31 / 43
29
しおりを挟む
帰りの車の中では、四宮は千秋と一緒に後部座席に座ってずっと抱きしめていてくれた。
「……僕が、あの人たちの家族だったって知ってたんだね」
千秋がそう言うと、四宮は優しく千秋の頭を撫でた。
「ごめんね……気持ち悪いと思われるかもしれないと思って黙っていたんだけど、千秋のことは大体調べた。だけど、調べても千秋はずっとあの屋敷の中で生活していたから、屋敷の中であそこまでひどい扱いを受けているとは知らなかった。今日のパーティーへの参加者を確認していなくてごめん。こんなことは未然に防げたのに、俺のせいだ」
「ううん。晴臣が来てくれて本当に嬉しかったよ。守ってくれてありがとう」
ギュッと四宮に抱きくと背中を優しくポンポンと叩いてくれて千秋はいつの間にか眠りについていた。
目が覚めたら、千秋は自分のベットの上にいて、隣で四宮が眠っていた。
胸がドキドキしてきて体の奥底の方から幸せだという気持ちが湧き上がってくる。
けれど、それと同時に千秋は四宮に守られてばかりで、四宮に対して何も出来ていないことに不安を感じていた。
四宮のために、自分は何ができるのか。
千秋には見当もつかなかった。
「千秋、おはよう」
晴臣が重そうにまぶたを開けて、千秋を見た。
「おはよう、晴臣」
「どうしたの?」
「え?」
「何か難しいこと考えてるでしょ?」
「か、考えてないよ。ただ」
「ただ?」
「ただ、晴臣と一緒にいるのが幸せすぎて僕はどうやったらそれが返せるかなって、思って」
千秋がそう呟くと、四宮は愉快そうにククと笑った。
「かわいいなぁ千秋は。俺は千秋が居てくれるだけで幸せだよ。千秋を見てるだけで癒されるし、仕事の疲れも吹っ飛ぶし、俺は千秋の全部が好きなんだから、千秋はもう存在しているだけで俺に利があるんだよ」
唐突な四宮の褒めの勢いに押され千秋は若干引き気味に四宮を見た。
「い、言い過ぎじゃない?」
「言い足りないくらいだよ」
四宮が千秋を抱き寄せて、ベットの中で密着すると千秋はドキドキと胸が高なった。
『四宮様、起床時間を5分ほど過ぎております』
「ああ」
扉の外から熊井の声が聞こえ、四宮は名残惜しそうに千秋の体を離し、上体を起こした。
「ごめんね。今日は大事な会議がいくつか入っているからいつもより少し遅くなりそうなんだ。屋敷の中で暇だと思うけど、入用があったらなんでも熊井に伝えてね」
「うん、ありがとう。お仕事気をつけてね」
四宮は嬉しそうに微笑み、千秋の額にキスをした。
「千秋は昨日のことで疲れてるでしょう? まだ眠っていて」
「僕、疲れてないよ。一緒に起きるよ」
「だーめ。心配なんだ。まだ朝早いから、俺を安心させると思ってもう少し寝ててよ」
「……わかった」
「ありがとう。じゃあ、行ってきます」
「……行ってらっしゃい」
四宮はそれから身支度をして慌ただしく出社していった。
「……僕が、あの人たちの家族だったって知ってたんだね」
千秋がそう言うと、四宮は優しく千秋の頭を撫でた。
「ごめんね……気持ち悪いと思われるかもしれないと思って黙っていたんだけど、千秋のことは大体調べた。だけど、調べても千秋はずっとあの屋敷の中で生活していたから、屋敷の中であそこまでひどい扱いを受けているとは知らなかった。今日のパーティーへの参加者を確認していなくてごめん。こんなことは未然に防げたのに、俺のせいだ」
「ううん。晴臣が来てくれて本当に嬉しかったよ。守ってくれてありがとう」
ギュッと四宮に抱きくと背中を優しくポンポンと叩いてくれて千秋はいつの間にか眠りについていた。
目が覚めたら、千秋は自分のベットの上にいて、隣で四宮が眠っていた。
胸がドキドキしてきて体の奥底の方から幸せだという気持ちが湧き上がってくる。
けれど、それと同時に千秋は四宮に守られてばかりで、四宮に対して何も出来ていないことに不安を感じていた。
四宮のために、自分は何ができるのか。
千秋には見当もつかなかった。
「千秋、おはよう」
晴臣が重そうにまぶたを開けて、千秋を見た。
「おはよう、晴臣」
「どうしたの?」
「え?」
「何か難しいこと考えてるでしょ?」
「か、考えてないよ。ただ」
「ただ?」
「ただ、晴臣と一緒にいるのが幸せすぎて僕はどうやったらそれが返せるかなって、思って」
千秋がそう呟くと、四宮は愉快そうにククと笑った。
「かわいいなぁ千秋は。俺は千秋が居てくれるだけで幸せだよ。千秋を見てるだけで癒されるし、仕事の疲れも吹っ飛ぶし、俺は千秋の全部が好きなんだから、千秋はもう存在しているだけで俺に利があるんだよ」
唐突な四宮の褒めの勢いに押され千秋は若干引き気味に四宮を見た。
「い、言い過ぎじゃない?」
「言い足りないくらいだよ」
四宮が千秋を抱き寄せて、ベットの中で密着すると千秋はドキドキと胸が高なった。
『四宮様、起床時間を5分ほど過ぎております』
「ああ」
扉の外から熊井の声が聞こえ、四宮は名残惜しそうに千秋の体を離し、上体を起こした。
「ごめんね。今日は大事な会議がいくつか入っているからいつもより少し遅くなりそうなんだ。屋敷の中で暇だと思うけど、入用があったらなんでも熊井に伝えてね」
「うん、ありがとう。お仕事気をつけてね」
四宮は嬉しそうに微笑み、千秋の額にキスをした。
「千秋は昨日のことで疲れてるでしょう? まだ眠っていて」
「僕、疲れてないよ。一緒に起きるよ」
「だーめ。心配なんだ。まだ朝早いから、俺を安心させると思ってもう少し寝ててよ」
「……わかった」
「ありがとう。じゃあ、行ってきます」
「……行ってらっしゃい」
四宮はそれから身支度をして慌ただしく出社していった。
91
あなたにおすすめの小説
俺のこと好きになってよ! 【オメガバース】
いちみやりょう
BL
泉 嶺二(医者) × 結城 静
先生と初めて話した時は、初めて人間扱いをされたような気持ちだった。
だから俺は、雛鳥が初めて見たものを親だと思うように、俺を初めて人間にしてくれた先生に恋をした。
「先生先生っ、俺18歳になったら孤児院を追い出されるんだけど、そしたらさ、俺を雇ってよ! 俺家事できるし!」
「はぁ? てめぇの世話くらいてめぇでできるわ。アホ」
「で、でもでも、俺、オメガだし就職するの難しいんだよ。雇ってくれるところがないんだよ! ね? お願い!」
ーーー
どれだけ好きだと言っても、先生は答えてくれない。
嫌がらせにあっているのだと言っても、信じてくれない。
先生の中で俺は、孤児で甘え方を知らないうるさいガキでしかなかった。
寂しくて、嫌がらせを受けているなんて嘘を吐くようなガキでしかなかった。
そんなとき、静は事故にあった
※主人公うるさめ
※話のつながりは特にありませんが、「器量なしのオメガの僕は」に出てくる泉先生のお話です。
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
親友の大事な人を好きになりました
すずかけあおい
BL
親友の陸翔から「大事な人との待ち合わせに代わりに行ってほしい」と言われて想は待ち合わせ場所に向かう。
そこに立っている男性、瑛大の姿を見て一目で惹かれてしまう。
ハッピーエンドです。概要はタグをご覧ください。
〔攻め〕瑛大(えいた)大学二年
〔受け〕想(そう)高校二年
夫には好きな相手がいるようです。愛されない僕は針と糸で未来を縫い直します。
伊織
BL
裕福な呉服屋の三男・桐生千尋(きりゅう ちひろ)は、行商人の家の次男・相馬誠一(そうま せいいち)と結婚した。
子どもの頃に憧れていた相手との結婚だったけれど、誠一はほとんど笑わず、冷たい態度ばかり。
ある日、千尋は誠一宛てに届いた女性からの恋文を見つけてしまう。
――自分はただ、家からの援助目当てで選ばれただけなのか?
失望と涙の中で、千尋は気づく。
「誠一に頼らず、自分の力で生きてみたい」
針と糸を手に、幼い頃から得意だった裁縫を活かして、少しずつ自分の居場所を築き始める。
やがて町の人々に必要とされ、笑顔を取り戻していく千尋。
そんな千尋を見て、誠一の心もまた揺れ始めて――。
涙から始まる、すれ違い夫婦の再生と恋の物語。
※本作は明治時代初期~中期をイメージしていますが、BL作品としての物語性を重視し、史実とは異なる設定や表現があります。
※誤字脱字などお気づきの点があるかもしれませんが、温かい目で読んでいただければ嬉しいです。
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」
学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。
生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。
静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。
しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。
「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」
玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。
それから十年。
静の容姿は昔の面影がないほど美しくなり、玲を惚れさせた上で捨てようとするが…
大人な貴方とはじめてを
すずかけあおい
BL
整った外見と穏やかな性格で、全社員が憧れているのではというほどに人気の崎森。
地味で平凡な松田にとっては遠い世界の人だったのに、突然崎森から告白されて――。
〔攻め〕崎森 志眞
〔受け〕松田 幸成
外部サイトでも同作品を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる