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自国の精霊王を軽く扱う家はうちだけだ

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「それで、ウィーネさんはなんでそんなに私に覚えてないか聞くんですか?」

『ウィーネでいい。敬語もいらぬ。』

結局、シャーサには退出してもらった。

だって傍から見たら一人でペラペラ喋ってる変人だもん、この状態。

「じゃあウィーネ、本当に何で?私はそんな覚えないよ。」

『……いや、覚えていないのなら良い。忘れてくれ。』

「は?忘れられるわけないじゃん!というかなんでずっとここにいるの!?」

誰がはいそうですかって忘れるか!

あんだけ質問攻めされて忘れてくれって横暴にも程があるわ!

『…では我は戻る。何かあれば呼べ。』

むーっだ。別に大丈夫だもーん。頑固オヤジかよ。

あれま、向こうの方から口論が聞こえてくる。まさかさっき放置した…

「だいたい貴方はいつもいつも!」

「は?なんで掘り返してくるの?」

痴話喧嘩が出現した。

「ユークちゃぁぁぁん!ディアンが虐めるのぉ!ディアンにめっ!ってしてちょうだい!」

「あ、ちょっと、ユーク、俺は何もしてない。」

あーあ、まだ喧嘩してるのかー。

兄様じゃないけど、めんどくさい…。

「二人とも喧嘩ばっかりしてたら明日のアイスはあげません!すっごく美味しいのに。」

それに普通のカッチカチのアイスじゃないんだよ?

なんと、シャーサに低温でゆっくり固めてもらった効果で、口に入れると舌に触れる前に溶けちゃう位の代物なんだぞ!

「ユークの手作り…仲直りする。」

「甘い物…ディアンの説教…甘い物…説教………甘い物に決めたわ!仲直りする!」

結論、甘くて美味しいものは正義。

「あ、母様。ウィーネがずっと同じことばっかり聞いてくるの。」

「どんな風に?」

さっきまでずっと『覚えてないのか』と言われ続けたことを母様にチクる。

脚色はしてないよ?ちょっとしか。

「珍しいわね、ウィーネがそんなに取り乱すなんて。」

「母様、追い出そう?何だっけあの、第1王子?が欲しがってたでしょ?あげたら?」

おい兄様、自国の精霊王をおもちゃみたいな扱いするな。まあ私も散々無礼働いたけど。

「そうねぇ…でも本来精霊を譲渡するには契約精霊の同意がいるのよ?ディアンは魔力で無理やり譲渡したけど…」

「でも大丈夫だよー。さっき私ウィーネ怒らせた?し」

「じゃあ大丈夫ねー!」

ま、いっか。全員精霊王のことをかるーく扱っちゃってるし。


『で、我を移行させるのか?』

「うん。だってウィーネも嫌でしょ?私文句ばっか言うから。」

「ユーク、出ていったか?」

「見えてないだろうけど兄様も怖いし。」

それにローゼルクさんの血の直系は王家だし。ウィーネも向こうに行った方が良い待遇受けると思うし。

「どう?いいことじゃない?」

『…断る。』

は?今断るって言った?

「なんでよ!理由を教えて!」

『それは…お前が思い出したら言う。』

「やだ!じゃあ王子の方に行って!」

四六時中『思い出せ』って言われるのは嫌だし。

私は母様程おおらかじゃないし。

『強いて言うのなら……様子を見てみたいからだな。勿論我はお前の生活に関わらない。観察するだけだ。』

「それなら…ってなるかー!お風呂やトイレはどうすればいいの!」

『安心しろ、お前が良いと合図を出す時だけだ。まあ、合図を出さなければ勝手に見るがな。』

「むううう…わかった。」

納得は出来ないけど…でも何となく気になるんだよな。

これだけしつこく言われたら知りたくなるし。

『では契約完了だな。よろしく頼むぞ。』

「私がいいって言うまで無干渉でいてね!」

『ああ。』

そんなこんなで、謎のイケメン精霊王と契約しました。
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