魔力ゼロ令嬢ですが元ライバル魔術師に司書として雇われただけのはずなのに、なぜか溺愛されています。

氷雨そら

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王立魔術院 1

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 アルベルトに連れられて、再び訪れた王立魔術院。

(そういえば、いつもフール様はこの場所にいるけど、ご自宅は?)

 周囲の視線なんてものともせず、私の手を引いて歩いて行くアルベルト。
 今日の彼は王立魔術院の制服を完璧に着こなしていてものすごく素敵だ。

 私は私で、アルベルトが用意してくれたドレスに身を包んでいる。
 髪の毛と瞳の色がほとんど抜けてしまっていたときとは、印象が大きく変わってしまった。
 元の色に戻っただけのはずなのに、なぜか落ち着かない。

「視線が痛いんだけど……」
「そうだな、全てから隠すべきか」
「……アルベルトが私の手を握っているせいだと思うよ?」
「……それは良い。周囲によく知らしめておこう」

 アルベルトはクッと軽く口元を歪めて、私の手を引き寄せると上から見下ろしてきた。

「君の夢は叶うだろう」
「何のこと?」
「行けばわかるさ」

 アルベルトはこの場で教えてくれなかった。

「あれ? フール様の部屋はこちらなのでは?」
「今日、用があるのはこちらの小会議室だ」
「会議室?」

 一つの扉の前でアルベルトは立ち止まり、ようやく繋いでいた手を離した。
 そして扉をノックする代わりに手のひらをついた。

「アルベルト・ローランド、そしてシェリア・ウェンダーだ」

 白銀の魔法陣が現れると同時に、ギギッときしんだ音を立てて扉が開く。

 薄暗い室内には、長いテーブルが置かれ、向かい合うように左右5人ずつが並んでいた。
 そして、正面には両肘をテーブルについて手を組んだフール様がいた。

「やあ、待ちかねたよ。……座りなさい」
「全員お揃いとは……。おまたせして申し訳ありません」

 チラリ、チラリとアルベルトとフール様それぞれの表情を確認する。
 2人とも完全にいつもの陽気さを消してしまい、アルベルトは氷点下みたいに冷たい印象だし、フール様はドロドロと深淵のように恐ろしい印象だ。

(私がとるべき行動は……。でも、まずは挨拶よね)

 ドレスの裾をつまんで、静かに礼をする。
 この場には明らかな序列があり、私はその一番下にいる。

 このまま待っていれば、誰かが声をかけてくれるだろう。

「……物怖じしないか」

 ポツリ、と誰かがつぶやいた。
 そのまま深く礼をして声がかけられるのを待つ。

「筆頭、レイ・フールだ。君も顔を上げて名を名乗れ」
「シェリア・ウェンダーです」

 顔を上げて、背筋をピンッと伸ばす。
 そう、王立学園最終学年の担任、ベスター先生が言っていた。肝心なのは視線と姿勢だと。

 ドクドクと酷く高鳴る心臓。
 いったい、どうして自分がこの場に呼ばれたのかわからない。

 場が静まり返ったとき、会議室に音声が流れた。

「レイラ・デルフィーノですわ」

 扉が開くと光が差し込む。
 そこに現れたのは、なぜか王立魔術院の制服に身を包んだレイラ様だった。
 
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