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俺が千景と屋上で話してから、千景は変わった。
オドオドしていた話し方はなりを潜め、言いたいことを言うようになったようだ。
何がそう吹っ切れさせたのかは分からない。
けれど、その態度のおかげなのか、千景には友人ができて、その友人と楽しく話している様子を見かけることが増えた。
俺の中に、フツフツと怒りが湧いた。
自分から離れておいて、自分は和樹と付き合っておいて、俺は千景に恋人どころか友達すらできることを許せなかった。
そんな時、千景が2日休んだ。
3日目に千景を見て俺は焦って千景のところまで走った。
「千景!!」
「青砥……? どうしたの? こんな朝早くから」
びくりと肩を跳ねさせた千景が俺を見てそう言った。
口調は今までと変わらないものの、どこか他人行儀な話し方に俺はムカムカした。
「千景の方こそどうしたんだよ、最近。話す相手が出来たみたいだけど」
「ああ。うん。実はそうなんだ。僕に友達がいなかったから心配してくれていたの? ありがとう」
友達がいないことの心配なんかするわけない。
「ちがう! 俺は、今の状況を心配しているんだ! 千景みたいに不器用な子が友達なんか作ったってすぐ裏切られるよ?」
だから千景は誰とも関わらず俺とだけ関わればいい。
「そうかな。まぁ、そうだとしても良いんだ。どの道、1年もしたら青砥とも皆んなとも関わることはなくなるんだから」
違う。千景は卒業したって俺と関わるんだ。
「俺とはまた付き合うだろ? 勝手に離れていこうとするなよ」
「何言ってるの? 僕から先に離れて行ったのは青砥だよ」
「だから言ってるだろ!? 和樹は病気で長く無いから、その間だけだって! 俺には千景だけだよ」
俺のそんな言葉に、以前ならもっと笑顔を見せていたはずだ。喜んでいたはずだ。
それなのに千景は困ったように愛想笑いを返した。
「ごめんね、青砥。僕はもう君とよりを戻す気はない。好きな人ができたんだ」
「は!? こんな短期間で!? そんなの俺、知らないし許してないけど」
好きな人? いくら拗ねるにしても限度がある。
「ふふ。なんで青砥の許可がいるんだよ」
千景は本当に想い人がいるみたいに嬉しそうに笑った。
「なあ。いい加減拗ねるのはよしてよ。優しい千景なら俺の気持ち分かるだろ?」
優しく諭せば千景なら折れてくれるでしょ?
けれど千景は無慈悲にも冷たく言い放った。
「いや、分からないや。ごめん」
「千景っ!」
なんで、なんで分かってくれない。
千景が俺を好きなんでしょう?
俺も千景を好きだけど、千景が俺に告白してきたんでしょ?
千景に手を伸ばして触れそうになった瞬間。
バチッッッッ!!!!!!!
千景と俺の間に火花が走り、千景に伸ばしていた手に激痛が走った。
「千景……お前」
千景の言っていたことは本当なのか。
本当に好きな人ができたのか。
それがこの化物みたいに強いマーキングの相手だと言うのか。
俺の手は激痛だというのに千景はけろっとしていて無性に腹が立った。
「青砥、大丈夫? 今の静電気、かな」
「静電気なんかじゃ無い。だって千景は痛くも痒くもなかっただろ」
「え、確かに。そう言えばそうだった」
この化物レベルのマーキングをのほほんと静電気だと思っている千景が好きだと言う相手がこんなマーキングをするわけがない。
きっと、悪質なアルファに千景は騙されているんだ。
「アルファのマーキング……。だけど、まだ触れてすら無いタイミングでって、千景どんなアルファに目をつけられたんだよ」
「え?」
「そのアルファに弱みでも握られたか? それとも薄情ものの千景はたったの1年も俺を待てないのか?」
「薄情ものって。それって青砥の自己紹介?」
「お前……」
言い返せるようになったみたいだと思っていたけれど、ここまで皮肉めいたことが言えるようになったなんて、千景を騙しているアルファが変な影響を与えているに違いないと思った。
オドオドしていた話し方はなりを潜め、言いたいことを言うようになったようだ。
何がそう吹っ切れさせたのかは分からない。
けれど、その態度のおかげなのか、千景には友人ができて、その友人と楽しく話している様子を見かけることが増えた。
俺の中に、フツフツと怒りが湧いた。
自分から離れておいて、自分は和樹と付き合っておいて、俺は千景に恋人どころか友達すらできることを許せなかった。
そんな時、千景が2日休んだ。
3日目に千景を見て俺は焦って千景のところまで走った。
「千景!!」
「青砥……? どうしたの? こんな朝早くから」
びくりと肩を跳ねさせた千景が俺を見てそう言った。
口調は今までと変わらないものの、どこか他人行儀な話し方に俺はムカムカした。
「千景の方こそどうしたんだよ、最近。話す相手が出来たみたいだけど」
「ああ。うん。実はそうなんだ。僕に友達がいなかったから心配してくれていたの? ありがとう」
友達がいないことの心配なんかするわけない。
「ちがう! 俺は、今の状況を心配しているんだ! 千景みたいに不器用な子が友達なんか作ったってすぐ裏切られるよ?」
だから千景は誰とも関わらず俺とだけ関わればいい。
「そうかな。まぁ、そうだとしても良いんだ。どの道、1年もしたら青砥とも皆んなとも関わることはなくなるんだから」
違う。千景は卒業したって俺と関わるんだ。
「俺とはまた付き合うだろ? 勝手に離れていこうとするなよ」
「何言ってるの? 僕から先に離れて行ったのは青砥だよ」
「だから言ってるだろ!? 和樹は病気で長く無いから、その間だけだって! 俺には千景だけだよ」
俺のそんな言葉に、以前ならもっと笑顔を見せていたはずだ。喜んでいたはずだ。
それなのに千景は困ったように愛想笑いを返した。
「ごめんね、青砥。僕はもう君とよりを戻す気はない。好きな人ができたんだ」
「は!? こんな短期間で!? そんなの俺、知らないし許してないけど」
好きな人? いくら拗ねるにしても限度がある。
「ふふ。なんで青砥の許可がいるんだよ」
千景は本当に想い人がいるみたいに嬉しそうに笑った。
「なあ。いい加減拗ねるのはよしてよ。優しい千景なら俺の気持ち分かるだろ?」
優しく諭せば千景なら折れてくれるでしょ?
けれど千景は無慈悲にも冷たく言い放った。
「いや、分からないや。ごめん」
「千景っ!」
なんで、なんで分かってくれない。
千景が俺を好きなんでしょう?
俺も千景を好きだけど、千景が俺に告白してきたんでしょ?
千景に手を伸ばして触れそうになった瞬間。
バチッッッッ!!!!!!!
千景と俺の間に火花が走り、千景に伸ばしていた手に激痛が走った。
「千景……お前」
千景の言っていたことは本当なのか。
本当に好きな人ができたのか。
それがこの化物みたいに強いマーキングの相手だと言うのか。
俺の手は激痛だというのに千景はけろっとしていて無性に腹が立った。
「青砥、大丈夫? 今の静電気、かな」
「静電気なんかじゃ無い。だって千景は痛くも痒くもなかっただろ」
「え、確かに。そう言えばそうだった」
この化物レベルのマーキングをのほほんと静電気だと思っている千景が好きだと言う相手がこんなマーキングをするわけがない。
きっと、悪質なアルファに千景は騙されているんだ。
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「え?」
「そのアルファに弱みでも握られたか? それとも薄情ものの千景はたったの1年も俺を待てないのか?」
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