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ありがとう、旦那様

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「ありがとう。フローラ王国を招待したのは、きっぱりと国際社会から排除するためだったんでしょう?」

「一生に一度の日だったのにごめん。………なにかされる前に、なるべく多くの王族の前で決着をつけたかったんだ。」


「いいよ。俺もそのつもりだったし。最初に奴らがきたとき、アーサーを渡したくないって…。向こうの経済の要をこっちが抑えちゃえば国力を盾にアーサーを奪うこともできないのかな、って。速攻で叔父さんと相談して、株を押さえちゃったんだ。………でもさ、すんなり買えたのってアーサーが根回ししてくれてたからだよな。」


交渉にいったらどこも二つ返事で即答だった。
あんな王族とアーサーを比べたら、誰だってアーサーが良いって思うに決まってる。
ウチについたときの当面の税の優遇措置も約束してくれたって、聞いた。



まだ、俺たちは披露宴で着た服のまま。

窓から見る夜景は綺麗。

薄暗い部屋の中で、月明りに照らされたベッドは、初夜らしくバラの花びらが散っている。





披露宴の後、俺たちはあちこちの国の王族から引っ張りだこで、挨拶をしたりダンスをしたり。
大忙しだった。

セーラお母さまは、シュヴァイツァー王国の偉い人たちにお姫様のように扱われていて、なんだかすごくて…。


改めて、自分の母親がどれだけの人間だったか認識した。




ああ、いよいよ初夜か…。




今日から俺は、薬を飲まない。
俺周りの傍仕えや宮中の人間は、フェロモンが分からないベータの人間のみとなる。

ベータでも、優秀な人材はいて、問題なく国は動かせるし、護衛の腕も問題ない。


こうして考えると、第二の性って何だろうって思う。

もしかしたら、子どもの出生率が下がって女性も妊娠しづらくなったから、男でも妊娠できるように性が分化したのかもしれない。




「あ、あの……。」


「アーサー?」


「ま、まず風呂に行こうか?」



「う、ふ、二人で?」



「あ、いや……やっぱり交代で行こう。」




夜は短い。

奥手なアーサー。
だが、実は、こと色事に関していえば、ローゼ自体も本来は受け身。

別の部屋でアキレス陛下がちゃんとできるようお祈りしていたとは露知らず、なかなかソコまでたどり着けないのが二人である。
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