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1つ目の宝玉と
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果たして、いつの間にこんなに成長したのだろうか。昔は、もっと小さかったし、どちらかと言うと泣き虫だったと言うのに、その面影はすっかりと消え去ってしまった。目の前で、黒い物体と戦うアネル。その立ち向かう姿は、なんとも逞しい。騎士としてやっていけてるのなかぁと偶に心配していたが、それはいらぬ心配だったよう。
………って、違う違う。そんな事をボケーと思っている場合じゃない。考えるべきは、この状況をどうするかだ。そもそも、目の前の敵は、アネル1人でなんとかなるものじゃないのだ。普通に、皆んなと一緒に戦ったとしても、苦戦を強いられる相手。それに、最終的に私が聖剣でトドメを与えなければ、宝玉を手にすることもできない。だから、ぶっちゃっけ言って、アネル1人だけで、目の前の黒い物体に挑んでも、絶対に勝てないし、意味がないから!無駄だから!
「馬鹿ルーナ!さっさと此処から逃げろよ。此処は僕に任せて」
………いや、待ってくれそれフラグ!最大のフラグ。なんというフラグ。それ、確実に死亡フラグ。アネル、それフラグだら!
だいたい、だよ?すでに苦戦しているのに、お前置いて行けるわけないだろ。そもそも、そいつめっちゃ強いんだぞ!?普通に死ぬぞ!?
「馬鹿なのはどっち。アネルも一緒に逃げるよ」
「はぁ!?」
説得してもその場から、逃げようとしないアネル。あぁ、もうこれでは、埒があかない。これは、無理やり引っ張ってでも逃げるべきだ。一旦逃げて、他のメンバーと合流する必要がある。今後、どうするか作戦を練り直した方がいいだろう。くっ、やっぱり別れて行動するんじゃなかった。
適当に目潰し用の魔法を黒い物体の目にめがけて放つ。今、私の健康状態で魔力を使うのはあまり褒められたことじゃないが、致し方ないだろう。無理はするなと言われたが、無理をせねば死ぬ。
「ゔ………ゔぅ…ゔぅ」
攻撃が当たり黒い物体が、もがき苦しむ。隙ができた瞬間、アネルは、黒い物体に挑もうとしたが、その前に私がそれを阻止しアネルの腕を掴む。
「早く、逃げるよ!!」
嫌がるアネルを無理やり連れて、進んできた道を全力で駆け抜ける。幸運なことに、洞窟は狭く、図体の大きな黒い物体は、素早くは行動できないようだ。まぁ、それでも、暴れながら襲ってくる黒い物体。しかも、そのせいで洞窟の天井から、岩やらなんやらが崩れ落ちてくるのだ。逃げるのは並大抵のことじゃないよ。
「ちょっ!?馬鹿ルーナ。あんな奴、何するんだよ。あんな奴、僕1人で」
「1人でどうにかなるわけないじゃん。馬鹿!」
何を行っているんだこいつは。あんなのに勝てるわけない。油断してたら死ぬのがオチだぞ。
お前に死なれたら、あと味が悪いじゃないか。あと、お前は嫌がるかもしれないけど、お前の両親にも申し訳ないし、それに、個人的に死んでほしくない。だから、そうやって死に急ぐのはやめてほしい。……私が言えたことじゃないが。
「はぁ……はぁ」
全力で走っているためか、心臓が痛い。息をするのが苦しい。足が、ものすごくだるい。でも走らなくては、やられてしまう。持久走とか苦手なんだよ!
「……っく!」
じわぁと肩あたりが濡れる感覚がする。激痛が全身に走る。痛い、ものすごく痛い。全力で走ったから傷口が開いたかもしれない。安静にしててと言われたのに、こんなんじゃ……セシルちゃんに怒られるなぁ。いや、でも、仕方ないよね。仕方ないから許してくれるだろう。そう信じよう。
「ゔ………ゔぅ!!」
振り返れば、未だに私達を追いかけてくる黒い物体。勘弁してほしい。ゲームをやっていた身としては、あの黒い物体に同情せざるおえない部分もある。あの、地を這うような声は、苦しんでいる、助けを求めるそんな悲痛なものが込められているのだ。だが、今の私にはあの黒い物体を助けることなんて出来ない。ぶっちゃっけ言って、私の命の方が大切だし。
全く、それにしても、一体いつまで追いかけてくるのだろうか。そろそろこちらも限界である。息苦しいし、足は怠い、傷口は開いて痛むし、最悪だ。しかも、黒い物体が暴れているせいで、天井の崩れ具合もやばいし。このままでは、生き埋めだ。
………いやむしろ、それを逆手に取るか。でも、1人でやるのは、ちとばかし難しい。……ここはアネルに頼るか。協力してくれるかは、別としてだが。
「アネルって、攻撃魔法……得意だっけ?」
「は?……そんなの、得意に決まってる。僕を誰だと思ってるの」
そうですね。この国の騎士様ですもんね。得意に決まってますよね。若干、言い方が癪にさわるが、まぁ良い。得意なら好都合だ。ここはもう、アネルに大活躍してもらおう、そうしよう。
「じゃあ、頼みがあるんだけど。私が数を数えたら、思い切り上に向かって魔法を唱えて」
「はぁ!?何言って………いや、あぁ、成る程ね。でも、それって僕達まで巻き込まれるよね」
「大丈夫だよ」
そうはならないように、絶対にアネルは私が守ってやるから、信じて。そんな思いで、見つめれば、仕方ないと行った感じでアネルは頷いた。
少しだけ、走るスピードを落とし、奴との距離を縮める。
「………よし、いくよ。1、2……」
3…と唱えた瞬間、アネルが真上に向かって、攻撃魔法を放てば、天井が私たちや、黒い物体に向かって勢いよく崩れ落ちてくる。このままでは、確実に生き埋めだ。
「ごめん」
此方にぎゅっとアネルを抱き寄せる。唱えるのは突風を引き起こす魔法。本来なら風圧によって相手を吹き飛ばすものだが、今回はこの風圧を逆に利用する。私たちをこの場から吹き飛ばせば、なんとか逃げる事ができるだろう。
ブワァッと凄まじい風圧が起こり、私達を思い切り吹き飛ばす。一応、岩やらなんやらは吹き飛ばないように調節してあるため、吹き飛ぶのは私達だけのはず。
私達はその場から思い切り吹き飛ばされ、宙に浮いているかと思えば、ドーンと思い切り天井が地面に崩れ落ちた音がした。
多分、黒い物体は崩れ落ちた瓦礫の向こう側。これで、これ以上追いかけられることもないだろう。まぁ、今後がやばいけど。
「っ!」
思い切り地面に叩きつけられるのを覚悟していたが、不思議なことにそれはなかった。飛ばされ、地面すれすれの場所まで落下しかけた時、ふわりと不思議な光に包まれ落下速度が落ちる。ドスンとした衝撃はあったが、そこまで痛くない。いや、アネルの体重が重い為か、腹部にある種の衝撃があったが、本来の痛さよりはだいぶマシだろう。
……果たして、あのとこの光は一体なんなのか。心当たりがあるとすれば、殿下に返してもらったネックレスのお陰だろう。すげぇよ、我が家の家宝。
「と、そろそろどいてくれると嬉しいんだけどアネル」
私の上に乗っているアネル。飛ばされる時に抱きしめた為、こんな体制になっているわけだが、流石にいつまでも乗られているのは重いし、誰かに見られたら変な誤解を受けそうだ。
「あ、い、言われなくても、そうするし!馬鹿!」
顔を真っ赤にさせて、すぐさま私の上から、立退くアネル。ふぅー、重かった。
「馬鹿ルーナいつまでそこで寝ているんだよ!」
「あぁ、今起き上がるよ」
よし、私も起き上がるとするか………と体に力を入れるが入らない。あー、やり過ぎた。でも、意識はあるから、この前よりは成長したよね。うん、凄いぞ私!流石、私!
「………ごめん、アネル。力が入らないから皆んなの所先言ってて、私は起き上がれるようになったら行くから」
「はぁ?僕には一緒に逃げろって言っておいて?」
いや、もう、黒い物体が追いかけてくる危険性はないからこそのセリフなんだけど。それに、早くみんなに今回の事を知らせた方がいいだろ?私を待って此処にいる必要はないじゃないか。
「っ!馬鹿、本当に馬鹿だよね!?お前はいっつもそうだよ。偶には頼ってくれてもいいのに。ほら!」
そう言って差し伸べられる手。なんだ、手を取れってことか?右腕は傷口が、開いてヤバイが左腕ぐらいなら動かせるか。差し伸べられる手を掴めば、ぐっとアネルに引き起こされ、そのまま背負われた。
「……重。」
重くて悪かったな。でも、なんだかんだ言ってこうして背負ってくれるのはありがたい。
あぁ、それにしても本当にアネルは大きく成長したな。昔は同じくらいの身長だったのに、こんなに多い気なって。気がつかないうちに、成長して行くんだなぁ
「……あんまりくっつくなよ。てか、なんか肩のあたり濡れてるんだけど。」
「あー、多分傷口が開いたから」
「開いた!?」
馬鹿じゃないの!?というアネルの声が洞窟中に響き渡った。
………って、違う違う。そんな事をボケーと思っている場合じゃない。考えるべきは、この状況をどうするかだ。そもそも、目の前の敵は、アネル1人でなんとかなるものじゃないのだ。普通に、皆んなと一緒に戦ったとしても、苦戦を強いられる相手。それに、最終的に私が聖剣でトドメを与えなければ、宝玉を手にすることもできない。だから、ぶっちゃっけ言って、アネル1人だけで、目の前の黒い物体に挑んでも、絶対に勝てないし、意味がないから!無駄だから!
「馬鹿ルーナ!さっさと此処から逃げろよ。此処は僕に任せて」
………いや、待ってくれそれフラグ!最大のフラグ。なんというフラグ。それ、確実に死亡フラグ。アネル、それフラグだら!
だいたい、だよ?すでに苦戦しているのに、お前置いて行けるわけないだろ。そもそも、そいつめっちゃ強いんだぞ!?普通に死ぬぞ!?
「馬鹿なのはどっち。アネルも一緒に逃げるよ」
「はぁ!?」
説得してもその場から、逃げようとしないアネル。あぁ、もうこれでは、埒があかない。これは、無理やり引っ張ってでも逃げるべきだ。一旦逃げて、他のメンバーと合流する必要がある。今後、どうするか作戦を練り直した方がいいだろう。くっ、やっぱり別れて行動するんじゃなかった。
適当に目潰し用の魔法を黒い物体の目にめがけて放つ。今、私の健康状態で魔力を使うのはあまり褒められたことじゃないが、致し方ないだろう。無理はするなと言われたが、無理をせねば死ぬ。
「ゔ………ゔぅ…ゔぅ」
攻撃が当たり黒い物体が、もがき苦しむ。隙ができた瞬間、アネルは、黒い物体に挑もうとしたが、その前に私がそれを阻止しアネルの腕を掴む。
「早く、逃げるよ!!」
嫌がるアネルを無理やり連れて、進んできた道を全力で駆け抜ける。幸運なことに、洞窟は狭く、図体の大きな黒い物体は、素早くは行動できないようだ。まぁ、それでも、暴れながら襲ってくる黒い物体。しかも、そのせいで洞窟の天井から、岩やらなんやらが崩れ落ちてくるのだ。逃げるのは並大抵のことじゃないよ。
「ちょっ!?馬鹿ルーナ。あんな奴、何するんだよ。あんな奴、僕1人で」
「1人でどうにかなるわけないじゃん。馬鹿!」
何を行っているんだこいつは。あんなのに勝てるわけない。油断してたら死ぬのがオチだぞ。
お前に死なれたら、あと味が悪いじゃないか。あと、お前は嫌がるかもしれないけど、お前の両親にも申し訳ないし、それに、個人的に死んでほしくない。だから、そうやって死に急ぐのはやめてほしい。……私が言えたことじゃないが。
「はぁ……はぁ」
全力で走っているためか、心臓が痛い。息をするのが苦しい。足が、ものすごくだるい。でも走らなくては、やられてしまう。持久走とか苦手なんだよ!
「……っく!」
じわぁと肩あたりが濡れる感覚がする。激痛が全身に走る。痛い、ものすごく痛い。全力で走ったから傷口が開いたかもしれない。安静にしててと言われたのに、こんなんじゃ……セシルちゃんに怒られるなぁ。いや、でも、仕方ないよね。仕方ないから許してくれるだろう。そう信じよう。
「ゔ………ゔぅ!!」
振り返れば、未だに私達を追いかけてくる黒い物体。勘弁してほしい。ゲームをやっていた身としては、あの黒い物体に同情せざるおえない部分もある。あの、地を這うような声は、苦しんでいる、助けを求めるそんな悲痛なものが込められているのだ。だが、今の私にはあの黒い物体を助けることなんて出来ない。ぶっちゃっけ言って、私の命の方が大切だし。
全く、それにしても、一体いつまで追いかけてくるのだろうか。そろそろこちらも限界である。息苦しいし、足は怠い、傷口は開いて痛むし、最悪だ。しかも、黒い物体が暴れているせいで、天井の崩れ具合もやばいし。このままでは、生き埋めだ。
………いやむしろ、それを逆手に取るか。でも、1人でやるのは、ちとばかし難しい。……ここはアネルに頼るか。協力してくれるかは、別としてだが。
「アネルって、攻撃魔法……得意だっけ?」
「は?……そんなの、得意に決まってる。僕を誰だと思ってるの」
そうですね。この国の騎士様ですもんね。得意に決まってますよね。若干、言い方が癪にさわるが、まぁ良い。得意なら好都合だ。ここはもう、アネルに大活躍してもらおう、そうしよう。
「じゃあ、頼みがあるんだけど。私が数を数えたら、思い切り上に向かって魔法を唱えて」
「はぁ!?何言って………いや、あぁ、成る程ね。でも、それって僕達まで巻き込まれるよね」
「大丈夫だよ」
そうはならないように、絶対にアネルは私が守ってやるから、信じて。そんな思いで、見つめれば、仕方ないと行った感じでアネルは頷いた。
少しだけ、走るスピードを落とし、奴との距離を縮める。
「………よし、いくよ。1、2……」
3…と唱えた瞬間、アネルが真上に向かって、攻撃魔法を放てば、天井が私たちや、黒い物体に向かって勢いよく崩れ落ちてくる。このままでは、確実に生き埋めだ。
「ごめん」
此方にぎゅっとアネルを抱き寄せる。唱えるのは突風を引き起こす魔法。本来なら風圧によって相手を吹き飛ばすものだが、今回はこの風圧を逆に利用する。私たちをこの場から吹き飛ばせば、なんとか逃げる事ができるだろう。
ブワァッと凄まじい風圧が起こり、私達を思い切り吹き飛ばす。一応、岩やらなんやらは吹き飛ばないように調節してあるため、吹き飛ぶのは私達だけのはず。
私達はその場から思い切り吹き飛ばされ、宙に浮いているかと思えば、ドーンと思い切り天井が地面に崩れ落ちた音がした。
多分、黒い物体は崩れ落ちた瓦礫の向こう側。これで、これ以上追いかけられることもないだろう。まぁ、今後がやばいけど。
「っ!」
思い切り地面に叩きつけられるのを覚悟していたが、不思議なことにそれはなかった。飛ばされ、地面すれすれの場所まで落下しかけた時、ふわりと不思議な光に包まれ落下速度が落ちる。ドスンとした衝撃はあったが、そこまで痛くない。いや、アネルの体重が重い為か、腹部にある種の衝撃があったが、本来の痛さよりはだいぶマシだろう。
……果たして、あのとこの光は一体なんなのか。心当たりがあるとすれば、殿下に返してもらったネックレスのお陰だろう。すげぇよ、我が家の家宝。
「と、そろそろどいてくれると嬉しいんだけどアネル」
私の上に乗っているアネル。飛ばされる時に抱きしめた為、こんな体制になっているわけだが、流石にいつまでも乗られているのは重いし、誰かに見られたら変な誤解を受けそうだ。
「あ、い、言われなくても、そうするし!馬鹿!」
顔を真っ赤にさせて、すぐさま私の上から、立退くアネル。ふぅー、重かった。
「馬鹿ルーナいつまでそこで寝ているんだよ!」
「あぁ、今起き上がるよ」
よし、私も起き上がるとするか………と体に力を入れるが入らない。あー、やり過ぎた。でも、意識はあるから、この前よりは成長したよね。うん、凄いぞ私!流石、私!
「………ごめん、アネル。力が入らないから皆んなの所先言ってて、私は起き上がれるようになったら行くから」
「はぁ?僕には一緒に逃げろって言っておいて?」
いや、もう、黒い物体が追いかけてくる危険性はないからこそのセリフなんだけど。それに、早くみんなに今回の事を知らせた方がいいだろ?私を待って此処にいる必要はないじゃないか。
「っ!馬鹿、本当に馬鹿だよね!?お前はいっつもそうだよ。偶には頼ってくれてもいいのに。ほら!」
そう言って差し伸べられる手。なんだ、手を取れってことか?右腕は傷口が、開いてヤバイが左腕ぐらいなら動かせるか。差し伸べられる手を掴めば、ぐっとアネルに引き起こされ、そのまま背負われた。
「……重。」
重くて悪かったな。でも、なんだかんだ言ってこうして背負ってくれるのはありがたい。
あぁ、それにしても本当にアネルは大きく成長したな。昔は同じくらいの身長だったのに、こんなに多い気なって。気がつかないうちに、成長して行くんだなぁ
「……あんまりくっつくなよ。てか、なんか肩のあたり濡れてるんだけど。」
「あー、多分傷口が開いたから」
「開いた!?」
馬鹿じゃないの!?というアネルの声が洞窟中に響き渡った。
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