妹に全て奪われて死んだ私、二度目の人生では王位も恋も譲りません

タマ マコト

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第14話 怖いままで、守る

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 夜の王都は、昼より正直だ。

 昼間は人が笑って、礼儀が貼られて、噂が花みたいに飾られる。
 でも夜は違う。灯りの届かない場所で、生活の匂いと恐怖の匂いが剥き出しになる。
 私はその夜の匂いの中で、馬車を降りた。

 場所は王都外れの、古い宿屋。
 看板の文字は薄れ、壁の漆喰は剥げ、窓の明かりは弱い。
 華やかさとは無縁の場所。
 だからこそ、ここに真実が隠れる。

「姫殿下、本当にこちらへ……」

 ルーナの声は震えていた。
 彼女はいつも私の側にいる。
 勇気があるからじゃない。怖いのに、逃げないからだ。

「うん。ここで会う」

 護衛は最小限。
 目立てば、影が動く。宰相の影も、王家の影も。

 入口の影から、黒い外套が剥がれ出た。

「遅い」

 カイ・ノクティス。
 相変わらず短い言葉。
 でもその短さに、苛立ちより緊張が混じっているのが分かる。

「ごめん。王城の出入りが増えると怪しまれる」

「怪しまれてる」

「……でしょうね」

 私は苦く笑った。
 最近、宰相府の目は露骨だ。
 夜会の“既成事実”も、噂と暴動の火種も、全部こちらの動きを止めるため。

 カイは顎で宿屋の奥を示した。

「中。生きてる」

「……生きてる、って言い方」

「死んでないだけ。活きてるとは違う」

 その言葉が、胸に刺さった。
 真実を知っている男の言葉だ。
 命があるだけじゃ足りない。
 心が生きているかどうかが問題だ。

 宿屋の階段を上がり、奥の小部屋へ。
 扉を開けると、油灯が一つだけ灯っていた。
 光が揺れて、壁に影が波打つ。
 部屋の隅に、男がいた。

 痩せている。頬が落ち、指が細い。
 年は四十代くらいなのに、髪に白が多い。
 目が落ち着かず、扉が開いた瞬間に肩が跳ねた。

 ――侍医の生存者。
 前世の母の死に関わった、記録の断片を持つ人間。

 カイが短く言う。

「こいつ。名前は、エルド」

 男――エルドは、私を見るなり膝をつこうとした。
 王女だと分かったから。
 身分の反射だ。
 でもその反射が、今夜は残酷に見える。
 膝をついたら、彼はまた“命令される側”になる。
 命令される側は、口を開けば死ぬ。

「立って」

 私は言った。
 命令の口調にしない。
 お願いに近い音で。

 エルドは震えたまま立ち上がった。
 目が潤み、唇が青い。

「ひ、姫殿下……わ、私は……」

「話さなくていい。まず座って」

 私は椅子を引いて示した。
 エルドは恐る恐る腰を下ろす。
 椅子の脚がきしんだ。
 その音だけで、彼がまた怯える。

 ルーナが水を差し出した。
 エルドは手を伸ばすが、指が震えてコップを掴めない。
 私はそっとコップを支えた。
 王女が男のコップを支えるなんて、王城なら噂になる。
 でもここは王城じゃない。
 ここは、命の境目だ。

「……飲んで。喉が乾いてるでしょ」

 エルドは小さく頷き、水を飲んだ。
 飲みながら、涙が落ちた。
 涙が水に混じり、顎から垂れる。

 沈黙が続く。
 沈黙は重い。
 でも私は急かさない。
 急かした瞬間、彼は閉じる。

 カイが壁際で腕を組み、こちらを見ている。
 “王女が命令しない”のを不思議がっている顔。

 私はエルドの目線まで腰を落とし、静かに言った。

「エルド。あなたは、何を怖がってる?」

 エルドは唇を震わせた。
 答えられない。
 でも、答えは部屋の空気に漂っている。

「……家族……」

 やっと出た声は、掠れていた。
 喉が潰れている。
 叫びを飲み込んできた喉。

「私が喋ったら……妻と……子どもが……」

 その瞬間、胸が痛んだ。
 前世の私は、そういう恐怖に触れなかった。
 触れると自分が壊れると思っていたから。
 でも今世の私は、壊れない。
 壊れないように、仕組みを作る。

「うん」

 私は頷いた。
 否定しない。
 怖がるな、なんて言わない。
 怖さは理屈じゃ消えない。

「怖いなら、怖いままでいい」

 エルドの目が少しだけ上がる。
 意外そうな顔。
 王女が“怖いままでいい”なんて言うと思っていなかったのだろう。

「……でも……」

「でも、守る仕組みを作る」

 私は言い切った。
 それは慰めじゃない。契約だ。
 私の権力の使い方を、ここで定義する。

「あなたが喋ったせいで家族が消えるなら、その仕組み自体が狂ってる。だから、私が変える。あなた一人に勇気を押し付けない」

 エルドの目に、また涙が浮かんだ。
 でも今度の涙は、恐怖だけじゃない。
 “聞いてもらえた”涙だ。

 ユリウスが、遅れて入ってきた。
 扉の開く音が静かで、でも存在は重い。
 誠実な男は、部屋の空気を変える。

「第一王女殿下」

 彼は一礼し、エルドに視線を向けた。
 鋭いが、脅さない視線。

「こちらが……」

「そう。侍医の生存者」

 ユリウスは頷き、淡々と報告した。

「手配は整いました。護衛二名。身分保障の書面も用意しております。今夜中に、奥方とお子様は王都外へ。私の領地の保護下に置きます」

 エルドが顔を上げる。
 その目が信じられない、と叫んでいる。

「ほ、ほんとうに……?」

 ユリウスは迷いなく答えた。

「本当です。あなたが口を開かなくても、あなたの家族は守られます。ですが……口を開けば、もっと確実に守れます」

 “口を開けば守る”ではない。
 “口を開かなくても守る”。
 その順序が、エルドの心をほどく。

 私はユリウスに小さく頷き、エルドに向き直った。

「あなたの家族は、今日から私の保護対象。逃げるのは恥じゃない。生きるための選択」

 エルドの肩が震えた。
 彼は拳を握りしめ、膝の上で何度も開いて閉じた。
 泣きそうなのに泣かない。
 男として、父として、最後の線を踏ん張っている。

「……俺は……」

 エルドの声が掠れた。
 そして、ようやく言葉が出る。

「俺は……見たんです。王妃様の薬を……宰相閣下が……侍医長に渡すのを」

 その一言で、部屋の空気が変わった。
 油灯の火が揺れる。
 私の胸の奥が、冷たくなる。
 母の遺品保管庫で見た禁制リストが、ここで血を持つ。

「いつ?」

 私は短く聞いた。
 命令じゃなく、確認。
 エルドが答える。

「王妃様が倒れられた……二日前です。侍医長が……『これは宰相府の薬だ』と」

「薬の名前は?」

 エルドは唇を噛み、震えながら言った。

「……ミルフィア草。少量なら鎮静。多ければ……心が……止まる」

 ミルフィア草。
 母の禁制リストにあった。
 “病死に見せかける”。
 その文字が、頭の中で黒く光る。

 カイが壁際で小さく息を吐いた。
 彼も確信に近づいている。
 でも彼は喜ばない。
 真実は、喜びじゃないから。

「それだけじゃない」

 エルドが続けた。
 涙が頬を伝う。

「侍医長は……記録を改ざんした。王妃様の脈の記録を……俺に書き写させた。違う数値を……」

 ユリウスの目が鋭くなる。
 でも声は低いまま。

「書き写した書式は覚えていますか」

「はい……。宰相府の紙でした。王城の紙じゃない」

 それは決定的だった。
 王城の記録が宰相府の紙で作られるなんて、普通はありえない。
 ありえないことが起きるのが、権力の裏側だ。

 私はエルドの手元を見た。
 指先は荒れている。
 医者の指ではない。
 書類係の指。
 つまり彼は中心ではない。中心に近い“末端”だ。
 末端ほど、潰される。
 末端ほど、真実を抱える。

「……エルド」

 私は彼の名を呼んだ。
 声を柔らかくした。
 柔らかくするのは、甘やかすためじゃない。
 彼が崩れてしまわないように。

「あなたは、悪くない」

 エルドが顔を上げる。
 その瞳が揺れる。
 ミレイアが宰相に言われた言葉と同じだ。
 でも意味が違う。
 宰相の“悪くない”は鎖。
 私の“悪くない”は解放だ。

「……俺は、黙った。黙って……生きた」

「生きたことは罪じゃない」

 私は言い切った。
 言い切らないと、彼は自分を殺してしまう。

「あなたが生きたから、今ここで話せる。今ここで話せたから、母の死は“ただの病”じゃなくなる。……あなたは、もう一人じゃない」

 エルドの肩が崩れた。
 堰が切れたみたいに泣いた。
 嗚咽は小さい。
 大声で泣けない人の泣き方だ。
 泣けば殺されると思ってきた人の泣き方。

 ルーナがそっと布を差し出し、エルドはそれで顔を拭いた。
 その手はまだ震えている。
 でも、震えの意味が変わっている。
 恐怖だけじゃない。
 希望が混じっている。

 私はユリウスに目配せした。

「護衛は?」

「今夜のうちに動かします。既に馬車も待機させています」

「身分保障は?」

「王家印の仮証明を。後日、正式な身分替えも可能です」

 ユリウスの言葉は硬い。
 でもその硬さが、信頼になる。
 誠実な男の“できる”は、実行される。

 カイが短く言った。

「姫さん。これで一歩」

「うん。一歩。でも……これを“暴く”のはまだ」

 カイの目がわずかに細くなる。
 焦りじゃない。確認。
 本当に叫ばずに進むのか。

「暴けば燃える。燃えたら、証言者が消える。証言者が消えたら、真実はまた紙になる。紙は燃える」

 私は淡々と言った。
 自分の声が冷たく聞こえて、少しだけ怖い。
 でも冷たさは、守るための冷たさだ。

「だから、先に守る。仕組みで守る。人で守る。……そして、積む」

 積む。
 証拠を。
 制度を。
 味方を。

 エルドが泣きながら頷いた。

「……俺は、協力します。……でも、怖い」

「怖くていい」

 私は繰り返す。
 怖さを否定しない。
 否定したら、彼は自分を否定する。
 それが一番危ない。

「怖いまま、守る。守りながら、進む」

 その言葉は、自分にも向けた。
 私は王女だ。
 権力を持っている。
 でも権力は、使い方を間違えれば牙になる。

 母は制度を残した。
 私は制度を動かす。
 誰かを踏むためじゃなく、守るために。

 その夜、エルドの家族は王都外へ移された。
 ユリウスの護衛が付き、身分証明の書面が渡され、馬車は暗い道を走った。
 見送るエルドの目は、まだ怯えていた。
 でも、怯えの中に確かな光があった。

 宿屋を出る前、ユリウスが私に小声で言った。

「殿下。あなたの権力の使い方が……変わってきています」

「変わった方が、生き残れる」

「いえ」

 ユリウスは首を振る。

「変わった方が、人がついてきます」

 その言葉が胸に落ちた。
 味方は、命令で作れない。
 守ることで増える。
 それが今世の私のやり方だ。

 王城へ戻る馬車の中で、ルーナがぽつりと呟いた。

「姫殿下……今日、姫殿下は……王女様じゃなくて……」

「うん」

「……人でした」

 私は窓の外の暗闇を見た。
 暗闇の中に、灯りがぽつぽつと浮かぶ。
 人の家の灯り。
 生きている灯り。

「人であることを捨てたら、王になれない」

 私はそう答えた。
 誰かを守るために権力を使う。
 その積み重ねが、王の形を作る。

 そして私は知っている。
 宰相は、これを一番嫌う。
 噂で折れない王女。
 怒りで暴走しない王女。
 制度で人を守って、味方を増やす王女。

 火は、怖さで消えない。
 守りで消える。
 私は今日、それをまた一つ学んだ。
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