すりかえられた脳髄
西暦二〇四〇年、師走のある晩の事。
都内の某高級ホテルにて地元名士をたたえるパーティーが開催された。A市民病院外科部長の大城戸もそこに招待された客の一人であった。
大城戸はロボット手術の第一人者で、翌年度から帝国医科大学の第一外科学講座主任教授に就任することが内定していた。大城戸には妻子がいたが、教授という地位を得て奢るその浮気癖はさらに度を増していた。
大城戸はパーティー客の中にひときわ美しい女性を見い出す。自称ジャーナリストのその女性上条サユリに彼が会うのはそれが初めてだったが、サユリの方では大城戸を良く知っている様であった。サユリはロボット手術について取材しており、パーティーの中でもお目当ての一人が大城戸であったと打ち明ける。
サユリに心を奪われた大城戸は、彼女を同じホテルのバーに誘い出し、そこで杯を重ねながらサユリとの親密度を増していった。
やがてサユリの酔った様子を見た大城戸は、ホテルの自室に彼女を誘い込もうと画策する。しかしその矢先、サユリから唐突にある申し出を受ける。自分の身の上話を聞いてほしいというのだ。
楽しみの時間を先延ばしされただけと軽く受け取った大城戸は、サユリの申し出を許諾する。ところが淡々と語り始めたサユリの話は、奇怪極まりないものであった。自分は以前付き合っていた男に「毒殺された経験がある」と言うのだ。しかし彼女の打ち明け話の裏には、ある恐ろしい思惑が隠されていた。
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