妹に全て奪われて死んだ私、二度目の人生では王位も恋も譲りません

タマ マコト

文字の大きさ
5 / 44

第5話 星屑みたいな取引

しおりを挟む


 その夜、私は眠れなかった。

 孤児院で見た靴の穴が、瞼の裏に焼きついている。
 ミナの「すく」という一言が、胸の奥で小さく鳴り続けている。
 そして――路地裏で渡された紙片。
 乾いた紙の感触が、なぜだか手のひらから消えない。

 部屋の灯りは落とした。
 天蓋の影が壁に揺れて、月明かりが床に薄い布みたいに広がっている。王城は夜になると音が減る。だからこそ、ちょっとした物音がやけに目立つ。

 私は机に向かい、紙片を広げた。
 そこに並ぶ文字は端的で、冷たい。

 薬草商の名。
 祝宴の担当。
 宰相の周りの人間。
 そして、最後に添えられた一行。

『会うなら、東塔の旧回廊。三つ目の窓。今夜』

「……強引すぎ」

 つい声が出た。
 でも、笑うしかない。
 影の男は、こちらの都合なんて気にしない。気にしないからこそ、信用できる部分もある。

 扉の向こうで、ルーナが控えている気配がする。
 私は一度だけ深く息を吸って、扉に向かって小声で言った。

「ルーナ」

「はい、姫殿下」

「今から少し……散歩する。誰にも言わないで。もし私が一時間戻らなかったら――ユリウス・カーヴェイン侯に連絡して」

 沈黙が一拍、挟まった。
 ルーナは不安で震えているのが分かる。
 でも彼女は、私の声の温度を読んだのだろう。返事はまっすぐだった。

「……承知いたしました。ですが、どうかお気をつけて」

「うん。ありがとう」

 私は黒い上着を羽織り、髪をゆるくまとめる。
 王女としての飾りは外した。ブローチも、指輪も。
 ここから先は“身分”が邪魔になる。身分が強いほど、狙われる。

 廊下へ出る。
 夜の王城は、冷たい。
 昼間は人の目と礼儀が暖房みたいに働いているのに、夜は石そのものの冷えが剥き出しになる。

 東塔へ続く通路は、人通りが少ない。
 壁に掛かった肖像画の目が、暗闇の中でもこちらを見ている気がする。
 私は足音を殺して歩いた。
 自分の心臓の音が、やけに大きい。

 旧回廊。
 三つ目の窓。

 そこは、使われなくなった渡り廊下だった。
 窓枠の木は古く、月明かりがガラスの歪みで少しだけ曲がって床に落ちる。外から風が入り、埃の匂いがする。
 遠くで時計が鳴った。夜半の鐘。音が薄く伸びて、石の中に消えていく。

 私は窓の前で立ち止まった。

「来た」

 背後から声。
 振り返るより先に、肌が冷える。

 黒い外套。
 夜の中から切り抜いたみたいな男。
 カイ・ノクティス。

 彼は柱にもたれていた。最初からそこにいたみたいに、自然に。
 顔がはっきり見えないのに、目だけは分かる。闇を抱えた静かな目。

「ほんとに来るんだ」

「呼び出したのはあなたでしょ」

「普通は怖がる」

「普通じゃないの。死んだことがあるから」

 言った瞬間、私はしまったと思った。
 口が滑った。
 でもカイは、深掘りしなかった。
 ただ、私を一瞬だけ見て、短く言った。

「……そういう顔してる」

「どういう顔」

「戻れない場所から戻ってきた顔」

 私は言葉を失った。
 彼は転生を知らない。
 なのに、当ててくる。
 “匂い嗅ぎ”って、やっぱり最悪だ。

 私は話題を切り替えるように、紙片を掲げた。

「これ、何。薬草商の名簿と動線。祝宴担当……。どうしてあなたが知ってるの」

「知ってるから」

「それ答えになってない」

「影は説明しない。説明したら影じゃなくなる」

 またその軽さ。
 でも軽いからこそ、彼の言葉は芯がある。

 私は一歩近づいた。
 月明かりが彼の頬に当たり、骨の輪郭を浮かび上がらせる。
 思ったより若い。二十代半ばくらい。
 でも目は、もっと年を重ねたみたいに疲れている。

「本題。あなたは私に何をさせたいの?」

 カイは首を傾げた。

「させたいとかじゃない。あんたが動くなら、使える情報を出す」

「条件は?」

 私がそう聞くと、カイの目が少しだけ細くなる。
 試す目。
 王女が“取引”という言葉を使えるかどうかを見ている。

「いいね。話が早い」

「で、条件は?」

 カイは窓の外を一瞬だけ見た。
 月が白く、雲がゆっくり流れている。
 その横顔が、どこか寂しい。

「王妃アウレリアの死。あれ、変だ」

 私は息が止まった。
 母の名。
 この国で、最も優しくて、最も強かった人。
 そして、私の人生の歪みの起点。

「……病死だって聞いてる」

「聞いてる、ね」

 カイは皮肉っぽく笑う。
 ほんの少しだけ。

「病死に見せる病は作れる」

 その言葉が、旧回廊の冷気より冷たかった。
 私は喉の奥がひりつくのを感じる。
 毒の記憶が、ここでまた顔を出す。

「証拠は?」

「ある」

 即答。
 でもカイは続けて言った。

「ただし、すぐには渡さない」

 私は眉をひそめた。

「……どうして」

「早く渡したら、あんたは燃やす」

「燃やさない」

「燃やす。綺麗に正しく処理して、忘れる」

 私の心臓が、どくんと鳴った。
 図星。
 前世の私は、そういう癖があった。
 危険なものを“正しさ”で包んで、棚にしまう。
 それが王女の処世術だったから。

「……私はもう、忘れない」

「言葉は簡単」

 カイが一歩近づく。
 距離が詰まり、彼の声が低くなる。
 刃が頬に触れるみたいな距離。

「女王になりたいなら、綺麗事を捨てろ」

 その言葉が、私の胸に直撃した。
 怒りが熱く湧き上がる。
 同時に、痛みが疼く。
 誰かに“王女”ではなく“人間”として殴られた痛み。

「……何それ」

 私は笑った。笑えたのが自分でも怖い。
 怒りすぎると、逆に笑ってしまうことがある。

「綺麗事を捨てろ? あなた、私が今までどれだけ綺麗事で自分を縛って生きてきたか知ってる?」

「知ってるとは言わない」

「じゃあ偉そうに言わないで」

 声が少し荒くなる。
 王女として失格の口調。
 でも、ここには王女の仮面を置いてきた。
 だからいい。

 カイは肩をすくめた。

「捨てないと、殺される」

「それ、脅し?」

「忠告」

「……あなたの忠告はいつも雑」

「雑な方が届く」

 私は歯を食いしばった。
 言い返したいのに、言葉が詰まる。
 彼の言う通りだからだ。
 綺麗事に縋って、私は死んだ。

 でも――捨てたくない。

 母が教えてくれたもの。
 王女として守るべきもの。
 そして、孤児院で見た子どもたちの目。
 あの目に対して、私は綺麗事を捨てたくない。

 私は息を吸い、吐いた。
 怒りを沈めるというより、怒りを言葉に変換するために。

「捨てない」

 カイの目がわずかに動く。

「捨てないよ。綺麗事ごと、現実を踏み潰す」

 自分の声が、妙に響いた。
 旧回廊の石が、私の言葉を反射して返す。
 “踏み潰す”という言葉の暴力性が、逆に私を落ち着かせた。
 これは宣言だ。私の生き方の宣言。

 カイは黙った。
 数秒。
 その沈黙が、試験の合否みたいに重い。

 そして――ほんの一瞬だけ、彼の口角が上がった。

 星屑みたいな笑み。
 夜明け前の空に、一つだけ残る星。
 眩しいのに、すぐ消える。

「……いいね」

「何が」

「捨てない奴は、強い。壊れにくい」

「褒めてるの?」

「褒めてない。評価」

「性格悪い」

「影だから」

 私は思わずため息をついた。
 でも、胸の奥は少しだけ温かい。
 評価でもいい。私を“王女”の肩書き抜きで見てくれたのが、嬉しい。

「で。証拠は?」

 私は話を戻した。
 感情に飲まれたら負ける。
 私は今、勝ちに行っている。

 カイは外套の内側から、小さな革袋を取り出した。
 でも渡さず、指先で揺らすだけ。

「これの中に、侍医の記録の断片。薬草商の帳面の写し。宰相の動線。……ただし、全部じゃない」

「全部じゃない?」

「全部渡したら、あんたが早まる」

「早まらない」

「早まる」

「……頑固」

「影は頑固」

 私はその革袋を見つめた。
 喉が乾く。
 母の死が、ただの病じゃないかもしれない。
 それを確かめるものが、目の前にある。

 でも同時に、分かる。
 カイが全部渡さないのは、支配したいからじゃない。
 “守りたい”からだ。
 間に合わなかったことがある、と言った。
 その後悔が、彼を慎重にしている。

「……じゃあ、どうしたら全部もらえるの」

 私が聞くと、カイは革袋をしまいながら言った。

「覚悟を見せろ」

「覚悟って、具体的に」

「宰相の手先が、孤児院の補助金を抜いてる。今日、あんたは帳簿を要求した。いい。次は、その帳簿を“読め”。読んで、潰せ」

 私は目を細めた。

「それ、私が危険になる」

「なる。だから覚悟が要る」

「あなた、私を危険に突っ込ませたいの?」

「危険は向こうから来る。避けても来る。なら先に握れ」

 私は唇を噛んだ。
 この男の言うことは乱暴だ。
 でも、正しい。
 毒は向こうから来る。譲歩しても来る。
 私は前世でそれを証明した。

「……分かった。帳簿を取って、穴を特定して、制度で塞ぐ。潰す」

「潰すって言い方、いい」

「褒めてないって言ったでしょ」

「評価」

「もういい」

 私は肩を落として、でも目は逸らさない。
 ここで逸らしたら、また“王女”に戻ってしまう。

「カイ。あなたは何が目的?」

 私は真正面から聞いた。
 彼の目的が分からないままでは、同盟は組めない。

 カイは少しだけ目を伏せた。
 月明かりが睫毛の影を作る。
 影が濃い。
 彼の過去が濃い。

「王家の影は、王家を守るためにいる」

「守るって、誰を?」

 カイは短く答えた。

「国」

 たった一文字みたいな答え。
 でも私は聞き返す。

「国って、誰?」

 カイの目が、ほんの少しだけ揺れた。
 その揺れが、答えだ。

「……子ども」

 彼はそう言った。
 小さく。
 だけど、確かに。

 孤児院で見た靴の穴が、ここで繋がる。
 国は、王城の天井画じゃない。
 国は、路地の匂いと、子どもの空腹だ。

 私は胸の奥が熱くなった。
 泣きたくなる熱さ。でも泣かない。
 泣く代わりに、言葉にする。

「なら、利害は一致する」

「そう」

「私は死なない。あなたも、間に合わなかったことを繰り返さない。……それでいい?」

 カイは小さく頷いた。
 頷きは最小限。
 でも、彼なりの契約。

「次に会うとき、渡す」

「全部?」

「全部の一歩手前まで」

「ケチ」

「慎重」

「同じ意味」

 私はふっと笑った。
 さっきより自然に。
 怖いのに、怖さが全部じゃない。

 カイは踵を返した。
 去り際、振り返らずに言う。

「姫さん」

「何」

「綺麗事は捨てなくていい」

 私は一瞬、息が止まった。
 さっきと言ってることが違う。
 でも、その矛盾が彼の本音なんだろう。

 カイは続けた。

「ただ、綺麗事を守るために、手を汚せ。汚れる覚悟をしろ」

 それは――呪いみたいな助言だった。
 でも、救いでもある。

 私は静かに答えた。

「……うん。やる」

 カイはもう何も言わず、影へ溶けていった。
 旧回廊に残ったのは、冷気と月明かりと、私の心臓の音だけ。

 私はしばらくその場に立ち尽くし、胸の奥の疼きを確かめた。
 怒りでも、悲しみでもない疼き。
 誰かに“人間”として扱われた痛み。
 でもその痛みは、私を壊すものじゃない。私を生かす痛みだ。

 王女としての私が、ここで少しずつ剥がれていく。
 代わりに出てくるのは、ただの私。
 セレスティアという名前の人間。

 私は王城へ戻る回廊を歩きながら、日記帳の最後の一行を思い出す。

『あのワインは飲まない』

 その文字が、今夜はさらに黒く感じた。
 未来を縛る呪文じゃない。
 私が私を守るための、宣誓だ。

 扉の前で、ルーナが駆け寄ってくる。
 彼女の顔が、泣きそうだった。

「姫殿下……! ご無事で……!」

「うん。大丈夫」

 私は言いながら、ルーナの肩にそっと手を置いた。
 その体温が、現実の証明になる。

「今日から、忙しくなる」

「……はい」

「たぶん、汚れる。でも、汚したくないものを守るために」

 ルーナは目を瞬かせ、そして強く頷いた。

「姫殿下のために。……いえ、皆のために」

 その言葉に、私は小さく笑った。
 夜明け前、王城の窓の外がほんの少しだけ薄くなる。
 星屑みたいな取引のあとに残ったのは、疲労じゃなく――戦うための静かな熱だった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】侍女が王女に転生?!英雄と結婚して破滅の国を救います!

カナタカエデ
ファンタジー
八十歳で生涯を終えた、元王宮侍女カリナ。 その最期の瞬間――枕元に、かつて仕えた王女アメリアが現れた。 「お願い…私の人生をやり直して。国を、私を、救って――」 次に目を開くと、カリナは十八歳の“王女アメリア”として転生していた。 彼女は知っている。 このままでは王国は滅び、愛する主君が破滅する未来を。 未来を変えるため、アメリアは 冷徹と噂される英雄ヴァルクとの政略結婚を選ぶ。 これは、かつて守れなかった主人のための転生。 そのはずなのに――彼への想いは、気づけば変わり始めていた。 王女と英雄が紡ぐ、破滅回避ラブファンタジー開幕。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 挿絵はA I画像を使用 10/20 第一章完結 12/20 第二章完結 2/16 第三章完結 他サイト掲載 (小説家になろう、Caita)

婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします

タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。 悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。

【完結】妃が毒を盛っている。

井上 佳
ファンタジー
2年前から病床に臥しているハイディルベルクの王には、息子が2人いる。 王妃フリーデの息子で第一王子のジークムント。 側妃ガブリエレの息子で第二王子のハルトヴィヒ。 いま王が崩御するようなことがあれば、第一王子が玉座につくことになるのは間違いないだろう。 貴族が集まって出る一番の話題は、王の後継者を推測することだった―― 見舞いに来たエルメンヒルデ・シュティルナー侯爵令嬢。 「エルメンヒルデか……。」 「はい。お側に寄っても?」 「ああ、おいで。」 彼女の行動が、出会いが、全てを解決に導く――。 この優しい王の、原因不明の病気とはいったい……? ※オリジナルファンタジー第1作目カムバックイェイ!! ※妖精王チートですので細かいことは気にしない。 ※隣国の王子はテンプレですよね。 ※イチオシは護衛たちとの気安いやり取り ※最後のほうにざまぁがあるようなないような ※敬語尊敬語滅茶苦茶御免!(なさい) ※他サイトでは佳(ケイ)+苗字で掲載中 ※完結保証……保障と保証がわからない! 2022.11.26 18:30 完結しました。 お付き合いいただきありがとうございました!

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

悪役令嬢と呼ばれた私に裁きを望むならご自由に。ただし、その甘露の罠に沈むのはあなたですわ。

タマ マコト
ファンタジー
王都で“悪役令嬢”と噂されるリシェル・ノワゼルは、聖女と王太子による公開断罪を宣告される。 しかし彼女は弁明も反抗もせず、ただ優雅に微笑むだけだった。 甘い言葉と沈黙の裏で、人の嘘と欲を見抜く彼女の在り方は、やがて断罪する側の秘密と矛盾を次々と浮かび上がらせていく。 裁くつもりで集った者たちは気づかぬまま、リシェルが張った“甘露の罠”へと足を踏み入れていくのだった。

処理中です...