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還る

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「神といえども運命を弄ぶ権利などあるものか。」
「たとえ神から与えられた運命でなくても、僕たちは自分で自分の運命を切り開きます。運命は決まっているものではなく、自分の選択によって少しずつ変わるものだと思うから。」


俺はアーサーの手を握る。

離せと言われても絶対に離さない。


「煩い!あいつと…………先代と同じ事言うなあ!お前らが好き勝手やるとあちこち調整しなきゃならないから、俺の仕事が増えるだろう!」

運命の神とやらは、そんな理由で?
なんて理不尽なんだろう。


「お前らなんて!」


そう、神が叫んだ瞬間。




目の前が真っ暗になった。








「可愛い僕の愛しの番。」


はっとなり見上げると、スパイス。

どうして?


「どうしたんだい?悪阻かな?でもああ、もうそんな時期は過ぎたよね。風邪かな?ダメだよ、気をつけないと。」


悪阻?


ふとみると、俺の腹は膨らんでいる。

しかし、それよりも…………



俺の足首から下が、ない。




「ああ、足が痛むのかな?君がいけないんだよ?僕の妻なのにアーサー殿下に色目を使うから。」




ああ、思い出した。


ここが幻なのか、今までが幻だったのか分からないけど、一番最初。

俺はアーサーと出会って、本当の恋をして。
狂ったこいつに監禁されたんだ。


そして、きっと助けると約束してくれたアーサーは殺されて。

その知らせを聞いて、絶望したんだ。


自分に力があれば、と強く望んで。
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