異世界で神の使徒になりました

1章 目覚めは森の中

7話.仲間が欲しい！

　この森に来てから4日がたった。Levelが上がり、魔法も増えた。

　お腹が空いたので料理魔法を、体が汚れたので清掃魔法を、次々に襲いかかってくる魔物が鬱陶しいので範囲魔法を。

　そして今はあることを試している真っ最中だ。

　唐突だが、人間というものは周りが敵だらけの森に放り込まれて精神が持つだろうか。いや持たない。

　ちなみに俺は発狂寸前だ。

　そう。だから俺は仲間を作るのだ。召喚魔法で！
　作るのだから錬成魔法じゃないのかって？NoーNo。 　
　俺が欲しいのは知性を持つ仲間、錬成して作ったゴーレムなんぞ要らないのだ。

　「ってことで、召喚！！！！」

　俺は召喚魔法を作動した。
　脳内で、召喚するものの大きさ、知性、あらゆるものが決まっていく。出来るだけ強く、賢いものを召喚したい。
　ちなみに「主人に絶対服従。ただしある程度自由に動ける」と服従させるプログラムを入れてあったりする。

　しかしこのチート級の召喚魔法がただで出来るはずがない。取得するのに全CPと全魔力を使ったのは苦い思いだ。

　その分いい奴が召喚されてくれればいいけどなあ。

　ズブズブズブズブ

　やがて、召喚魔法によって地面に生成された魔方陣から何か浮かび上がってきた。

　長く美しい赤色の髪、見るものを虜にさせる容姿、禍々しい雰囲気、赤い血が滴り落ちる八重歯、太陽光を憎々しく見つめる鋭い眼光。

　あれ？後半は何かおかしい。
　そう。まるで映画に出てくるドラキュラのようなーーーー

　そんな俺の動揺とは裏腹に、そいつは俺を見つけると不敵にニヤリと笑った。

　「貴方が私の主人......」

　俺の背筋が何故か凍る。
　なんかとんでもない奴を呼び出してしまった気がする。

　そんな俺と裏腹に彼女は笑顔を張り付かせて俺に近付いてきた。

　「どーも主人様っ！今日から配下になりますフェイシャルです！以後よろしく～」

　チャラい。チャラすぎる。
　俺がそんな挨拶に固まっていると彼女は訝しげに俺を見つめる。

　「私、何か過ちを？」

　「い、いや過ちというか」

　どもる俺。
　そんな俺を餌だと思ったのか直ぐそばの茂みから野犬が飛び出してきた。

　「グルルオォ「死ね犬風情が」

　ビチャアアアン

　飛び込んできた野犬はそいつに即殺された。周囲に肉片が飛び散る。
　怖いなお前。野犬を殺るときの顔がマジだったぞオイ。本性そっちじゃねぇの？

　「改めて。私はヴァンパイア一族のフェイシャル・ヘルヘルムと申します。この体、すべて我が主人のために捧げます」

　その場で跪くヴァンパイア。最初はキチンとするタイプなんだろう。
　
　何やら不思議なやつだが良しとするか。

　「顔を上げてくれ。フェイシャル、今日からお前は俺の仲間だ！」

　俺は顔を上げたオルフェイスと目を合わせるとニコリと笑う。
　するとフェイシャルは再びニヤリと笑った。

　「仲間.....いいですねぇ。腕がなります」

　いや何をする気だお前は。
　やっぱ本性そっちかよ。

　
　そうして俺に仲間が1人増えた。