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外交パーティは、夜が深まっても、まだ続いていた。
私は、カイル王子と共に、窓際に立っていた。遠くに見える王都の夜景は、まるで星を散りばめたようにきらきらと輝いている。
「エリス、疲れたかい?」
カイル王子が、優しい声で尋ねた。
「いいえ。とても、楽しいです」
私は、笑顔で答えた。
本当に、楽しかった。私がこの三年で身につけた知識は、誰にも負けない。私は、ここにいる誰もが知らないユージェニア王国の歴史や文化を、堂々と話すことができた。そして、それは、カイル王子の助けにもなった。
私は、もう、ただの「退屈な女」じゃない。
そう、胸を張って言える。
そのときだった。
私の背後から、声が聞こえた。
「エリス……。君に、話があるんだ」
振り返ると、そこに立っていたのは、アルベルト様だった。
彼の顔は、先ほどよりもさらにやつれて見えた。セレスティーヌ様の姿は、どこにもない。彼は、私とカイル王子を、交互に見ていた。
「アルベルト様。私に、何か?」
私は、冷たい声で言った。もう、彼に優しい言葉をかける必要はない。
「私は……君と、もう一度話がしたい。二人だけで」
「二人で、ですか? 私たちは、もう、何の関わりもないはずです」
私は、毅然とした態度で答えた。
アルベルト様は、私の言葉に、焦ったように言った。
「すまなかった、エリス。本当に、すまなかった。あの時、君を『退屈な女』だと切り捨てたことを、心から後悔しているんだ」
その言葉を聞いて、私は、心の中で冷笑した。
「今さら、そんなことを言われても。もう、遅いでしょう?」
「違うんだ! セレスティーヌは……あの女は、僕に寄り付こうとしない。僕の財産も、名声も、何もかもを食いつぶそうとしているんだ! 僕を助けてくれるのは、君しかいないんだ、エリス!」
彼の言葉に、私は、何も感じなかった。ただ、呆れと、軽蔑の気持ちだけが、私の中に湧き上がってきた。
彼は、本当に、私という人間を見ていなかったのだ。ただ、自分にとって都合の良い存在として、私を見ていた。そして、今も、自分にとって都合の良い存在として、私を求めている。
「私は、あなたにとって、ただの道具だったのですね」
私は、静かに、そして、はっきりと、そう言った。
「違っ……!」
「いいえ、違わないでしょう? あなたは、私を愛していなかった。私が欲しかったのは、あなたの愛でした。でも、あなたは、私を切り捨てた。そして今、窮地に追い込まれて、私に助けを求めている。そんな勝手な話が、通ると思っているのですか?」
私の言葉は、静かだったけれど、その言葉は、アルベルト様の心を深く抉ったようだった。彼の顔は、みるみるうちに青ざめていった。
「エリス、頼む! もう一度、僕とやり直してくれないか? 君が望むなら、どんなことでもするから!」
彼は、私の手を掴もうとした。
その瞬間、カイル王子が、私の手を優しく引いて、私を彼の背後に隠した。
そして、彼は、氷のように冷たい声で、アルベルト様に言った。
「無礼な真似はやめろ。私の愛しい人に、軽々しく触れるな」
その声は、広間の人々を凍りつかせるほど、冷たかった。
アルベルト様は、カイル王子の威圧感に、たじろいだ。
「カイル殿下……」
「アルベルト・グランディエ。そちらの国との外交関係を、私は、もう一度考え直さなければならないかもしれない。私の愛しい補佐官に、無礼を働く者は、私の国に足を踏み入れる資格はない。そして私たちと話す資格も。今すぐ、この場から去りなさい」
カイル王子の言葉は、もはや命令だった。
アルベルト様は、震える声で、言った。
「ですが、私は……」
「これ以上、言葉を重ねるな。君の行動は、私への、そしてユージェニア王国への侮辱だ。君は、今後、二度とユージェニア王国の地を踏むことは許さない」
その言葉は、貴族として、政治家としての完全な失脚を宣告されたのと同じだった。アルベルト様の全てが、一瞬にして崩れ去った。
彼は、絶望に満ちた顔で、その場に立ち尽くしていた。
もう、彼の居場所は、どこにもない。名声も、財産も、そして、彼を愛してくれる人も、何もかもを失ったのだ。
私は、そんな彼の姿を、静かに見ていた。
カイル王子は、私を抱きしめた。
「もう大丈夫。君は、もう、あの日の君じゃない。君は、僕が守るから」
彼の温かい腕の中で、私は、静かに涙を流した。
それは、悲しみの涙ではなかった。
嬉しさの涙でもなかった。
ただ、心の奥底にあった、長い間の痛みが、解き放たれた、そんな安堵の涙だった。
私は、もう、過去に囚われていない。
私は、カイル王子と共に、新しい人生を歩んでいる。
アルベルト様は、その夜のうちに外交パーティーから追放され、社交界からも追い出された――その知らせを私は後になって耳にした。
かつて誇り高く振る舞っていた彼の姿を思い浮かべると、その結末はあまりにも急で、そして無残に思えた。
そしてセレスティーヌ様はというと、ほどなくして別の貴族の愛人になったらしい。
その噂は社交界の隅々にまで広まり、人々は冷ややかな笑みを浮かべながら彼女の名を口にした。
かつては華やかに人々を魅了していた二人の未来は、誰も予想しなかったほどに哀れで、儚いものへと変わり果てていた。
彼らがどのような末路を辿ろうとも、もはや私の心を揺らすことはなかった。
かつてはその一挙一動に怯え、怒り、涙した日々もあった。
けれど今の私は違う。
彼らの存在は、すでに過去の亡霊にすぎず、私の未来とは何の関わりも持たない。
私は自分の進むべき道を見つけ、その道を支えてくれる大切な人々と共に歩んでいる。
だからこそ、彼らの行く末など、風に消える噂話のように虚ろで、どうでもいいものだった。
私は、カイル王子の隣に寄り添いながら、静かに、そして心から穏やかな笑みを浮かべていた。
そこには争いや不安に揺れる心はもうなく、ただ柔らかな安らぎと確かな幸福だけがあった。
王子の温かな存在を感じながら、私はようやく自分の居場所を見つけたのだと実感した。
かつての苦しみや痛みは遠い記憶となり、この瞬間に満ちる温もりがすべてを包み込んでいく。
未来を共に歩む隣で、私は微笑み続けていた。
「エリス。僕の隣にいてくれて、本当にありがとう」
カイル王子の言葉に、私は、静かに頷いた。
「こちらこそ。あなたのおかげで、私は、私自身を見つけることができました。本当に、ありがとうございます」
私は、もう、何も怖いものはない。
私は、もう、何ひとつとして恐れるものはなかった。
かつて心を締めつけていた不安や怯えは、すでに過去の闇に消え去り、私の中には揺るぎない強さと確信だけが残っている。
傍には信じることのできる人がいて、支えてくれる温もりがある。
その存在があれば、どんな困難や試練が立ちはだかろうとも、私は前を向いて進んでいける。
恐怖は私を縛る力を失い、代わりに胸に宿るのは未来への希望と誇りだった。
もう二度と、誰かに侮られたり、見下されたりすることはない。
かつては無力で、声を上げても届かず、嘲笑や軽蔑に晒されていた私だったが、今は違う。
私は自分の価値を知り、誇りを胸に抱き、堂々と立っている。
過去の屈辱はすべて私を強くし、揺るがない自信へと変わった。
だからこそ、誰の目の前に立とうとも怯むことはなく、もう二度と誰にも馬鹿にされることはないのだ。
私は、自分の足で、自分の人生を歩んでいく。
そして、その隣には、どんな時も私を愛し、守り続けてくれる王子様がいる。
彼の存在は私にとって揺るぎない支えであり、暗闇を照らす光そのものだった。
優しい眼差しと温かな手のひらは、私に安心と力を与えてくれる。
私は一人ではない。
彼が隣にいてくれる限り、どんな未来であっても恐れることなく歩んでいける。
愛に包まれ、守られているという確かな実感が、私の心を満たし続けていた。
この幸せな日々が、どうか永遠に続いてほしい――私は心の底から強く、切実にそう願っていた。
朝の光に包まれる穏やかな時間も、夜の静けさの中で交わす温かな言葉も、そのすべてがかけがえのない宝物だった。
過去の苦しみを乗り越え、ようやく手に入れた安らぎと愛。
その尊さを知っているからこそ、決して失いたくないと強く思うのだ。
笑顔と温もりに満ちたこの瞬間が、未来へと途切れることなく続いていくことを、私はただひたすらに祈り続けていた。
私は、カイル王子と共に、窓際に立っていた。遠くに見える王都の夜景は、まるで星を散りばめたようにきらきらと輝いている。
「エリス、疲れたかい?」
カイル王子が、優しい声で尋ねた。
「いいえ。とても、楽しいです」
私は、笑顔で答えた。
本当に、楽しかった。私がこの三年で身につけた知識は、誰にも負けない。私は、ここにいる誰もが知らないユージェニア王国の歴史や文化を、堂々と話すことができた。そして、それは、カイル王子の助けにもなった。
私は、もう、ただの「退屈な女」じゃない。
そう、胸を張って言える。
そのときだった。
私の背後から、声が聞こえた。
「エリス……。君に、話があるんだ」
振り返ると、そこに立っていたのは、アルベルト様だった。
彼の顔は、先ほどよりもさらにやつれて見えた。セレスティーヌ様の姿は、どこにもない。彼は、私とカイル王子を、交互に見ていた。
「アルベルト様。私に、何か?」
私は、冷たい声で言った。もう、彼に優しい言葉をかける必要はない。
「私は……君と、もう一度話がしたい。二人だけで」
「二人で、ですか? 私たちは、もう、何の関わりもないはずです」
私は、毅然とした態度で答えた。
アルベルト様は、私の言葉に、焦ったように言った。
「すまなかった、エリス。本当に、すまなかった。あの時、君を『退屈な女』だと切り捨てたことを、心から後悔しているんだ」
その言葉を聞いて、私は、心の中で冷笑した。
「今さら、そんなことを言われても。もう、遅いでしょう?」
「違うんだ! セレスティーヌは……あの女は、僕に寄り付こうとしない。僕の財産も、名声も、何もかもを食いつぶそうとしているんだ! 僕を助けてくれるのは、君しかいないんだ、エリス!」
彼の言葉に、私は、何も感じなかった。ただ、呆れと、軽蔑の気持ちだけが、私の中に湧き上がってきた。
彼は、本当に、私という人間を見ていなかったのだ。ただ、自分にとって都合の良い存在として、私を見ていた。そして、今も、自分にとって都合の良い存在として、私を求めている。
「私は、あなたにとって、ただの道具だったのですね」
私は、静かに、そして、はっきりと、そう言った。
「違っ……!」
「いいえ、違わないでしょう? あなたは、私を愛していなかった。私が欲しかったのは、あなたの愛でした。でも、あなたは、私を切り捨てた。そして今、窮地に追い込まれて、私に助けを求めている。そんな勝手な話が、通ると思っているのですか?」
私の言葉は、静かだったけれど、その言葉は、アルベルト様の心を深く抉ったようだった。彼の顔は、みるみるうちに青ざめていった。
「エリス、頼む! もう一度、僕とやり直してくれないか? 君が望むなら、どんなことでもするから!」
彼は、私の手を掴もうとした。
その瞬間、カイル王子が、私の手を優しく引いて、私を彼の背後に隠した。
そして、彼は、氷のように冷たい声で、アルベルト様に言った。
「無礼な真似はやめろ。私の愛しい人に、軽々しく触れるな」
その声は、広間の人々を凍りつかせるほど、冷たかった。
アルベルト様は、カイル王子の威圧感に、たじろいだ。
「カイル殿下……」
「アルベルト・グランディエ。そちらの国との外交関係を、私は、もう一度考え直さなければならないかもしれない。私の愛しい補佐官に、無礼を働く者は、私の国に足を踏み入れる資格はない。そして私たちと話す資格も。今すぐ、この場から去りなさい」
カイル王子の言葉は、もはや命令だった。
アルベルト様は、震える声で、言った。
「ですが、私は……」
「これ以上、言葉を重ねるな。君の行動は、私への、そしてユージェニア王国への侮辱だ。君は、今後、二度とユージェニア王国の地を踏むことは許さない」
その言葉は、貴族として、政治家としての完全な失脚を宣告されたのと同じだった。アルベルト様の全てが、一瞬にして崩れ去った。
彼は、絶望に満ちた顔で、その場に立ち尽くしていた。
もう、彼の居場所は、どこにもない。名声も、財産も、そして、彼を愛してくれる人も、何もかもを失ったのだ。
私は、そんな彼の姿を、静かに見ていた。
カイル王子は、私を抱きしめた。
「もう大丈夫。君は、もう、あの日の君じゃない。君は、僕が守るから」
彼の温かい腕の中で、私は、静かに涙を流した。
それは、悲しみの涙ではなかった。
嬉しさの涙でもなかった。
ただ、心の奥底にあった、長い間の痛みが、解き放たれた、そんな安堵の涙だった。
私は、もう、過去に囚われていない。
私は、カイル王子と共に、新しい人生を歩んでいる。
アルベルト様は、その夜のうちに外交パーティーから追放され、社交界からも追い出された――その知らせを私は後になって耳にした。
かつて誇り高く振る舞っていた彼の姿を思い浮かべると、その結末はあまりにも急で、そして無残に思えた。
そしてセレスティーヌ様はというと、ほどなくして別の貴族の愛人になったらしい。
その噂は社交界の隅々にまで広まり、人々は冷ややかな笑みを浮かべながら彼女の名を口にした。
かつては華やかに人々を魅了していた二人の未来は、誰も予想しなかったほどに哀れで、儚いものへと変わり果てていた。
彼らがどのような末路を辿ろうとも、もはや私の心を揺らすことはなかった。
かつてはその一挙一動に怯え、怒り、涙した日々もあった。
けれど今の私は違う。
彼らの存在は、すでに過去の亡霊にすぎず、私の未来とは何の関わりも持たない。
私は自分の進むべき道を見つけ、その道を支えてくれる大切な人々と共に歩んでいる。
だからこそ、彼らの行く末など、風に消える噂話のように虚ろで、どうでもいいものだった。
私は、カイル王子の隣に寄り添いながら、静かに、そして心から穏やかな笑みを浮かべていた。
そこには争いや不安に揺れる心はもうなく、ただ柔らかな安らぎと確かな幸福だけがあった。
王子の温かな存在を感じながら、私はようやく自分の居場所を見つけたのだと実感した。
かつての苦しみや痛みは遠い記憶となり、この瞬間に満ちる温もりがすべてを包み込んでいく。
未来を共に歩む隣で、私は微笑み続けていた。
「エリス。僕の隣にいてくれて、本当にありがとう」
カイル王子の言葉に、私は、静かに頷いた。
「こちらこそ。あなたのおかげで、私は、私自身を見つけることができました。本当に、ありがとうございます」
私は、もう、何も怖いものはない。
私は、もう、何ひとつとして恐れるものはなかった。
かつて心を締めつけていた不安や怯えは、すでに過去の闇に消え去り、私の中には揺るぎない強さと確信だけが残っている。
傍には信じることのできる人がいて、支えてくれる温もりがある。
その存在があれば、どんな困難や試練が立ちはだかろうとも、私は前を向いて進んでいける。
恐怖は私を縛る力を失い、代わりに胸に宿るのは未来への希望と誇りだった。
もう二度と、誰かに侮られたり、見下されたりすることはない。
かつては無力で、声を上げても届かず、嘲笑や軽蔑に晒されていた私だったが、今は違う。
私は自分の価値を知り、誇りを胸に抱き、堂々と立っている。
過去の屈辱はすべて私を強くし、揺るがない自信へと変わった。
だからこそ、誰の目の前に立とうとも怯むことはなく、もう二度と誰にも馬鹿にされることはないのだ。
私は、自分の足で、自分の人生を歩んでいく。
そして、その隣には、どんな時も私を愛し、守り続けてくれる王子様がいる。
彼の存在は私にとって揺るぎない支えであり、暗闇を照らす光そのものだった。
優しい眼差しと温かな手のひらは、私に安心と力を与えてくれる。
私は一人ではない。
彼が隣にいてくれる限り、どんな未来であっても恐れることなく歩んでいける。
愛に包まれ、守られているという確かな実感が、私の心を満たし続けていた。
この幸せな日々が、どうか永遠に続いてほしい――私は心の底から強く、切実にそう願っていた。
朝の光に包まれる穏やかな時間も、夜の静けさの中で交わす温かな言葉も、そのすべてがかけがえのない宝物だった。
過去の苦しみを乗り越え、ようやく手に入れた安らぎと愛。
その尊さを知っているからこそ、決して失いたくないと強く思うのだ。
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