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episode3 幸せになりたいなら、なりなさい
1話 間諜も一緒に?
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「結局今出来ることなど限られていますわね・・・」
シンシアはそう呟きながら溜め息を付いて、図書館で懲りずに聖典を開いた。
「コレに馴れなければ恋愛偏差値0のワタクシなど、グエン様に顔向け出来ませんものね・・・・」
いや、誰か止めろ。
それタダの耳年増になるだけやん・・・・ 顔向けて何やねん。
そしてお約束の様に顔色が段々と変わっていくのであった。
本日はどのくらい耐えれるのか・・・・
侍女がそっと担架の準備をしに下がっていったのをシンシアは知らない。
××××××××××
一方こちら、ハイドランジア国王陛下の執務室である。
今日も今日とて仲良し? のフィリップ国王とモース宰相の2人は一緒に執務の合間の休憩を取っていた。
「どうします? 婚約式は1ヶ月程様子見しますか?」
お前、片手で鼻クソほじってるだろ! と言いそうになるくらいの軽い調子でモース宰相がフィリップ陛下に聞いてくる。
「ウ~ン、どーすっかな~・・・ トリステスにはティーダー侯爵の娘が去年嫁いだばっかりだしなあ~・・・」
「まあ、嫁いだ先が皇太子殿下ですしねえ」
執務机に頬杖をついて天井を見ながらぽやんとしている陛下を横目で見ながら、
「あと、グエン陛下に関しては色々な噂が出回っておりますが調査の結果はご報告通りです。嫁いでも何の支障もありません」
「我々北大陸より南は魔族の襲来が多いからな。苦労したんだろうが・・・ アイツ、アクティブ過ぎんか? シンシアついて行けるのか? アレだぞ・・・」
「まぁ、脳味噌に能力値全振りですからなぁ・・・『蝶』も込みで嫁入りでしょうな~・・・」
「もういっそ王宮魔導師も連れてくか?」
「全員そういう立場の者だけで固めますかね?」
「嫁に行くんだろ? 不味くね?」
「皇帝陛下に条件として間諜も込みということで呑んで頂くしかないでしょうなあ。なんせ、アレですからな・・・」
なにもない廊下ですっ転びかけた王女を、侍女がサッと前に廻り込み寸前で助ける姿を思い浮かべる2人・・・
考えている事は皆一緒であるようだ。
「そうだなぁ。シンシアの様子を報告させてるが珍しいくらいに前向きだからな」
「ええ。方向性がオカシイ気はしますが・・・」
図書館でエロ本を見て顔を赤くしたり青くしたりするシンシアの報告はすでに上がって来ているらしく、執務机の上に置かれた書類をぺらりと捲るフィリップ陛下。
「過激なの棚から引っ込めといた方がいいんじゃないかな?」
「いえ、王女様もそれなりの年齢ですのでそれはよろしいかと。別に有害指定図書というわけでは御座いませんので」
「唯の耳年増になるだけじゃないのか?」
「・・・ グエン陛下にその辺りは頑張って頂くしかないかと・・・」
「まぁ、そうだな・・・ 読んでる本チェックしといてくれ」
「はぁ?」
「後でグエン殿に送って心の準備でもしといてもらうか・・・」
「・・・はぁ? 良いんですかね」
「なんせ、突拍子もない事しでかす斜め上の考え方の娘だからな・・・ アレに普通の嫁入りを勧めてた過去の自分にラリアット咬ませてやりたいわ・・・ はぁ」
「いや、まぁ・・・・ 了解しました」
『親の方も斜め上だよ!』と言わなかった自分をコッソリと褒めたモース宰相である・・・
「あ~~~~ もう、休憩終わり! 次だ次!」
陛下がそう言いながら決裁の書類の入った箱に手を伸ばす。
果たして嫁のエロ本事情など知りたい婿がいるのかは謎のままになったのである。
シンシアはそう呟きながら溜め息を付いて、図書館で懲りずに聖典を開いた。
「コレに馴れなければ恋愛偏差値0のワタクシなど、グエン様に顔向け出来ませんものね・・・・」
いや、誰か止めろ。
それタダの耳年増になるだけやん・・・・ 顔向けて何やねん。
そしてお約束の様に顔色が段々と変わっていくのであった。
本日はどのくらい耐えれるのか・・・・
侍女がそっと担架の準備をしに下がっていったのをシンシアは知らない。
××××××××××
一方こちら、ハイドランジア国王陛下の執務室である。
今日も今日とて仲良し? のフィリップ国王とモース宰相の2人は一緒に執務の合間の休憩を取っていた。
「どうします? 婚約式は1ヶ月程様子見しますか?」
お前、片手で鼻クソほじってるだろ! と言いそうになるくらいの軽い調子でモース宰相がフィリップ陛下に聞いてくる。
「ウ~ン、どーすっかな~・・・ トリステスにはティーダー侯爵の娘が去年嫁いだばっかりだしなあ~・・・」
「まあ、嫁いだ先が皇太子殿下ですしねえ」
執務机に頬杖をついて天井を見ながらぽやんとしている陛下を横目で見ながら、
「あと、グエン陛下に関しては色々な噂が出回っておりますが調査の結果はご報告通りです。嫁いでも何の支障もありません」
「我々北大陸より南は魔族の襲来が多いからな。苦労したんだろうが・・・ アイツ、アクティブ過ぎんか? シンシアついて行けるのか? アレだぞ・・・」
「まぁ、脳味噌に能力値全振りですからなぁ・・・『蝶』も込みで嫁入りでしょうな~・・・」
「もういっそ王宮魔導師も連れてくか?」
「全員そういう立場の者だけで固めますかね?」
「嫁に行くんだろ? 不味くね?」
「皇帝陛下に条件として間諜も込みということで呑んで頂くしかないでしょうなあ。なんせ、アレですからな・・・」
なにもない廊下ですっ転びかけた王女を、侍女がサッと前に廻り込み寸前で助ける姿を思い浮かべる2人・・・
考えている事は皆一緒であるようだ。
「そうだなぁ。シンシアの様子を報告させてるが珍しいくらいに前向きだからな」
「ええ。方向性がオカシイ気はしますが・・・」
図書館でエロ本を見て顔を赤くしたり青くしたりするシンシアの報告はすでに上がって来ているらしく、執務机の上に置かれた書類をぺらりと捲るフィリップ陛下。
「過激なの棚から引っ込めといた方がいいんじゃないかな?」
「いえ、王女様もそれなりの年齢ですのでそれはよろしいかと。別に有害指定図書というわけでは御座いませんので」
「唯の耳年増になるだけじゃないのか?」
「・・・ グエン陛下にその辺りは頑張って頂くしかないかと・・・」
「まぁ、そうだな・・・ 読んでる本チェックしといてくれ」
「はぁ?」
「後でグエン殿に送って心の準備でもしといてもらうか・・・」
「・・・はぁ? 良いんですかね」
「なんせ、突拍子もない事しでかす斜め上の考え方の娘だからな・・・ アレに普通の嫁入りを勧めてた過去の自分にラリアット咬ませてやりたいわ・・・ はぁ」
「いや、まぁ・・・・ 了解しました」
『親の方も斜め上だよ!』と言わなかった自分をコッソリと褒めたモース宰相である・・・
「あ~~~~ もう、休憩終わり! 次だ次!」
陛下がそう言いながら決裁の書類の入った箱に手を伸ばす。
果たして嫁のエロ本事情など知りたい婿がいるのかは謎のままになったのである。
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