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初めての会話

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 翌日

 休日、気になって仕方の無い風歌ちゃんに逢いに出掛ける事にした

 もちろん、冴多ちゃんに断りを入れて

 心紀「……分かった。画面越しで良い?」

 って。本音を言えば直に逢いたい

 けど我慢だよね。このご時世だもの

 -みんなの部屋-というプレートが付けられた扉の前に佇み呼吸を整えて

 病院に付くと、冴多ちゃんというより、主治医の先生がOKしたとの事で

 マスクを着ける

 等の幾つかの決まりを守るならの条件でさ、逢わせて貰える事になったんだ

 弾む心を抑えて

 オイラは、ピアノの部屋の扉を軽くノック。返事はなかったけど開けると

 ♪ ポロン

 今日も、ピアノを弾いていた風歌ちゃん

 気配を感じたのか、風歌ちゃんがこっちを見たんだ


 英士「この前は『初めまして。凄く寂しい曲だね』って言ってゴメンね」

 そういうと、オイラは部屋の中に入りきちんと距離を取って、ソファーセットの椅子に気が付いたら座っていたんだ

 風歌《……》

 首をコテっと、オイラから見て右側に傾げて風歌ちゃん、何か考えてるみたい

 風歌「絵は得意ですか?」

 英士「まぁ、好きかな」

 風歌「犬の絵を描いてみて下さいませんか?」

 そんな事言う風歌ちゃん

 持っていたノートから一枚切り取ると、立ち上がりオイラの方に風歌ちゃんが

 テーブルの上に紙を置くと

 風歌「あ、描くもの……」

 だから

 英士「大丈夫。オイラ持っているから」

 絵を描くのが趣味なオイラ。良かった。ペンとかいつも持ち歩いていて

 サラサラと、軽いタッチでワンちゃんの絵を描いて、ピアノの所に戻っていた風歌ちゃんに、今度はオイラが絵をもって近付いて

 英士「はい。描けたよ。ワンちゃん」

 風歌「上手ね」

 話ししながら、笑顔は無かったんだ。けど、微かに微笑んだんだ

 風歌ちゃん……






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