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特別編
第3話『長年の夢が叶った。』
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午後8時過ぎ。
夕食の時間が終わり、後片付けは真衣さんと宏明さんがしてくださるため、俺は愛実と一緒に愛実の部屋に戻る。
「愛実。カレーもサラダも美味しかったよ。ごちそうさまでした。作ってくれてありがとう」
「いえいえ。リョウ君が美味しそうに食べてくれて嬉しかったよ。カレーをおかわりしてくれたし」
「凄く美味しかったからな」
チキンカツが結構大きかったけど、カレーが美味しかったし、8時間のバイトでお腹が空いていたのもあって、2杯目も難なく食べることができた。
「ありがとう。ご飯を美味しく食べるリョウ君も好きだなって思ったよ。それをすぐ隣から見られて幸せにも感じて」
「俺も愛実達と一緒に夕食を食べて、楽しそうにしている愛実を見て幸せに感じたよ」
愛実に自分の気持ちを素直に言う。それが良かったのか、愛実は俺を見つめながら幸せなそうな笑顔になる。
「リョウ君がそう言ってくれて、より幸せな気持ちになりました。ありがとう、リョウ君」
お礼を言うと、愛実は俺にキスしてきた。感謝の気持ちを伝え合ったり、幸せだと言ったりしたからか、いつもよりも強い幸福感を抱く。
数秒ほどして、愛実から唇を離す。至近距離で目が合うと、愛実はニコッと笑って。そのことで再び幸せな気持ちになる。そして、俺の恋人は本当に可愛いとも。
「夕ご飯を食べ終わったから、次はお風呂だね」
「そうだな。この家に来たときにもそう言ったし」
「うん。この前のお泊まりと同じで、家に来たときにはもうお風呂の準備はできていたよ。だから、いつでも入れるよ」
「そうか。じゃあ……一緒に入るか」
「うんっ!」
愛実はとても嬉しそうに言う。俺と一緒にお風呂に入ることを凄く楽しみにしてくれていたのかな。付き合い始めた日のお泊まりで一緒に入ったときは凄く気持ち良かったし。
「初めてうちのお風呂でリョウ君と一緒に入るね!」
「そういえばそうだな」
これまで愛実の家に何度もお泊まりしたことがあるけど、お風呂は全て俺一人で入っていた。この家のお風呂に初めて一緒に入るから、愛実はとても嬉しそうにしているんだな。理由が分かったから愛実がとても可愛いなと思った。
「ここでの初めてのお風呂、一緒に楽しもうな」
「うんっ! ……あと、この前のお風呂みたいに、髪と背中を洗いっこしたいな。楽しかったし、リョウ君に洗ってもらって気持ち良かったら」
「おっ、いいな。俺も愛実に洗ってもらって気持ち良かったし、今夜も洗いっこしようか」
「うんっ! やった!」
そう言うと、愛実はニッコリとした笑顔になった。相当俺と洗いっこしたいのだと窺える。
「じゃあ、必要なものをもって洗面所に行こうか」
「ああ、そうしよう」
それから、俺と愛実は着替えやタオルなど入浴に必要なものを持って、1階にある浴室に繋がる洗面所に向かう。
洗面所に入って、俺達は互いの姿が見える中で服を脱いでいく。
付き合い始めた日のお泊まりで一緒にお風呂に入り、肌を重ねたことで、愛実の裸は見ている。それでも、とても大きな胸を中心にメリハリのある体つきで、肌が白くて綺麗だから、愛実のことを見ると結構ドキドキする。愛実も同じような気持ちなのか、俺を見ながら顔をほんのりと赤く染めていた。
服や下着を全て脱ぎ終わり、俺は必要なものを持って、愛実と一緒に浴室に入る。
これまでに何度も、お泊まりのときにここのお風呂に入っている。愛実と一緒に入るのは初めてだから浴室の中が新鮮に感じた。
「この家に引っ越してから10年以上、ほぼ毎日お風呂に入っているのに……リョウ君と一緒なのは初めてだから凄く新鮮な感じがするよ」
「俺も新鮮だなって思った」
「そうなんだ。あと、付き合い始めた日に、リョウ君の家の浴室に入ったとき、リョウ君が新鮮な感じだって言った気持ちがよく分かったよ」
「ははっ、そうか。あのときは、当たり前の景色がちょっと違って見えたな」
「そうそう、そういう感じ」
愛実は納得した様子でそう言ってくれる。愛実が俺の言葉に同意してくれたり、気持ちに共感してくれたりすることがとても嬉しい。
「愛実。この前は俺が先に髪と背中を洗ってもらったから、今回は愛実から洗うよ」
「分かった。じゃあ、お願いしようかな」
「ああ」
その後、俺は愛実の髪を洗ったり、背中を流したりした。数日前のお泊まりで洗ったときの感覚を思い出しながら。それもあってか、愛実はとても気持ち良さそうにしていて。鏡に映る愛実のまったりとした笑顔に癒やされた。
愛実が全て洗い終えた後、今度は俺が愛実に髪を洗ってもらったり、背中を流してもらったりした。愛実の手つきはとてもいいから凄く気持ち良くて。髪を洗っているときは、バイトの疲れか少し眠くなってしまうほどだった。
俺の髪と背中を洗い終わり、愛実は一足先に湯船に浸かる。
「あぁ……気持ちいい」
と、愛実は甘い声を出し、鏡に映る湯船に浸かっている様子はとても艶やかで。これが普段、愛実の入浴している姿なのだろう。
体の前面や顔を洗い、俺も湯船に浸かることに。愛実と向かい合う形で湯船に腰を下ろす。
「あぁ、気持ちいいな」
胸元のあたりまでお湯に浸かっているけど、お湯の温かさがとても心地良い。だから、自然と頬が緩んでいく。そんな俺を見ながら、愛実は「ふふっ」と笑う。
「温かくて気持ちいいよね」
「気持ちいいよな。夏も終わりだからか、最近は夜になると過ごしやすくなってきて、お湯の温かさが結構いいなって思えるようになってきた」
「そうだね。これからは段々涼しくなっていくし、お湯がもっと気持ち良く感じられるんだろうね」
「そうだな」
「……あとは、リョウ君と一緒に入っているから気持ちいいんだと思うよ」
「嬉しいことを言ってくれるな。俺も愛実と一緒だからこんなにも気持ちいいんだと思ってるよ」
「……嬉しい」
愛実はそう言うと、俺の目を見ながらニッコリと笑った。恋人の愛実と一緒に湯船に浸かりながら、愛実の笑顔を見られるなんて。幸せな気持ちでいっぱいだ。
晩夏の今の時期でこんなに気持ちいいんだ。これから涼しくなっていって、寒い季節に一緒に入ったらどれだけ気持ち良く感じられるのだろう。想像しただけで楽しみだ。
「お泊まりのときを中心に、これからもこうして一緒に風呂に入ろうな。ここのお風呂でも、俺の家の風呂でも」
「うんっ、そうだね!」
愛実はとても嬉しそうに、弾んだ声でそう言ってくれる。ボリュームが大きめなので浴室内に愛実の声が響いて。ただ、その響きがとても心地良かった。
前回は入浴剤を入れて濁り湯だったけど、今回は何も入れていないので透明なお湯だ。だから、お湯に浸かっている部分も愛実の体がぼんやりと見えて。たまに、愛実は手で肩にお湯をかけているのもあり、いつもよりもかなり大人っぽくて、艶っぽい雰囲気で。ドキドキする。
俺と一緒に入浴して凄く気持ちいいと言っているから、愛実はとても柔らかな笑顔になっている。俺と目が合うと、愛実の口角がさらに上がる。
「うちのお風呂に、リョウ君と一緒に入れる日が来るなんて。しかも、恋人同士になって。夢なんじゃないかって思えるくらいに幸せだよ」
「そうか。そう言ってくれて嬉しいな。愛実はずっと前から俺のことが好きなんだもんな」
「うん。うちでもお泊まりは何度もしたことがあるけど、お風呂に一緒に入ったことはなかったじゃない。恋人にならないと入ることはないんだろうなって思ってて。いつか、そういう日が来てほしいなって思ったことが何度もあって。だから、リョウ君と一緒に入ることができてとても嬉しいです。長年の夢が叶ったよ」
「ははっ、そうか。それを聞くと、お風呂がもっと気持ち良く感じるよ」
愛実の想いが湯船のお湯の温かさへと変わり、俺の体を優しく包み込んでいるような気がして。
愛実の幸福感溢れる笑顔を見ると、俺と一緒にこのお風呂に入りたかった気持ちが強いことが窺える。
もしかしたら、自分の家のお風呂に俺と一緒に初めて入浴することも、今回のお泊まりに誘ってくれた理由の一つだったのかもしれない。
「さっき、リョウ君が言ってくれたように、ここやリョウ君の家で一緒にお風呂にたくさん入っていきたいね。それで、いつかは……一緒に住んで、一緒にお風呂に入るのが日常の一つになったら嬉しいな」
俺の目を見つめながらそう言い、愛実は彼女らしい優しい笑顔を見せる。 その笑顔にキュンとして、温かな気持ちになる。
10年以上の間、愛実とは隣同士の家で過ごしてきた。それでも、一緒に住み、お風呂に入るのが日常の一つになるというのは、凄く素敵な夢だと思う。
「そうだな。愛実が言ったことを俺も現実にしたいと思うよ」
「リョウ君……」
「そうなれるように一日一日を大切にして、一緒に過ごしていこう」
「うんっ」
愛実と一緒に過ごすようになるのはいつになるだろうか。学生時代の間か。それとも、社会人になってからか。それは分からないけど、ニコッと笑いかけてくれる愛実を見ていると、いつか必ず愛実の言ったことが現実になると信じられる。
「リョウ君。そっちに行って抱きしめてもいい? 一緒に、って何度も言ったら、リョウ君とくっつきたくなって」
「ははっ、そっか。可愛いな。……どうぞ」
愛実が抱きしめやすいように、両脚を開いて、両手を広げる。
「ありがとう」
と、嬉しそうにお礼を言い、愛実はゆっくりと俺に近づいてくる。その流れで俺のことを抱きしめてきて。
愛実に抱きしめられることで、お湯だけじゃなくて愛実からも優しい温もりが伝わってくる。胸を中心に愛実の柔らかさも伝わり、ボディーソープやシャンプーの甘い匂いも香ってくるので凄く気持ちいい。そう思いながら、俺は愛実のことを優しく抱きしめた。
「リョウ君の温もりも感じるから、もっともっと気持ち良くなったよ」
「俺も愛実から温もりを感じて凄く気持ちいいよ。柔らかい胸も当たっているし」
「ふふっ。リョウ君、私の胸が好きだもんね」
「まあな」
「ふふっ。リョウ君と抱きしめ合って、もっと幸せな気持ちになってる。リョウ君、大好き」
甘い声でそう言うと、愛実は俺にキスしてきた。
お風呂に入っているから、いつもより愛実の唇が温かく、湿っていて。普段とはちょっと違った感じのキスで。お湯や愛実の体によって温もりに包まれているけど、唇から伝わってくる温もりは特別な感じがした。裸の愛実を抱きしめているのでかなりドキッとして。
10秒ほどで愛実の方から唇を離す。目の前には愛実の恍惚とした笑顔が。
「いつものキスよりもドキッとするね」
「そうだな。裸で抱きしめ合っているもんな」
「そうだね。でも、凄く気持ちいい」
「ああ。だから、もっとしたい」
「……私も」
愛実は目を瞑り、口を少しすぼめる。今度は俺からキスしてってことか。キス待ちする愛実が可愛いと思いつつ、俺は愛実にキスした。
それから湯船に出るまでの間、抱きしめ合ったり、俺が後ろから愛実を抱きしめたりしながら体を触れ合い続けた。抱きしめ合っているときは、互いに首筋やデコルテにキスしたりもして。そうするときに甘い声を漏らす愛実が本当に可愛くて。
愛実の家で愛実と初めて一緒に入ったお風呂は、とても気持ち良くて幸せな時間になったのであった。
夕食の時間が終わり、後片付けは真衣さんと宏明さんがしてくださるため、俺は愛実と一緒に愛実の部屋に戻る。
「愛実。カレーもサラダも美味しかったよ。ごちそうさまでした。作ってくれてありがとう」
「いえいえ。リョウ君が美味しそうに食べてくれて嬉しかったよ。カレーをおかわりしてくれたし」
「凄く美味しかったからな」
チキンカツが結構大きかったけど、カレーが美味しかったし、8時間のバイトでお腹が空いていたのもあって、2杯目も難なく食べることができた。
「ありがとう。ご飯を美味しく食べるリョウ君も好きだなって思ったよ。それをすぐ隣から見られて幸せにも感じて」
「俺も愛実達と一緒に夕食を食べて、楽しそうにしている愛実を見て幸せに感じたよ」
愛実に自分の気持ちを素直に言う。それが良かったのか、愛実は俺を見つめながら幸せなそうな笑顔になる。
「リョウ君がそう言ってくれて、より幸せな気持ちになりました。ありがとう、リョウ君」
お礼を言うと、愛実は俺にキスしてきた。感謝の気持ちを伝え合ったり、幸せだと言ったりしたからか、いつもよりも強い幸福感を抱く。
数秒ほどして、愛実から唇を離す。至近距離で目が合うと、愛実はニコッと笑って。そのことで再び幸せな気持ちになる。そして、俺の恋人は本当に可愛いとも。
「夕ご飯を食べ終わったから、次はお風呂だね」
「そうだな。この家に来たときにもそう言ったし」
「うん。この前のお泊まりと同じで、家に来たときにはもうお風呂の準備はできていたよ。だから、いつでも入れるよ」
「そうか。じゃあ……一緒に入るか」
「うんっ!」
愛実はとても嬉しそうに言う。俺と一緒にお風呂に入ることを凄く楽しみにしてくれていたのかな。付き合い始めた日のお泊まりで一緒に入ったときは凄く気持ち良かったし。
「初めてうちのお風呂でリョウ君と一緒に入るね!」
「そういえばそうだな」
これまで愛実の家に何度もお泊まりしたことがあるけど、お風呂は全て俺一人で入っていた。この家のお風呂に初めて一緒に入るから、愛実はとても嬉しそうにしているんだな。理由が分かったから愛実がとても可愛いなと思った。
「ここでの初めてのお風呂、一緒に楽しもうな」
「うんっ! ……あと、この前のお風呂みたいに、髪と背中を洗いっこしたいな。楽しかったし、リョウ君に洗ってもらって気持ち良かったら」
「おっ、いいな。俺も愛実に洗ってもらって気持ち良かったし、今夜も洗いっこしようか」
「うんっ! やった!」
そう言うと、愛実はニッコリとした笑顔になった。相当俺と洗いっこしたいのだと窺える。
「じゃあ、必要なものをもって洗面所に行こうか」
「ああ、そうしよう」
それから、俺と愛実は着替えやタオルなど入浴に必要なものを持って、1階にある浴室に繋がる洗面所に向かう。
洗面所に入って、俺達は互いの姿が見える中で服を脱いでいく。
付き合い始めた日のお泊まりで一緒にお風呂に入り、肌を重ねたことで、愛実の裸は見ている。それでも、とても大きな胸を中心にメリハリのある体つきで、肌が白くて綺麗だから、愛実のことを見ると結構ドキドキする。愛実も同じような気持ちなのか、俺を見ながら顔をほんのりと赤く染めていた。
服や下着を全て脱ぎ終わり、俺は必要なものを持って、愛実と一緒に浴室に入る。
これまでに何度も、お泊まりのときにここのお風呂に入っている。愛実と一緒に入るのは初めてだから浴室の中が新鮮に感じた。
「この家に引っ越してから10年以上、ほぼ毎日お風呂に入っているのに……リョウ君と一緒なのは初めてだから凄く新鮮な感じがするよ」
「俺も新鮮だなって思った」
「そうなんだ。あと、付き合い始めた日に、リョウ君の家の浴室に入ったとき、リョウ君が新鮮な感じだって言った気持ちがよく分かったよ」
「ははっ、そうか。あのときは、当たり前の景色がちょっと違って見えたな」
「そうそう、そういう感じ」
愛実は納得した様子でそう言ってくれる。愛実が俺の言葉に同意してくれたり、気持ちに共感してくれたりすることがとても嬉しい。
「愛実。この前は俺が先に髪と背中を洗ってもらったから、今回は愛実から洗うよ」
「分かった。じゃあ、お願いしようかな」
「ああ」
その後、俺は愛実の髪を洗ったり、背中を流したりした。数日前のお泊まりで洗ったときの感覚を思い出しながら。それもあってか、愛実はとても気持ち良さそうにしていて。鏡に映る愛実のまったりとした笑顔に癒やされた。
愛実が全て洗い終えた後、今度は俺が愛実に髪を洗ってもらったり、背中を流してもらったりした。愛実の手つきはとてもいいから凄く気持ち良くて。髪を洗っているときは、バイトの疲れか少し眠くなってしまうほどだった。
俺の髪と背中を洗い終わり、愛実は一足先に湯船に浸かる。
「あぁ……気持ちいい」
と、愛実は甘い声を出し、鏡に映る湯船に浸かっている様子はとても艶やかで。これが普段、愛実の入浴している姿なのだろう。
体の前面や顔を洗い、俺も湯船に浸かることに。愛実と向かい合う形で湯船に腰を下ろす。
「あぁ、気持ちいいな」
胸元のあたりまでお湯に浸かっているけど、お湯の温かさがとても心地良い。だから、自然と頬が緩んでいく。そんな俺を見ながら、愛実は「ふふっ」と笑う。
「温かくて気持ちいいよね」
「気持ちいいよな。夏も終わりだからか、最近は夜になると過ごしやすくなってきて、お湯の温かさが結構いいなって思えるようになってきた」
「そうだね。これからは段々涼しくなっていくし、お湯がもっと気持ち良く感じられるんだろうね」
「そうだな」
「……あとは、リョウ君と一緒に入っているから気持ちいいんだと思うよ」
「嬉しいことを言ってくれるな。俺も愛実と一緒だからこんなにも気持ちいいんだと思ってるよ」
「……嬉しい」
愛実はそう言うと、俺の目を見ながらニッコリと笑った。恋人の愛実と一緒に湯船に浸かりながら、愛実の笑顔を見られるなんて。幸せな気持ちでいっぱいだ。
晩夏の今の時期でこんなに気持ちいいんだ。これから涼しくなっていって、寒い季節に一緒に入ったらどれだけ気持ち良く感じられるのだろう。想像しただけで楽しみだ。
「お泊まりのときを中心に、これからもこうして一緒に風呂に入ろうな。ここのお風呂でも、俺の家の風呂でも」
「うんっ、そうだね!」
愛実はとても嬉しそうに、弾んだ声でそう言ってくれる。ボリュームが大きめなので浴室内に愛実の声が響いて。ただ、その響きがとても心地良かった。
前回は入浴剤を入れて濁り湯だったけど、今回は何も入れていないので透明なお湯だ。だから、お湯に浸かっている部分も愛実の体がぼんやりと見えて。たまに、愛実は手で肩にお湯をかけているのもあり、いつもよりもかなり大人っぽくて、艶っぽい雰囲気で。ドキドキする。
俺と一緒に入浴して凄く気持ちいいと言っているから、愛実はとても柔らかな笑顔になっている。俺と目が合うと、愛実の口角がさらに上がる。
「うちのお風呂に、リョウ君と一緒に入れる日が来るなんて。しかも、恋人同士になって。夢なんじゃないかって思えるくらいに幸せだよ」
「そうか。そう言ってくれて嬉しいな。愛実はずっと前から俺のことが好きなんだもんな」
「うん。うちでもお泊まりは何度もしたことがあるけど、お風呂に一緒に入ったことはなかったじゃない。恋人にならないと入ることはないんだろうなって思ってて。いつか、そういう日が来てほしいなって思ったことが何度もあって。だから、リョウ君と一緒に入ることができてとても嬉しいです。長年の夢が叶ったよ」
「ははっ、そうか。それを聞くと、お風呂がもっと気持ち良く感じるよ」
愛実の想いが湯船のお湯の温かさへと変わり、俺の体を優しく包み込んでいるような気がして。
愛実の幸福感溢れる笑顔を見ると、俺と一緒にこのお風呂に入りたかった気持ちが強いことが窺える。
もしかしたら、自分の家のお風呂に俺と一緒に初めて入浴することも、今回のお泊まりに誘ってくれた理由の一つだったのかもしれない。
「さっき、リョウ君が言ってくれたように、ここやリョウ君の家で一緒にお風呂にたくさん入っていきたいね。それで、いつかは……一緒に住んで、一緒にお風呂に入るのが日常の一つになったら嬉しいな」
俺の目を見つめながらそう言い、愛実は彼女らしい優しい笑顔を見せる。 その笑顔にキュンとして、温かな気持ちになる。
10年以上の間、愛実とは隣同士の家で過ごしてきた。それでも、一緒に住み、お風呂に入るのが日常の一つになるというのは、凄く素敵な夢だと思う。
「そうだな。愛実が言ったことを俺も現実にしたいと思うよ」
「リョウ君……」
「そうなれるように一日一日を大切にして、一緒に過ごしていこう」
「うんっ」
愛実と一緒に過ごすようになるのはいつになるだろうか。学生時代の間か。それとも、社会人になってからか。それは分からないけど、ニコッと笑いかけてくれる愛実を見ていると、いつか必ず愛実の言ったことが現実になると信じられる。
「リョウ君。そっちに行って抱きしめてもいい? 一緒に、って何度も言ったら、リョウ君とくっつきたくなって」
「ははっ、そっか。可愛いな。……どうぞ」
愛実が抱きしめやすいように、両脚を開いて、両手を広げる。
「ありがとう」
と、嬉しそうにお礼を言い、愛実はゆっくりと俺に近づいてくる。その流れで俺のことを抱きしめてきて。
愛実に抱きしめられることで、お湯だけじゃなくて愛実からも優しい温もりが伝わってくる。胸を中心に愛実の柔らかさも伝わり、ボディーソープやシャンプーの甘い匂いも香ってくるので凄く気持ちいい。そう思いながら、俺は愛実のことを優しく抱きしめた。
「リョウ君の温もりも感じるから、もっともっと気持ち良くなったよ」
「俺も愛実から温もりを感じて凄く気持ちいいよ。柔らかい胸も当たっているし」
「ふふっ。リョウ君、私の胸が好きだもんね」
「まあな」
「ふふっ。リョウ君と抱きしめ合って、もっと幸せな気持ちになってる。リョウ君、大好き」
甘い声でそう言うと、愛実は俺にキスしてきた。
お風呂に入っているから、いつもより愛実の唇が温かく、湿っていて。普段とはちょっと違った感じのキスで。お湯や愛実の体によって温もりに包まれているけど、唇から伝わってくる温もりは特別な感じがした。裸の愛実を抱きしめているのでかなりドキッとして。
10秒ほどで愛実の方から唇を離す。目の前には愛実の恍惚とした笑顔が。
「いつものキスよりもドキッとするね」
「そうだな。裸で抱きしめ合っているもんな」
「そうだね。でも、凄く気持ちいい」
「ああ。だから、もっとしたい」
「……私も」
愛実は目を瞑り、口を少しすぼめる。今度は俺からキスしてってことか。キス待ちする愛実が可愛いと思いつつ、俺は愛実にキスした。
それから湯船に出るまでの間、抱きしめ合ったり、俺が後ろから愛実を抱きしめたりしながら体を触れ合い続けた。抱きしめ合っているときは、互いに首筋やデコルテにキスしたりもして。そうするときに甘い声を漏らす愛実が本当に可愛くて。
愛実の家で愛実と初めて一緒に入ったお風呂は、とても気持ち良くて幸せな時間になったのであった。
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