辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~

紫月 由良

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1章 訣別

13-5. カミラの行く末

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カミラ視点最終話
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 三か月後――
 私は港湾都市ルモーリで生活している。

 ――案外なんとかなるのね。
 全てを自分で整えるような生活ではないけれど、一応自活できるのは我ながら驚きだった。

 ルモーリは海の近くの城塞都市だ。
 貿易港としてスタンピード以前から栄えていた都市は、大きな被害も受けず、だけど海上貿易がなくなって多少寂れたけれど、それでも辺境有数の都市。
 ただの田舎町だけれど。

 海を渡って新たな流行が入ってこなくなった代わりに、王都からの流行が入るようになって、すっかり文化的ではなくなったらしい。中央と辺境の緊張が目に見えて高まっていたときに、手に入らなくなる贅沢品を領内で生産できるようにしたらしく、いくつもの工房が新しくできたのだとか。

 職人の手が足りないから、人前に出しても恥ずかしくない程度でしかない私の腕前でも、職人として通用するらしい。
 ほかの職人と比べて手は遅いけれど、洗練されているから付加価値が高いと言われても、何を当たり前のことをという感想しかない。平民が、生まれたときから美術品に囲まれた生活を送って自然と身についた貴族に敵うわけがないのだから。

 でもそんなものは図案を考える職人なら当たり前の才能であって、私に対する価値なのかよくわらないまま、仕事を続けている。

 そして家事をやらせるよりは刺繍やレース編み、それらのデザイン画などの作業をしている方が、工房にとって有益だからという理由で、身の回りの世話をする使用人が付いた。
 一応、工房の職人頭という役職がついたらしい。

 フェリシテとは目を覚ましたとき以降、一度しか会っていない。
 村を出る際に一言二言、言葉を交わして終わりだ。

 自分から望んだ生活ではないとはいえ、辛いと思うほどではないのだから悪くはないのかもしれない。
 まさか北の辺境伯家の私が、東の辺境伯領で平民として生活するようになるなんて、思いもよらなかったけれど、先が見えないのが人生なんだと、傍観者の自分がいた。

 私があの使節団とはぐれるよりも早く自らの足で離れたジョルジュも、私と同じように辺境のどこかで穏やかな暮らしを手に入れられていれば良いのにと思いながら一日が終わる。




―――――――――――――――――――――――――――――――――

後書き
長く続いたカミラ視点ですが、次話から主人公視点に戻ります
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