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【序章】《最後の始まり》
第1話 ハジマリ
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《魔界》に存在する複数の大陸。
その中の1つ、魔族と呼ばれている種族が多く存在する大陸──────エリュシオス。
その南部に広がる大森林を少し北へ進んだ場所に、シュケルと呼ばれる小さな村が存在した。
約二十名ほどの魔族の人々が暮らすその村は、季節の移ろいも緩やかで、荒れることの少ない穏やかな土地だった。
朝は鳥の声で目を覚まし、昼は森を渡る風が安らぎを与え、夜には明かりとして焼ける木の匂いが村全体をやわらかく包み込み、稀に酒飲み達の大声が響き渡る。
急かすものも、脅かすものも、何もなく日々を過ごしていける。
ここで生まれ、ここで育ったことを、当たり前のように受け入れている者達が多く暮らしている。
そんな村に俺は住んでいた。
────────────────────────────────────────────────────
「また明日なハイルっ!明日もまた森まで冒険しに行こうぜ!」
声と同時に、背中に衝撃が来た。振り返らなくても分かった
痛くはない。振り向くと茶色い髪が心地よい風に靡いている。
いつものその行動は、力加減が絶妙で、どこかあたたかく感じる。
叩かれるたびに何故か胸の奥がじんわりする。それが不思議で、少し好きだった。
「……そろそろこの辺りは探索し尽くした気がするけど、次はどこに行こうか?」
草の上に座り込み、体が隠れるほど大きくなった手描きの地図を隣でのぞき込む、
視界に映る黒い髪は楽しそうに跳ねている。
どこに印をつけ、どこがまだ空白なのか、次はどこに行こうかとそれを確かめながら次の行き先を考える時間が、 僕は好きだった。
地図を広げるたびに、まだ見ぬ場所への期待が、胸の中でそっと膨らむ。
村のにある薬屋の広告紙一枚の裏面から始まった僕らの地図は、何枚も紙を継ぎ足され、気づけば三人並んでも隠れてしまうほどの大きなものになっていた。
最初の一枚がどれだったか、もう分からない。
でも、それでいいと思っていた。
それはきっと、僕たちが一緒に過ごしてきた時間そのものだった。
「もうっ。男の子って、すぐ冒険だの探検だの言うんだから!たまには大人しくできないの?」
腰に手を当てて大げさにため息をつくとひとつにまとめた橙色の髪が揺れる。
言い方はきついけれど、その目の奥に心配が滲んでいることを、僕は知っている。
ちょっと怖いけどいつだって、一番心配してくれている。
「まあまあ。何するかは、また明日決めようよ。ね?僕、今日は早く帰らなくちゃいけなくて……だから、また明日!」
そう言葉にした瞬間、胸の奥で弾けていた気持ちが、外に溢れそうになる。
うまく抑えられているか、自信がなかった。顔が緩んでいないか、声が上ずっていないか。
それを悟られないように、少し早口で言って、友人たちに手を振りながら離れる。
「おう、あらためて。おめでとう、ハイル」
「また明日、僕の家に集合だよ?」
「早く家に帰っておじさんたちとゆっくり過ごしなさい」
それぞれの言葉が、背中からふわりと追いかけてきた。
三人の声が重なって、胸の奥に温かく落ちていく。
みんな今日が何の日かを知っているから。からかいながらも、ちゃんと祝福の言葉を投げてくれた。
自分でも分かるほど落ち着きがなくて、遊んでいる最中にも、友人たちに何度も呆れられた。
それでも───
帰ってから起こる出来事が、待ちきれなかった。
「ハイル坊、もう帰りかい? 暗くなる前に、気をつけるんだよ」
畑の手入れをしていたおじいさんの声に、足を止めて振り返る。
「うん!ありがとう、またね!」
手を振って村の外へ向かう。
頭上に浮かぶ赤い月が少しずつ光を落とし、村全体がだんだんと黒に染まっていく。
その色は好きだけれど、今夜はなんだか、早く家の明かりの下に帰りたかった。
そんな胸の奥に湧きかけた不安を追い払うように、自然と頭の中に旋律が浮かぶ。
「~~♪」
気を紛らわせるため、歩くたびに少しだけ跳ねてみる。
一歩踏み出すたび、跳ねるたび、白い髪がふわりと宙に浮かび、重力に従って落ちる。
その繰り返しの中で、髪が耳に触れてくすぐったい。
落ち着こうとしているはずなのに、どこか楽しい。
自分でも理由の分からない、不思議な気分だった。
嬉しいのか、緊張しているのか、それとも両方なのか。
どれも正解な気がして、答えが出ないと理解して考えるのをやめる。
少し疲れて跳ねるのをやめた頃、村の外へ続く門が見えてきた。
柵につながれた四本足の獣──ポコルたちの頭を、順番に撫でる。
撫でるたびに目を細めて気持ちよさそうにしたり地面の草を食べている姿を見ていたら、少しだけ気持ちが落ち着いた。
村から森の中へと延びる小径へ足を進める。
いつもなら、少し遠く感じる距離。
けれど今日は、そんなことを考える余裕すらなかった。
今日は一年に一度訪れる、自分が生まれた日。
十四回目の誕生日だ。
来年になれば十五回目、その次は十六、これから何度も迎えることになる。
それでも同じ誕生日は、二度と来ない。
数字が一つ増えるだけで、すこし大人に近づいた気がして嬉しくなる。
朝、目を覚ましたときには、そんなことも考えていたはずなのに。
今の頭の中を占めているのは、ただ一つ。
──今日は、どんなごちそうが待っているんだろう。
それだけだった。
鬱蒼とした森を抜けると、少し開けた場所に小さな家が見えてくる。
近づくにつれ、鼻先をくすぐる温かな香り。
その匂いを吸い込んだ瞬間、お腹の奥から力が湧くような感覚が生まれる。
普段の夜とは全然違う、お祭りみたいな、特別な匂い。
それに誘われるように、自然と足が速くなった。
扉に手をかけたところで、前に勢いよく開けて怒られたことを思い出す。
今度はそっと、きしませないように扉を押した。
「ただいまっ!」
「───ん?おかえりハイル。早かったな」
「お父さんっ、ただいま!今日は誕生日だから、少し早く帰って来ちゃった!」
家に入ってすぐ気づいてくれたのはお父さんだった。
入れをしていた剣から一瞬だけ視線を外し、それを鞘に収めると、ゆっくり立ち上がって腕を広げる。
その仕草を見た瞬間、考えるより先に体が動いていた。
勢いよく飛び込み、胸に顔をうずめる。
あったかい。大きい。いつもと同じ、お父さんの匂いがした。
「そうかそうか。匂いにでも釣られたのか?今、レヴィアが料理を作ってるらしい。もう少し待っていろ」
そう言って頭を撫でられる。
大きくて、ごつごつした手。
剣だこがあって、少しざらざらしているのに、触れられるとどうしても安心してしまう。
抱きしめられたので、僕も力いっぱい抱きしめ返した。
「くっ、くすぐったいよ」
お父さんは楽しそうに笑いながら、頬を寄せてくる。
ちくちくする髭が当たって、思わず顔を背けた。
「ふっ、よいではないかぁ」
「ねえねえ、聞いて!今日はね────
今日あったことを一生懸命話していると、台所の方から気配を感じた。
見ると、お母さんが壁の向こうから顔だけ出して、こっそりこちらを覗いている。
「お母さんっ、ただいまっ!」
「あら。ずいぶん楽しそうな声が聞こえると思ったら、帰って来ていたのね」
「うん!楽しみで少し早く帰って来ちゃった」
「あらあら。それじゃあ、少し早めにご飯にしましょうか。準備はもう終わっているから」
「賛成!」
「元気ね。そんなに楽しみだったの?じゃあ、手伝ってくれる?」
「うんっ!」
出来上がっていた料理を、一つずつテーブルに運ぶ。
皿を運ぶたびに、あったかい匂いがふわっと広がって、お腹から音がなった。
慌てて二人の方を見るけれど、聞かれていないみたいだ。
よかった。
慌てて二人の方を見るけれど、聞かれていないみたいだ。
よかった。
焼いた肉の香ばしい匂い。
甘くて、少し酸っぱい、よく分からないけど「ごちそう」って感じの匂い。
普段のスープとは全然違う。
思わず手を伸ばしそうになって、ぐっと我慢した。
もう少し、もう少しだけ待てば、全部ちゃんと食べられる。
そう言い聞かせても、身体と指先がうずうずするのは止められなかった。
「じゃあ席について?始めましょう」
「はーい」
椅子に座ると、お父さんが僕を見て目を細めた。
「うん?また身長が伸びたか?そろそろ椅子の足、削らないとな」
「うーん?」
自分では分からないけど、お父さんが言うならそうなんだろう。少しだけ、嬉しかった。
「──それで?なるほど。どうりで今日一日キッチンに立ち入り禁止だったわけだ。今年も手が込んでるな」
「あなたが手伝うと、焼いただけのものが出てくるだけでしょう?」
「確かにな。流石、聡明さと美しさを兼ね備えた理想の妻──」
「はいはい。その話はまた後で、ね?今日の主役が待ちきれないって顔をしているわ」
二人のやりとりを聞きながらも、僕の目はもう料理から離れなかった。
いつも見ているはずの二人の会話が、今日は遠くから聞こえてくるみたいだ。
それほど、目の前の料理が眩しかった。
「冷めないうちに食べましょうか。せーの」
「「「いただきます!」」」
お父さんが、大きなお肉をナイフで一口大に切ってくれる。
それをもらって、口の中へ運ぶ。
──やわらかい。
噛んだ瞬間、あったかい肉汁が広がって、今まで食べたことのない味が口いっぱいに広がった。
噛むたびに、どんどんおいしくなる。
胸の奥から、元気が湧いてくるみたいだった。
思わず、もう一口。また一口と止まらなかった。
「これっ!凄く美味しいよ!?これなに?」
「喜んでくれてよかったわ。それはグリフォンのお肉よ」
「空を飛んでるあのグリフォン?」
「そうよ」
図鑑で見たことがある。
危険な場所に住んでいて、凶暴で、とても強い魔物。
少し前に売っているのを見たことがあるけど、おこずかいじゃ全然足りなかった。
──僕の家は、あまりお金持ちじゃない。
だからこそ、今日みたいな特別な日に出てくる料理がどれだけ高いか、ちゃんと分かる。
分かるから、嬉しさと一緒に、胸の奥にじんわりとした重みも感じた。
「グリフォン……高くなかったの?」
そう聞くと、お父さんはにやっと笑った。
「この日のために、俺が狩ってきたんだ」
「えっ!?」
「ふらっと出かけたと思ったら、担いで帰ってきたのよ。下処理するのも大変だったわ」
そう聞くと、お父さんは最初から分かっていたみたいに、にやっと笑った。
「ふっふっふっ、驚くなよ?この日のために俺が倒して捕まえてきたんだ!襲ってきたところを首と体を抑えて一瞬で頑丈な縄に縛って大人しくさせてな────」
そう言って、ナイフで肉を突き刺して持ち上げる。
「ええっ!?とってきたの?」
「そうね、お母さんびっくりしちゃったわ。ふらっと出かけたと思ったらグリフォンを担いで帰ってきたんだもの。ただでさえグリフォンの下処理はしたことがないのに、ハイルに見つからないようにどうにかするのは大変だったわ。それと──あ、な、た?料理で遊ばないでちょうだい?」
買ったんじゃなくて、狩った。
危険だって分かっているのに、グリフォンを狩って来てくれた。
その事実が、じわじわと胸の中に染み込んでくる。
お父さんが怪我をしたかもしれないのに、と思ったら急に怖くなった。
でも同時に──それほどまでにしてくれたんだと思ったら、うれしくて目の奥が熱くなった。
「ありがとう、お母さん、お父さん!」
言った瞬間、我慢してた涙が勝手にあふれてきた。
こんなつもりじゃなかったのに。何度拭おうとしても、全然止まらなかった。
「こらこら誕生日に主役が泣くな」
「ハイル、笑顔よ笑顔っ」
「うん!」
毎回、誕生日になると泣いてしまう。
でも、嬉しいから仕方ないよね。
ご馳走と、大切な時間はまだ始まったばかり。
でも、食べすぎないように少しだけ我慢する。
だって──最後には、あれが待っているから。
「そういえば───」
「?」
思い出したように声を出したお父さんの方を見る。
「ハイル、少し待ってな」
そう言いながら戸棚の扉を開け、皮袋を手に戻ってくる。ごそごそと中を探り、その中から長方形の箱を取り出した。
「ほら、俺たちからの誕生日贈り物だ」
一瞬、嬉しさで身体が固まった。
次の瞬間、遅れて頭が理解する。
「ねえ、開けていい!?開けていいよねっ!」
「もちろん。開けなければ中身も分からないだろう?」
胸がどきどきして、早く開けたい気持ちを抑えきれない。
箱を開けると、中には───穴の開いた丸いもの、輪っかの形をした少し重たい石が入っていた。
箱から取り出し、両手で包むようにして眺める。
机の上のランプの火が揺れるたび、その石は光を受けて、まるで川の水みたいにきらきらと輝いている。
「これっ!きれいっ!!あの時の海みたいっ!!」
数年前、お父さんの仕事に無理を言ってついて行ったときに見た景色。
飲み水を汲む川とは比べものにならないくらい大きな水溜まり。
大きくて、しょっぱくて、光を跳ね返していた水の世界。
その時の記憶と重なって、贈り物を胸に抱きしめた。
石の冷たさが、掌からじわじわと伝わってくる。
「気に入ったか?」
「うん、ありがとう!大切にするねっ」
「そんなに喜んでくれるなら、用意したかいがあったってもんだ。ちょっと貸してもらうぞ」
僕の手からそれを受け取ると、お父さんは皮袋から長い紐を取り出し、石の輪に通して、きゅっと結んだ。
「本当は腕に通す装飾品、腕輪なんだがな。ハイルの腕はまだ細いから、首にかけられるようにしておいた。これなら、いつも身につけていられるだろう?」
受け取って首にかけ、二人に向かって見せる。
「どうっ!?似合ってる?」
「あなたったら……まったくもう。身長も紐の長さも何も考えず、とりあえずやってみよう、で行動するんですから……。ハイル、長さを整えるから背中をこっちに向けて?」
言われてみると、確かに少し長い。
輪っかはお腹のあたりまで垂れていて、歩くたびに揺れてぶつかりそうだった。
「わかった!」
くるりと背を向けると、首の後ろから腕が回ってくる。
「お母さん、くすぐったいよ」
「もう少しの我慢よ……位置を合わせて、余分な紐を切って、結び直して……はい、できたわ」
抵抗する気もなく、安心して身体を預けた。
お母さんの体は、お父さんとは違う温かさがあった。
──やわらかくて、安心できて、何も怖くない気がした。
「うん、ちょうどいいわ。とっても似合ってる」
「そうだな、悪くない」
二人の言葉が嬉しくて、急に恥ずかしくなって、顔を背けた。
「あらあら、照れちゃって。さあ、続きを食べましょう?せっかく作ったんだから、冷めちゃう前にね」
「そうだな。まだまだパーティはこれからだぞ」
「お母さんっ───最後のお菓子は?ある?」
「あらあら、匂いでバレちゃったかしら?もちろんあるわよ?持って来るわね───」
豪華な料理をたくさん食べて、最後にお父さんが魔都で買ってきた甘いお菓子を食べる。
それが、僕の誕生日。
前回の誕生日も、次の誕生日も、
この先もずっと、同じだと思っていた。
疑いもしなかった。
それが当たり前で、それ以外の形なんて、考えたことがなかった。
「~~♪どんなお菓子が出てくるのかな~~♪」
今の気持ちを、そのまま歌にのせる。
「とっても甘くてほっぺが落ちちゃうわ~~♪」
僕の歌に合わせるみたいに、壁の向こうから、お菓子の甘い匂いと、お母さんの小さな歌声が聞こえてくる。
「~~♪~~~~♪~~~~~~~♪」
お父さんは、耳を澄ますように目を閉じて、腕を組んでいる。
「~~♪~~~~♪~~~──────────ぁれ?」
ふいに、胸の奥に引っかかる感覚が生まれた。
目の前には何度も見てきた光景。机も椅子も棚も、全部いつも通りだ。料理が誕生日用に豪華なこと以外、いつもとも変わらないはずなのに───。
楽しくて、嬉しいはずなのに。
景色が歪む、頭とお腹の中を、ぐちゃぐちゃに掻き回されるような感覚が、突然込み上げてきた。
何かが─────何かが、違うと、はっきりと分かった。
「ん?どうしたんだハイル?」
声に釣られるように視線を上げると、心配そうなお父さんの顔が見える。
その顔を見て安心しようとする。けれど、狭い場所に閉じ込められ、壁がじわじわと迫ってくるような嫌な感覚は消えなかった。
おかしい。こんな日に限って、こんな感覚になるなんて。
どこから?
目の前の料理でもない。
お父さんでもない。
───────なら……
「お母さっ────────」
不安に耐えきれず声を出した、その瞬間。
こちらとお母さんがいる台所を隔てる壁が、大きな音と共に吹き飛んだ。
「ハイルっ──────!」
お父さんの声が、やけに遠く聞こえた。
耳鳴りがする。
頭の中で、何かが割れたみたいに音が響いている。
身体が重い。
さっきまであんなにあった温もりが、嘘みたいに消えていた。
あか……アカ……赤。
赤が視界いっぱいに広がり、重たいカーテンのように、すべてを覆い隠す。
何が起きたのか、理解できない。
ついさっきまで料理が並んでいた机が音を立てて吹き飛び、次の瞬間には、家そのものが──崩れた。
───いや、壊されていた。
「クソがっ────」
赤の隙間から大きな音と共に天井が崩れ落ちているのが見える。
時間流れが変わったかのように落ちる速度が遅く感じる。
何が起きているのか分からない。
音も、光も、衝撃も、すべてが遠く、静かだった。
逃げなきゃいけないと頭では分かっているのに、足が動かない。
息を吸おうとしても、喉の奥に何かが詰まっているみたいで、空気が入ってこない。
自分の身体なのに、自分のものじゃないみたいで、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
次の瞬間、剣閃が走り、瓦礫が一瞬で断ち切られる。
舞い上がる粉塵の中、崩れ落ちた天井の直撃は避けられた。
お父さんが守ってくれた。
そう思ったと同時に、今まで感じなかった情報が、目と耳と鼻から一気に流れ込んでくる。
切り裂かれた風。
舞い散る埃と木片。
鼻に届く、食べるはずだったお菓子の甘い匂い。
破片が掠めたのか、燃えるように熱い頬。
そして、視界の先には─────。
────床いっぱいに広がる赤の中央で、倒れているお母さんの姿。
頬の痛みと、頭を割るような痛みが、
目の前の出来事が紛れもない現実だと、はっきりと教えてくれていた。
その中の1つ、魔族と呼ばれている種族が多く存在する大陸──────エリュシオス。
その南部に広がる大森林を少し北へ進んだ場所に、シュケルと呼ばれる小さな村が存在した。
約二十名ほどの魔族の人々が暮らすその村は、季節の移ろいも緩やかで、荒れることの少ない穏やかな土地だった。
朝は鳥の声で目を覚まし、昼は森を渡る風が安らぎを与え、夜には明かりとして焼ける木の匂いが村全体をやわらかく包み込み、稀に酒飲み達の大声が響き渡る。
急かすものも、脅かすものも、何もなく日々を過ごしていける。
ここで生まれ、ここで育ったことを、当たり前のように受け入れている者達が多く暮らしている。
そんな村に俺は住んでいた。
────────────────────────────────────────────────────
「また明日なハイルっ!明日もまた森まで冒険しに行こうぜ!」
声と同時に、背中に衝撃が来た。振り返らなくても分かった
痛くはない。振り向くと茶色い髪が心地よい風に靡いている。
いつものその行動は、力加減が絶妙で、どこかあたたかく感じる。
叩かれるたびに何故か胸の奥がじんわりする。それが不思議で、少し好きだった。
「……そろそろこの辺りは探索し尽くした気がするけど、次はどこに行こうか?」
草の上に座り込み、体が隠れるほど大きくなった手描きの地図を隣でのぞき込む、
視界に映る黒い髪は楽しそうに跳ねている。
どこに印をつけ、どこがまだ空白なのか、次はどこに行こうかとそれを確かめながら次の行き先を考える時間が、 僕は好きだった。
地図を広げるたびに、まだ見ぬ場所への期待が、胸の中でそっと膨らむ。
村のにある薬屋の広告紙一枚の裏面から始まった僕らの地図は、何枚も紙を継ぎ足され、気づけば三人並んでも隠れてしまうほどの大きなものになっていた。
最初の一枚がどれだったか、もう分からない。
でも、それでいいと思っていた。
それはきっと、僕たちが一緒に過ごしてきた時間そのものだった。
「もうっ。男の子って、すぐ冒険だの探検だの言うんだから!たまには大人しくできないの?」
腰に手を当てて大げさにため息をつくとひとつにまとめた橙色の髪が揺れる。
言い方はきついけれど、その目の奥に心配が滲んでいることを、僕は知っている。
ちょっと怖いけどいつだって、一番心配してくれている。
「まあまあ。何するかは、また明日決めようよ。ね?僕、今日は早く帰らなくちゃいけなくて……だから、また明日!」
そう言葉にした瞬間、胸の奥で弾けていた気持ちが、外に溢れそうになる。
うまく抑えられているか、自信がなかった。顔が緩んでいないか、声が上ずっていないか。
それを悟られないように、少し早口で言って、友人たちに手を振りながら離れる。
「おう、あらためて。おめでとう、ハイル」
「また明日、僕の家に集合だよ?」
「早く家に帰っておじさんたちとゆっくり過ごしなさい」
それぞれの言葉が、背中からふわりと追いかけてきた。
三人の声が重なって、胸の奥に温かく落ちていく。
みんな今日が何の日かを知っているから。からかいながらも、ちゃんと祝福の言葉を投げてくれた。
自分でも分かるほど落ち着きがなくて、遊んでいる最中にも、友人たちに何度も呆れられた。
それでも───
帰ってから起こる出来事が、待ちきれなかった。
「ハイル坊、もう帰りかい? 暗くなる前に、気をつけるんだよ」
畑の手入れをしていたおじいさんの声に、足を止めて振り返る。
「うん!ありがとう、またね!」
手を振って村の外へ向かう。
頭上に浮かぶ赤い月が少しずつ光を落とし、村全体がだんだんと黒に染まっていく。
その色は好きだけれど、今夜はなんだか、早く家の明かりの下に帰りたかった。
そんな胸の奥に湧きかけた不安を追い払うように、自然と頭の中に旋律が浮かぶ。
「~~♪」
気を紛らわせるため、歩くたびに少しだけ跳ねてみる。
一歩踏み出すたび、跳ねるたび、白い髪がふわりと宙に浮かび、重力に従って落ちる。
その繰り返しの中で、髪が耳に触れてくすぐったい。
落ち着こうとしているはずなのに、どこか楽しい。
自分でも理由の分からない、不思議な気分だった。
嬉しいのか、緊張しているのか、それとも両方なのか。
どれも正解な気がして、答えが出ないと理解して考えるのをやめる。
少し疲れて跳ねるのをやめた頃、村の外へ続く門が見えてきた。
柵につながれた四本足の獣──ポコルたちの頭を、順番に撫でる。
撫でるたびに目を細めて気持ちよさそうにしたり地面の草を食べている姿を見ていたら、少しだけ気持ちが落ち着いた。
村から森の中へと延びる小径へ足を進める。
いつもなら、少し遠く感じる距離。
けれど今日は、そんなことを考える余裕すらなかった。
今日は一年に一度訪れる、自分が生まれた日。
十四回目の誕生日だ。
来年になれば十五回目、その次は十六、これから何度も迎えることになる。
それでも同じ誕生日は、二度と来ない。
数字が一つ増えるだけで、すこし大人に近づいた気がして嬉しくなる。
朝、目を覚ましたときには、そんなことも考えていたはずなのに。
今の頭の中を占めているのは、ただ一つ。
──今日は、どんなごちそうが待っているんだろう。
それだけだった。
鬱蒼とした森を抜けると、少し開けた場所に小さな家が見えてくる。
近づくにつれ、鼻先をくすぐる温かな香り。
その匂いを吸い込んだ瞬間、お腹の奥から力が湧くような感覚が生まれる。
普段の夜とは全然違う、お祭りみたいな、特別な匂い。
それに誘われるように、自然と足が速くなった。
扉に手をかけたところで、前に勢いよく開けて怒られたことを思い出す。
今度はそっと、きしませないように扉を押した。
「ただいまっ!」
「───ん?おかえりハイル。早かったな」
「お父さんっ、ただいま!今日は誕生日だから、少し早く帰って来ちゃった!」
家に入ってすぐ気づいてくれたのはお父さんだった。
入れをしていた剣から一瞬だけ視線を外し、それを鞘に収めると、ゆっくり立ち上がって腕を広げる。
その仕草を見た瞬間、考えるより先に体が動いていた。
勢いよく飛び込み、胸に顔をうずめる。
あったかい。大きい。いつもと同じ、お父さんの匂いがした。
「そうかそうか。匂いにでも釣られたのか?今、レヴィアが料理を作ってるらしい。もう少し待っていろ」
そう言って頭を撫でられる。
大きくて、ごつごつした手。
剣だこがあって、少しざらざらしているのに、触れられるとどうしても安心してしまう。
抱きしめられたので、僕も力いっぱい抱きしめ返した。
「くっ、くすぐったいよ」
お父さんは楽しそうに笑いながら、頬を寄せてくる。
ちくちくする髭が当たって、思わず顔を背けた。
「ふっ、よいではないかぁ」
「ねえねえ、聞いて!今日はね────
今日あったことを一生懸命話していると、台所の方から気配を感じた。
見ると、お母さんが壁の向こうから顔だけ出して、こっそりこちらを覗いている。
「お母さんっ、ただいまっ!」
「あら。ずいぶん楽しそうな声が聞こえると思ったら、帰って来ていたのね」
「うん!楽しみで少し早く帰って来ちゃった」
「あらあら。それじゃあ、少し早めにご飯にしましょうか。準備はもう終わっているから」
「賛成!」
「元気ね。そんなに楽しみだったの?じゃあ、手伝ってくれる?」
「うんっ!」
出来上がっていた料理を、一つずつテーブルに運ぶ。
皿を運ぶたびに、あったかい匂いがふわっと広がって、お腹から音がなった。
慌てて二人の方を見るけれど、聞かれていないみたいだ。
よかった。
慌てて二人の方を見るけれど、聞かれていないみたいだ。
よかった。
焼いた肉の香ばしい匂い。
甘くて、少し酸っぱい、よく分からないけど「ごちそう」って感じの匂い。
普段のスープとは全然違う。
思わず手を伸ばしそうになって、ぐっと我慢した。
もう少し、もう少しだけ待てば、全部ちゃんと食べられる。
そう言い聞かせても、身体と指先がうずうずするのは止められなかった。
「じゃあ席について?始めましょう」
「はーい」
椅子に座ると、お父さんが僕を見て目を細めた。
「うん?また身長が伸びたか?そろそろ椅子の足、削らないとな」
「うーん?」
自分では分からないけど、お父さんが言うならそうなんだろう。少しだけ、嬉しかった。
「──それで?なるほど。どうりで今日一日キッチンに立ち入り禁止だったわけだ。今年も手が込んでるな」
「あなたが手伝うと、焼いただけのものが出てくるだけでしょう?」
「確かにな。流石、聡明さと美しさを兼ね備えた理想の妻──」
「はいはい。その話はまた後で、ね?今日の主役が待ちきれないって顔をしているわ」
二人のやりとりを聞きながらも、僕の目はもう料理から離れなかった。
いつも見ているはずの二人の会話が、今日は遠くから聞こえてくるみたいだ。
それほど、目の前の料理が眩しかった。
「冷めないうちに食べましょうか。せーの」
「「「いただきます!」」」
お父さんが、大きなお肉をナイフで一口大に切ってくれる。
それをもらって、口の中へ運ぶ。
──やわらかい。
噛んだ瞬間、あったかい肉汁が広がって、今まで食べたことのない味が口いっぱいに広がった。
噛むたびに、どんどんおいしくなる。
胸の奥から、元気が湧いてくるみたいだった。
思わず、もう一口。また一口と止まらなかった。
「これっ!凄く美味しいよ!?これなに?」
「喜んでくれてよかったわ。それはグリフォンのお肉よ」
「空を飛んでるあのグリフォン?」
「そうよ」
図鑑で見たことがある。
危険な場所に住んでいて、凶暴で、とても強い魔物。
少し前に売っているのを見たことがあるけど、おこずかいじゃ全然足りなかった。
──僕の家は、あまりお金持ちじゃない。
だからこそ、今日みたいな特別な日に出てくる料理がどれだけ高いか、ちゃんと分かる。
分かるから、嬉しさと一緒に、胸の奥にじんわりとした重みも感じた。
「グリフォン……高くなかったの?」
そう聞くと、お父さんはにやっと笑った。
「この日のために、俺が狩ってきたんだ」
「えっ!?」
「ふらっと出かけたと思ったら、担いで帰ってきたのよ。下処理するのも大変だったわ」
そう聞くと、お父さんは最初から分かっていたみたいに、にやっと笑った。
「ふっふっふっ、驚くなよ?この日のために俺が倒して捕まえてきたんだ!襲ってきたところを首と体を抑えて一瞬で頑丈な縄に縛って大人しくさせてな────」
そう言って、ナイフで肉を突き刺して持ち上げる。
「ええっ!?とってきたの?」
「そうね、お母さんびっくりしちゃったわ。ふらっと出かけたと思ったらグリフォンを担いで帰ってきたんだもの。ただでさえグリフォンの下処理はしたことがないのに、ハイルに見つからないようにどうにかするのは大変だったわ。それと──あ、な、た?料理で遊ばないでちょうだい?」
買ったんじゃなくて、狩った。
危険だって分かっているのに、グリフォンを狩って来てくれた。
その事実が、じわじわと胸の中に染み込んでくる。
お父さんが怪我をしたかもしれないのに、と思ったら急に怖くなった。
でも同時に──それほどまでにしてくれたんだと思ったら、うれしくて目の奥が熱くなった。
「ありがとう、お母さん、お父さん!」
言った瞬間、我慢してた涙が勝手にあふれてきた。
こんなつもりじゃなかったのに。何度拭おうとしても、全然止まらなかった。
「こらこら誕生日に主役が泣くな」
「ハイル、笑顔よ笑顔っ」
「うん!」
毎回、誕生日になると泣いてしまう。
でも、嬉しいから仕方ないよね。
ご馳走と、大切な時間はまだ始まったばかり。
でも、食べすぎないように少しだけ我慢する。
だって──最後には、あれが待っているから。
「そういえば───」
「?」
思い出したように声を出したお父さんの方を見る。
「ハイル、少し待ってな」
そう言いながら戸棚の扉を開け、皮袋を手に戻ってくる。ごそごそと中を探り、その中から長方形の箱を取り出した。
「ほら、俺たちからの誕生日贈り物だ」
一瞬、嬉しさで身体が固まった。
次の瞬間、遅れて頭が理解する。
「ねえ、開けていい!?開けていいよねっ!」
「もちろん。開けなければ中身も分からないだろう?」
胸がどきどきして、早く開けたい気持ちを抑えきれない。
箱を開けると、中には───穴の開いた丸いもの、輪っかの形をした少し重たい石が入っていた。
箱から取り出し、両手で包むようにして眺める。
机の上のランプの火が揺れるたび、その石は光を受けて、まるで川の水みたいにきらきらと輝いている。
「これっ!きれいっ!!あの時の海みたいっ!!」
数年前、お父さんの仕事に無理を言ってついて行ったときに見た景色。
飲み水を汲む川とは比べものにならないくらい大きな水溜まり。
大きくて、しょっぱくて、光を跳ね返していた水の世界。
その時の記憶と重なって、贈り物を胸に抱きしめた。
石の冷たさが、掌からじわじわと伝わってくる。
「気に入ったか?」
「うん、ありがとう!大切にするねっ」
「そんなに喜んでくれるなら、用意したかいがあったってもんだ。ちょっと貸してもらうぞ」
僕の手からそれを受け取ると、お父さんは皮袋から長い紐を取り出し、石の輪に通して、きゅっと結んだ。
「本当は腕に通す装飾品、腕輪なんだがな。ハイルの腕はまだ細いから、首にかけられるようにしておいた。これなら、いつも身につけていられるだろう?」
受け取って首にかけ、二人に向かって見せる。
「どうっ!?似合ってる?」
「あなたったら……まったくもう。身長も紐の長さも何も考えず、とりあえずやってみよう、で行動するんですから……。ハイル、長さを整えるから背中をこっちに向けて?」
言われてみると、確かに少し長い。
輪っかはお腹のあたりまで垂れていて、歩くたびに揺れてぶつかりそうだった。
「わかった!」
くるりと背を向けると、首の後ろから腕が回ってくる。
「お母さん、くすぐったいよ」
「もう少しの我慢よ……位置を合わせて、余分な紐を切って、結び直して……はい、できたわ」
抵抗する気もなく、安心して身体を預けた。
お母さんの体は、お父さんとは違う温かさがあった。
──やわらかくて、安心できて、何も怖くない気がした。
「うん、ちょうどいいわ。とっても似合ってる」
「そうだな、悪くない」
二人の言葉が嬉しくて、急に恥ずかしくなって、顔を背けた。
「あらあら、照れちゃって。さあ、続きを食べましょう?せっかく作ったんだから、冷めちゃう前にね」
「そうだな。まだまだパーティはこれからだぞ」
「お母さんっ───最後のお菓子は?ある?」
「あらあら、匂いでバレちゃったかしら?もちろんあるわよ?持って来るわね───」
豪華な料理をたくさん食べて、最後にお父さんが魔都で買ってきた甘いお菓子を食べる。
それが、僕の誕生日。
前回の誕生日も、次の誕生日も、
この先もずっと、同じだと思っていた。
疑いもしなかった。
それが当たり前で、それ以外の形なんて、考えたことがなかった。
「~~♪どんなお菓子が出てくるのかな~~♪」
今の気持ちを、そのまま歌にのせる。
「とっても甘くてほっぺが落ちちゃうわ~~♪」
僕の歌に合わせるみたいに、壁の向こうから、お菓子の甘い匂いと、お母さんの小さな歌声が聞こえてくる。
「~~♪~~~~♪~~~~~~~♪」
お父さんは、耳を澄ますように目を閉じて、腕を組んでいる。
「~~♪~~~~♪~~~──────────ぁれ?」
ふいに、胸の奥に引っかかる感覚が生まれた。
目の前には何度も見てきた光景。机も椅子も棚も、全部いつも通りだ。料理が誕生日用に豪華なこと以外、いつもとも変わらないはずなのに───。
楽しくて、嬉しいはずなのに。
景色が歪む、頭とお腹の中を、ぐちゃぐちゃに掻き回されるような感覚が、突然込み上げてきた。
何かが─────何かが、違うと、はっきりと分かった。
「ん?どうしたんだハイル?」
声に釣られるように視線を上げると、心配そうなお父さんの顔が見える。
その顔を見て安心しようとする。けれど、狭い場所に閉じ込められ、壁がじわじわと迫ってくるような嫌な感覚は消えなかった。
おかしい。こんな日に限って、こんな感覚になるなんて。
どこから?
目の前の料理でもない。
お父さんでもない。
───────なら……
「お母さっ────────」
不安に耐えきれず声を出した、その瞬間。
こちらとお母さんがいる台所を隔てる壁が、大きな音と共に吹き飛んだ。
「ハイルっ──────!」
お父さんの声が、やけに遠く聞こえた。
耳鳴りがする。
頭の中で、何かが割れたみたいに音が響いている。
身体が重い。
さっきまであんなにあった温もりが、嘘みたいに消えていた。
あか……アカ……赤。
赤が視界いっぱいに広がり、重たいカーテンのように、すべてを覆い隠す。
何が起きたのか、理解できない。
ついさっきまで料理が並んでいた机が音を立てて吹き飛び、次の瞬間には、家そのものが──崩れた。
───いや、壊されていた。
「クソがっ────」
赤の隙間から大きな音と共に天井が崩れ落ちているのが見える。
時間流れが変わったかのように落ちる速度が遅く感じる。
何が起きているのか分からない。
音も、光も、衝撃も、すべてが遠く、静かだった。
逃げなきゃいけないと頭では分かっているのに、足が動かない。
息を吸おうとしても、喉の奥に何かが詰まっているみたいで、空気が入ってこない。
自分の身体なのに、自分のものじゃないみたいで、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
次の瞬間、剣閃が走り、瓦礫が一瞬で断ち切られる。
舞い上がる粉塵の中、崩れ落ちた天井の直撃は避けられた。
お父さんが守ってくれた。
そう思ったと同時に、今まで感じなかった情報が、目と耳と鼻から一気に流れ込んでくる。
切り裂かれた風。
舞い散る埃と木片。
鼻に届く、食べるはずだったお菓子の甘い匂い。
破片が掠めたのか、燃えるように熱い頬。
そして、視界の先には─────。
────床いっぱいに広がる赤の中央で、倒れているお母さんの姿。
頬の痛みと、頭を割るような痛みが、
目の前の出来事が紛れもない現実だと、はっきりと教えてくれていた。
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