町工場のお姫様

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01 町工場に青年があらわれた!

 東京から電車とバスを乗り継いで5時間半——
 娯楽なんてパチンコぐらいしかない町に来た青年。
 姫川ひめかわという、どこか華やかさのある苗字とは対照的に、手入れをしていない伸びた髪が俯きがちな目元に影を落とす。それは臆病で人見知りな彼の性格を印象付けているようだった。

 この姫川という青年は六年前、高校受験に失敗し引きこもりになった。
 学校に行かず、勉強もしない。かといって働くわけでもない。
 一日中部屋で過ごし、スマホゲームにのめりこみ、課金をするようになる。
 初めは月に数百円程度だったので両親も特に咎めることはなかった。
 しかし、その課金額は日に日に増えていき、一ヶ月で10万円以上ゲームにつぎ込むようになった頃、とうとう親に見放され、家を追い出されてしまった。
 自業自得ではあるが、追い出された孫を不憫に思った彼の祖母が、自身の家へ呼び寄せたのだった。

 姫川は学歴もなく人付き合いも悪かったが、若者が皆都会に出て行き、年寄りばかりのこの町にとっては有望な働き手。
 引越してすぐに、祖母の知り合いが経営している町工場を紹介され、働くことになった。

 大手企業の孫請けの仕事で、風が吹けば飛んでしまうような小さな工場ではあったが、若く手先の器用な姫川は随分と重宝された。

 先輩社員たちは皆、二回りは年が離れているので、彼をその名から「姫」と呼び、息子や孫のようにたいそう可愛がってくれる。
 学生時代、クラスにうまく馴染めず、友人がいなかった姫川にとって、同世代の居ないこの環境は心地よく感じられた。

 仕事に慣れてきた頃、休憩室に入ると、先に休憩中の先輩社員二人が雑誌を見て何やら楽しげに話していた。
 入ってきた姫川に気づき、手招きをしてくる。

 「ほら、こっち来て見てみろよ姫。すげぇエロいから」

 白髪頭の先輩社員 有賀ありがが姫川の腕を掴み、グイグイと引き寄せ、雑誌をみせつける。
 それは成人指定の雑誌のようだった。
 目の前いっぱいに広がる卑猥な写真に、思わず顔を背ける。

 姫川は小学校、中学校ともに私立の男子校だったせいか、女性に免疫がなく、中学校を卒業してからは人付き合いは皆無。
 外に出るでもなく、ずっと部屋に引きこもっていたので、当然のように童貞であった。
 耳まで赤く染めながら俯く姫川の姿に、先輩二人の悪ノリに拍車がかかる。

 「ほれほれ、このページなんかモロ見えだぞ、うぉっスケベな顔してらぁ」

 「ほら、見てみろ。こんな足おっぴろげて、くぁ~女の体はスゲェな」

 次々に目の前に広げられる卑猥なページに、姫川の股間はムクムクと勃ち上がりそうになり慌てて目を逸らす。

「なんだ? ちんちん勃っちまったか?」

 そう言いながらニヤニヤと近寄り、逃がさないとばかりに肩に手を回すのは、恰幅のいい山河やまかわという先輩社員だ。

「ここじゃ、こんなことぐらいしか楽しみがないから、姫も楽しみな」

 もう片方の肩も有賀から腕を回される。
 グイグイとソファの方へ押され、二人の間に座らされた。
 両側からがっちりと肩に手を回されているので逃げられない。

「ほれ、もっとよく見てみろ、この姉ちゃん、でっけぇ乳首だなぁ! こいつはすけべだ」

 雑誌のページをめくり次々に卑猥な写真を姫川に見せてくる。
 何年も前の雑誌なのだろう。
 写っている女性はどれも古めかしい化粧で、何度もめくられたであろうそのページは、一度濡れた紙が乾いた後のように、よれてカピカピになっている。
 しかし、そんな使い古された雑誌でも、姫川の欲を刺激するには十分だった。

 一緒に暮らしている祖母が、孫可愛さから家にいる間しょっちゅう構ってくるので、しばらく一人で処理していなかった。
 欲を溜め込んだ彼の股間は完全に勃ち上がっていた。
 しかしここは職場で、今は休憩時間。
 少し前かがみになって、何とか気持ちを抑えようとするが……

「おぉ! 元気なちんちん勃ったか?」

「やっぱり若けぇとすぐ元気になるな」

 両脇から投げかけられる先輩社員二人の直接的な物言いに、姫川は恥ずかしくて顔が茹でタコのようになった。
 そんな彼の様子を見てニヤリとする二人。

「姫、女を悦ばせる抱き方、知ってるか?」

「……」

 もちろん、童貞の姫川にそんな知識は無い。それでも『無いです』と素直に言えるほどの度胸はなかった。
 しかし沈黙は正しくその意味を伝えたようで、「よし、おっちゃん達が教えてやろう!」
 と、膝を叩いて、姫川の左隣にいた有賀が立ち上がった。

「おっちゃんの“とっておき”を教えてやる! 仕事終わりに、れっつスタディ!」

 がははと笑ってから、姫川に向かってビシッと親指を立てる。

「おっ、いいですね。俺もエロいやつ持ってくるな!」

 右隣に座っていた山河も『よっこらしょ』と立ち上がった。

「おっちゃんたち、仕事に戻るから、姫は休憩終わるまでシコシコしてていいからな!」

「その雑誌貸してやるから、休憩中にちんちん大人しくさせとくんだぞ」

 先輩社員二人はワッハッハと笑いながら休憩室から出ていった。

 あまりに明け透けな物言いに姫川は呆気にとられて、二人が出て行ったドアをしばらく見ていた。
 しかし自身の股間が張り詰めて収まらず、半ばヤケになって雑誌を片手に陰茎を擦った。

「んっ、はっ、ぁっ、イクっ……」

 かなり溜まっていたので少し擦っただけで、すぐに射精してしまう。
 工場の狭い休憩室は姫川の吐き出した精の生臭い匂いが充満していた。
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