754 / 852
踏ん張り効かず
しおりを挟む
「くっ!!!!!」
(むっ……ギリギリ当たらなかったか)
ロングソードが下から振り上げられる瞬間、グレイズは全力で後方に飛び退いた。
結果、ティールはどこかしら切れるだろうと……切断とはいかずとも、脚か腕、胸部を切ればグッと終わりが近づくと思っていた。
しかし、ロングソードが切り裂いたのは髪の先のみ。
槍使いとしては屈辱的な展開ではあるが、グレイズは訓練時に現在のような状況になった際、勝負を決める一撃を食らわないように咄嗟に下れるように体に染み込ませていた。
(はぁ、はぁ、クソっ!! もっと……もっと集中するんだ!!!)
槍使いは、長いリーチを生かし、攻撃を行うだけではなく己の懐に入られないようにしなければならない。
だが、グレイズは結果としてあっさりとティールに侵入を許してしまった。
「すぅーーー、はぁーーー…………ッ!!!!!」
次は同じミスを起こさない。
呼吸を整え……集中力を高め、地を蹴って距離を詰め、高速の突きを繰り返す。
勿論矛先には風を纏っているため、刃だけ避ければ風に裂かれてしまう。
(…………特殊な、強化スキルとかはない、ってことで良いのかな)
後で言い訳を残させない。
だからこそ、ティールは再び懐に侵入するのではなく、繰り出される突きの攻撃範囲を見誤らないように避けて避けて避けまくる。
(っ、だからどうしたッ!!!!!!!)
まだ、一つもクリーンヒットが出ない。
その状況に、さすがのグレイズもティールの回避技術、俊敏さは認めなければならないと感じた。
それでも、彼にとって目の前の……尊敬する人のスカウトを断った野郎を、どうしても倒したい。
当らないなら、当たるまで攻撃を止めないだけ。
攻撃の質が衰えることはなく、体幹がブレず、相変わらず的確に相手が狙われたくない場所を狙う。
(……ないなら、もう良いか)
しかし、ティールはグレイズとスタミナ勝負をするつもりはない。
突きが放たれる個所を予想し、回避。
そのまま流れるように懐に潜り込む。
今回、丁寧な対応? でグレイズとの試合を引き受けたティール。
ただ……少年からすれば、グレイズの態度はこれまで自分に絡んできた面倒な連中と同じ。
そのため、脚……もしくは腕を折るつもりだった。
「ふんッ!!!!!!!!!」
「っ!!!!!?????」
懐に潜り込み、カウンターを放つ。
それがティールの想定していた流れだが……グレイスは直感ではあったものの、このタイミングでティールが懐に入り込んでくると感じ取っていた。
槍という武器を使っているからこそ、懐に潜り込まれたら不味い。
だが……そこから全く反撃できない訳ではない。
グレイズはこれまで隠していた火を槍の刃ではなく柄に纏い、同時に風を纏わせ、更に火力を上げる。
そして今度はグレイズから下から攻撃をブチかました。
(なる、ほど)
だが、柄はティールの腹に叩きこまれることはなく、咄嗟に構えたロングソードの腹に当たった。
ガードされてしまった……が、ティールにとっては予想外の攻撃であり、ガードの体勢が十分ではなかった。
下からかち上げられ、宙に飛ばされてしまうティール。
「っ、しょッ!!!!」
心の底から驚き、感心した。
それでもティールに焦りが生まれることはなく、冷静に空中で体勢を整え……天井に両足を添え、蹴り飛ばす。
「なっ!!??」
宙に浮いている相手は、本来格好の的となる。
扱う武器が槍でなくとも、ロングソードや戦斧であっても、地上に立つ者が有利な状況。
しかし、天井を蹴って移動したティールの速度は速く、なによりグレイズにとっても予想外に行動だったため、反応が遅れてしまった。
「ッ、ふんッ!!!!!!!!!!!」
「がっ!!!!!!??????」
ティールはグレイズの背後に着地。
グレイスは即座に振り返りながら跳び、距離を取ろうとしたが……その前にティールの右フックが炸裂。
その場で踏ん張ることは出来ず、グレイスは壁端まで殴り飛ばされてしまった。
(むっ……ギリギリ当たらなかったか)
ロングソードが下から振り上げられる瞬間、グレイズは全力で後方に飛び退いた。
結果、ティールはどこかしら切れるだろうと……切断とはいかずとも、脚か腕、胸部を切ればグッと終わりが近づくと思っていた。
しかし、ロングソードが切り裂いたのは髪の先のみ。
槍使いとしては屈辱的な展開ではあるが、グレイズは訓練時に現在のような状況になった際、勝負を決める一撃を食らわないように咄嗟に下れるように体に染み込ませていた。
(はぁ、はぁ、クソっ!! もっと……もっと集中するんだ!!!)
槍使いは、長いリーチを生かし、攻撃を行うだけではなく己の懐に入られないようにしなければならない。
だが、グレイズは結果としてあっさりとティールに侵入を許してしまった。
「すぅーーー、はぁーーー…………ッ!!!!!」
次は同じミスを起こさない。
呼吸を整え……集中力を高め、地を蹴って距離を詰め、高速の突きを繰り返す。
勿論矛先には風を纏っているため、刃だけ避ければ風に裂かれてしまう。
(…………特殊な、強化スキルとかはない、ってことで良いのかな)
後で言い訳を残させない。
だからこそ、ティールは再び懐に侵入するのではなく、繰り出される突きの攻撃範囲を見誤らないように避けて避けて避けまくる。
(っ、だからどうしたッ!!!!!!!)
まだ、一つもクリーンヒットが出ない。
その状況に、さすがのグレイズもティールの回避技術、俊敏さは認めなければならないと感じた。
それでも、彼にとって目の前の……尊敬する人のスカウトを断った野郎を、どうしても倒したい。
当らないなら、当たるまで攻撃を止めないだけ。
攻撃の質が衰えることはなく、体幹がブレず、相変わらず的確に相手が狙われたくない場所を狙う。
(……ないなら、もう良いか)
しかし、ティールはグレイズとスタミナ勝負をするつもりはない。
突きが放たれる個所を予想し、回避。
そのまま流れるように懐に潜り込む。
今回、丁寧な対応? でグレイズとの試合を引き受けたティール。
ただ……少年からすれば、グレイズの態度はこれまで自分に絡んできた面倒な連中と同じ。
そのため、脚……もしくは腕を折るつもりだった。
「ふんッ!!!!!!!!!」
「っ!!!!!?????」
懐に潜り込み、カウンターを放つ。
それがティールの想定していた流れだが……グレイスは直感ではあったものの、このタイミングでティールが懐に入り込んでくると感じ取っていた。
槍という武器を使っているからこそ、懐に潜り込まれたら不味い。
だが……そこから全く反撃できない訳ではない。
グレイズはこれまで隠していた火を槍の刃ではなく柄に纏い、同時に風を纏わせ、更に火力を上げる。
そして今度はグレイズから下から攻撃をブチかました。
(なる、ほど)
だが、柄はティールの腹に叩きこまれることはなく、咄嗟に構えたロングソードの腹に当たった。
ガードされてしまった……が、ティールにとっては予想外の攻撃であり、ガードの体勢が十分ではなかった。
下からかち上げられ、宙に飛ばされてしまうティール。
「っ、しょッ!!!!」
心の底から驚き、感心した。
それでもティールに焦りが生まれることはなく、冷静に空中で体勢を整え……天井に両足を添え、蹴り飛ばす。
「なっ!!??」
宙に浮いている相手は、本来格好の的となる。
扱う武器が槍でなくとも、ロングソードや戦斧であっても、地上に立つ者が有利な状況。
しかし、天井を蹴って移動したティールの速度は速く、なによりグレイズにとっても予想外に行動だったため、反応が遅れてしまった。
「ッ、ふんッ!!!!!!!!!!!」
「がっ!!!!!!??????」
ティールはグレイズの背後に着地。
グレイスは即座に振り返りながら跳び、距離を取ろうとしたが……その前にティールの右フックが炸裂。
その場で踏ん張ることは出来ず、グレイスは壁端まで殴り飛ばされてしまった。
181
あなたにおすすめの小説
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
お妃さま誕生物語
すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。
小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
とある執事の日常 ~お嬢様の中身は恐らくギャル~
冬兎
ファンタジー
R8.1.20 投稿開始
うちのお嬢様は絶対におかしい。
「道路やばくない? 整備しよ」
「孤児院とか作ったら?」
「困ってる人助けるのなんか当たり前っしょ」
貴族令嬢らしからぬ口調で突拍子もない提案を次々とぶつけてくるお嬢様、レティシア・リオネール。執事の俺、クラウスは今日も彼女の無茶振りに振り回される。
不思議なことに、お嬢様の理想論は必ず実現し効果を発揮する。
孤児院は完成し、医療制度は整い、領地は驚異的に発展していく。
元勇者の伯爵様、脳筋騎士団長、くのいちメイド長、双子の妹たち――
濃すぎる面々に囲まれながら、俺は今日もお嬢様の思いつきを形にしていく。
気づけば、振り回されることに悦びを感じ始めている俺はもう手遅れかもしれない。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる