悪徳貴族になろうとしたが

石のやっさん

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三人の事情と旅立ち

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「えーとシャインは長なんだから不味いんじゃないかな? それにルナもサイナも責任ある立場じゃないのかな?」

「別に構いませんよ? もうそろそろ隠居しても可笑しくない時期だしね、ルナもサイナもそろそろ若い子に立場を譲る時期だからね」

「そうですよ、もういい加減楽してもいい頃ですから」

「そうだよね、もう楽隠居して暮らします」


彼女達はエルフの街の長...しかもその中心人物3人、大丈夫なのか。



【エルフの街...少し前】


【シャインSIDE】


「私は今日を持ってエルフの長を引退する事にした、後の事は頼んだわ」

「いきなり何を言うんですか...そんな急に困ります、この街でたった一人のハイエルフなのですよ」


「今迄は私に頼り切り過ぎだったのよ...これからは自分の事は自分でしなさい」

「そんな、シャイン様だけなら兎も角、ルナ様にサイナ様まで、男ですか...男ですね、あの天使様に」

「そうよ...いけない? 私達はもう後が無い位の歳なのよ?、これが最後の恋なのよ、解るでしょう?」


「あの、天使様って11歳ですよね? 犯罪ですよ、犯罪、揃いも揃っておばさん通り越して婆なのに11歳? ショタコンじゃないですか?」


「ショタコン?」

「はい、まぁ掟にはそんなの無いですが...本来なら若い子に譲るのが当たり前でしょう? 本当に恥ずかしいったらありゃしない」


「そこ迄言うの?」


「当たり前ですよ、あんなに素晴らしい人なんですからね、適齢期の女性は勿論、同い年位のチビ迄、皆が《いいなぁ~》《素敵だなぁ~》って思っていたのに...何で老人のあんた達が持っていくんですかね?、長老や長なら、ここは若い子の譲るのが普通ですよね」

「貴方、今私の事《あんた》って言わなかった?」


「ええ、言いましたよ? 長で無くなったなら関係ありませんよね?」


「あのね...私達が選んだんじゃないのよ? 私達をルディウス様が選んだのよ?」

「嘘だーーーーーっ!」

どうしたのかな...何だか怖いよ。

「良いですかシャイン様、私知っているんですよ? シャイン様もルナ様もサイナ様も、そんなに背が高くて最早、姿形までエルフらしくない...本当の婆ぁじゃないですか? 幾ら人族だって絶対に他のエルフが良いに決まってますよ」


「そんな事は無いの...本当に私達を選んだのよ」

「はぁ...何処の誰が、態々お婆ちゃん選ぶんです? もう良いですよ、言い訳は!兎も角お三方は、立派な人だと思っていたけどショタコン婆ぁだったんですね、もう良いですよ、勝手にして下さい、後の事は私達がしますから」


「そう良かったわ」

「ふん、ショタコン」

「何か言った?」

「いいえ何も言ってませんよ(笑)ショタコン婆のシャイン様」


男の恨みは怖いと言うけど、まさかここ迄とは思わなかったわ。


【ルナSIDE】


「確かに、もう何時引退しても可笑しくない歳ですが、恥ずかしくないんですか?」

「だって仕方ないじゃない? 好きになっちゃったんだから」

「相手は11歳って話じゃないですか? そんな幼子みたいな相手と恥ずかしくないんですか? 曾孫より遙かに年下なんですよ?」


「恋に年齢は関係ないわよ」

「お義母さん、だけど限度という物がありますよ...流石に11歳は無いんじゃないですかね...恥ずかしいですよ」

「お婆ちゃん、本当に恥ずかしいよ」

「お袋いい加減にしてくれ! リウマチに腰痛、そんな老人がそんな事するなんて、息子として恥ずかしいって」


「だけど、私ね、この恋は止められないわ」

「もう良いよ...引退して出て行って、ただ11歳の幼子を親父なんて呼びたくないからな、もう勝手にしてくれ」

「私だってそんな赤ちゃんに毛の生えた年齢の子をお爺ちゃんって呼べないからね」

ふんっ、そんな事言いながら、自分達だってチャンスがあったら物にするくせに。



【サイナSIDE】

「おばあ様、いい加減にして下さい、同じ様に齢をとった相手なら私も文句は言いませんよ...11歳、解っているんですか? いい歳した老人が幼子に手を出すなんて、恥をしって下さい...犯罪ですよ犯罪」

「そんな事言われても好きなったんだから仕方ないじゃん」

「はぁ...お母さまはそろそろ、介護が何時必要になっても可笑しくない歳なんですよ? まさかその子にオムツの交換でもさせるつもりですか?」


「まだ、そんな歳じゃないよ...いい加減にして、それに今の私はとっても充実しているわ、そうね200歳位若返った感じかな」

「そんな訳無いでしょう?、どう見ても変わらないじゃない」

《だけど、確かに加齢臭は無くなっているし、何とも言えない位《気》が充実している様に見えなくもない》


「確かにそうだね...だけどまぁ良いや」


「まぁ、もう良い歳だから良いですよ...長老役は引き受けたわ...ただあまり醜聞は晒さないでね」




三人が三人、それぞれの事情で街を後にした。



「本当に大丈夫なのか? シャインは長だし他の2人だって重要な役について居るんだろう?」

「私はそろそろ引退を考えていたから問題ないよ」

「私も家族に任せて降りてもいい頃です」

「そうだね、私も大役は娘に譲ってきましたから、問題ありません」


「それなら、別に良いんだけど、魔王城まで案内をお願いして良いかな?」

「「「はい」」」


美女に美少女を連れての旅。

このパーティーでの旅なら楽しそうだ。


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