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異世界で幼なじみともう一度

彼女のいない第二騎士団

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「「うおおおおお!」」

 激しい打ち合い、倒れてもすぐに立ち上がりまた打ち合う。それがここ数日の第二騎士団の日常だった。

「……なんかみんな、狂戦士みたいね」
「まあ、リリアがいないのが全員堪えているんだろうね。団長もアレだし」

 アイリーンとルード副団長が、横目でレオン団長を見る。レオン団長の周りには、挑んだ団員たちが、つみ上がっている。

「でも、レオンと戦うのって、お互いの実力が上がっていくのが分かって面白いのよね。私も挑戦してくるわ」
「まあ、それもそうか。……久しぶりに燃えてきたな。俺も行く」
「よーし。騎士学校を思い出して、2人でコンビネーション攻撃試してみる?」

 アイリーンとルード副団長は目を合わせ、よく2人で悪戯を計画していた幼いあの頃のように笑いあう。

「いいな。出遅れるなよ?」
「そちらこそ!」

 スピードにのって、自由奔放に戦うアイリーン。計算され尽くした戦いで相手の弱点を突くルード。
 性格も戦闘スタイルも正反対の2人だが、コンビネーション攻撃ではその力は倍以上に発揮される。

 2人とも個人では、レオン団長に及ばないが、コンビネーション攻撃では何度かレオン団長の膝を地につけている。

「ふふっ。たーのしい!」
「ちゃんとタイミング合わせろ?!」

 正反対からバラバラに、しかし計算され尽くしたタイミングで斬撃がレオン団長に襲いかかる。

「ははっ。久しぶりに2人で組んだのか。いいな」
「ちっ、これを受けるの!?」
「次行くぞ、アイリーン!」

 戦いが始まると、他の団員たちが訓練の手を止めてその戦いに見入った。
 それこそ、それぞれが英雄と呼ばれても良いレベルの3人の戦いは、日が暮れるまで続いた。


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「……リリアのことだから、あちらでも上手くやっているんだろうけど」
「そうね。でも、少しレオンが不憫ね」

 2対1ではあったが、レオン団長に辛くも勝ち越したアイリーンとルード副団長が顔を見合わせた。2人の表情は晴れやかだ。

 一方、レオン団長は「まだ、強さが足りない……リリアを守るためにもっと力を……」と呟いて騎士団長室に消えていった。

 追い討ちをかけているように見えるが、こういう時のレオンを一人にはしておけない2人の心遣いでもあるのだ。

「まあ、リリアもあと数日で帰ってくるのだから」
「まあ、そうすればいつものレオンに戻るだろ」

 翌朝、第二騎士団に早馬で知らせが届く。リリアのいる避難所にドラゴンが現れたとの情報が届く。

 しかし団長室にはすでにレオン団長の姿はなかった。
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