ヒロインは他に任せて

オウラ

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1つ目の宝玉と

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 仏の顔も3度まで……って言うけど、実際、2回目の失敗は許されないと思う。1回目で学習しろ!って言うのが常になっている気がする。つまり何が言いたいのかと言うと



「聞いてるの!?ルーナ!!」

 目の前でその可愛らしい顔を般若のようにさせ怒るセシルちゃんはマジ怖いと言うことだ。

「私言ったよね?無理はしないでって。でも何?この状況は」
「ごめんなさい」
「別に謝って欲しいから言っているわけじゃないんだよ!?」

 あの後、あの場から何とか逃げ出し、他のみんなと合流したのはいいのだが、肩から血をダラダラと流す私を見てセシルちゃんがご覧の通り怒った。(因みに、開いた傷口は、現在ルイが横で応急手当をしている。)


「血だらけになってきたルーナの姿を見たときの私の気持ちわかる!?」

 すみません、わかりません

「すっごく心配したんだよ!?だいたい、なんでいつもそうやってルーナは先走るの!?」

 いやぁ、先走ってるつもりは、全くもってないのですが

「そもそも、まだ旅が始まって間もないんだよ??知ってる?まだ、1週間ぐらいしか経ってないの」

 まだ出会って間もないのに、そこまで私の事を心配してくれるなんて、流石セシルちゃんやっさしー

「な!の!に!始まったばかりなのに!この怪我をする頻度の高さ。もう、ビックリだよ。」

 私もビックリしてます。
 

「頼むから……これ以上心配させないでよ。………まだ出会ったばかりだけど、ルーナは大切な仲間なの。仲間が傷つくのは辛いし………何より、守れないのが一番嫌なんだから。ね?」

 若干、瞳に涙を浮かべそう訴えるセシルちゃん。さっきまで、怒っていた顔とは打って変わって、とても、とても……可愛いなぁ。美少女が、瞳に涙を浮かべる姿。まじヤバイ。メッチャ可愛い。しかも、これが私の為の涙っていうのがポイント!癒されるわぁ。……とか考えている場合じゃない。あ、謝らねば

「ご、ごめんなさい。セシルちゃん。次回からは怪我をしないように最大限の努力をします」

「……努力じゃなくて、怪我をしないでね。私も精一杯、守るから」

 その言葉に胸を掴まれた。そんな、ま、守るかって!惚れてしまうじゃないか!胸キュンものだよ!恋に落ちちゃうところだよ!




 と、感傷に浸っていたのもつかの間。



「だいたい、アネルもアネルだよ!?なんで、ルーナのことちゃんと守らないの!?」


 キリッと涙を拭いて、アネルに噛み付くセシルちゃん。……何故か再び説教が始まってしまった。
 いや、すみません。アネルはしっかり私の事を守ってましたが、それを無理やり引き止めたのは私です。ごめんなさい。

「傷口が開く前になんとかしなよ!男でしょ!?」

「……すみませんでした」

 私と同様にセシルちゃんの目の前で、正座をし始めるアネル。
 それにしても、グゥの音も出ないアネルなんて、珍しい。私にはツンツンしてるのに、やっぱりセシルちゃん相手だと、結構素直だなぁ。いや、別にいいけど。












「まぁ、その辺にしておきなよ。セシル。」


 果たして、どのくらい説教が続いたのだろうか。あー、そろそろ限界と思ったところで殿下の助けが入った。珍しく殿下が役に立ったと思った瞬間だった。


「でも!アーサー」
「ルーナも、アネルも反省してるんだ。これ以上何かを言うのは、可哀想だろ?」
「わかったよ………」

 こうして、約30分にも及ぶお説教は終わりを迎えたのであった。流石に辛かった。そろそろ足が限界だったので本当に助かっよ。




















「さて、戻ってきた事だし、状況を整理しようか。」

 現在、私達は一旦洞窟を出て、泊まっている村の宿にて一時作戦会議をしているところだ。今回の事を踏まえ今後どうするかを決めるそんな会議をしている。あぁ、あと、私の肩よ治療を継続中。





「そうだな。まず、ルーナ。洞窟で何があったのか教えてくれるかい?」

 殿下に言われ、あの洞窟で何があったのかを簡潔に説明する。道の先に居た生物の事。不利な状況であった為、逃げてきた事。逃げてくる途中、天井を落とし道を塞いでしまった事。取り敢えず、あの時起きた事を事細かく話す。


「成る程ね……多分、例の凶暴化した精霊っていうのはそれの事なんだろうね」

 言わずもがな、もちろんそれの事である。と言うかそれ以外考えられない。

「しかし、どういたしますか、殿下。仕方のない事とは言え、話を聞くに既に奴は崩れた岩石の向こう側。そこにたどり着くのも難しいのでは?」

 ディルクの言葉に、はっとする。そうだ、あの時天井を崩しちゃったからこの後が大変なんだ。あー、後のことを考えずに行動するって、自分の行動が若干悔やまれる。

「あぁ、それなら、なんとかなるかもよ。…っと、はい、取り敢えずこれで手当は終わりだよ。勇者ちゃん。2度と無理はしないでね」
「あ、ありがとうございます」

 ふと、傷口に触れるとすっかり元どおり。一度だけではなく2度までも迷惑をかけてしまうとは、もう2度とこうならないように気をつけよう。セシルちゃんとの約束もあるしね。




 にしてもだ、崩れた岩石をどうにかするってどういうことだろうか。
 もしかして、岩石を1つ1つ持ち上げて、道を作るのか!?
 そりゃあ男だから多少の筋力はあるだろうけど、ルイにあの重い岩石を落ち上げ荒れるような力があるようには見えない。見た目もムッキムキではなく、どちらかと言うと、ヒョロッとしてるし……




「なぁに?勇者ちゃん、そんなに俺の身体を見つめちゃって。もしかして……って、止めて、ごめん、そんな顔で見ないで。」

 おっと、いけない、いけない。うっかりこの性職者が、変なことを言いそうだから、思いっきり顔が歪んでしまった。うっかりしてた。私としたことが。





「ルイ……ルーナを余りからかわないでくれ。」

「ごめん、ごめん。ついね」

 何が、ついだ。やめてくれ。

「はぁ…。まぁ、いいか。……それで?ルイ、岩石をどうにかするってどう言うことだい?」

「あぁ、うん。それの事?簡単な話だよ。その岩石の壁を破壊すればいいだけだよ」

 いやいや、何を言っているんだ。確かに、岩石の壁を破壊すれば、向こう側に行けるかもしれないが、事はそう簡単にはいかない。そもそも、あそこは簡単に崩れ落ちてしまうほど、地盤が緩い。それは、あの黒い物体から逃げる時、最も簡単に天井が崩れ落ちた事が証明済み。だから、下手に地盤を刺激すれば、今度こそ生き埋めになるかもしれないのだ。だから、そんな簡単に岩石の壁を破壊するとか言わないで欲しい。



「お言葉を返すようですが、ルイ神官。それは得策とは思えません。あそこは地盤がとても緩かったのですよ?現に、そのお陰で、僕とルーナは逃げれたものですし」

 どうやらアネルも同じことを思っているようだ。ナイスツッコミである。

「あぁ、そのこともちゃんと考えてるよ。破壊する場所以外を強化魔法で固めちゃうんだ。そうすれば、多少の刺激を与えても簡単には崩れないよ。」

 成る程、それなら簡単には崩れ落ちてこないかもしれない。でも、強化魔法と攻撃魔法を同時に使うなんて、流石神殿の神官様っと言ったところだろうか。2つの魔法を同時に使う事は、多量の魔量を使う事は当然として、コントロールが難しい。私を含め普通の人間には出来ない芸当だ。それを簡単にやって除けようとするなんて、凄いとしか言いようがない。





「あ!でも、俺1人でやるのは不安だから、セーちゃん手伝ってくれる?」

「え、あぁ、うん。もちろん!いいよ」

 なんだよ!結局、出来ないのかよ!!!若干尊敬した私が、バカみたいじゃないか!!くそ!恥ずかしい。恥か死ぬ!
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