悪徳貴族になろうとしたが

石のやっさん

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ムカつくメイド! 復讐したら部下になった?

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メイドが一人結婚して此処を辞める。

そういう話を聞いた。

これがアンとかだったら祝福してやる気はある。


だが、婚約して辞めていくメイドはイライザだった。

此奴が幸せになることは許したくはない。

俺が使用人扱いになった時に執拗に虐めてきた。

俺は体は子供だが、心は大人だ。

他のメイドや使用人には厳しさの中に愛情があった。

俺が一人でも生きられるように《鍛えてやる》迷惑だが優しい愛情があった。

実際に、鬼のように厳しかったルドルは俺を庇い辞めていった。

あと少し勤めれば莫大な退職金が貰えるのにそれを棒に振って迄俺を助けた。

俺の前世はクズ、どう言い繕おうが悪人に違いない。

だが、悪人には悪人のルールがある。

それは《恩は忘れない》それだけだ。

此処のメイドは綺麗な子も多いし、正直涎ものだ。

だが、自分が生きられるように仕事を教えてくれようとした、そんな恩義がある。

だから手を出さない。

もし、どうしても欲しくなったら正々堂々口説く、それだけだ。


だが、その枠から外れる奴がいる。

本気でガキの俺に虐待を働いていた奴がいる。

その一人がイライザだ。


「ガキのくせに可愛げがないんだよ、なんだその目は」


「お前、私の方が急ぎなんだよ! お前が汲んだ水貰っていくよ」

暴言は当たり前、酷い時には足を引っかけられたり、頭を小突かれたりした。


「いくら何でも叩くことは無いだろう」

「いつまで坊ちゃんのつもりなわけ? 一番の新入りが口答え何てありえないんですけど」

「言えば解る事じゃないですか?」

「はぁ、何で私がいちいちお前に言わないといけないの?」

「言われなければ解りません」

「そうね、家畜に人間の言葉は解らないものね」

「そうですか」


「そうですかじゃねーよ、何その反抗的な目、むかついたからアンタの夕飯無しね」

「そんなの酷すぎます」

「ここじゃ私がルールだからね、他のメイドや執事に言いつけたらただじゃ置かないよ? ガキ一人どうにでもなるからね、私はこれでも昔は盗賊だったんだ殺すのは簡単だ」


此奴は馬鹿じゃないのかな? 貴族の屋敷に勤めるのに素行の悪い人間を見逃すわけはない。

ただの大法螺だ。

「そうですか、凄いですね」

まぁ昔からこういう奴いたよ、やたら自分が悪人で更に人として大きく見せようとする奴。

大体が雑魚だけどな。

「はん、その澄ました顔がムカつくんだよ」

そう言うと、イライザは俺の顔に平手打ちをした。

「何するんですか?」


「これだから、坊ちゃんはただ撫でただけでしょう」

俺の顔にはしっかりと手の跡が残っていた。

それから事あるたびにこの糞女は俺に絡んできて暴力を振るった。

こんな奴、幸せにならせるわけねーだろうが!



こっそりと、夜中にイライザの部屋に忍び込んだ。

離れとはいえメイドにまで個室が与えられるのは如何にうちが裕福か解る。

だが、これは都合が良い。

音さえ気を付ければ明日の朝までだれも気が付かない。

俺はあらかじめ使用人やメイドが飲むお茶の中にこっそりと強い睡眠薬を入れて置いた。

貴族の図書室は本当に知識の倉庫だ。

毒などもきっと貴族であれば使ったり、使われることがあるのだろう、この手の知識の本が沢山あった。

その中にあった睡眠薬の作り方をまねて作ってみた。

薬を入れたのは夜、普通のメイドや使用人も後は寝るだけだから迷惑も掛からないだろう。


本当なら顔でも殴りながら泣き叫ぶ声を聴きながら犯してやりたかった。

ただ今の俺はただのガキだ、女とはいえ成人した女に勝てる道理はない。

だから寝ているイライザを犯す事にした。

途中、痛みで目が覚めるといけないので、念の為ジギ草から作った麻酔薬も口から流し込んだ。

凄く、ムカつく女だが面と体は割と良い。

だが、マグロ状態なのは正直いってつまらない。

まぁ前世で言うダッチワイフやオナホと同じだ。

自分でするよりはまぁましだな。


遣るだけやって、その後はお尻の谷間に入れ墨を入れてやった。

《淫乱女 無料でやれます》《肉便器使い放題》《メス奴隷》そんな感じの内容だ。

この世界は鏡は貴重品だから大きな鏡は無い。

また、わざわざお尻の谷間まで見る事はなかなか無いから気付かれないだろう。

一応、血などもふき取り綺麗な状態にして立ち去った。


次の日、様子を見たが

「生理が辛い」なんでいって楽な仕事に回して貰っていたようだから気が付いて無さそうだ。

さぁ結婚がどうなるか見ものだ。




【後日談】


イライザの結婚は破談になった。

イライザの結婚相手は騎士爵の爵位を持つ貴族だった。

騎士爵とはいえ貴族だ嫁ぐ前に《体検め》がある。

これは病気では無いか、処女であるかしっかりと調べられる。

騎士爵位だと微妙だが、基本貴族は他人のお古を嫌う。

処女で無い女は愛人にしても妻には基本しない、まぁ余程の身分の差があれば別だが、それこそ伯爵の未亡人が子爵や男爵の家に嫁ぐその位の差が無ければ無い。

まして身分の低い平民の女が貴族に嫁ぐなら清らかな体じゃなければ無理な話だ。


イライザが裸になり、中年の手慣れた検査女がイライザを調べていた。

「私は体のラインには自信があります、勿論、だらしない生活などしたことはありません」

「そうですか、確かに健康そうですね」

「はい」

「ですが、不合格です、貴方ほど遊んでいて貴族の妻になろうとした女は初めてです」

「そんな事はありません、私はそんな事はしていません」

「そうですか、あなた自身で自分の体を見てみなさい、ふしだらな行為をしていた証拠があります、更にあなたは処女ではありません、これは鑑定魔法にも出ています」

「間違いです、ちゃんと調べて下さい」

「そこまで言うなら、こちらへどうぞ」

手鏡を渡され見るように言われた。

「ほら、お尻の谷間を見なさい、貴方の昔付き合っていた男が入れたのかしら? 卑猥な入れ墨が入ってます」


「これは、これは何かの間違いよ...」



【後日談】


結局イライザの婚約は破棄された。

親からも面子を潰されたとして勘当された。

騎士爵とはいえ貴族との結婚の話だから噂になり、イライザの悪評は広まったからもう真面な結婚は出来ないだろう。

こんな噂が広まってしまったら、娼婦にすらなれないかもしれない。

再び、ヘングラム家で働きたいと厚顔にも言ってきた。

勿論、アベルは断った。

だが、俺は助け船を出す事にした。

「使用人の分際で申し訳ございませんが、イライザを雇ってくれませんか」

アベルとイライザの間に入って頼んだ、勿論土下座で。

「ルディウス、お前とイライザの間には何かあるのか?」

「何もありません」

「ではなぜ庇うのだ」

「僕は行く所が無い辛さや人から嫌われる辛さを知っています、この女は最低ですが、此処を追い出されたらもう死ぬしかないでしょう、置いてやる事はできませんか」

「まぁメイド一人だどうでも良い、ここ暫くルディウスは頑張ってくれた、もうそろそろ下につく人間を与えようと思っていた、お前が使うというなら戻すが良いのか此奴で」

イライザは涙目でこちらを見ている。

此処のメイドや使用人は優秀で僕より仕事は出来る。

そんな人間を俺は上手く使えないだろう。

此奴だって元はそこそこ優秀だが脛に傷がある、良いか此奴で。

まぁ、俺の手元に置くならキラキラした善人よりこういう腐った目をした奴の方が良いかも知れない。

「解りました、イライザで構いません」

「そうか、なら良い...ルディウスに感謝するんだな」



こうしてイライザが俺の下につくことが決まった。
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