息子の運命、父の執着。

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side 父(正義さんという名前です。)

再会!その1日前。

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仕事が忙しくて、亮太の起きている時間に家に帰り着けない日が続いていた。

でも亮太はいつも私のために夕飯と朝食を作っておいてくれる。

いつも「お仕事頑張って。プロの研究者は体調管理から!」とメッセージカードがついている。

もちろん私も感謝のメッセージは忘れない。

市井くんには
「なんですか、その新婚夫婦みたいなやりとり。」
と言われたが、存在しない恋人より息子の方が大切だ。

母親が居らず、苦労させたのに、亮太は家族を思いやれる優しい子に育ってくれた。

ありがとう、亮太。

ところが、昨日から亮太の食事の準備が無くなった。

テストでもあるのか?

もう高校3年だ。進学を考えている亮太に、家事はやはり負担だっただろうか、と反省する。

今度話し合おう、そう思っているところに、市井くんから昨日、研究所に亮太が来た、と報告を受けた。

市井くんの弟くんは亮太のクラスメートで友人だ。

弟くんに付き添って研究所に寄ったらしい。

一昨日と昨日、私は所用で研究所に居なかった。

「見合いの件、亮太くんに伝えしてしました。唐所長、ホントに亮太くんに言ってなかったんですね。すいません。」

「断った話だし、亮太に心配させることも無いと思ってね。気にしなくていいよ。亮太にも言っておくから。」

「断ったんですか。亮太くん見合いの話ショックだったみたいですよ。弟が心配してました。」

「試験期間なのに、弟くんにも申し訳なかったね。」

「大丈夫ですよ?高校の定期試験は先週終わったじゃ無いですか。昨日から弟たちは夏休み、入試対策模試はもうちょい先ですよ?」

・・・試験期間じゃない?

そう言えばしばらく亮太に会って無いことを思い出す。

・・・イヤな予感がする。

亮太に会いたい。無事を確認しないと。

急いで帰り支度をする。

「唐所長、どうされたんですか?」

「すまないね。急用を思いついた。今日はもう帰る。急務の時はパソコンに。」

「はい。」

私は急いで退社した。

帰りながら亮太のスマホに電話を掛ける。

“電源が切られているか電波の届かないところに居ます。”と、音声ガイダンスが繰り返される。

スマホのGPSの位置情報を確認したがGPSに反応がなかった。

家に帰って、亮太の所在を確認する。

玄関に亮太の靴は無かった。

もちろん亮太の自室にもその姿はない。

落ち着け。

亮太は見合いの話がショックで家に居たくないのかもしれない。

それで今、出かけているだけだ。

悪い予感を振り払おうとする。

だが亮太だけじゃ無く、制服や学校用のカバンもない事に気付いた。

いつも亮太が片付けてくれる新聞はコンシェルジュが届けてくれたまま、リビングのローテーブルに並んでいる。

昨日から家に帰って無い?

亮太!!




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