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霧散
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「ご馳走になりました」
「満足してもらった様でなによりだよ」
自分の感覚の方が変だったのかと思いながらも、料理が美味し事には変わりなく、ティールは徐々にテンションが戻りながらジェンの奢り飯を堪能した。
「……ティール君。もし良かったら……本当に気が向いたらで良いんだけど、ヒツギの奴が話しかけて来たら、応えてくれると嬉しい」
「それは、ヒツギの先輩としての頼みですか?」
「まっ、そんなところかな。あいつが同世代、自分よりも歳下の子にここまで興味を持つのは初めてだったからね」
ここで断られたとしても、紫獅の誓いから……ジェン個人でティールの活動を妨害しようというつもりは一切ない。
「…………解りました。ただ、応えるのはヒツギだけです。あいつの取り巻きが一緒にいるなら、会話はしません」
「あっはっは!! 解った。そう伝えておくよ」
店まで別れ、ティールは一人でのんびり街を散策し始めた。
「敬意、ね…………良く解らん」
ティールはこれまで何度も歳が近い冒険者と出会ってきた。
基本的に、仲が悪くなるか、それとも友人になるかの二択。
敬意を持たれる、といったことはなかった。
だからこそ、自分の感覚がおかしかったのだと解ったものの、それでも変な感覚は消えなかった。
(先輩であるジェンさんみたいな態度で接してくるってことか? 歳下の俺に? …………)
ティールはなんとなく、自分が敬意を感じた相手を脳裏に思い浮かべてた。
(…………一番近しい存在は、リースさんか?)
ティールの二人いる師匠のうちの一人、エルフの女性であるリース。
彼女に対してはいつも敬語で接しており、心の底から自分はリースに対して敬意を持っていると断言出来る。
(ジンさんは……ジンさんは……………………よく、解らないな)
なんとなく流れでということはなく、ティールはジンのことを自分の師だと認めている。
認めてはいるが……自分が旅立つ前に教えてくれた、剣や接近戦以外の内容を思い出すと……それ、まだ十になるか否かの子供に教える事か? という内容がいくつもあった。
これに関しては、ティールが知性のギフトを得たことで、歳不相応の考え方などを身に付けていたこともあり、仕方ない部分があるにはあった。
とはいえ、それはそれである。
ティールの失恋内容に関して知っていたとはいえ、まだガキには早いそういう話が多かった。
(……まぁでも、子供相手にあぁいう話を冗談交じり? で話してくれるのって、多分良い大人なんだよな)
まだ一年と少しを過ぎたところであり、社会を知ったというには浅すぎる。
しかし、冒険者という職業上、多くの同業者たちに出会ってきた。
少なくとも、同じく冒険者歴が一年と少しの同世代達よりも、ティールは多くの冒険者たちに出会い、会話し、交流している。
(でも、別に俺は良い大人ではないし、そもそも知り合ったばかり…………俺に経験がないから、か)
本当に経験がないのかと、ティールは更に自分の記憶を掘り返す。
(ん~~~~~~~……あっ、そういえばヴァルター様がいたな)
ヴァルター・フローグラ。
フローグラ伯爵家の三男であり、聖剣技と暗黒剣技のギフトを授かった、生まれながらに将来が約束されている少年……ではなかった。
聖剣技と暗黒剣技。どちらも強力なスキル。
だが、性質が異なるスキルを授かったことで、上手く扱うことが出来ていなかった。
そんなヴァルターに指導をしてもらいたいと、ティールはフローグラ伯爵から依頼を受けた。
(……うん、そうだな。ヴァルター様は、出会った時から……全く折れていなかった)
ギフトとして、聖剣技と暗黒剣技を授かった。
当然ながら、多くの者たちから注目される、期待される。
だが、実際には上手く使えないとなれば、落胆……失望の眼で見下されるのは、貴族の世界をあまり知らないティールでも容易に想像出来る。
(なるほど…………なるほどな。こういう、感覚をあいつは俺に対して抱いてるのか……なるほど、な)
上手く言葉には出来ない。
それでも、胸の内にずっとあったモヤモヤが消えていく爽快感を感じ、ティールの眉間から皺が消えていった。
「満足してもらった様でなによりだよ」
自分の感覚の方が変だったのかと思いながらも、料理が美味し事には変わりなく、ティールは徐々にテンションが戻りながらジェンの奢り飯を堪能した。
「……ティール君。もし良かったら……本当に気が向いたらで良いんだけど、ヒツギの奴が話しかけて来たら、応えてくれると嬉しい」
「それは、ヒツギの先輩としての頼みですか?」
「まっ、そんなところかな。あいつが同世代、自分よりも歳下の子にここまで興味を持つのは初めてだったからね」
ここで断られたとしても、紫獅の誓いから……ジェン個人でティールの活動を妨害しようというつもりは一切ない。
「…………解りました。ただ、応えるのはヒツギだけです。あいつの取り巻きが一緒にいるなら、会話はしません」
「あっはっは!! 解った。そう伝えておくよ」
店まで別れ、ティールは一人でのんびり街を散策し始めた。
「敬意、ね…………良く解らん」
ティールはこれまで何度も歳が近い冒険者と出会ってきた。
基本的に、仲が悪くなるか、それとも友人になるかの二択。
敬意を持たれる、といったことはなかった。
だからこそ、自分の感覚がおかしかったのだと解ったものの、それでも変な感覚は消えなかった。
(先輩であるジェンさんみたいな態度で接してくるってことか? 歳下の俺に? …………)
ティールはなんとなく、自分が敬意を感じた相手を脳裏に思い浮かべてた。
(…………一番近しい存在は、リースさんか?)
ティールの二人いる師匠のうちの一人、エルフの女性であるリース。
彼女に対してはいつも敬語で接しており、心の底から自分はリースに対して敬意を持っていると断言出来る。
(ジンさんは……ジンさんは……………………よく、解らないな)
なんとなく流れでということはなく、ティールはジンのことを自分の師だと認めている。
認めてはいるが……自分が旅立つ前に教えてくれた、剣や接近戦以外の内容を思い出すと……それ、まだ十になるか否かの子供に教える事か? という内容がいくつもあった。
これに関しては、ティールが知性のギフトを得たことで、歳不相応の考え方などを身に付けていたこともあり、仕方ない部分があるにはあった。
とはいえ、それはそれである。
ティールの失恋内容に関して知っていたとはいえ、まだガキには早いそういう話が多かった。
(……まぁでも、子供相手にあぁいう話を冗談交じり? で話してくれるのって、多分良い大人なんだよな)
まだ一年と少しを過ぎたところであり、社会を知ったというには浅すぎる。
しかし、冒険者という職業上、多くの同業者たちに出会ってきた。
少なくとも、同じく冒険者歴が一年と少しの同世代達よりも、ティールは多くの冒険者たちに出会い、会話し、交流している。
(でも、別に俺は良い大人ではないし、そもそも知り合ったばかり…………俺に経験がないから、か)
本当に経験がないのかと、ティールは更に自分の記憶を掘り返す。
(ん~~~~~~~……あっ、そういえばヴァルター様がいたな)
ヴァルター・フローグラ。
フローグラ伯爵家の三男であり、聖剣技と暗黒剣技のギフトを授かった、生まれながらに将来が約束されている少年……ではなかった。
聖剣技と暗黒剣技。どちらも強力なスキル。
だが、性質が異なるスキルを授かったことで、上手く扱うことが出来ていなかった。
そんなヴァルターに指導をしてもらいたいと、ティールはフローグラ伯爵から依頼を受けた。
(……うん、そうだな。ヴァルター様は、出会った時から……全く折れていなかった)
ギフトとして、聖剣技と暗黒剣技を授かった。
当然ながら、多くの者たちから注目される、期待される。
だが、実際には上手く使えないとなれば、落胆……失望の眼で見下されるのは、貴族の世界をあまり知らないティールでも容易に想像出来る。
(なるほど…………なるほどな。こういう、感覚をあいつは俺に対して抱いてるのか……なるほど、な)
上手く言葉には出来ない。
それでも、胸の内にずっとあったモヤモヤが消えていく爽快感を感じ、ティールの眉間から皺が消えていった。
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