僕はナイチンゲール

いちみやりょう

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病気? ※出血表現あり

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銀次さんから貰ったお酒の包紙を開けてみるとお酒に詳しくない僕でも知っているくらい有名な日本酒だった。

「これは結構甘いから伊月くんも飲めると想うよ」
「はい、ありがとうございます」

そうして3つのグラスに注いで乾杯した。

一口飲んでみると蜜のように甘かった。
少しトロリとしたような感じで普段お酒を呑まない僕でももっと呑みたいと思うほど美味しい。
ご飯を食べて、ケーキの箱を開けると苺の生クリームのケーキの上に乗ったチョコレートのプレートに“いつきくん たんじょうび おめでとう”と書かれていて、僕は不覚にもまた泣いてしまいそうになった。

そのケーキを切り分けて食べた後はウトウトとしてきてしまった。
頭がふわふわして気持ちがいい。

「おーい、いつきくーん。だめだ、完全に寝ちゃってる」

銀次さんの声ははっきりと聞こえている。
だけど、ふわふわが気持ちがよくて目が開けられなかった。

「呑ませすぎだ」
「只野だって止めなかったでしょう? まさか潰れちゃうと思わなかったけど、悪いことしちゃったかな」
「いや、こいつも楽しんでたし、たまにはいいんじゃないか」
「はは。そうだね」

銀次さんの大きくて暖かい手が僕の頭を撫でながら2人は会話をしていた。

「お前……、勘違いさせるような行動はやめろよ」
「え?」
「お前も気がついているんじゃないのか? こいつはお前のことを好きになりかけてる……。いや、もう好きになってしまってるって。だが、お前はこいつと同じ意味でこいつのことが好きなわけじゃないんだろう? 過剰なスキンシップはこいつを勘違いさせて、いつか傷つけることになる」

銀次さんの僕を撫でる手がピクリと動いた。
僕も、ふわふわした頭が一気に冷水をかけられたように冷めた。
嫌だ。この後、銀次さんがなんて言うのかを僕は聞きたくない。

聞きたくない。

「伊月くんが俺を? ありえないよ」

銀次さんが冷たい声でそう言った。

「ありえた場合はどうするんだ」
「ありえないけど、そうなっても俺は……受け止められない」
「なら過剰に構うのはやめてやれ。そうすればこいつも無駄な期待はしなくて済むんだ」
「……わかった」

なんで。
僕は伝える気なんてなかったのに。
それなのに、想いを伝えてもいないのに振られてしまった。
結果が分かっていることと、実際に本人の口から聞くことでは大きく違う。
僕の心臓はバクバクと鳴っていて、その音が銀次さんや只野さんにバレるんじゃないかと怖くて仕方なかった。
さっきまでの嬉し涙とは違う涙が出そうになるのを必死に抑えた。
そうしているうちにいつの間にか眠ってしまっていた。

目が覚めると自分の部屋のベットに寝ていた。

ーー昨日、銀次さんが運んでくれたのかな

僕は申し訳なさと恥ずかしさで一杯になった。
ベットから起き上がろうとすると下半身が血だらけだった。

「え!?」

思わず声を上げてベットから飛び起きた。
パンツもパジャマのズボンもお尻の部分は血でぐっしょりと濡れていてパニックになった。
とりあえず服を着替えて、血で汚れた服は丸めてビニールに入れた。
どうやらお尻の穴から血が出ているらしい。
とりあえずトイレットペーパーを丸めてパンツとの間に挟み、銀次さんの朝食を準備しにキッチンへ降りた。

お腹も痛いし、フラフラする。
これが二日酔いというやつなんだろうか。
でも、血が出るのはきっと別の病気なんだろう。
でも銀次さんに知られたくなかった。だって、ただでさえ銀次さんに対して迷惑な思いを抱いているのに、その上病気になんてなったりしたらどんな反応をされるのか怖い。

「おはよう」
「おはようございます、銀次さん。昨夜はすみません、運んでくださったんですよね」
「ああ、気にしないで? 具合とか悪くない? 二日酔いとか」
「全然平気です! ありがとうございます」

ニコリと笑ってそう答え、魚をグリルに入れて味噌汁を作り始めた。
朝食を机に並べて2人で席につくと銀次さんは僕の顔を心配そうに覗き込んだ。

「本当に大丈夫? 青い顔してるけど」
「大丈夫です! 元気いっぱいです!」
「そう? ならいいんだけど、キツかったら今日は何もしないでゆっくり休んでいていいからね」
「はい」

尚も心配してくれる銀次さんを送り出して僕は病院に向かうために外行きの服に着替えて外に出た。と言っても、病院の場所が分からない。銀次さんの働く病院以外に行かないといけないし。

「おはよう。昨日は大丈夫だったか?」
「あ……おはようございます。全然平気です」

門の前で只野さんに話しかけられとっさにまた嘘をついた。
只野さんにバレれば銀次さんにバレる可能性が高くなる。

「どっか行くのか?」
「はい。この街のことあんまり知らないし、少し見て回りたいなと思いまして」

我ながらいい嘘をついたと想った。

「車出すか?」
「いえ! 歩いて行きますから。お気遣いありがとうございます」
「いや、待ってろ」

そう言って只野さんは強引に僕を待たせて数分後には車に乗って現れた。

どうしよう。病院に行くなんて言えない。
只野さんは有無を言わさず僕を車に乗っけると発進させた。
朝からしてお腹の痛みはどんどんとひどくなっていて今なんて起きているのもやっとの状態だ。
これ以上構われなくはないのに、僕は抵抗する力もなくて大人しく座席に座ったまま外を眺めた。

「どこに向かうつもりだったんだ?」

言葉を発するのも億劫なのに、その上元気なふりなどもはや出来そうもなかった。

「……病院です」
「だろうな。顔真っ青だぞ」
「でも、銀次さんにはバレたくない」

僕がそう言うと只野さんは大きくため息をついて分かったと言った。
連れて行かれたのは、銀次さんのいた病院よりもかなり大きな総合病院で只野さんは車で待っているからと僕を送り出した。
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