ヒロインは他に任せて

オウラ

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宿が立ち並ぶ通りへと足を運べば前方の方に目的の人物を見つける。そろそろ宿も取れたかなと思いながら、彼らの方へ向かえば、どうやらあっちも私の事に気づいたようだ。






「何、ルーナ。1人で寂しいから僕たちのところに来たの?言っておくけど、僕はお前の相手をしてるほど暇じゃないんだけど」
「あぁ、うん、別に…」


 いや、確かに1人でいるのは寂しかったけれど、それが理由でここに来たわけじゃない。眠いし、だるいし、敵にあったからここに来たんだが。まぁ、そんなことをわざわざ言う必要も無いか



「……何その反応。むかつく」


 じゃあ、いったいどんな反応をすればいいんだよ。何?あれか?
「アネルと一緒に居たいの(はぁと)」
 とか言えばいいのか?でも、そんなこと言ったら、言ったでお前は「気持ち悪」って言うだろ?だって自分でもきもいと思うよ。




「アネル、前にも行ったが、ルーナにもう少し優しくした方がいいんじゃないか?」
「いいんですよ。殿下。此奴に与える優しさなんて……って、え?」

「まぁ、それならそれいいんだが…。あぁ、それで?ルーナ、どうしたんだい?君が俺の所に来るって事は何かあったんだろ?」
「いや、まぁ」

 あったはあったんだけれど、「帝国のバカ皇子とぶつかりました~。勇者とはバレてませんよー」なんて、言っていいんだろうか。
 アーサー殿下は帝国と協力してるわけで、そんなこと話してもは?それで?とか言われそうだ。むしろ、私が帝国の奴らに利用される事を良しと考えているだろうから逆に逃げた事をとやかく言われるかもしれない。そもそも、なんで私がバカ皇子の事を知っているのかって話になるかもしれないしな。……うん、言えるわけないな。


「俺とルーナの仲だろ?遠慮せずに何があったか教えてくれないかい?」

 ね?と言って殿下はギュッと肩を握ってくる。痛い、痛いです!と言う眼差しで殿下を見れば、「ささっと言えよ。このグズが」的な目で私を見ていた。顔は笑っているが、目が笑っていない。相変わらず、恐ろしい。こ、これはもう言うしかないじゃないか。


「と、取り会えずここでは言えない事なので」
 と耳打ちすれば、「じゃあ、また後で話してくれ」と返される。

 この人と2人きりになるのはものすごく嫌だが、そうしなければ色々とヤバいのでがまんするとしよう。












「……どういう事ですか?殿下」
「何がだい?アネル」

 殿下とひそひそと話していれば、なぜか私とアーサー殿下を睨みながらアネルが急にそんな事を尋ねた。

「いつの間に、ルーナの事を名前で呼ぶようような仲になったんですか。つい昨日までは……」
「あぁ、今日からかな?色々あってね。ね?ルーナ」
「えぇ、まぁ。そうですね」

 まぁ、主に色々あったのは私だが。

「色々……ですか」
「気になるのかい?」
「まぁ、気になると言えば気になりますね。俺の知らない内の、殿下が此奴の事を呼び捨てにしてるんですもん。」

 アネルがそんな事を気にするなんて意外だ。私の事なんてどうでもいいと思っていたから、気にしないかと思った。…….いや、逆か、どうでもいい奴が殿下から名前で呼ばれてたら気になるよな。


「そうか、気になるのか……でもすまないな。何があったかは言えないんだ。」

 まぁ、言ったらあなたの信用ガタ落ちですもんね

「言えないような事があったんですか」
「あぁ、俺たち2人の秘密だから。……でも、だいたいわかるだろ?男女の間で言えない何かがあったて言うと、どんな事があったのか」
 と言いながら、私の肩を抱き寄せる殿下。……きゃー、何コレ。変な誤解をいけてしまう。と言うか、え、本当に何、これ。


「具体的には言えないけれど、つまりこう言う事だよ。ルーナは俺と運命を共にする仲になったんだよ」

 いやぁ、うん。間違ってはないよ。間違っては。確かにそうだけど、これは、なんかあらぬ誤解が生まれるような予感

「…………アネル。あのさ」


 とりあえず誤解を解こうかと思ったが、何故か口が動かない。もしかして殿下の魔法で、口止めされてる!?と思い顔を上げれば、にこりと微笑まれた。しかも顔にはっきり書いてある。俺に合わせろ、逆らうなと。

「あぁ、やっぱりルーナは馬鹿ルーナだったって訳だ。そうなんだ。本当にありえない。お前なんて、本当に本当に本当に大っ嫌いだよ。嘘つき」

 そしてそのまま、馬鹿と一発叩かれた。え、なんで私叩かれたんだ?いや、違うから!となんとか喋るようになった頃には、そこにアネルは居なく、既に何処かへ去っていった後。




「……殿下、変な誤解を生んだのですが」
「好都合じゃないか。ルーナ、君は俺の秘密を握ってる。呪いをかけたといえど、油断はならない。都合良く監視するには、この手が一番なんだ。俺たちがそういう仲だと思わせとけば、一緒にいても何ら不思議な事はないだろ?」
「まぁ、そりゃぁそうですけど……」

 確かにそれはそうだけど、なんだろ根本的に何か大事な事が違う気がする
 それに、だ。百万歩譲って、私は別に殿下とそういう、恋人関係?だと誤解されてもいいとして、殿下はいいのだろうか。

「殿下はそれでいいのですか?お慕いしてる人とかいないんですか?。」

 例えばセシルちゃんとか、セシルちゃんとか、セシルちゃんとか



「は?そんな無駄なものいる訳ないだろ。俺はこの国の奴らがみんな嫌いなんだ。父上も、兄弟も、国の重心も、そしてそんな奴らの元、伸び伸びと暮らす国民もだ。」

 な、中々拗らせているなぁ。みんな嫌いとか、何処の厨二病だよ。




「そ、そうですか。じゃあ、この旅の仲間も、私の事も……セシルちゃんの事も嫌いなんですね」

 さてと、ここで殿下がどんな反応に出るかが、重要だ。正直に答えるかは、わからないが仮に、殿下がここで、セシルちゃんに対して好意を持っているという反応を見せれば、私は考えなくてはならない。私の命のため、セシルちゃんは他の誰かとくっつける必要があるのだ。殿下以外の誰かと。それは非常に難い問題だ。




「は?そんなの当たり前じゃないか。俺はお前の事も嫌いだし。あいつら何てもっと嫌いだよ。特に、セシル……彼奴が一番嫌いだ」

 ……と、これは意外や答え。結構好意的な感情があったような気がしたんだけれど、気のせいだったのだろうか?
 私個人としては嬉しい答えだが……もしかして逆か? 好きだけど、嫌いって答える、小学生特有の表現?みたいなものなのか?




「セシルは誰がどう見ても善人。裏表のない、優しい人間。多くのものから好かれるそんなやつだ。……そう、そんな奴だからこそ嫌いなんだよ」


 あー、つまり俺が持ってないものをもって生まれたからという嫉妬ですね。成る程………一番恋に発展しやすいパターンじゃねぇかよ!!





「と言うか、ルーナ。俺は君のことも嫌いなんだけどな」
「えぇ、そうですか」

 だから何度というのだ。

「つまらない反応だね。もっと悲しがるとか、したらどう?」
「と言われましてもね。」

 命を握られている相手に好かれているとは、普通思いもしないし、むしろ嫌われているんだろうなと思っていたから、今更そんな事を言われてもという感じ。それに

「まぁ、嫌われるってことに慣れてますから。むしろ好かれたことの方が少ないくらい?なんで」

 幼い頃から変人というレッテルを貼られた私。そんな私に関わろうとする相手は殆どいなかった。加えて、同世代の女の子達は、みんなアネルが好きだったようで、そんな彼と(なぜか)常に共にいた私は嫉妬の対象として、嫌悪の感情を日々向けられていた。アネルもアネルで、私の事が嫌いなようだし。……思い返せば、家族以外の誰かから好かれたなんて記憶はないな。……あー、でもアネルのお母さんは私の事を好いていてくれてたな。だいぶ昔の話だけど。……うん、それくらいしか思い出せない。


「……自分よりも不幸だったり、境遇が下の人を見るとなんだか嬉しくなるよね。だからそうだな、やっぱり君のことは嫌いじゃないかもね。大事な駒だし」

 満面の笑みで微笑む殿下。
 ……わぁ、変なところで好感度上がっちゃった。可笑しいなぁ、全く嬉しくない。
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