あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

文字の大きさ
644 / 864

珍しいと、解っている

しおりを挟む
(ほぅ……恥をかかされた? 相手に対し、過剰な対価を用意するだけではなく、地面に額を付けてまで頼み込むことが出来るのか……ある程度の実力はあるものの、それまでの冒険者だと思っていたが……どうやら違ったようだな)

ラストは土下座をしてまで、自分と勝負をしてほしいティールに頼み込みヒツギを見て、意外にも骨がある男なのだと感じた。

ラストもティールと同じく、土下座という正式な所作名、土下座という動作に関する意味などは知らない。
それでも、頭を下げる……腰を九十度に折って頼み込むなどの動作とは、明らかに意気込みが……思いの重さが違うのだと感じ取れる。

だが、それを見ても、ラストはリーダーであるティールに対して、さすがに受けた方が良いんじゃないか? という思いは向けなかった。

(さて……マスターはどの様な対応をするのだろうな)

ラストにとって、一番はマスターであるティール。
元々、関係の始まり部分に、ティールの非があるならまだしも、特にそういった事はない。
ティールに対して害を為したという訳でもないが、ティールの私情を考えれば、とにかく拒否したいという感情も解らなくない。

私情を優先するのは良くない?

時と場合によるが、ラストはこの場面で……ティールが私情を優先したとしても、マスターを軽蔑することはない。
寧ろ、ティールがここまで明確に人を嫌うというのが珍しく……なにより、ティールは兵士や騎士ではなく、冒険者。

義理人情に欠く行為というわけでもないため、それも致し方ない判断だと考えている。

対して……アキラは違った。

(ティール…………っ、しかし……私が声を出して伝えるのは、違う、か……)

土・下・座!! に関して知識や、それを行う者の感情を知っているアキラとしては、ティールにヒツギの申し出を受けてほしいという思いがあった。

だが、アキラはアキラでそんな私情を優先しなかった。
何故なら……現在自分はティールとラストにパーティーを組んでもらっている立場。

ティールのお陰で、ダンジョンに潜ってみたい、探索してみたいという目的を楽しめている。
二人ほどの強さ、探索力を持っている冒険者でなければ、波状試練の深層まで探索するのは非常に難しい。

そんな二人と探索出来てる、頼ってしまうところもある。
それらを正確に理解し、恩を感じているからこそ……ヒツギの申し出を受けてあげてほしいと思っても、それを口に出さなかった。

(……おそらく、ティールがここまで人を嫌っているのは、珍しいのだろう。であれば……断るのも、仕方ない)

ラストと同じく、付き合いは長くないものの、アキラはティールがここまで人を嫌うのは珍しい……それをなんとなく感じ取っていた。

だからこそ、土下座までして頼み込むヒツギの申し出を、ティールが断っても白い目を向けることは、軽蔑することもなかった。

「~~~~~~~~~~~~~ッ…………………チッ!!!!! 解ったよ……解りましたよ。受けますよ」

おそらく、ティール史上……一番大きな舌打ちをかました後、本当に嫌々という感情を一切隠さない顔をしながらも、ティールはヒツギの頼みを受けた。

「っ!!?? ほ、本当か……本当に、受けてくれるのか」

「そう言ったじゃないですか。だから、さっさと起き上がってください」

「あ、あぁ」

よくよく考えてみると、クソ嫌いな相手が自分の目の前で土下座しているという光景は……意外と悪くなかった。

ティールも人間であるため、そういう感覚はあった。
だが、土下座をさせている……実際はヒツギが自ら行っているのだが、そう見られてもおかしくない光景をそのままにさせるのは宜しくないと思い、さっさと体を起こすように告げた。

「身代わりのネックレスは、後で良いんで。とりあえず、あなたからの申し出は受けますよ」

変わらず、嫌々な表情を浮かべながら、再度……男に二言はないと伝えた。
しおりを挟む
感想 125

あなたにおすすめの小説

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

処理中です...