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3 茶会奥様
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ウィニフレッドは一か月ぶりにお茶会に参加した。
「お聞きになりまして?
コネル家に嫁いだキャシー様がご結婚後にお姿を見せないお話」
「ご夫君のルーサー様は同僚の方に、妻を他人に見せたくないと意味不明な事を仰ってたそうですわ」
「キャシー様向けの外商の出入りがないと聞きましたわ」
「お衣装の仕立てもされてないようですわ」
「ご実家にお手紙は届いてないのでしょう?」
「窓からお姿すら拝見できないらしいですわ」
「ご病気なら隠される必要はありませんよねぇ」
「もしかして既に儚くおなりなんて事は……」
「まさか」
「ご葬儀はなかったですわよね?」
「人知れず……。怖いですわ」
「あのご夫君は少し、こう、何かありそうな感じですものね」
「ではキャシー様は儚くなっている可能性が本当に……」
「まあ、怖い」
前回出席した時は夫の溺愛で妻が姿を見せないとかいう訳わからん話だった。それを聞いたウィニフレッドがうっかり「生きてるのかしら」と呟いたら、現在尾ひれがついてホットな話題になっていた。ちゃんと生存を疑う線も含まれている。溺愛と言われていたものが意味不明と言われている。しかも「あの旦那なんかちょっとかおかしい感じがする」とまで言われている。
個人の感想を除いて、どれが実際に見聞きした話なんだろうか。
面白いのでこの件は静観する事にした。このメンバーの中の誰かの家で件の家の内情を探ってくるかもしれない。
今後のお茶会ではコネル家若旦那新妻殺害疑惑で盛り上がるんだろうなあ。刺激的な話題だから当分続くし、話も膨らむだろう。
名誉棄損だと言われたとしても、皆様と姿を見せない夫人の心配をしていただけですわ、細かい話の内容なんて覚えておりませんわ、と言って終わるだろう。
ウィニフレッドは少し楽しみに感じた。
「ウィニー、コネル家の話を知っているかい?」
休日、百万本を目指して薔薇の刺繡に励んでいるウィニフレッドの部屋にバーソロミューが来た。刺繡を見られてちょっと嫌な気持ちになった。内緒にしておきたかったのに。サプライズなのに。
さりげなく隠して片づけながら相手をしよう。でも物が大きいから見えそうだ。
「結婚後にキャシー様の姿を誰も見ていないだったかしら?」
「ああ、それだね。結婚は本当だったんだが」
そうだろう。祝宴まで上げたのだ。招待された人はたくさんいる。
「その話がどうかしたの?」
噂が大きくなってどうかなったのかしら?真相判明したのかしら?
ウィニフレッドはちょっとわくわくしていた。
案外早かったと思った。しかし最初に聞いた前々回のお茶会からだから一か月以上は経っている。そう思えば早いというほどでもないかもしれない。
「実在しない人だった?適当な名前に親戚か何処かの家の養女にして当日は誰かを身代わりに立たせてた?本当は身分が違いすぎる相手?人形?幽霊?妖精?脳内嫁?絵画嫁?
とうに死んでた線もあるわね。妻の実家から援助を引き出すために生きてる風を装っていた?全く装えてなかったけど。
使用人の女性か、幼馴染の女性が本命だったとか?でも他の女性の影は無かったようだし……」
ウィニフレッドの目が輝いていた。
こういう時は生き生きするんだよなあと、バーソロミューはちょっと残念に思った。
どうせなら夫の事で生き生きしてもらいたい。でも自分の話で目を輝かせる妻も好きだと思う。
だからバーソロミューは情報漏洩に引っかからない程度に仕事の話をする。夫人達とのお喋りより、自分とのお喋りで楽しそうにする妻を見るのが楽しい。
なんだかんだと妻に振り回されている。
「それで?どうだったの?」
そうだった、ウィニフレッドに見惚れている場合じゃなかったと、バーソロミューは我に返った。
昔、ある人形師がある令嬢をモデルに人形を数体作った。その人形は世に出て、後にコネル家のルーサーの手に入った。
ルーサーは人形に恋をした。ルーサーはそれで満足だったが両親が結婚しろと煩い。人形が実在の人物をモデルにしたと知っていたので、モデルの親族の中に人形に似た顔で結婚できそうな年齢の娘を探した。
幸か不幸かいた。
求婚してみたら了承されたので結婚した。一緒に暮らしてみれば、キャシーはルーサーの脳内で動いていた人形と全然違っていた。腹が立ったので殴ったら家具の角に頭をぶつけて死んだ。遺体は夜中に庭の隅に埋めた。
実際に結婚はしたので親は静かになったし、もう人形との生活を邪魔されないし、これでいいじゃないかと思った。
そしてそのまま放っておいた。予想外だったのが社交界での噂話だった。
その噂を盾に死んだ娘の親が訴えて出るとは思っていなかった。騎士隊が踏み込んでその場で白状させられた。
「脳内でごっこ遊びしてた人形と生きてる人間の反応が違うのなんて当たり前なのにね」
なんかちょっとアレな人というのは合っていたのね。
「キャシー様、かわいそうにねえ。
で、ルーサーはどうなるの?」
「お聞きになりまして?
コネル家に嫁いだキャシー様がご結婚後にお姿を見せないお話」
「ご夫君のルーサー様は同僚の方に、妻を他人に見せたくないと意味不明な事を仰ってたそうですわ」
「キャシー様向けの外商の出入りがないと聞きましたわ」
「お衣装の仕立てもされてないようですわ」
「ご実家にお手紙は届いてないのでしょう?」
「窓からお姿すら拝見できないらしいですわ」
「ご病気なら隠される必要はありませんよねぇ」
「もしかして既に儚くおなりなんて事は……」
「まさか」
「ご葬儀はなかったですわよね?」
「人知れず……。怖いですわ」
「あのご夫君は少し、こう、何かありそうな感じですものね」
「ではキャシー様は儚くなっている可能性が本当に……」
「まあ、怖い」
前回出席した時は夫の溺愛で妻が姿を見せないとかいう訳わからん話だった。それを聞いたウィニフレッドがうっかり「生きてるのかしら」と呟いたら、現在尾ひれがついてホットな話題になっていた。ちゃんと生存を疑う線も含まれている。溺愛と言われていたものが意味不明と言われている。しかも「あの旦那なんかちょっとかおかしい感じがする」とまで言われている。
個人の感想を除いて、どれが実際に見聞きした話なんだろうか。
面白いのでこの件は静観する事にした。このメンバーの中の誰かの家で件の家の内情を探ってくるかもしれない。
今後のお茶会ではコネル家若旦那新妻殺害疑惑で盛り上がるんだろうなあ。刺激的な話題だから当分続くし、話も膨らむだろう。
名誉棄損だと言われたとしても、皆様と姿を見せない夫人の心配をしていただけですわ、細かい話の内容なんて覚えておりませんわ、と言って終わるだろう。
ウィニフレッドは少し楽しみに感じた。
「ウィニー、コネル家の話を知っているかい?」
休日、百万本を目指して薔薇の刺繡に励んでいるウィニフレッドの部屋にバーソロミューが来た。刺繡を見られてちょっと嫌な気持ちになった。内緒にしておきたかったのに。サプライズなのに。
さりげなく隠して片づけながら相手をしよう。でも物が大きいから見えそうだ。
「結婚後にキャシー様の姿を誰も見ていないだったかしら?」
「ああ、それだね。結婚は本当だったんだが」
そうだろう。祝宴まで上げたのだ。招待された人はたくさんいる。
「その話がどうかしたの?」
噂が大きくなってどうかなったのかしら?真相判明したのかしら?
ウィニフレッドはちょっとわくわくしていた。
案外早かったと思った。しかし最初に聞いた前々回のお茶会からだから一か月以上は経っている。そう思えば早いというほどでもないかもしれない。
「実在しない人だった?適当な名前に親戚か何処かの家の養女にして当日は誰かを身代わりに立たせてた?本当は身分が違いすぎる相手?人形?幽霊?妖精?脳内嫁?絵画嫁?
とうに死んでた線もあるわね。妻の実家から援助を引き出すために生きてる風を装っていた?全く装えてなかったけど。
使用人の女性か、幼馴染の女性が本命だったとか?でも他の女性の影は無かったようだし……」
ウィニフレッドの目が輝いていた。
こういう時は生き生きするんだよなあと、バーソロミューはちょっと残念に思った。
どうせなら夫の事で生き生きしてもらいたい。でも自分の話で目を輝かせる妻も好きだと思う。
だからバーソロミューは情報漏洩に引っかからない程度に仕事の話をする。夫人達とのお喋りより、自分とのお喋りで楽しそうにする妻を見るのが楽しい。
なんだかんだと妻に振り回されている。
「それで?どうだったの?」
そうだった、ウィニフレッドに見惚れている場合じゃなかったと、バーソロミューは我に返った。
昔、ある人形師がある令嬢をモデルに人形を数体作った。その人形は世に出て、後にコネル家のルーサーの手に入った。
ルーサーは人形に恋をした。ルーサーはそれで満足だったが両親が結婚しろと煩い。人形が実在の人物をモデルにしたと知っていたので、モデルの親族の中に人形に似た顔で結婚できそうな年齢の娘を探した。
幸か不幸かいた。
求婚してみたら了承されたので結婚した。一緒に暮らしてみれば、キャシーはルーサーの脳内で動いていた人形と全然違っていた。腹が立ったので殴ったら家具の角に頭をぶつけて死んだ。遺体は夜中に庭の隅に埋めた。
実際に結婚はしたので親は静かになったし、もう人形との生活を邪魔されないし、これでいいじゃないかと思った。
そしてそのまま放っておいた。予想外だったのが社交界での噂話だった。
その噂を盾に死んだ娘の親が訴えて出るとは思っていなかった。騎士隊が踏み込んでその場で白状させられた。
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なんかちょっとアレな人というのは合っていたのね。
「キャシー様、かわいそうにねえ。
で、ルーサーはどうなるの?」
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