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第04章 魔族殲滅編
05 蓮太、魔族を従える
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空間内時間で悩む事数日、女魔族はついに折れた。
《従います、従うから助けてっ!》
「やっと決めたか。遅いぞ」
女魔族は椅子に座る蓮太の脇で土下座をしていた。この空間内で女魔族にできる事は何もない。そして蓮太に服従した時点で女魔族の空間は消える。これでようやく次のフロアへと進めるようになる。
「じゃあ契約といこうか。肩を出しな」
《肩……ですか。なぜでしょう?》
「決まってんだろ。今から隷属魔法を使って奴隷紋を刻むからだ」
《うぅぅぅ……、わかり……ました》
これで女魔族は蓮太に逆らう事はできなくなる。今はまだ口頭のみでの契約なので破ろうと思えばいくらでも破る事ができる。
例えば、奴隷紋を刻んでいなかった場合、蓮太が空間を解除した瞬間に再び女魔族が自分の空間を構築するはずだ。蓮太は一切の油断なく女魔族を封じ込める。
「そうだ、今さらだがお前の名は?」
《ラフィエル……です》
「……そうか。まだ服従する気はないか」
《──ギクッ》
蓮太は女魔族を試した。事実、鑑定では全く違う名前が見えている。
「やっぱ殺すか。信用ならん」
《も、申し訳ありませんっ!! もう二度と逆らいませんからっ!》
「その言葉すらもう信用ならんのだが。【デボネア】」
《なっ! うぅぅ、私……その名が嫌いなのですっ!》
「はぁ? 別に普通の名前だろ」
するとは頭を振り乱し名前を拒否した。
《か、可愛くないじゃないですかっ!》
「はぁ? か、可愛くない?」
《そうですよ! デボネアなんてババ臭いし、邪悪そのものっぽいじゃないですか!》
「……」
蓮太は思った。魔族なのだから邪悪で当たり前じゃないかと。
《奴隷にされるのは構いませんっ! ですが名前だけはっ! 名前だけは可愛いものに変更して下さいませっ!》
「それで天使みたいな名を名乗ったのかよ。何がラフィエルだよ。自分が天使みたいに可愛いとか思ってるわけ?」
《う、美しさでは負けてません》
確かに真紅のドレス姿は似合っているし、長い黒髪も艶があり綺麗だとは思う。スタイルも抜群で非の打ち所がないが、ただ残念な事に肌が青みがかった灰色。まるで死人のような肌色だった。これが全てを台無しにしている。
「やれやれ。じゃあ今からお前の名前はラフィエルな。それで奴隷紋を刻む。真名もわかってんだ、逆らったら殺すからな」
《は、ははっ!》
「では今から奴隷紋を刻むぞ。肩を出せ」
《あの、できたら肩ではなく見えない場所に……》
「従う気あんのか!?」
ラフィエルは美しさにこだわりがあるらしい。肩のように見える場所はどうしても嫌なようだ。
《できたら服で隠せるお腹か指輪で隠せる指で……》
「ワガママな奴だな。なら手を出せ」
《はいっ!》
ラフィエルは喜んで左手を出してきた。蓮太はその手を取り、薬指に奴隷紋を刻んだ。
「これでお前は俺に逆らえない。俺に対する攻撃はもちろん、俺が許可しないとスキルも使えない」
《……はい。今より私はラフィエル。レンタ様に従います》
「ああ。なら奴隷第一号に俺からプレゼントだ。スキル【種族変更】」
《あ──あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? な、なにを──っ! か、体が熱いぃぃぃぃぃっ!?》
ラフィエルは身体を抱え床を転げ回った。
「お前の肌色は目立つからな。今スキルでお前を魔族から人間に変えている。しばらく耐えろ」
《に、人間に……!? で、では肌の色は……》
「普通に肌色だな」
それを聞いたラフィエルは涙を流し喜んだ。
《あ、ありがとうございますぅぅぅぅぅぅぅっ! 私っ、この肌の色が一番嫌いでしたぁぁぁっ! ずっと人間の肌色に嫉妬していたのですっ!》
「……そうか」
物凄い激痛が絶え間なく襲い掛かってきているにも関わらず、ラフィエルは歓喜していた。やはり美にこだわっているだけあり、あの死人のような肌の色は気に入っていなかったのだろう。
「それじゃああと半日頑張って耐えてくれ」
《何日でも耐えてみせますわっ!》
そうして空間を作ってから一日、女魔族デボネアは人間のラフィエルとなった。その肌は透き通るような人間の肌色に代わり、ラフィエルは心から蓮太に服従するようになった。
「ご主人様! 私を人間にしていただきありがとうございますっ! しかし……このような力を持っているご主人様は何者なのですか? 普通じゃありえない力ですよね?」
「俺はちょっと普通じゃないからな。だがそんな話はどうでも良い。それよりラフィエル、残りの魔族について知っている事を全て話せ」
「はいっ!」
蓮太はラフィエルから残る魔族二体と魔王について詳しく話を聞き出した。
「まず、次のフロアにいるのは……」
そうして詳しく聞き出した結果。
《この……裏切り者め……っ! 魔族の面汚しがぁ……っ!》
「さあ、次に行きましょう、ご主人様!」
「そうだな」
能力から弱点まで全ての情報が筒抜けになった四天王二体はあっけなく蓮太の手で処理された。そして二人はいよいよ魔王のいる魔王の間へと辿り着いた。
「ご主人様、ここが魔王の間です」
「オーケー。じゃあサクッと終わらせるとしようか」
そう言い、蓮太は目の前にあった禍々しい装飾を施された扉を開いた。
《……来たか》
魔王の間に入ると奥の玉座に魔王が座っていた。
「魔王だな」
《いかにも。貴様が侵入者か》
「当たり前の事聞くなよ。残る魔族はお前だけだ。さあ、最後の戦いといこうか」
《……ふむ。その前に……》
魔王はラフィエルを見た。
《デボネア。まさかお前が裏切るとはな。失望した》
「ラフィエルですわ。それに……裏切るなどとんでもない。寝返っただけですわ。魔族はより強い者に従う。お忘れですか?」
《貴様……。なら我はそこの人間より弱いと申すか!》
「ええ。私にも勝てない魔王がご主人様に勝てるわけないでしょう?」
《貴様ぁっ!》
魔王は怒りに震え玉座から立ち上がった。
《我は貴様などより強いっ!! 空間の力のみで我に勝てるかっ!! ぬぅぅぅぅぅぅぅんっ!!》
魔王は手のひらから禍々しい大剣を生み出し構えた。
《貴様ら二人、我が粉々になるまで斬り刻んでやるわっ!!》
「ご主人様、魔王のスキルにお気をつけ下さいませ」
「余裕だっつーの。まあそこで見てな」
「はっ!」
魔王は階段を下り、蓮太は前に進む。そしてフロアの真ん中で二人が今対峙した。
《ふん、我は今までの魔族とはレベルが違う。同じように考えているなら貴様は一瞬で終わるだろう》
「同じだよ。俺にとっちゃミジンコか蟻かの違い程度だ。踏み潰してやんよ」
《舐めるな人間がっ!! 勇者だか何だか知らぬがっ、人間が魔王に勝てると思うなっ!!》
「はいはい、口喧嘩しにきたんじゃねぇんだ。さっさと戦ろうぜ。ちょっとだけ遊んでやるよ」
そう言い、蓮太は手のひらを上に向けかかって来いと挑発した。
《己ぇぇぇぇぇぇっ!! スキル【全能力倍化】! スキル【状態異常反射】! スキル【物理攻撃反射】ぁぁぁぁぁぁっ!!》
魔王は挑発に乗り自らを強化した。
《ふはははははっ!! これで我に攻撃は通じんっ!! さあどうする人間っ!!》
「別にどうも? ほら、当ててみな」
《……どこまでも我を舐めおって!! ならば一撃で真っ二つにしてやるわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!!》
怒り狂った魔王の大剣が頭上から迫り来る。挑発された相手の攻撃ほど読みやすいものはない。大剣は強いが攻撃パターンはそう多くない。そして挑発された相手が狙う場所は決まって頭だ。ムカついたら顔を殴りにいくだろう。つまりはこういう事になる。
《な、なんだとっ!? わ、我の攻撃を片手で受け止めただとっ!?》
「ふん、来る場所がわかってりゃこんなもんどうって事ねぇんだよ。ふんっ!!」
《なぁっ!?》
蓮太は受け止めた手に力を籠め、魔王の大剣を砕いた。
《バ、バカなっ!? 我の大剣がっ!! 魔界で一番硬いマグネタイト製の剣だぞっ!? しかも強化した我の剣を受け止めた!?》
「物足りねぇなぁ~? えぇ、魔王様よぉ~?」
《ぐぬぅぅぅぅっ!》
魔王は破壊された武器を捨て蓮太から距離をとるのだった。
《従います、従うから助けてっ!》
「やっと決めたか。遅いぞ」
女魔族は椅子に座る蓮太の脇で土下座をしていた。この空間内で女魔族にできる事は何もない。そして蓮太に服従した時点で女魔族の空間は消える。これでようやく次のフロアへと進めるようになる。
「じゃあ契約といこうか。肩を出しな」
《肩……ですか。なぜでしょう?》
「決まってんだろ。今から隷属魔法を使って奴隷紋を刻むからだ」
《うぅぅぅ……、わかり……ました》
これで女魔族は蓮太に逆らう事はできなくなる。今はまだ口頭のみでの契約なので破ろうと思えばいくらでも破る事ができる。
例えば、奴隷紋を刻んでいなかった場合、蓮太が空間を解除した瞬間に再び女魔族が自分の空間を構築するはずだ。蓮太は一切の油断なく女魔族を封じ込める。
「そうだ、今さらだがお前の名は?」
《ラフィエル……です》
「……そうか。まだ服従する気はないか」
《──ギクッ》
蓮太は女魔族を試した。事実、鑑定では全く違う名前が見えている。
「やっぱ殺すか。信用ならん」
《も、申し訳ありませんっ!! もう二度と逆らいませんからっ!》
「その言葉すらもう信用ならんのだが。【デボネア】」
《なっ! うぅぅ、私……その名が嫌いなのですっ!》
「はぁ? 別に普通の名前だろ」
するとは頭を振り乱し名前を拒否した。
《か、可愛くないじゃないですかっ!》
「はぁ? か、可愛くない?」
《そうですよ! デボネアなんてババ臭いし、邪悪そのものっぽいじゃないですか!》
「……」
蓮太は思った。魔族なのだから邪悪で当たり前じゃないかと。
《奴隷にされるのは構いませんっ! ですが名前だけはっ! 名前だけは可愛いものに変更して下さいませっ!》
「それで天使みたいな名を名乗ったのかよ。何がラフィエルだよ。自分が天使みたいに可愛いとか思ってるわけ?」
《う、美しさでは負けてません》
確かに真紅のドレス姿は似合っているし、長い黒髪も艶があり綺麗だとは思う。スタイルも抜群で非の打ち所がないが、ただ残念な事に肌が青みがかった灰色。まるで死人のような肌色だった。これが全てを台無しにしている。
「やれやれ。じゃあ今からお前の名前はラフィエルな。それで奴隷紋を刻む。真名もわかってんだ、逆らったら殺すからな」
《は、ははっ!》
「では今から奴隷紋を刻むぞ。肩を出せ」
《あの、できたら肩ではなく見えない場所に……》
「従う気あんのか!?」
ラフィエルは美しさにこだわりがあるらしい。肩のように見える場所はどうしても嫌なようだ。
《できたら服で隠せるお腹か指輪で隠せる指で……》
「ワガママな奴だな。なら手を出せ」
《はいっ!》
ラフィエルは喜んで左手を出してきた。蓮太はその手を取り、薬指に奴隷紋を刻んだ。
「これでお前は俺に逆らえない。俺に対する攻撃はもちろん、俺が許可しないとスキルも使えない」
《……はい。今より私はラフィエル。レンタ様に従います》
「ああ。なら奴隷第一号に俺からプレゼントだ。スキル【種族変更】」
《あ──あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? な、なにを──っ! か、体が熱いぃぃぃぃぃっ!?》
ラフィエルは身体を抱え床を転げ回った。
「お前の肌色は目立つからな。今スキルでお前を魔族から人間に変えている。しばらく耐えろ」
《に、人間に……!? で、では肌の色は……》
「普通に肌色だな」
それを聞いたラフィエルは涙を流し喜んだ。
《あ、ありがとうございますぅぅぅぅぅぅぅっ! 私っ、この肌の色が一番嫌いでしたぁぁぁっ! ずっと人間の肌色に嫉妬していたのですっ!》
「……そうか」
物凄い激痛が絶え間なく襲い掛かってきているにも関わらず、ラフィエルは歓喜していた。やはり美にこだわっているだけあり、あの死人のような肌の色は気に入っていなかったのだろう。
「それじゃああと半日頑張って耐えてくれ」
《何日でも耐えてみせますわっ!》
そうして空間を作ってから一日、女魔族デボネアは人間のラフィエルとなった。その肌は透き通るような人間の肌色に代わり、ラフィエルは心から蓮太に服従するようになった。
「ご主人様! 私を人間にしていただきありがとうございますっ! しかし……このような力を持っているご主人様は何者なのですか? 普通じゃありえない力ですよね?」
「俺はちょっと普通じゃないからな。だがそんな話はどうでも良い。それよりラフィエル、残りの魔族について知っている事を全て話せ」
「はいっ!」
蓮太はラフィエルから残る魔族二体と魔王について詳しく話を聞き出した。
「まず、次のフロアにいるのは……」
そうして詳しく聞き出した結果。
《この……裏切り者め……っ! 魔族の面汚しがぁ……っ!》
「さあ、次に行きましょう、ご主人様!」
「そうだな」
能力から弱点まで全ての情報が筒抜けになった四天王二体はあっけなく蓮太の手で処理された。そして二人はいよいよ魔王のいる魔王の間へと辿り着いた。
「ご主人様、ここが魔王の間です」
「オーケー。じゃあサクッと終わらせるとしようか」
そう言い、蓮太は目の前にあった禍々しい装飾を施された扉を開いた。
《……来たか》
魔王の間に入ると奥の玉座に魔王が座っていた。
「魔王だな」
《いかにも。貴様が侵入者か》
「当たり前の事聞くなよ。残る魔族はお前だけだ。さあ、最後の戦いといこうか」
《……ふむ。その前に……》
魔王はラフィエルを見た。
《デボネア。まさかお前が裏切るとはな。失望した》
「ラフィエルですわ。それに……裏切るなどとんでもない。寝返っただけですわ。魔族はより強い者に従う。お忘れですか?」
《貴様……。なら我はそこの人間より弱いと申すか!》
「ええ。私にも勝てない魔王がご主人様に勝てるわけないでしょう?」
《貴様ぁっ!》
魔王は怒りに震え玉座から立ち上がった。
《我は貴様などより強いっ!! 空間の力のみで我に勝てるかっ!! ぬぅぅぅぅぅぅぅんっ!!》
魔王は手のひらから禍々しい大剣を生み出し構えた。
《貴様ら二人、我が粉々になるまで斬り刻んでやるわっ!!》
「ご主人様、魔王のスキルにお気をつけ下さいませ」
「余裕だっつーの。まあそこで見てな」
「はっ!」
魔王は階段を下り、蓮太は前に進む。そしてフロアの真ん中で二人が今対峙した。
《ふん、我は今までの魔族とはレベルが違う。同じように考えているなら貴様は一瞬で終わるだろう》
「同じだよ。俺にとっちゃミジンコか蟻かの違い程度だ。踏み潰してやんよ」
《舐めるな人間がっ!! 勇者だか何だか知らぬがっ、人間が魔王に勝てると思うなっ!!》
「はいはい、口喧嘩しにきたんじゃねぇんだ。さっさと戦ろうぜ。ちょっとだけ遊んでやるよ」
そう言い、蓮太は手のひらを上に向けかかって来いと挑発した。
《己ぇぇぇぇぇぇっ!! スキル【全能力倍化】! スキル【状態異常反射】! スキル【物理攻撃反射】ぁぁぁぁぁぁっ!!》
魔王は挑発に乗り自らを強化した。
《ふはははははっ!! これで我に攻撃は通じんっ!! さあどうする人間っ!!》
「別にどうも? ほら、当ててみな」
《……どこまでも我を舐めおって!! ならば一撃で真っ二つにしてやるわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!!》
怒り狂った魔王の大剣が頭上から迫り来る。挑発された相手の攻撃ほど読みやすいものはない。大剣は強いが攻撃パターンはそう多くない。そして挑発された相手が狙う場所は決まって頭だ。ムカついたら顔を殴りにいくだろう。つまりはこういう事になる。
《な、なんだとっ!? わ、我の攻撃を片手で受け止めただとっ!?》
「ふん、来る場所がわかってりゃこんなもんどうって事ねぇんだよ。ふんっ!!」
《なぁっ!?》
蓮太は受け止めた手に力を籠め、魔王の大剣を砕いた。
《バ、バカなっ!? 我の大剣がっ!! 魔界で一番硬いマグネタイト製の剣だぞっ!? しかも強化した我の剣を受け止めた!?》
「物足りねぇなぁ~? えぇ、魔王様よぉ~?」
《ぐぬぅぅぅぅっ!》
魔王は破壊された武器を捨て蓮太から距離をとるのだった。
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