愛実と過ごす中で……2人のことが好きだって自覚して。どちらか1人と付き合おうとは決めてる。だけど、2人とも魅力的で、大切な女の子で。どちらか1人を選ぶためには、どうやって考えていけばいいのかな』
という本題のメッセージを送信した。道本と鈴木はこのメッセージを見てどう思うだろうか。ちょっと緊張するし、恋愛絡みのことだから気恥ずかしさもあって。
『なるほど。2人とも好きになったのか』
『どっちも魅力的な女子だもんな! もちろん一番は美里だけどな!』
『さすがにそれは分かっているさ、鈴木。香川は可愛い系で、桐山は綺麗系だからな。どっちとも麻丘は幼馴染として仲がいいし。それを知っているから、麻丘が迷う気持ちも分かる』
2人とも、俺の迷いを理解してくれているようだ。それが嬉しい。
『俺は恋愛したり、誰かに恋したりしたことはないからなぁ。ただ、ラブコメの漫画やアニメだと、より一緒にいたいと思ったから選んだっていう話を見たことがある』
「より一緒にいたい……か」
思わず声に出てしまった。
恋人として付き合うってことは、今まで以上に近くて結びつきの強い関係になることだ。恋人になる人とはずっと一緒にいたい。いつかは……恋人から夫婦という関係に変えたい。
『より一緒にいたいと思う方。いい考え方な気がする。ありがとう、道本』
『何かのヒントになったら嬉しい。そういえば、鈴木はどうだったんだ? 須藤に一目惚れして、告白したのがきっかけだけど』
『美里を一目見たとき、『好きだ! 美里と付き合いてえ! 美里と一緒にいてえ!』って思ったな。その気持ちが強くて、美里に何度フラれても告白しちまったけど』
インターハイの応援のときに須藤さんが鈴木との馴れ初めを話してくれたな。その話しでは、須藤さんは何度も鈴木に告白されたって言っていたっけ。
『2人のインターハイを応援した日、須藤さんから馴れ初めを聞いたよ。初デートの帰りのときに、須藤さんから『好き。付き合いたい』って告白されたんだよな』
『おう! あのときは嬉しかったぜ! 初めてデートする中で、美里を好きな気持ちとか一緒にいたい気持ちが膨らんでいったからな』
鈴木が嬉しそうにスマホをタップする姿が目に浮かぶ。
好きな人と初めてデートしたら、好きな気持ちや一緒にいたい気持ちは膨らんでいくよな。
須藤さんは鈴木との初デートが終わったとき、鈴木ともっと一緒にいたいと思った。それをきっかけに鈴木を好きだって自覚したって言っていたな。
『だから、オレも道本が言った『より一緒にいたいと思う方』っていう考え方は凄くいいと思うぜ! 付き合ってからも、美里と一緒にいたい気持ちが強くなっているぜ!』
『彼女持ちの鈴木にそう言われると嬉しい気持ちになるな』
『ははっ、そうか! 長い付き合いになる人になるだろうからな』
『俺も……選んだ人とはずっと一緒にいたいと思ってるよ』
仲のいい鈴木&須藤さんカップルを見ていると、より一緒にいたいと思える人と付き合うのがいいという考えに説得力が増す。
『香川でも、桐山でも……麻丘が考えた末に出した結論なら俺は支持するよ』
『オレもだ! きっと、麻丘なら3人が納得できる答えを出せるって信じてるぜ!』
『俺も信じているぞ、麻丘』
『2人ともありがとう』
友達2人が「俺が出した答えを支持する」と言ってくれると、それだけで安心感がある。
『ただ、時間がかかってもちゃんと答えを出して、それを香川と桐山にきちんと言うんだぞ。2人はきっと勇気を出して麻丘に告白したんだろうから』
『道本の言う通りだな。麻丘の言葉で2人に想いを伝えるのが大事だと思うぞ』
どっちかと付き合うってことは、どっちかの告白を断ることになる。それを考えると心苦しくなるけど、その決断を言葉にして伝えるのは大切なことだ。
海老名さんからの告白は、あおいと愛実を理由に断った。そのことにショックもあると言っていた。涙を流していた。それでも、コアマやお泊まり女子会の夜、昨日アニメを観ているときは笑顔をたくさん見せてくれた。それは俺が返事を言葉にして伝えたからだと思う。あおいと愛実のことについても、告白の返事をきちんと言葉にして伝えたい。
『分かった。相談に乗ってくれてありがとう。考え方を一つ教えてもらって、視界が少し開けた気がする』
『そうか。麻丘の力になれたなら良かったよ』
『納得できる結論を出せるといいな!』
『ああ。2人のことをじっくりと考えてみるよ』
あおいとも愛実とも一緒にいたい気持ちがある。今すぐには決められないけど、これから一緒に過ごす中で考えていきたい。
あおいと愛実はいつでも返事を待っていると言ってくれている。ただ、あおいからは1ヶ月以上前に、愛実からも1ヶ月近く前に告白されている。いつまでも待たせることに申し訳ない気持ちもあって。まずはこの夏休み中に決断するのを目標にしよう。
時間が経つにつれて慣れてきたけど、それでも普段よりアニメに集中できなかった。
「迷うなぁ……」
夕食後。
ベッドに仰向けになって、そんなことを呟く。
あおいと愛実のことが好きだと自覚して。どちらか1人と付き合おうとは決めた。だけど、2人ともとても大切でとても魅力的な女の子だから迷ってしまう。考えれば考えるほど、この迷宮からは出られなさそうだ。
『キツかったり、不安だったりしたら周りの人を頼るんだよ』
あおいに告白された翌日のバイトで、佐藤先生から言われた言葉を思い出す。
キツさは感じないけど、2人の告白に対する決断をちゃんと出せるのか不安はある。だから、周りの人に頼るのはいいかもしれない。
――恋愛のことで頼れそうな人は。相談できそうな人は。
そう考えてすぐに頭に思い浮かんだのは……道本と鈴木だ。
道本は男子の中では一番深い付き合いのある親友だし、鈴木は須藤さんと3年以上付き合っている。2人なら、あおいと愛実のどちらを選ぶかを考える上でいいヒントをくれるかもしれない。あおいと愛実から告白されたことも知っているし。
俺はスマホを手に取って、LIMEの道本と鈴木のグループトークを開く。
『突然ごめん。道本と鈴木に、あおいと愛実のことで相談してもいいか?』
というメッセージを送信した。
まだ夜遅くはないし、2人はまだ起きている可能性は高いだろう。そんなことを考えていると、俺の送信したメッセージは『既読2』とマークが付く。
『もちろんだ』
『オレで良ければ相談に乗るぜ! 美里と付き合っているから、何かアドバイスできるかもしれねえ』
道本と鈴木からそんなメッセージが送られてきた。あおいと愛実って名前を出せば、自然と恋愛系の相談だって分かるか。
相談が始まってすらいないのに、2人からのメッセージを見ると心が和らいでくる。
『ありがとう』
と、まずはお礼のメッセージを送り、
『告白されてから、あおいと愛実と過ごす中で……2人のことが好きだって自覚して。どちらか1人と付き合おうとは決めてる。だけど、2人とも魅力的で、大切な女の子で。どちらか1人を選ぶためには、どうやって考えていけばいいのかな』
という本題のメッセージを送信した。道本と鈴木はこのメッセージを見てどう思うだろうか。ちょっと緊張するし、恋愛絡みのことだから気恥ずかしさもあって。
『なるほど。2人とも好きになったのか』
『どっちも魅力的な女子だもんな! もちろん一番は美里だけどな!』
『さすがにそれは分かっているさ、鈴木。香川は可愛い系で、桐山は綺麗系だからな。どっちとも麻丘は幼馴染として仲がいいし。それを知っているから、麻丘が迷う気持ちも分かる』
2人とも、俺の迷いを理解してくれているようだ。それが嬉しい。
『俺は恋愛したり、誰かに恋したりしたことはないからなぁ。ただ、ラブコメの漫画やアニメだと、より一緒にいたいと思ったから選んだっていう話を見たことがある』
「より一緒にいたい……か」
思わず声に出てしまった。
恋人として付き合うってことは、今まで以上に近くて結びつきの強い関係になることだ。恋人になる人とはずっと一緒にいたい。いつかは……恋人から夫婦という関係に変えたい。
『より一緒にいたいと思う方。いい考え方な気がする。ありがとう、道本』
『何かのヒントになったら嬉しい。そういえば、鈴木はどうだったんだ? 須藤に一目惚れして、告白したのがきっかけだけど』
『美里を一目見たとき、『好きだ! 美里と付き合いてえ! 美里と一緒にいてえ!』って思ったな。その気持ちが強くて、美里に何度フラれても告白しちまったけど』
インターハイの応援のときに須藤さんが鈴木との馴れ初めを話してくれたな。その話しでは、須藤さんは何度も鈴木に告白されたって言っていたっけ。
『2人のインターハイを応援した日、須藤さんから馴れ初めを聞いたよ。初デートの帰りのときに、須藤さんから『好き。付き合いたい』って告白されたんだよな』
『おう! あのときは嬉しかったぜ! 初めてデートする中で、美里を好きな気持ちとか一緒にいたい気持ちが膨らんでいったからな』
鈴木が嬉しそうにスマホをタップする姿が目に浮かぶ。
好きな人と初めてデートしたら、好きな気持ちや一緒にいたい気持ちは膨らんでいくよな。
須藤さんは鈴木との初デートが終わったとき、鈴木ともっと一緒にいたいと思った。それをきっかけに鈴木を好きだって自覚したって言っていたな。
『だから、オレも道本が言った『より一緒にいたいと思う方』っていう考え方は凄くいいと思うぜ! 付き合ってからも、美里と一緒にいたい気持ちが強くなっているぜ!』
『彼女持ちの鈴木にそう言われると嬉しい気持ちになるな』
『ははっ、そうか! 長い付き合いになる人になるだろうからな』
『俺も……選んだ人とはずっと一緒にいたいと思ってるよ』
仲のいい鈴木&須藤さんカップルを見ていると、より一緒にいたいと思える人と付き合うのがいいという考えに説得力が増す。
『香川でも、桐山でも……麻丘が考えた末に出した結論なら俺は支持するよ』
『オレもだ! きっと、麻丘なら3人が納得できる答えを出せるって信じてるぜ!』
『俺も信じているぞ、麻丘』
『2人ともありがとう』
友達2人が「俺が出した答えを支持する」と言ってくれると、それだけで安心感がある。
『ただ、時間がかかってもちゃんと答えを出して、それを香川と桐山にきちんと言うんだぞ。2人はきっと勇気を出して麻丘に告白したんだろうから』
『道本の言う通りだな。麻丘の言葉で2人に想いを伝えるのが大事だと思うぞ』
どっちかと付き合うってことは、どっちかの告白を断ることになる。それを考えると心苦しくなるけど、その決断を言葉にして伝えるのは大切なことだ。
海老名さんからの告白は、あおいと愛実を理由に断った。そのことにショックもあると言っていた。涙を流していた。それでも、コアマやお泊まり女子会の夜、昨日アニメを観ているときは笑顔をたくさん見せてくれた。それは俺が返事を言葉にして伝えたからだと思う。あおいと愛実のことについても、告白の返事をきちんと言葉にして伝えたい。
『分かった。相談に乗ってくれてありがとう。考え方を一つ教えてもらって、視界が少し開けた気がする』
『そうか。麻丘の力になれたなら良かったよ』
『納得できる結論を出せるといいな!』
『ああ。2人のことをじっくりと考えてみるよ』
あおいとも愛実とも一緒にいたい気持ちがある。今すぐには決められないけど、これから一緒に過ごす中で考えていきたい。
あおいと愛実はいつでも返事を待っていると言ってくれている。ただ、あおいからは1ヶ月以上前に、愛実からも1ヶ月近く前に告白されている。いつまでも待たせることに申し訳ない気持ちもあって。まずはこの夏休み中に決断するのを目標にしよう。
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